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第1章

第6話 奴隷の現実を知る

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 俺は期待と股間を膨らませつつ奴隷を見に行く。
 事前に聞いているのは奴隷には種類がある。

 金銭的に売られる経済的な要因の一般奴隷
 犯罪者等が奴隷落ちになる犯罪奴隷。

 この2つが主だった奴隷である。

 中には自らの意思で奴隷になる者もいるという。
 奴隷には人権はなく物扱いだ。生殺与奪の権限すら主人に与えられている。但し高いお金を払って買った奴隷はメイドや用心棒、夜の相手等何かをさせるのに購入するので、滅多に殺す奴はいないそうだ。

 奴隷には首輪を装着するか、隷属の為の紋章である奴隷紋を刻み、主の命令は絶対になる。命令に背いたり危害を加えようとすると、激痛と共に呼吸が出来なくなる。それと逃亡を図るのも同様になる為、逃げ出すどころか逃げようとした途端に倒れるのだと。
 その為に逆らえず、例え性的な奉仕を求められたとしても、応じざるを得なくなる等だ。
 実態を知らない俺は童貞を捨てられる!女を抱ける!それだけに心を踊らせていた。本気で今は小者臭がバリバリに出ていた。最初は小者臭を出す為と思っていたが、本気で小者になってしまった。そう、本当に腐っていたのだ。小説を読み漁っていたら奴隷が受ける仕打ちや、奴隷も魂を持った1人の人間だという事は分かるだろうに、煩悩に勝てなかった小者認定者である。

 その家臣も友安の様子に御し安い、傀儡にしやすい、下半身を握っておけば楽な相手だと、小者認定したのだ。同行しているのはブルクという国王の側近の一人だ。どこにでもいそうな地味な男のように見える。

 一応1人目の費用は国が出してくれる。支度金で2人目を買うのは自由だという。講習が終わると暫く冒険者として活動し、力を付けて異常事態、すなわち変異に対処する準備をしなければならないという。

 その為の仲間探しもだ。
 奴隷をパーティーメンバーにするのも一つの手だという。裏切る事が出来ないからだそうだ。俺は命を預けるだけの仲間を集める自信も人脈もない。友達付き合いが苦手とかはないのだが、良くも悪くも平均的だ。身長然り成績も。友達の人数も世間一般的に普通と思われる範囲で、顔も普通だ。目立たないのだ!
 そして初対面の者には人見知りが激しい為に中々友人が作れない。但し一旦仲良くなれば普通に接する事ができるのだが。

 そうこうしていると奴隷商に着いた。ごく普通の途中で見掛けたりした貴族の屋敷に見える外観だ。
 ブルク殿の話だと、既に女性の、しかも生娘を案内するように伝えてあるという。

  何故かと聞くと、特に深い意味はなく、性奴隷の場合は何度も売り買いをされており、いつの間にか性病を患っている可能性が高いと。勇者がいざという時に性病にて戦えないのでは洒落にならないからという。

 俺はただただ、はぁと返事するだけだった。

 奴隷商に着いて応対をしてくれるのはここの主だ。壮年に差し掛かろうかという感じで、でっぷりした奴だ。
 握手を求められたので握手と挨拶をする。主はトリンズという。

 ちょっと昨日はやり過ぎたと思うので、俺に悪意を持って絡んで来なければスキルを奪わないと決めた。

 先ずは女性の奴隷を見に行く事となり、希望があれば面談をする事が可能という。冒険に同行する可能性から候補を絞ってあるという。奴隷は牢屋に入れられて展示されていると説明されたが、話し半分しか聞かず、早く見たくて仕方がなかった。

 そのエリアに向かうが、殆ど全裸で、どう見ても娼婦としか思えない女、隅で泣いているのとか、俺に色目を使って来るのとかがいる。全体的に美人が多い。俺の暴れん坊は反応しまくっているが絶対病気を持っているよなと思う者が多かった。
 ここを通らないと目的の場所に行けないという。
 そして目的の場所の前のエリアに健康状態の悪そうな者達がいて気になり訊ねた。

「なあトリンズさん、あの者達は一体?」

「気になりますか?後学の為に見られるのも良いでしょうな。怪我や病気の者達や、手足がなかったりする者達ですよ。ただ、あまりお勧めは出来ませぬぞ」

 俺は怖い物見たさに頷いた。はっきりいうと見た事を後悔した。
 状態は酷く、そしてそのエリアは臭かった。
 手が無い者、病気?でむせこんでいる者、どう見ても数日中に死ぬであろうかと思われる者が多く、俺は愕然とした。そしてそこに気になる女の子がいた。

 俺の事が見えない筈なのにその見えない顔で俺をじっと見ている。歳は14、15といった所だ。火傷と全身の傷が酷い。その姿を見て俺は愕然とし、ショックを受けた。
    折檻を受けたのであろうという感じだ。奴隷商が俺の異変を感じ取り、近付くのを止めてきた。

「あの娘が何をしたと言うのだ!?」

 俺はショックからつい怒鳴ったのであった。
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