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第29話 スルメイラ怒られる

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 スルメイラはチラリと森雪さんを一瞥すると、【はは~ん】と言わんばかりに悟ったような表情を浮かべた。
 そして、俺に向かって薄く笑いながら皮肉たっぷりにおかしなことを言う。

「へー!ご主人様はやっぱりエッチでスケベな鬼畜だったんですね。しかも従順そうな女連れとは!」

「ちょっと貴女、銀治君に失礼よ!貴女がスルメイラさんね。私は森雪友梨奈よ」


 森雪さんはそれを聞いた瞬間、顔が真っ赤になり、むすっとした表情でスルメイラに向かって挨拶を返したものの、明らかに動揺しているのが伝わってくる。そして、スルメイラはその反応を楽しむように俺の方を見ながら、さらなる追い打ちをかけてきた。

「それで、ご主人様、この女ともう "xxx" とか "zzz" とかしたんですか?」

 その言葉に俺は一瞬、頭が真っ白になり、何とか言葉を返そうとするも、何も出てこない。ただただ顔が熱くなっていくのが自分でもわかる。

「ば、ばかなこと言うなよ!そんなわけないだろ!」

 俺が必死で否定すると森雪さんは、驚きと困惑の入り混じった表情で俺を見つめている。彼女も完全に動揺しているようでしばらくの間、口をパクパクさせていたがようやく落ち着きを取り戻したらしい。

「そ、そんな ・・・ 私、そんなこと・・・ キスをしたことすらない・・・ 」

 森雪さんは何か言いかけたが、言葉に詰まり、さらに顔が赤くなった。そしてスルメイラは、狼狽えている俺たち2人の様子を楽しむように満足げな顔を浮かべていた。

「ふふん、ご主人様たちはやっぱり面白いですね!冗談なのに真に受けて!」

 俺はすぐにスルメイラの襟首を掴み、少し厳しい声で言った。

「スルメイラ、森雪さんに失礼だぞ!ちゃんと謝るんだ!」

 スルメイラは俺の怒り顔に一瞬驚いた顔をしたが、すぐに申し訳なさそうに目を伏せた。

「ごめんなさい・・・ただ、二人の仲がとてもよさそうだったから、ついからかっちゃったの。恋人だと思って少し嫉妬しちゃって・・・」

 その謝罪を聞いた森雪さんは一瞬驚いたものの、事前に俺がスルメイラの様子を話していたこともあって、すぐに穏やかに微笑み、優しく言葉をかけた。

「スルメイラさん、誰かをからかう時は、その人がどう感じるかを考えなきゃよ。特に冗談でも言いすぎると誤解を招いちゃうことがあるし、言って良いことと悪いことがあるから気をつけてね」

 森雪さんの優しい言葉に、スルメイラはしょんぼりしたように頷き、反省した様子を見せた。どうやらスルメイラは常識がまだ身についていなく、それによりおかしな言質が多かったようだ。

 そして会話の最中に、弱い魔物が何度か現れたが、俺はそのすべてを瞬く間に倒していった。剣を振るい、魔物を撃退する度に俺の動きは滑らかになり、自信を感じさせるものになる。
 不思議と次はこうすればよいだろうと思い、それを実践している。

 森雪さんは俺の動きを目で追いながら、驚きと感心した様子を見せた。

「すごい・・・聞いていたの違うし、春森君たちよりずっと動きが速いし、余裕で魔物を倒しているなんて・・・」

 彼女の目には驚きが浮かんでいた。それを見た俺は少し照れくさかったが、胸の奥に嬉しさが込み上げてきた。
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