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第1章

第16話 午後の講習

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 昼食後、講習会場の席に戻ると周りがざわめいているのが分かった。
 その原因は勿論俺達だろう。何故なら食堂で俺達の事を見ていた者が何人もいたからだ。まあそりゃあ見るわな。
 そしてあいつらはいなかった。

 午後一番でする事は捕らえてある魔物をその場で殺し、更に魔石を抜き取る事だった。
 
 ギルドが用意しているのだが、1人につき1匹用意されていたのでちょっと驚いた。かなりの手間を掛けているのと、殺す事が出来ないメンタルの持ち主は帰れとの事だろう。今の実力を見たいとの事もあり、ゴブリンだったが戦わさせられた。魔法でも剣でも自由だが、実剣を持参していない者で希望者には武器の貸出があった。
 イリアは嫌味ったらしく魔石の辺りに剣を刺し、引き抜くと魔石が剣に乗っているという神業?を披露し皆を驚かせていた。勿論ドヤ顔で俺にピースサインを送り、にっこりと微笑む。うーん・・・きゃわゆい。

 その後簡単な剣の使い方のレクチャーがあり、基本を少し教えられた。
 2人1組になって打ち合う訓練になったが、俺があぶれてしまった。先程俺が暴漢者を撃退したのを見て誰も寄り付かないし、受講生は奇数だったので誰か1人はあぶれる。その為、俺は講師とペアを組む事になった。

 俺と講師が打ち合っているといつの間にか人だかりが出来ていた。
 俺はスキルの影響でかなり剣が扱えていた。不思議と剣の扱い方、闘い方が頭に入ってくるのだ。
 段々講師の息が上がる。

「お前さん何者だ!俺は一応これでもB級だぞ。俺より強い奴がなんで初心者講習なんて受けているんだよ」

 「何故でしょうかね。講習を受けないとクエストとかをちゃんと受けられないんですよね。だから受けているんですよ。それと剣技はあの2人の方が強いっすよ!」

 講師は項垂れた。

「お前はもう分かったから、俺がギブアップだ。そこの3人と模擬戦をしてやってくれ。俺とやるよりも、あいつらにとってはよっぽど勉強になる。評価は俺がするから心配するな。獣人の2人は俺がやるよ。仲間との模擬戦じゃ評価はつけられないからな」

 何故か俺が模擬戦の講師の代わりをする事になった。

 スキルの力は凄い。竹刀くらいしか持った事がないへっぽこ剣士がエリート剣士になるんだ。
 俺が構えてお辞儀をすると、キョトンとしながら最初の対戦者である16歳前後の男の子が上段に構えて突っ込んでくる。ヒョイっと躱し脚を引っ掛ける。
 盛大に転ぶがすぐに立ち上がったので、もう一度向き合う。今度は俺が軽く打ち込む。結構加減して何合か打ち合いをし、脚!右腕!とか狙う場所を伝え、防せがせたりする。そして隙をわざと作って誘うと、もろ引っかかったので躱わしてお尻にブスっとやった。そしてコケた時の傷を治してやる。

 次がやはり同じ年頃の女の子だ。加減せねばと思うが、

「きえええええ」

そんな感じで叫びながら突っ込んでくる。剣を振りつつファイヤーボールを出してきた。こいつ中々見所があるなと思いつつも、俺も同じようにして相殺し、更に後ろに回り込むと耳にふーと息をかける。

「きゃいー」

 可愛い悲鳴を上げているが、それでも大したもので、咄嗟に俺がいた所に剣を振る。しかし俺はもういない。

「魔法を絡めるのはヒヤッとして中々良かったよ。見ての通りだけどね。次はお互い魔法抜きで行ってみようか。魔力が切れたら剣と体術頼りだからね」

 はいと返事をして剣を構えて向かってくる。中々剣筋が良いが、やはり俺の敵ではない。やはり隙を作り、あわやという感じに演出し、剣で受け止めて勢いを殺せずに剣を弾き飛ばされた。いや、そう仕向けてわざと剣が飛ぶようにした。そしてドヤ顔で突っ込んでくるので、剣を躱し懐に入り、指で胸をチョンチョンと突付く。セクハラ敢行だ!真っ赤になりながら大振りに剣を振ってくる。
 もう一度懐に入り、出足払いで倒したが、地面に叩き付けられる直前に腕を掴み、激突の威力を削ぐ。
 そして剣を弾き無手にし、寝技で抑え込む。テレビでやっていた柔道の試合を見たりしていたのを見よう見真似でやると、多分寝技が完成している。後が怖いが、この子の胸に顔が埋まって胸の感触がダイレクトに伝わってくる。どうも中々の物をお持ちのようだ。胸の感触が柔らかくウハウハだ!
 暴れても解けないので遂にギブアップした。
 俺は先に立ち、手を取り立たせてから頭など打っていないか聞いたが大丈夫だと言う。
 皆騒然としている。見た事の無い格闘術だからだろう。しかも剣を弾かれてからだったから、尚更驚いていたのであった。
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