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第1章
第76話 夜通し
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エルザは一応鎧を着ているが、速度優先で軽量な革の鎧だった。下はズボンにミニスカートという女性の冒険者によく見られる格好だ。
俺はエルザの太腿に手を添え、まず飲み物を出す。
喉が乾いていたのか、謝辞を述べると一気に飲み干す。ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ!見ていて気持ち良い位だ。
汗をかいていたから、タオルで顔をポンポンして拭いてあげたりした。キョトンとしていて意外と愛らしい。
「一体国のお姫様がこんな所までどうなされたのですか?」
「私は姫という柄ではないのだよ。見ての通り女だてらに騎士なんぞして、言葉も女のそれではないぞ。まあ、必要なら女言葉も出来なくはないが。それにこの手も従姉妹と比べると女らしさの欠片もないぞ。何せ豆のできたごつごつした手になるのだ。先程の挨拶でお分かりになられたのでは?こんな荒れた手の女はお嫌いなのではないのか?」
「いや、そんな事はありませんよ。女性らしい柔らかな手ですし、無駄な肉の無いすらりとした綺麗な手じゃないですか。十分お美しいですし、鍛えられた体の方が俺は好きだ!それに活動的な格好はエルザの魅力を引き立てていると思うよ!」
敢えていきなり呼び捨てにした。スキルがそうさせたのだ。普段からこのように初対面の人と接する事が出来れば良いのだが。
エルザが真っ赤になっているのが分かる。非常に分かり易い。
「お、お上手なのですね。私なんぞ口説いても仕方がないと思うのだが。お隣に座られているエルフの美しさには叶わないし、私はがさつだぞ。それと彼女から嫉妬の気配がしているが、大丈夫か?気にした方が良いと思うぞ」
「はい、ミザリアは私の第1夫人ですから大丈夫です。それより何かあったのですか?あと、無理に男言葉を使わなくても良いと思うよ」
「フフフ。流石にレディオブレディを妻にしているだけの事はありますわね。全てお見通しなのね。私が来たのは・・・」
何だその二つ名は?ミザリアの事だよな?
どうやら占い師が3日以内に変異が始まると予言したので、急遽俺達を迎えに来たと。しかも大型の寝台車を持ってきており、手前の各町に兵員と馬を分散させ、夜通し走る為の要員を休ませている。つまり、リレー方式で城に向かうという。かなりの手間と人海戦術だ
俺達の馬車は俺が収納に入れ、馬は代わりを買えば良い。そんな感じだ。とはいえ、騎士達が連れて来てくれるだろう。それなりに愛着のある馬だ。俺にも慣れてくれている。
馬車の中で現状を教えて貰ったが、先程発生したと思われる変異に皆不安がっているという。
途中の休憩で馬車を移り、寝台にて移動となる。
そして俺はというと、ミスエルザが俺達の馬車から離れた途端に、正座をさせられていました。ミザリアに睨まれると、自ら正座をしましたよ。うん。反省の色を・・・見せねば。
勿論エルザの事でだ。
「どういうおつもりですか?私達がおりますのに?口説いてお見えでしたわね?」
「俺達の安全の為だよ。国の王族と仲良くしておけば、身の安全が確実だし、何か運命を感じたんだ」
イリアとミリアは呆れていて、ミザリアは俺の目をずっと見ている。
そして観念したようだ。
「まったく、仕方の無い御方ですわね。姫騎士というのを理解しておいてくださいね」
案外あっさり引き下がっている。
ミザリアがミリアと話をしていたが、ひょっとしたらミリアが何かを見たのかもだ。勿論予知の事だ。
何はともあれ、俺達は寝台車の中で揺られており、城を目指して運ばれて行くのであった。
俺はエルザの太腿に手を添え、まず飲み物を出す。
喉が乾いていたのか、謝辞を述べると一気に飲み干す。ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ!見ていて気持ち良い位だ。
汗をかいていたから、タオルで顔をポンポンして拭いてあげたりした。キョトンとしていて意外と愛らしい。
「一体国のお姫様がこんな所までどうなされたのですか?」
「私は姫という柄ではないのだよ。見ての通り女だてらに騎士なんぞして、言葉も女のそれではないぞ。まあ、必要なら女言葉も出来なくはないが。それにこの手も従姉妹と比べると女らしさの欠片もないぞ。何せ豆のできたごつごつした手になるのだ。先程の挨拶でお分かりになられたのでは?こんな荒れた手の女はお嫌いなのではないのか?」
「いや、そんな事はありませんよ。女性らしい柔らかな手ですし、無駄な肉の無いすらりとした綺麗な手じゃないですか。十分お美しいですし、鍛えられた体の方が俺は好きだ!それに活動的な格好はエルザの魅力を引き立てていると思うよ!」
敢えていきなり呼び捨てにした。スキルがそうさせたのだ。普段からこのように初対面の人と接する事が出来れば良いのだが。
エルザが真っ赤になっているのが分かる。非常に分かり易い。
「お、お上手なのですね。私なんぞ口説いても仕方がないと思うのだが。お隣に座られているエルフの美しさには叶わないし、私はがさつだぞ。それと彼女から嫉妬の気配がしているが、大丈夫か?気にした方が良いと思うぞ」
「はい、ミザリアは私の第1夫人ですから大丈夫です。それより何かあったのですか?あと、無理に男言葉を使わなくても良いと思うよ」
「フフフ。流石にレディオブレディを妻にしているだけの事はありますわね。全てお見通しなのね。私が来たのは・・・」
何だその二つ名は?ミザリアの事だよな?
どうやら占い師が3日以内に変異が始まると予言したので、急遽俺達を迎えに来たと。しかも大型の寝台車を持ってきており、手前の各町に兵員と馬を分散させ、夜通し走る為の要員を休ませている。つまり、リレー方式で城に向かうという。かなりの手間と人海戦術だ
俺達の馬車は俺が収納に入れ、馬は代わりを買えば良い。そんな感じだ。とはいえ、騎士達が連れて来てくれるだろう。それなりに愛着のある馬だ。俺にも慣れてくれている。
馬車の中で現状を教えて貰ったが、先程発生したと思われる変異に皆不安がっているという。
途中の休憩で馬車を移り、寝台にて移動となる。
そして俺はというと、ミスエルザが俺達の馬車から離れた途端に、正座をさせられていました。ミザリアに睨まれると、自ら正座をしましたよ。うん。反省の色を・・・見せねば。
勿論エルザの事でだ。
「どういうおつもりですか?私達がおりますのに?口説いてお見えでしたわね?」
「俺達の安全の為だよ。国の王族と仲良くしておけば、身の安全が確実だし、何か運命を感じたんだ」
イリアとミリアは呆れていて、ミザリアは俺の目をずっと見ている。
そして観念したようだ。
「まったく、仕方の無い御方ですわね。姫騎士というのを理解しておいてくださいね」
案外あっさり引き下がっている。
ミザリアがミリアと話をしていたが、ひょっとしたらミリアが何かを見たのかもだ。勿論予知の事だ。
何はともあれ、俺達は寝台車の中で揺られており、城を目指して運ばれて行くのであった。
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