14 / 76
第14話 謎の人物による尋問
しおりを挟む『遂に【創造神の試練】をクリアしましたよ、師匠! 聞こえますか、師匠?』
俺はMMOWG(多人数参加型戦争ゲーム)【矛盾】で師事した師匠で在るプレイヤーネーム【クマメタル】に連絡を取ったが、例の如く闘いに酔っているのだろう。全く反応が無い。
世界を震撼させた一千万オーバーキルのテロリスト【クマメタル】と同じ名前で、仮想現実世界に於いてプレイをするイカれた変態。何が如何為って、仮想現実世界に於いて、其のプレイヤーネームで登録が許可されたのか、首を傾げる事しきりだ。
『カルマ、やっぱり鳥は良いな! 空を自由に翔べる!』
イカれた変態は例の如く、俺の話は全く聞いていなかったようだ。はぁ、トランスしている師匠には何を言っても届かない。自分のルールを忠実に実行する災厄と化す。【殺られたら殺り返す】、至ってシンプルな其のルールに全てを懸ける狂人。
全てと言って良いプレイヤーから忌み嫌われる存在、【凶神】と呼ばれる禍々しい魂の燐光が師匠だった。
『師匠、またモンスタープレイですか? 楽しんでますね【アルグリア戦記】!』
『まあな、血のエフェクト処理以外は最高に、興奮するぜカルマ!』
『其処は仕様なので仕方ないですよ。諦めて下さい師匠。其れから俺やりましたよ。【創造神の試練】をクリアしました!』
『ほう、鬼畜仕様のマゾゲー(マゾヒズムを楽しむ変態のゲーム)シナリオをクリアするとは、お前はイカれてるよカルマ?』
否々、アンタにだけは言われたくないよ! イカれた変態が、俺を変態性嗜好者のように言うのは納得がいかない! 断固反対する!
『其れで、鬼畜シナリオの報酬は何だったんだ?』
『完全制覇クリアの特典は、一千億英雄ポイント券・身体能力値の限界突破券・スキル枠撤廃券・ユニークスキル創造券・特別シナリオ【ゲーム世界へ転生】の選択券が各一枚づつですね!』
中々、破格な特典内容だった。能力値(筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力)を英雄ポイント分で、人種種族の成長限界値の上限を設定変更が出来る。但し、スタート時の能力値は初期設定値の侭なので、所謂俺Tueeeは出来ない。
スキル枠撤廃って、無限にスキルをセットして良いらしい。勿論、スキルもカスタマイズ可能だ。
【アルグリア戦記】では、キャラアバターごとにスキルレベルの成長上限値が設定されている。其の成長限界値を、英雄ポイントを使用してカスタマイズする。初期設定値は変更不可な仕様なので、最初からの俺Tueeeは勿論出来ない。
ユニークスキル創造って、もうチートだよね?
最後の特別シナリオ【ゲーム世界に転生】の選択券に至っては、インダストリア社の運営チームが悪乗りしてネーミングしたとしか思えないものだった。
『ほう、【ゲーム世界に転生】か? 浪漫じゃないか、本当に転生したりしてな! はっははははは~!』
豪快に笑う師匠に、『ははは、・・・・・・』と苦笑いで応答する俺だった。
『何にしても、楽しんで来いカルマ! 一回切りの人生だ、悔いの無いようにな!』
全くその通りだ。一回コッキリの人生だ。
俺は亡くなった幼馴染みの分も、人生を楽しむと決めていた。
『じゃあ、師匠! ゲーム世界に転生してきます! また連絡しますから、楽しみにしていて下さい!』
『おう! またなカルマ!』
----------
俺は珍しく戯けた調子のカルマとの通信を切った。そして、自分が為した闘いの顛末を見届ける。
地平線一杯に、人類だった骸が転がっている。
其の惨憺たる光景に、感情の無い目を向ける。
生きとし生けるもの全てが炭化していた。
其処は灼熱地獄の如く、焔の熱が充満していた。
俺は大空を滑空しながら、気持ち良く熱風と舞う。
凄いなカルマの奴。誰一人としてクリアした者がいない、鬼畜無理ゲーシナリオをクリアするとは。恐れ入ったぜ、俺には無理だ。退屈で死んじまう。何が楽しくて【カルマ値(行動に因るゲーム設定上の善悪の数値)】を調整しながら遊ばなければならないんだ。
「ふん、そんなものはクソ喰らえだ!」
俺は我道をいく。自分のルールに則って、【アルグリア戦記】を楽しむ。そんな大陸統一制覇の為に、楽しみを封印してまで作業ゲー(楽しみの無い行為を繰り返すゲーム)のような事なんか出来るかってんだ!
プレイヤーネーム【クマメタル】は、そう毒突くと真っ赤に燃える翼を翻し大空を羽ばたく。プレイアバター【ラフレシア】として、十の災厄の一角、【不死鳥】として災厄をバラ捲く。
アルグリア大陸の生きとし生きるもの全ての頂点で在る十個体の内の一体をプレイするクマメタルに取って、闘いとは殲滅を意味する。要するに皆殺しが、彼の流儀だった。
【十の災厄】には、縄張りから外には移動不可の制限が付く。故にアルグリア大陸の住民達は、十の災厄の勢力圏を侵さない。所属国家ごと滅ぼされた数多の教訓が、魂と脳髄に【畏怖】として刻み込まれていたからだ。
【不死鳥ラフレシア】の縄張りは、【アゾット炎獄】。炎が燃え盛る地獄のような火の監獄。誰も訪れない炎獄を守護する鳥は、焔を絶やす事無く、炎獄以外の空を翔ぶ事は叶わなかった。
自分が燃やし尽くした灰燼から立ち昇る命の残照を、美味しそうに吸い込み大空を翔び廻る。
アルグリア大陸の四十七国家を掌中に納める事を目指さず、全ての勢力を倒す殲滅プレイヤーである【クマメタル】にとって、【アルグリア戦記】とは現実の仕事の息抜きに他ならない。
攻撃されなければ、攻撃をしないルールを持つ【クマメタル】は、俺を攻撃しろ、毒饅頭を喰らえと、移動不可能な筈の縄張り外で、今日も陽気に【アルグリア大陸】を飛翔していた。
----------
『ぽ~ん♪ マスター、ようこそ仮想空間へ! 本日のご用命を、お伺いします!』
現実と仮想現実の世界とのエントランスである【ポータルサイトの案内人】の【ナリア】が、いつもの如く行き先を尋ねる。
『やあ、ナリア! 【アルグリア戦記】で頼む!』
蒼い瞳の蒼い毛玉の如き狸が、了解とばかりに、空中で可愛らしく頷ずく。
『いってらしゃいませ、マスター!』
『ああ、行って来る!』
----------
『【カルマ】さま! ようこそ、【アルグリア戦記】へ! 現在、継続プレイ中のアバターはご座いませんが、新規アバターでプレイを始められますか?』
純白の空間に浮かぶ執事服に身を包んだ黒猫の姿の、【アルグリア戦記の総合案内人】である【ジョドー】が、常に変わらない慇懃な動作でカルマを迎えた。
『ああ、ジョドー。今回は【ゲーム世界に転生】の【カルマ】でプレイするよ!』
『なるほど! 【創造神の試練】クリア特典ですかカルマさま? ほう、特別シナリオですね、・・・・・・【ゲーム世界に転生】? なんと厨二病溢れるネーミングでしょう! 此のジョドー、呆れを通り越して笑ってしまいそうです!』
そう言いながらも、全く感情を表に出さないポーカーフェイスの執事に、カルマは内心で苦笑をしてゲームスタートの準備を始める。
特別シナリオ【ゲーム世界に転生】を選択券で指定し、プレイアバター【カルマ】を選択する。
あれ、封印状態じゃないぞ? 如何なってるんだ?
キャラアバターのステータス情報を見ながら、カルマは訝しむ。
スキルと能力値欄で、ポイント固定の封印表示が無い!
はて、特別シナリオってイージーモードなの?
まあ、無いなら無いで問題は無い。
次に能力値を限界突破券で上限値を解除にして、英雄ポイントで上限一杯まで限界値を上げていく。
う、うん? あれ、未々上がり続けるぞ?
一千億英雄ポイント券を使用してポイントを獲得してと!
おっ! 百億英雄ポイントで【∞】に為ったぞ!
筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力の各能力値をマックスの【∞】まで上げる。
状態値である生命力・魔力・精神力・持久力は、育成次第で人種種族関係なく無限に成長が可能だった。
状態値まで【1】ポイント固定だったら、【創造神の試練】はクリア出来なかっただろう。
次にスキルだ。此れは悩むな。スキル枠撤廃券で制限を解除。現在所持している全てのスキルを付与するのは、容易い。
だが、スキルは生き物なのでスキル同士で相性が悪いと、逆に力を発揮出来ない。
目指すは両親の早世を阻止する。【創造神の試練】でアルグリア統一制覇を為し遂げた仲間達の無念を全て改変する。
其の為に全ての特典とポイントを使用して、プレイヤーネーム【カルマ】なら絶対にしない無双プレイを為ると決めていた。自重はしない。
十二万三十四回。合計でプレイアバター【カルマ】の両親が亡くなった回数だった。両親が脳裏情報で事切れる度に、胸の奥がチクリと痛んだ。自分の為に文字通り命を投げ出した両親。
辛苦を共にし、文字通り命を懸けて大陸統一制覇を為し遂げた仲間達。誰もが身体に、心に傷を負っていた。共に戦い共に笑い共に死んだ仲間達。何万回と見た戦友の死。無念の想い。全て俺が変えてやる。運命を覆し塗り直し改変する。
カルマはそう心に決めていた。
スキルの選定は、最終スキル構成を想定して逆算(目的地から逆に辿る算段)で作り上げていく。両親を仲間を助ける為、カルマは未来地(最終目標)を設定し、現在地(生まれた時)から小目標を設定し、ルートを設定していく。其れを為すスキル構成を的確に付与していくのだった。
お、アイテムの持ち込みも制限がないぞ?
スゲー、流石は特別シナリオ! やっぱり超イージーモードだ!
常のカルマなら喜ぶ処か、渋い顔に為る状況だが、何せ今回は万が一にも失敗は許されない。何故なら特別シナリオ券は一枚しかない。失敗すれば再度【創造神の試練】をクリアしても貰えるか不明だった。
過去のシナリオでもシナリオマラソン(特典目当てで何回も同じシナリオをプレイする事)での特典獲得防止の為に、初回しか獲得出来ない限定特典も存在したからだ。
ふ~ん、子孫での継承プレイは、不可なのか?
全てのカスタマイズを終えたカルマは、ジョドーに【ゲームスタート】を申告する。
『準備は万全のようですね。カルマさま、・・・・・・』
執事の言葉には、憂いがあった。顔には全く表さない感情が、ノンプレイヤーキャラクターを装うジョドーの心の裡に在った。
『如何したの、ジョドー? 何か心配事でも在るの?』
普段とは様子の違うジョドーにカルマは、小首を傾げる。
『いえ、全く問題はありません! 【カルマ】さま、準備が整いました! お元気で!』
『行って来、えっ?(何、お元気でって?)』
珍妙な顔をした侭のカルマが、エフェクト処理され分解されながら消えて往った。
To be continued! ・・・・・・
俺はMMOWG(多人数参加型戦争ゲーム)【矛盾】で師事した師匠で在るプレイヤーネーム【クマメタル】に連絡を取ったが、例の如く闘いに酔っているのだろう。全く反応が無い。
世界を震撼させた一千万オーバーキルのテロリスト【クマメタル】と同じ名前で、仮想現実世界に於いてプレイをするイカれた変態。何が如何為って、仮想現実世界に於いて、其のプレイヤーネームで登録が許可されたのか、首を傾げる事しきりだ。
『カルマ、やっぱり鳥は良いな! 空を自由に翔べる!』
イカれた変態は例の如く、俺の話は全く聞いていなかったようだ。はぁ、トランスしている師匠には何を言っても届かない。自分のルールを忠実に実行する災厄と化す。【殺られたら殺り返す】、至ってシンプルな其のルールに全てを懸ける狂人。
全てと言って良いプレイヤーから忌み嫌われる存在、【凶神】と呼ばれる禍々しい魂の燐光が師匠だった。
『師匠、またモンスタープレイですか? 楽しんでますね【アルグリア戦記】!』
『まあな、血のエフェクト処理以外は最高に、興奮するぜカルマ!』
『其処は仕様なので仕方ないですよ。諦めて下さい師匠。其れから俺やりましたよ。【創造神の試練】をクリアしました!』
『ほう、鬼畜仕様のマゾゲー(マゾヒズムを楽しむ変態のゲーム)シナリオをクリアするとは、お前はイカれてるよカルマ?』
否々、アンタにだけは言われたくないよ! イカれた変態が、俺を変態性嗜好者のように言うのは納得がいかない! 断固反対する!
『其れで、鬼畜シナリオの報酬は何だったんだ?』
『完全制覇クリアの特典は、一千億英雄ポイント券・身体能力値の限界突破券・スキル枠撤廃券・ユニークスキル創造券・特別シナリオ【ゲーム世界へ転生】の選択券が各一枚づつですね!』
中々、破格な特典内容だった。能力値(筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力)を英雄ポイント分で、人種種族の成長限界値の上限を設定変更が出来る。但し、スタート時の能力値は初期設定値の侭なので、所謂俺Tueeeは出来ない。
スキル枠撤廃って、無限にスキルをセットして良いらしい。勿論、スキルもカスタマイズ可能だ。
【アルグリア戦記】では、キャラアバターごとにスキルレベルの成長上限値が設定されている。其の成長限界値を、英雄ポイントを使用してカスタマイズする。初期設定値は変更不可な仕様なので、最初からの俺Tueeeは勿論出来ない。
ユニークスキル創造って、もうチートだよね?
最後の特別シナリオ【ゲーム世界に転生】の選択券に至っては、インダストリア社の運営チームが悪乗りしてネーミングしたとしか思えないものだった。
『ほう、【ゲーム世界に転生】か? 浪漫じゃないか、本当に転生したりしてな! はっははははは~!』
豪快に笑う師匠に、『ははは、・・・・・・』と苦笑いで応答する俺だった。
『何にしても、楽しんで来いカルマ! 一回切りの人生だ、悔いの無いようにな!』
全くその通りだ。一回コッキリの人生だ。
俺は亡くなった幼馴染みの分も、人生を楽しむと決めていた。
『じゃあ、師匠! ゲーム世界に転生してきます! また連絡しますから、楽しみにしていて下さい!』
『おう! またなカルマ!』
----------
俺は珍しく戯けた調子のカルマとの通信を切った。そして、自分が為した闘いの顛末を見届ける。
地平線一杯に、人類だった骸が転がっている。
其の惨憺たる光景に、感情の無い目を向ける。
生きとし生けるもの全てが炭化していた。
其処は灼熱地獄の如く、焔の熱が充満していた。
俺は大空を滑空しながら、気持ち良く熱風と舞う。
凄いなカルマの奴。誰一人としてクリアした者がいない、鬼畜無理ゲーシナリオをクリアするとは。恐れ入ったぜ、俺には無理だ。退屈で死んじまう。何が楽しくて【カルマ値(行動に因るゲーム設定上の善悪の数値)】を調整しながら遊ばなければならないんだ。
「ふん、そんなものはクソ喰らえだ!」
俺は我道をいく。自分のルールに則って、【アルグリア戦記】を楽しむ。そんな大陸統一制覇の為に、楽しみを封印してまで作業ゲー(楽しみの無い行為を繰り返すゲーム)のような事なんか出来るかってんだ!
プレイヤーネーム【クマメタル】は、そう毒突くと真っ赤に燃える翼を翻し大空を羽ばたく。プレイアバター【ラフレシア】として、十の災厄の一角、【不死鳥】として災厄をバラ捲く。
アルグリア大陸の生きとし生きるもの全ての頂点で在る十個体の内の一体をプレイするクマメタルに取って、闘いとは殲滅を意味する。要するに皆殺しが、彼の流儀だった。
【十の災厄】には、縄張りから外には移動不可の制限が付く。故にアルグリア大陸の住民達は、十の災厄の勢力圏を侵さない。所属国家ごと滅ぼされた数多の教訓が、魂と脳髄に【畏怖】として刻み込まれていたからだ。
【不死鳥ラフレシア】の縄張りは、【アゾット炎獄】。炎が燃え盛る地獄のような火の監獄。誰も訪れない炎獄を守護する鳥は、焔を絶やす事無く、炎獄以外の空を翔ぶ事は叶わなかった。
自分が燃やし尽くした灰燼から立ち昇る命の残照を、美味しそうに吸い込み大空を翔び廻る。
アルグリア大陸の四十七国家を掌中に納める事を目指さず、全ての勢力を倒す殲滅プレイヤーである【クマメタル】にとって、【アルグリア戦記】とは現実の仕事の息抜きに他ならない。
攻撃されなければ、攻撃をしないルールを持つ【クマメタル】は、俺を攻撃しろ、毒饅頭を喰らえと、移動不可能な筈の縄張り外で、今日も陽気に【アルグリア大陸】を飛翔していた。
----------
『ぽ~ん♪ マスター、ようこそ仮想空間へ! 本日のご用命を、お伺いします!』
現実と仮想現実の世界とのエントランスである【ポータルサイトの案内人】の【ナリア】が、いつもの如く行き先を尋ねる。
『やあ、ナリア! 【アルグリア戦記】で頼む!』
蒼い瞳の蒼い毛玉の如き狸が、了解とばかりに、空中で可愛らしく頷ずく。
『いってらしゃいませ、マスター!』
『ああ、行って来る!』
----------
『【カルマ】さま! ようこそ、【アルグリア戦記】へ! 現在、継続プレイ中のアバターはご座いませんが、新規アバターでプレイを始められますか?』
純白の空間に浮かぶ執事服に身を包んだ黒猫の姿の、【アルグリア戦記の総合案内人】である【ジョドー】が、常に変わらない慇懃な動作でカルマを迎えた。
『ああ、ジョドー。今回は【ゲーム世界に転生】の【カルマ】でプレイするよ!』
『なるほど! 【創造神の試練】クリア特典ですかカルマさま? ほう、特別シナリオですね、・・・・・・【ゲーム世界に転生】? なんと厨二病溢れるネーミングでしょう! 此のジョドー、呆れを通り越して笑ってしまいそうです!』
そう言いながらも、全く感情を表に出さないポーカーフェイスの執事に、カルマは内心で苦笑をしてゲームスタートの準備を始める。
特別シナリオ【ゲーム世界に転生】を選択券で指定し、プレイアバター【カルマ】を選択する。
あれ、封印状態じゃないぞ? 如何なってるんだ?
キャラアバターのステータス情報を見ながら、カルマは訝しむ。
スキルと能力値欄で、ポイント固定の封印表示が無い!
はて、特別シナリオってイージーモードなの?
まあ、無いなら無いで問題は無い。
次に能力値を限界突破券で上限値を解除にして、英雄ポイントで上限一杯まで限界値を上げていく。
う、うん? あれ、未々上がり続けるぞ?
一千億英雄ポイント券を使用してポイントを獲得してと!
おっ! 百億英雄ポイントで【∞】に為ったぞ!
筋力・耐久力・知力・敏捷・器用・魅力の各能力値をマックスの【∞】まで上げる。
状態値である生命力・魔力・精神力・持久力は、育成次第で人種種族関係なく無限に成長が可能だった。
状態値まで【1】ポイント固定だったら、【創造神の試練】はクリア出来なかっただろう。
次にスキルだ。此れは悩むな。スキル枠撤廃券で制限を解除。現在所持している全てのスキルを付与するのは、容易い。
だが、スキルは生き物なのでスキル同士で相性が悪いと、逆に力を発揮出来ない。
目指すは両親の早世を阻止する。【創造神の試練】でアルグリア統一制覇を為し遂げた仲間達の無念を全て改変する。
其の為に全ての特典とポイントを使用して、プレイヤーネーム【カルマ】なら絶対にしない無双プレイを為ると決めていた。自重はしない。
十二万三十四回。合計でプレイアバター【カルマ】の両親が亡くなった回数だった。両親が脳裏情報で事切れる度に、胸の奥がチクリと痛んだ。自分の為に文字通り命を投げ出した両親。
辛苦を共にし、文字通り命を懸けて大陸統一制覇を為し遂げた仲間達。誰もが身体に、心に傷を負っていた。共に戦い共に笑い共に死んだ仲間達。何万回と見た戦友の死。無念の想い。全て俺が変えてやる。運命を覆し塗り直し改変する。
カルマはそう心に決めていた。
スキルの選定は、最終スキル構成を想定して逆算(目的地から逆に辿る算段)で作り上げていく。両親を仲間を助ける為、カルマは未来地(最終目標)を設定し、現在地(生まれた時)から小目標を設定し、ルートを設定していく。其れを為すスキル構成を的確に付与していくのだった。
お、アイテムの持ち込みも制限がないぞ?
スゲー、流石は特別シナリオ! やっぱり超イージーモードだ!
常のカルマなら喜ぶ処か、渋い顔に為る状況だが、何せ今回は万が一にも失敗は許されない。何故なら特別シナリオ券は一枚しかない。失敗すれば再度【創造神の試練】をクリアしても貰えるか不明だった。
過去のシナリオでもシナリオマラソン(特典目当てで何回も同じシナリオをプレイする事)での特典獲得防止の為に、初回しか獲得出来ない限定特典も存在したからだ。
ふ~ん、子孫での継承プレイは、不可なのか?
全てのカスタマイズを終えたカルマは、ジョドーに【ゲームスタート】を申告する。
『準備は万全のようですね。カルマさま、・・・・・・』
執事の言葉には、憂いがあった。顔には全く表さない感情が、ノンプレイヤーキャラクターを装うジョドーの心の裡に在った。
『如何したの、ジョドー? 何か心配事でも在るの?』
普段とは様子の違うジョドーにカルマは、小首を傾げる。
『いえ、全く問題はありません! 【カルマ】さま、準備が整いました! お元気で!』
『行って来、えっ?(何、お元気でって?)』
珍妙な顔をした侭のカルマが、エフェクト処理され分解されながら消えて往った。
To be continued! ・・・・・・
56
お気に入りに追加
109
あなたにおすすめの小説
追放されたら無能スキルで無双する
ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。
見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。
僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。
咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。
僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!

異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!

追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました
遥 かずら
ファンタジー
冒険者ギルドに所属しているエンジは剣と魔法の才能が無く、文字を書くことだけが取り柄であった。落ちこぼれスキル【転写】を使いギルド帳の筆記作業で生計を立てていた。そんなある日、立ち寄った勇者パーティーの貴重な古代書を間違って書き写してしまい、盗人扱いされ、勇者によってギルドから追放されてしまう。
追放されたエンジは、【転写】スキルが、物やスキル、ステータスや魔法に至るまで何でも【コピー】できるほどに極められていることに気が付く。
やがて彼は【コピー】マスターと呼ばれ、世界最強の冒険者となっていくのであった。

ガチャと異世界転生 システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!
よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。
獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。
俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。
単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。
ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。
大抵ガチャがあるんだよな。
幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。
だが俺は運がなかった。
ゲームの話ではないぞ?
現実で、だ。
疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。
そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。
そのまま帰らぬ人となったようだ。
で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。
どうやら異世界だ。
魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。
しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。
10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。
そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。
5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。
残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。
そんなある日、変化がやってきた。
疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。
その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

職業・遊び人となったら追放されたけれど、追放先で覚醒し無双しちゃいました!
よっしぃ
ファンタジー
この物語は、通常1つの職業を選定する所を、一つ目で遊び人を選定してしまい何とか別の職業を、と思い3つとも遊び人を選定してしまったデルクが、成長して無双する話。
10歳を過ぎると皆教会へ赴き、自身の職業を選定してもらうが、デルク・コーネインはここでまさかの遊び人になってしまう。最高3つの職業を選べるが、その分成長速度が遅くなるも、2つ目を選定。
ここでも前代未聞の遊び人。止められるも3度目の正直で挑むも結果は遊び人。
同年代の連中は皆良い職業を選定してもらい、どんどん成長していく。
皆に馬鹿にされ、蔑まれ、馬鹿にされ、それでも何とかレベル上げを行うデルク。
こんな中2年ほど経って、12歳になった頃、1歳年下の11歳の1人の少女セシル・ヴァウテルスと出会う。凄い職業を得たが、成長が遅すぎると見捨てられた彼女。そんな2人がダンジョンで出会い、脱出不可能といわれているダンジョン下層からの脱出を、2人で成長していく事で不可能を可能にしていく。
そんな中2人を馬鹿にし、死地に追い込んだ同年代の連中や年上の冒険者は、中層への攻略を急ぐあまり、成長速度の遅い上位職を得たデルクの幼馴染の2人をダンジョンの大穴に突き落とし排除してしまう。
しかし奇跡的にもデルクはこの2人の命を救う事ができ、セシルを含めた4人で辛うじてダンジョンを脱出。
その後自分達をこんな所に追い込んだ連中と対峙する事になるが、ダンジョン下層で成長した4人にかなう冒険者はおらず、自らの愚かな行為に自滅してしまう。
そして、成長した遊び人の職業、実は成長すればどんな職業へもジョブチェンジできる最高の職業でした!
更に未だかつて同じ職業を3つ引いた人物がいなかったために、その結果がどうなるかわかっていなかった事もあり、その結果がとんでもない事になる。
これはのちに伝説となる4人を中心とする成長物語。
ダンジョン脱出までは辛抱の連続ですが、その後はざまぁな展開が待っています。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々
於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。
今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが……
(タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる