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第1章

第5 話 無事2日目の朝を迎える

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 俺は甘かったなと一瞬己を呪ったが、幸いな事に何事もなく無事に朝を迎える事が出来た。
 そういえばこのステータス画面は有り難い事に、時計表示が有ったので重宝する。
 俺も類に漏れず無類のWEB小説好きだ。
 よくあるテンプレの宿屋襲撃を考えてはいたが、見事に熟睡してしまったのだ。幸いテンプレ発生は無く現実の朝に向き合う事となり、顔を洗ったり着替えをしたりして食堂に向かう。
 朝食はパンとサラダとスープだった。

 食べ終ったので席を立ち外に出ようとして歩いていると、入り口近くの奴が席を立ったが、周りに注意を払わずにいきなり振り向いたものだから、俺の肩にそいつの肩が触れた。

「なんだてめえ!?どこに目を付けてやがるんだ!」

 いきなり殴ってきた。完全な言い掛かりである。俺は着ている服以外荷物は何もないが、それでも咄嗟に避けられなかった。

 俺は避ける間もなくあっさり殴られて入り口に吹き飛んで行く。勿論当たった瞬間、スキルは全て頂いたのは言うまでもない。

 丁度迎えの兵士が来ていて駆け寄って来たが、俺に大丈夫かと声を掛けながら起こしてくれた。そいつはちっと言うと去っていく。痛かったがヒールで即治療を試みると、すーっと痛みが引いていく。ヒールを使う場合は、特に言葉を発したり、呪文を唱えたりする必要はなく、思うだけで使えた。つまり無詠唱だ。打ち身だから、ヒールが使われた事は周りにいた者には分からないだろう。

 俺は兵士にお礼を言ってから馬車に乗った。
 今回俺を宿屋に泊まらせたのは、城の中だと息苦しいだろうし、自由に町を見る事が出来ない。それに一般人を見ないと、この世界の事が分からないだろうとの配慮だと聞いていた。確かに俺は外出しなかったが、別段監視や出入りに規制を掛けられていた訳でもないし、外出の許可も要らなかったから、遊びに出たり酒を飲んだりしたければ自由に出掛ける事が出来たのだ。絡まれたとはいえ散歩には問題なく出る事が出来ていた。

 城に着くと先ずは今日の世話役の騎士と合流した。その騎士の案内で冒険者ギルドに行き、冒険者登録をする事となり移動する。宿から直接ギルドに行けばいいだろうにと心の中で突っ込みを入れるが、声に出せないのが俺だ。

 ギルドは1階に受付のハイカウンター、ロビー、何かの紙が沢山貼ってある掲示板(多分依頼の紙だろう)、奥に事務スペース、階段、トイレ等がある。よくあるファンタジー物の如何にもギルドといった感じで、予測を上回る何かわくわくする事がないかなと期待したが、特に何もない。まあ受付のお姉さんは綺麗だなと、そこは俺の期待通りだった。

 そして俺はというと、受付にて受付のお姉さんとの会話をするイベントは発生せず、素通りして別室に通された。お姉さんと知り合うイベントが・・・くそっ!

 冒険者登録では名前を登録するが、この世界の文字が書けないので代筆をお願いせざるを得なかった。
 勿論読めないぞ!

 ギルドマスターを名乗る男と、おそらく受付嬢と思われる1人の綺麗な女性が前にいる。
 登録に必要な記載事項は得意魔法と戦闘スタイル。
 俺は得意魔法を火魔法とし、手にファイヤーボールを浮かべるとすぐに消した。

 明日から冒険者になりたての者を対象にした講習会が有るので、先ずはそれに参加する事となり、今日はギルドカードというかステータスカードというのを作って貰った。

 冒険者ランクというのを伝えられ、俺はEからスタートだという。正確には初心者講習の模擬戦で最高評価だとDになるそうだが、それには講師を倒す必要があるとの事だ。

 説明された冒険者ランクはこんな感じだ。

 F、E、D、C、B、A、S、SS、SSSに分かれており、通常はFランクスタートだ。冒険者は依頼を受注し、それを達成すると報酬を貰える。
 魔石や魔物の討伐証明部位(耳)を持参して換金だ。両耳必要で片方だと半額だそうだ。
 両耳なのは、片耳だと左右を別々で出し、2回分請求する輩が多く発生した為だそうだ。決められた当時は左右どちらかと決まっていたようだが、一部の魔物の耳は偽装がし易く、1体から同じ側の耳に見えるものが2個作り出せたのだ。ギルドの職員全てが偽装を見抜けるわけでもなく、戦闘中の傷として付けられた傷により判別が困難で、結局かなり昔に片耳だと半額とのルールが作られたのだと教えて貰った。メリットもある。2パーティーの時とか、配分で揉める事が減る。

 等と軽く説明された。
 正に小説で読んだ異世界そのもので、ちょっとドキドキしてきた。

 ギルドへ行ったのは手続きの為だった。結局お姉さんと話す事が出来なかった。無念だ・・・

 手続きの後は城へ戻り、ざっくりと俺の実力を見るという。カードは明日の初心者講習の後に渡される事になっている。

 城の練兵場にて木剣を渡され、言われた相手と模擬戦をする事になった。兵士の1人が相手だったが、3合で相手の剣をあっさり弾き飛ばして終わる。

 次に小隊長で10合程で首筋に剣を当て終わった。
 そして100人隊長と互角で中々決着が付かず、引き分けに終わった。

 国王も様子を見ていてニコニコしながら俺の所に向って来ている。

「おお!流石は勇者殿だ。召喚日翌日にもう中隊長と互角か。ふむふむ。何か聞きたい事はないか?」

「もしですね、今回の異常が大した事がなかった場合、私はどうすればよいのでしょうか?」

「ほう、先の事を心配なのじゃな。なに、勇者ならばいかようにもなる。小さい異常が時折出るでな。勇者でなくても対処は出来るが、勇者が不要だった場合は申し訳ないが冒険者として生きて欲しい」

 俺はただただ頷いた。

「そうそう、これより奴隷商で奴隷を選んでくると良い。元々身の回りの世話をさせるのに1人付ける予定であったからのう。文字の読み書きが出来る者を選ぶ方が良いと思うので忘れずにな」

 そう言われ昼前に奴隷商で奴隷を選ぶ事となり、国王の家臣と出掛けるのであった。



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