上 下
44 / 130
第1章

第44話 修行の前夜

しおりを挟む
 今日泊る宿は、港の近くにある宿屋街にある所に決めた。なるべく高い宿を選んで探していた。それは値段の低い宿は宿泊する者の程度が低く、トラブルの元になる為に避けるようにとゼツエイから厳しく言われていたからである。幸い懐事情はかなり余裕があるので、空きがある中で一番高い所にした。

 寝室が4つある部屋で、何故か部屋割りは俺の意思とは無関係に決められていく。スイートと言う部類の部屋だ。

    一番大きな部屋に俺とツインズとなり、後は1人1室だ。まあ、この状況で万が一はなかろうと添い寝として了承したが、果して俺は我慢する事が出来るのか?と自分に自信が無かったりする。何かって?手を出さないかだよ。お前はロリコンか?と言われても、見た目と実年齢が合わないんだよ・・・自制します。

 町は大いに賑わっていた。
 この町(島)を起点にして、周辺にはいくつかの小さな島があり、色々な冒険者が来ていて、中心部の島は魔物のランクが強く、周辺の島は魔物のランクが低いそうだ。

 ここの島々にしかいない魔物の肉が高値で取引されるようで、修行目的以外にも稼ぎが良い島として有名だった。魔物が生息するエリアの大半は上級者用で、一部中級用がある。一番大きい島(町のある島)は壁で区切られており、人の生息するエリアと魔物のいるエリアが別れている。

 俺達の泊まる宿は1泊20万Gもする。しかし、聞いている魔物の出没状況だと、倒した魔物の魔石で余裕で宿代はペイできそうだ。

 明日から魔物と戦う事にし、友安達は町に繰り出すが、ゼツエイとフランカは別行動を取るという。戻りの時間を決めて出掛ける事にした。

 俺はぶらぶらと町を散策しているが、イリアとミリアのはしゃぎ様にほっこりとしていた。俺はミザリアと腕を組んでゆっくりと歩いていたが、ツインズは走り回っていた。うん!元気で宜しい!

「ねえねえともちー!これ綺麗よ!似合うかな!?」

「これは友安様に似合うと思いますわ!」

 露店のアクセサリー等を見て回る。相変わらずイリアはフレンドリーで、ミリアは上品だ。
 ミザリアも目を輝かせてはいるが、落ち着いた女性然としており、時折簡単な感想を述べるだけだ。

 そうしていると、この場にそぐわない見た目の老婆の露店が目に入った。正確には、老婆の服がみすぼらしい訳ではなく、異質過ぎて浮いているのだ。しかし、気になるアクセサリーを発見し、魅入っていた。

「そこのお兄さんや、恋人達にプレゼントはいかがですか?うちは本物だけしか扱っておりませんよ!」

 3人がそれぞれくねくねしていたが、取り敢えずスルーした。

 俺はアクセサリーを見つめていて、ここにある5つのみ何かオーラを感じて、その5個、ブレスレットと髪飾りを買う事にした。オーソドックスなデザインで、装着者の魅力を引き立てる良い作りだ。

 3人はそれぞれ何かを買っていた。

「これとこれとこの5つをくださいな。お幾らですか?」

「ほう!これは驚きましたな。1番地味なのを選ばれるとは。何故か聞いても宜しいかのう?」

「うーん、なんと言うのかな?何かね、何て言ったら良いのかな、うーん、説明が難しいけど、この5個からオーラみたいなのを感じるんですよ。他には感じなくて、不思議な魅力を感じたんだよ」

「これはたまげた。わ、分かるのですな!?。ひょっとして勇者殿では有りませぬか?ちょっとお待ちくだされ」

 そうして腰掛けていたベンチじゃなくて、箱からブレスレットを6個出してきた。

 これにもオーラを感じる。

「あっ!凄いなこれ。これにも何か力を感じます」

「やはり本物の勇者様ですな。これらは魔道具ですじゃ。そうですなあ、勇者殿からお代は頂けませぬ。私共に代り、是非とも変異をお沈め下され。この日を来るのを待ち侘びておりました。勇者殿、いや仲野 友安様」

 俺は驚いた。名字はこの世界に来てから1度も口にしていないのだ。

「どうして俺のフルネームを!?」

「そうですな。その昔から伝わる一族の書物に記された預言書がありましてな、当時の族長が記録し、一族代々伝えられた内容なのですじゃ!小さな変異は時々起こりますし、前回の小さな変異は約40年位前でしたな。大きなのは1000年程前ですじゃ。そして今回は過去最大となると予言書に記載されております。変異の直前に一族の前に友安様が勇者として姿を現すと有り、我らにできる協力をする決まりになっておりました。こうした魔道具を準備して各地の修行に適した所に向かい、お渡しする準備をしておりました」

「分かりました。では有り難く頂戴します。ではこちらの純粋なアクセサリーも少し頂きますね。それとこれを」

 そうしてステータスカードを出して名前を確認して貰った。カードを返して貰う時に強引に大金貨を握らせて、アクセサリーを数個買っていったのであった。
しおりを挟む
感想 14

あなたにおすすめの小説

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スライムすら倒せない底辺冒険者の俺、レベルアップしてハーレムを築く(予定)〜ユニークスキル[レベルアップ]を手に入れた俺は最弱魔法で無双する

カツラノエース
ファンタジー
ろくでもない人生を送っていた俺、海乃 哲也は、 23歳にして交通事故で死に、異世界転生をする。 急に異世界に飛ばされた俺、もちろん金は無い。何とか超初級クエストで金を集め武器を買ったが、俺に戦いの才能は無かったらしく、スライムすら倒せずに返り討ちにあってしまう。 完全に戦うということを諦めた俺は危険の無い薬草集めで、何とか金を稼ぎ、ひもじい思いをしながらも生き繋いでいた。 そんな日々を過ごしていると、突然ユニークスキル[レベルアップ]とやらを獲得する。 最初はこの胡散臭過ぎるユニークスキルを疑ったが、薬草集めでレベルが2に上がった俺は、好奇心に負け、ダメ元で再びスライムと戦う。 すると、前までは歯が立たなかったスライムをすんなり倒せてしまう。 どうやら本当にレベルアップしている模様。 「ちょっと待てよ?これなら最強になれるんじゃね?」 最弱魔法しか使う事の出来ない底辺冒険者である俺が、レベルアップで高みを目指す物語。 他サイトにも掲載しています。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

凡人がおまけ召喚されてしまった件

根鳥 泰造
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。  仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。  それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。  異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。  最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。  だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。  祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

処理中です...