25 / 70
第25話 人外の力の片鱗
しおりを挟む
スルメイラは少し不満そうに、つまり渋々とした表情を浮かべながら次の魔物に向かって歩みを進めた。俺は彼女がどんな戦い方をするのか興味半分、不安半分で見守っていた。まず現れたのは大蝙蝠だ。
不思議と彼女の足取りは魔物を探すというより、近くにいる魔物に向かっている感じだった。
「さあ、どんな戦いを見せてくれるんだ?」
俺は小声で呟いた。先ほど俺がのたうち回っている間に大蝙蝠を数匹倒していたが、もちろん見ていない。
するとスルメイラは、俺の期待をはるかに超える動きを見せた。まるで重力を無視するかのように壁を駆け上がり、横走りを決める。
驚くほど軽やかにジャンプすると、空中で回転しながら大蝙蝠に飛んでいく。
その動きはどこか舞踏を思わせる優雅ささえあった。
「やぁっ!」
そして、奇妙な掛け声とともに、一瞬で大蝙蝠を真っ二つに切り裂いたのだ。
「は?今、何が起こったんだ?」
俺は呆然と声を漏らした。
俺の目には、彼女が魔法を使ったようにしか見えなかった。だが、それは純粋な剣技だった。
スルメイラは軽く着地すると、すぐにダンジョンの奥に向かって全速力で突撃していく。止めようとする暇もなかった。
「おい、待て!」
俺が叫ぶ前に、彼女は次の魔物であるメタボキャットの背後に回り込んでいた。今度は回転しながら背後に着地すると剣を一閃した。
軽く振っただけでメタボキャットが剣に抵抗することもなく、真っ二つに割れて霧散した。
まるでバターナイフでバターを切るようにやってのけた。
俺は目を見開き、唖然として彼女を見つめた。
「なんだ・・・なんだ今のは・・・」
その戦いぶりを見た俺の心臓は早鐘を打っていた。
戦いが終わるとスルメイラは俺の方にトコトコと戻ってきた。そして手にはドロップ品を持っていたが、彼女が開口一番に発した言葉は・・・
「お腹すいた・・・」
「えっ?」
俺は思わず拍子抜けしてしまった。それだけの動きを見せた後に、その一言とは。
かっこよい・・・すごい・・・神業だ!とポカーンと口を開けていたが、その残念な一言が俺を現実に引き戻した。
しかし彼女は続けて、真剣な表情を浮かべた。
「なぜ私は剣であんなに戦えたのでしょうか?」
彼女は自分の手を見つめながら、不思議そうに首を傾げている。俺はその顔を見て、思わず苦笑いを浮かべたが、彼女自身も驚いているようだった。
「しっくりきたんですよ、剣を振る感覚が・・・」
彼女は言葉を絞り出すと、魔力を補充するために俺の手を握った。俺はその手の温もりを感じながら、彼女の言葉に頷いた。
「そうだな。スルメイラ、お前って凄いやつなんだな。」
俺は素直に感心し、先を続ける。
「でも、次はもう少し手加減というか、自重してなるべく最小限の動きで倒して!あんな動きが毎回見れるのは嬉しいが、オーバーキルだと消耗が激しいだろ?」
「分かりました、次は優雅にいきます」
スルメイラは少し嬉しそうに笑いながら答えた。
そんなスルメイラを見るに、益々もって何者なんだ?と首を傾げた。
ドロップ品を回収すると、俺たちは再びダンジョンの奥へと進む。だが、俺の中にはまだ彼女の未知なる力に対する驚きと期待が混ざり合い、ワクワクした感覚が残っていた。
不思議と彼女の足取りは魔物を探すというより、近くにいる魔物に向かっている感じだった。
「さあ、どんな戦いを見せてくれるんだ?」
俺は小声で呟いた。先ほど俺がのたうち回っている間に大蝙蝠を数匹倒していたが、もちろん見ていない。
するとスルメイラは、俺の期待をはるかに超える動きを見せた。まるで重力を無視するかのように壁を駆け上がり、横走りを決める。
驚くほど軽やかにジャンプすると、空中で回転しながら大蝙蝠に飛んでいく。
その動きはどこか舞踏を思わせる優雅ささえあった。
「やぁっ!」
そして、奇妙な掛け声とともに、一瞬で大蝙蝠を真っ二つに切り裂いたのだ。
「は?今、何が起こったんだ?」
俺は呆然と声を漏らした。
俺の目には、彼女が魔法を使ったようにしか見えなかった。だが、それは純粋な剣技だった。
スルメイラは軽く着地すると、すぐにダンジョンの奥に向かって全速力で突撃していく。止めようとする暇もなかった。
「おい、待て!」
俺が叫ぶ前に、彼女は次の魔物であるメタボキャットの背後に回り込んでいた。今度は回転しながら背後に着地すると剣を一閃した。
軽く振っただけでメタボキャットが剣に抵抗することもなく、真っ二つに割れて霧散した。
まるでバターナイフでバターを切るようにやってのけた。
俺は目を見開き、唖然として彼女を見つめた。
「なんだ・・・なんだ今のは・・・」
その戦いぶりを見た俺の心臓は早鐘を打っていた。
戦いが終わるとスルメイラは俺の方にトコトコと戻ってきた。そして手にはドロップ品を持っていたが、彼女が開口一番に発した言葉は・・・
「お腹すいた・・・」
「えっ?」
俺は思わず拍子抜けしてしまった。それだけの動きを見せた後に、その一言とは。
かっこよい・・・すごい・・・神業だ!とポカーンと口を開けていたが、その残念な一言が俺を現実に引き戻した。
しかし彼女は続けて、真剣な表情を浮かべた。
「なぜ私は剣であんなに戦えたのでしょうか?」
彼女は自分の手を見つめながら、不思議そうに首を傾げている。俺はその顔を見て、思わず苦笑いを浮かべたが、彼女自身も驚いているようだった。
「しっくりきたんですよ、剣を振る感覚が・・・」
彼女は言葉を絞り出すと、魔力を補充するために俺の手を握った。俺はその手の温もりを感じながら、彼女の言葉に頷いた。
「そうだな。スルメイラ、お前って凄いやつなんだな。」
俺は素直に感心し、先を続ける。
「でも、次はもう少し手加減というか、自重してなるべく最小限の動きで倒して!あんな動きが毎回見れるのは嬉しいが、オーバーキルだと消耗が激しいだろ?」
「分かりました、次は優雅にいきます」
スルメイラは少し嬉しそうに笑いながら答えた。
そんなスルメイラを見るに、益々もって何者なんだ?と首を傾げた。
ドロップ品を回収すると、俺たちは再びダンジョンの奥へと進む。だが、俺の中にはまだ彼女の未知なる力に対する驚きと期待が混ざり合い、ワクワクした感覚が残っていた。
43
お気に入りに追加
96
あなたにおすすめの小説
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?
現代ダンジョンで成り上がり!
カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる!
現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。
舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。
四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
俺だけ展開できる聖域《ワークショップ》~ガチャで手に入れたスキルで美少女達を救う配信がバズってしまい、追放した奴らへざまあして人生大逆転~
椿紅颯
ファンタジー
鍛誠 一心(たんせい いっしん)は、生ける伝説に憧憬の念を抱く駆け出しの鍛冶師である。
探索者となり、同時期に新米探索者になったメンバーとパーティを組んで2カ月が経過したそんなある日、追放宣言を言い放たれてしまった。
このことからショックを受けてしまうも、生活するために受付嬢の幼馴染に相談すると「自らの価値を高めるためにはスキルガチャを回してみるのはどうか」、という提案を受け、更にはそのスキルが希少性のあるものであれば"配信者"として活動するのもいいのではと助言をされた。
自身の戦闘力が低いことからパーティを追放されてしまったことから、一か八かで全て実行に移す。
ガチャを回した結果、【聖域】という性能はそこそこであったが見た目は派手な方のスキルを手に入れる。
しかし、スキルの使い方は自分で模索するしかなかった。
その後、試行錯誤している時にダンジョンで少女達を助けることになるのだが……その少女達は、まさかの配信者であり芸能人であることを後々から知ることに。
まだまだ驚愕的な事実があり、なんとその少女達は自身の配信チャンネルで配信をしていた!
そして、その美少女達とパーティを組むことにも!
パーティを追放され、戦闘力もほとんどない鍛冶師がひょんなことから有名になり、間接的に元パーティメンバーをざまあしつつ躍進を繰り広げていく!
泥臭く努力もしつつ、実はチート級なスキルを是非ご覧ください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる