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第46話 離宮

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 俺は2時間もすれば大人しくなった。訓練というか、はしゃぎすぎたからか程なくして寝てしまった。因みに席は進行方向を背に俺、シルフィス様、エライニス。逆側は荷物、ミカ、カナエだ。何故シルフィス様を含め3人が並んでいるのは、両脇に人が入れば、矢が射込まれても、両脇の者に当たり、要人が助かる可能性が高くなるからで、町の外に出る時のこの国の王族では当たり前の席次だそうだ。

 そして俺は隣のシルフィス様の肩に頭を置き、惰眠を貪っていた。
 やはり人の、しかも美女の肩は心地よく、休憩で止まるまでそうしていた。

 そんなことをしていたと分かったというか、目が覚めた時に謝ろうとしたが止められた。
 俺はハンカチを出し、シルフィス様の肩についたよだれを拭く。

「よだれ・・・ごめんなさい」

「仮とはいえ夫にと言った者、それもそちらの国風に言えばイケメンというのですか?そんな人のならウエルカムですわよ」

 俺が固まると、シルフィス様が笑みを浮かべる。

「フフフ。そちらの国風の冗談でしたが、何か違いましたか?」

「そ、そうですよね。さすがに冗談ですよね・・・」

「それは良いのですが、良く知っていますね?」 

 カナエが聞くと、エライニスが答えた。

「第二王女が溝口という方と床を・・・」

 それ以上は聞きたくなかった。
 一部の男子がと言っていたが、既に籠絡されており、第二王女のお気に入りとなったエライニスは、第二王女から色々知識やなにやらを自慢気に言われていたのだと。

 召喚勇者を手懐けるのに、魅了だけでは不十分で、文化を鑑みて共感されるようにしていき、まんまと惚れ込んで傀儡となっていったらしい。

 道中何事もなく進み、俺たちは王都に入る。
 門番が馬車の中を改めに来たが、そこにシルフィス様の姿を見ると直ぐに中に入れてくれた。
 一応規則で王族であろうと馬車の中を改める決まりになっていたから、誰が乗っているか聞いて書状を見せられてもそうするのだとシルフィス様が教えてくれた。

 以前王子が捕らえられており、ナイフを突きつけられた状態で馬車の中から顔を出し、それで顔パスとなったがその半日後に身代金を要求される事態があったのだという。

 拉致され町を出た段階でなんだかなぁと思うも、底は魔法やらスキルでなんとでもできるし、一度使われた手口は防御するから、同じ手は通用しないのだとか。

 城には夕方に着き、シルフィス様は国王に帰城の挨拶をし、すぐ近くの離宮に向かう。
 俺たちは護衛を兼ね使用人としてまず離宮に入ることになった。

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