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第1章

第43話 修行場となる島

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 俺達はオイパ達と別れた後、島へ渡る手続きの為にギルドへ向かっていた。

 ギルドに到着すると、何故かフランカが挙手した。

 「自分が行きますので、皆はここでお待ち下さい」

 そう言うと、手に持って準備していた各自のギルドカードをあっという間に奪い取ると、そのままギルドの中に入っていった。相変わらずよく分からん奴だ。

 俺達はギルドで紹介された馬屋に馬と馬車を預け、島に向かう事となった。ミザリアとゼツエイが馬車を預けに行ってくれていた。

 その後ギルドにて集合とし、全員揃ってから船着き場に向かった。
 船は1日2往復しており、丁度出港の準備をしていた。間もなく出港時間になる所だったので、急いで料金を払って船に乗る。なんとかギリギリ間に合ったので安堵していた。

 乗船時間は3時間程だ。先程ちょっとしたおやつと、ゼツエイのお酒を買っておいたりする。

 船は中型船で、外輪船と帆を組み合わせた船だ。
 中世だと漕ぎ手が動力になっていて、帆と組み合わせる船体が多かったようだが、この世界の船の発展は魔力の活用にある。
 これは魔力を動力源とし、風を発生させて帆で走るというか、航行するか、船体の後方にある直径3m程の水車を魔道具で動かし、水車にて推進力を得て進む。

 水車の方が早いらしいが、大量の魔石を必要とする為にコストが高く、基本的には帆船として航海する。水車は寄港時に接舷する時や、出港時に使う事が多いらしい。
 また、乗客は100名程が定員だそうだ。尤もこの世界の倫理観なら安全定員を無視して、放り込めるだけ放り込むので、200人程乗る事があるのだとか。

 俺はわくわくしていた。この世界の船だ!初めての船だ!興奮するなというのは無理というものだ。船には浪漫がある。その先のまだ見ぬ地に夢を!

 しかし・・・途中から見事にツインズがダウンした。船に乗るのが初めてだったようで、俺がミリア、ミザリアがイリアの面倒を見ている。
 途中から教えて貰った揺れが1番少ない所に俺達は移動していた。最初はツインズも初めての船に興奮してはしゃいでいたものだが、30分もすると船酔いでグロッキーとなっていたが、イリアとミリア以外は船酔いにはならなかった。

 しかし、後1時間程で到着という時に異変が起こった。
 急に風が無くなり、船が進まなくなったのだ。
 ゼツエイにイリアとミリアを任せて俺は甲板に向かった。程なくして甲板に出たが、何やら騒がしかった。
 皆が向いている方角を確認すると魔物が向かってきているのが見えた。魔物の所為で騒ぎになっていたのだ。

 時折航行中の船を襲う魔物が出るとは聞いていたが、今回の魔物はかなり大きいようだ。
 俺はミザリアとフランカに俺の護衛のみをお願いし、俺が魔法で攻撃すると伝えた。大した魔法は使えないが、俺の魔力量は桁外れに多いから、初級魔法でも大量の魔力を込める事により凄まじい威力となる。
 しかし、魔力を込めている間は無防備になる。

 これを実戦で改善する事が今の俺にとって最優先すべき課題の1つだ。

 船員や他の冒険者達が既に戦っていた。戦うと言っても矢や魔法を放って接近を阻止する位だ。時おり触手が襲ってくるので、戦士は剣で斬り裂く。

 魔法使いがファイヤーボールを投げてはいるが、精々テニスボール位の大きさで、当たっても表面を少し焦がす程度だ。

「皆下がっていろ。俺がやるから。接近した触手にだけ気を付けてくれ」

 友安は特大のファイヤーボールを5個頭上に展開し始めた。

 俺の横でミザリアが何かを取り出し手に握る。

 鞭だ。俺を守るのに魔法と併用して使うらしい。物理攻撃用の武器を持つのを初めて見た。
 妙にそそる姿だ。構えるとピシッと1度床を打ち、準備が出来たようで俺に近付く触手を鞭で斬り裂いて行く。

 そしてタコとイカを合体させた様な、体長10mは超えるであろうその魔物に、直径1mちょっとのファイヤーボールを放つ。1つは直撃用、残りは魔物の四方に放ち、退路を無くす。
 一発が胴体を直撃すると大いに焼けただれ、周辺へ飛ばした4発が着水し、周りを沸騰させる。
 俺は続いて直径2m位のファイヤーボールをトドメとして投げ、奴の先端部から腹にかけて一気に焼き払い、海に沈み決着した。

 数人が脚というか触手?に弾き飛ばされて怪我をしたのと、2名が弾き飛ばされて落水していた。

 魔物の死体の回収が困難なので、俺はアイスボールで魔石を打ち抜き、魔石を海に落とした。これで上位種になり復活する事は無くなった筈だ。

 落水した者の救助が行われ始めたので、俺は怪我人の治療を行った。
 混乱が収まると周りが感謝しまくっていて、俺は照れていた。幸い死者はいなかった。

「大した事はしていないですよ。連れが船酔いでダウンしていて、そっちに、そう奥にいるから怪我人がまだいたら連れて来てくださいね」

 そう言うと俺は奥に逃げていった。

 あれ程の人数がいっぺんに来ていて、俺のキャパは完全にオーバーしており、息切れが起こっていた。召喚直後は召喚の影響なのか、なんともなかったが今は本来の俺の人見知りが出ていてオロオロしていた。

 仲間と認めている者達に対してはなんとも無いのだが。

 気の所為か戦闘後に俺をずっと見ている者の視線が気になったが、そちらに注意を向ける余裕は、今の俺にはなかったのであった。
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