異世界でハズレスキル【安全地帯】を得た俺が最強になるまで〜俺だけにしか出来ない体重操作でモテ期が来た件〜

KeyBow

文字の大きさ
上 下
1 / 49

第1話 プロローグ

しおりを挟む
 山田三郎はどこにでもいる平凡な高校1年生だった。身長165cm、体重は80kgちょいの小太りで、特に突出した特技もなく、ただ漠然と日々を過ごしていた。唯一の特技といえば、空間認識能力が高く、ルービックキューブの6面を30秒以内に揃えられるくらいのもの。修学旅行や宴会で一発芸として披露する程度のもので、それ以上の価値は感じていなかった。

 彼の日常は勉強とゲーム、好きなアイドルの動画鑑賞、そして異世界ものの小説を読むことで満たされていた。学校では、三郎は無視される形でのいじめに遭っていた。友達はオタク系の2人だけ。見た目に自信が持てず、積極的に仲間を求めたり、異性にアプローチすることもできなかった。そんな彼は、いつか異世界に召喚されたいと夢見ていた。言うなれば、彼は自分をモブキャラとして認識していたのだ。

 そんなある日、教室でホームルームが始まるのを待っていたが、時間になっても先生は現れなかった。

「おい、先生遅くね?」

 クラスメイトが不満を漏らす。

「誰か何か聞いてる?」

 別の生徒が尋ねたが、返事はない。

「しゃあないな。誰か聞いてこいよ」

「ならお前が行けよ」

「しゃあねぇなあ、じゃあ山田見てこいよ」

 突然、三郎に話が振られた。

「ちょっと馬鹿じゃないの!何が『しゃあねぇなあ』よ。山田君の脚は怪我で階段の上り下りが辛いのを知っているでしょ?」

 委員長が三郎をかばう。

「っち!はいはい、委員長様。わーったよ、俺が行くよ」

 そう言いながらドアに手をかけるも、ドアは開かなかった。

「何だよこれ?」

「篠津川、何やってんだよ。面白くないぞ」

「違うよ。ウケ狙いとかじゃなくて、本当に開かないんだって。嘘だと思うならお前が開けてみろよ」

「何をバカなことを!開いたら山田マツク奢れよって、何だよ!本当に開かないぞ!」

「ねぇ、外おかしくない?」

 クラスの女生徒の1人がカーテン越しに外を見ようと窓を見るも、日差しは感じられず真っ黒だ。スイッチを触るも電気はつかず、外は真っ暗だった。

 皆がパニックになっていると、突然足元が輝き出し、男子21人、女子19人は忽然と教室から消えた。

 ・
 ・
 ・

 気がつくと、僕たちは冷たい石畳に崩れ落ちていた。周りには甲冑を着た兵士、神官服の男女、メイド服の女性、そして派手な服を着た老人たちが立っている。まるでコスプレ大会に迷い込んだようだ。

「何だよこれ・・・」

 辺りを見回すと、どうやら僕たちは中世の城にある広間のような場所にいる。教室が一瞬にして異世界の壮大な広間へと変わった瞬間、僕たち40人の高校1年生は異世界に召喚されたことを悟った。

「成功だ」とか、「これで我が国も・・・」といった喜びの声が周囲から聞こえてくる。前方には堂々とした態度の壮年の男、国王と思われる人物と、その傍らにいる美少女、恐らく王女が僕たちを見つめていた。

 僕は四つん這いになり息を荒くしていたが、意識ははっきりしており、状況把握をし始めた。これはひょっとして・・・異世界召喚か?

「ステータス」と心の中で念じてみた。すると、目の前にホログラムのような画面が浮かび上がった。

 ・
 ・
 ・

 名前:山田三郎  
身長: 165cm  
体重: 82kg  
年齢: 15  
1. レベル: 1  
2. クラス: 無職(異世界召喚者)  
3. 能力値  
 力: 50  
 体力: 40  
 知恵: 70  
 魔力: 60  
 敏捷: 30  
 幸運: 80  
 魅力: 99  
 ポイント: 100  
4. スキル: なし  
5. 特別スキル:  
 安全地帯(Lv. 1)  
 
 ・
 ・
 ・

 ゲームや小説が好きな僕はその表示に微笑んだ。すると、体重の文字の色が変わっていることに気が付き、頭の中で体重と念じると、なんとなく体重を減らせそうなことに気づいた。試しに2kgを変更してみると、一瞬体に違和感が走り、ポイントが2000増えて2100になった。
 
 ポイントをスキルに振れることに気が付き、僕は特別スキル【異常状態耐性】と【ステータス隠蔽】を取得し、すぐにステータス隠蔽を発動して今取ったスキルを隠した。また、何故こんな操作ができるのか不思議だけど、出来る!としか言えなかった。鳥になぜ飛べるの?と聞いても、飛べるとしか言えないとなるのと同じで、生まれながらにできていたとしか言えなかった。

「万が一に備えておかないと・・・」

 小説やアニメの見過ぎかもしれないが、警戒してスキルを隠したんだ。僕のようなモブは無能者とかでクラスからひどい仕打ちを受けたり、召喚した側が処刑や追放をしたりされる率が高いと相場が決まっているからね。

 しかし、隠蔽した途端、僕の頭に突然鈍い痛みを感じた。周りのクラスメイトたちも同様に頭を抱えて苦しんでいるようだったが、僕もまたその痛みに耐えるのが精一杯で、立てなくなり、皆と同じように呻くしかなかった。

 ・
 ・
 ・


 名前:山田三郎  
身長: 165cm  
体重: 80kg  
年齢: 15  
1. レベル: 1  
2. クラス: 無職(異世界召喚者)  
3. 能力値  
 力: 50  
 体力: 40  
 知恵: 70  
 魔力: 60  
 敏捷: 30  
 幸運: 80  
 魅力: 99  
 ポイント: 100  
4. スキル: なし  
5. 特別スキル:  
 安全地帯(Lv. 1)  
 異常状態耐性(隠蔽)  
 ステータス隠蔽(隠蔽) 

 ・
 ・
 ・

 皆が取り敢えず座れるようになると、国王と思われる人物が前に進み出て、僕たちに向けて話し始めた。僕は警戒しながらも、新天地であるこの見知らぬ異世界で、自分が秘めている可能性に胸を高鳴らせた。



あとがき失礼します。やらかしました。女性用に投稿していたので、男性用で投稿しなおします。
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

異世界帰りの元勇者、日本に突然ダンジョンが出現したので「俺、バイト辞めますっ!」

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
俺、結城ミサオは異世界帰りの元勇者。 異世界では強大な力を持った魔王を倒しもてはやされていたのに、こっちの世界に戻ったら平凡なコンビニバイト。 せっかく強くなったっていうのにこれじゃ宝の持ち腐れだ。 そう思っていたら突然目の前にダンジョンが現れた。 これは天啓か。 俺は一も二もなくダンジョンへと向かっていくのだった。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

異世界に転移した僕、外れスキルだと思っていた【互換】と【HP100】の組み合わせで最強になる

名無し
ファンタジー
突如、異世界へと召喚された来栖海翔。自分以外にも転移してきた者たちが数百人おり、神父と召喚士から並ぶように指示されてスキルを付与されるが、それはいずれもパッとしなさそうな【互換】と【HP100】という二つのスキルだった。召喚士から外れ認定され、当たりスキル持ちの右列ではなく、外れスキル持ちの左列のほうに並ばされる来栖。だが、それらは組み合わせることによって最強のスキルとなるものであり、来栖は何もない状態から見る見る成り上がっていくことになる。

イレギュラーから始まるポンコツハンター 〜Fランクハンターが英雄を目指したら〜

KeyBow
ファンタジー
遡ること20年前、世界中に突如として同時に多数のダンジョンが出現し、人々を混乱に陥れた。そのダンジョンから湧き出る魔物たちは、生活を脅かし、冒険者たちの誕生を促した。 主人公、市河銀治は、最低ランクのハンターとして日々を生き抜く高校生。彼の家計を支えるため、ダンジョンに潜り続けるが、その実力は周囲から「洋梨」と揶揄されるほどの弱さだ。しかし、銀治の心には、行方不明の父親を思う強い思いがあった。 ある日、クラスメイトの春森新司からレイド戦への参加を強要され、銀治は不安を抱えながらも挑むことを決意する。しかし、待ち受けていたのは予想外の強敵と仲間たちの裏切り。絶望的な状況で、銀治は新たなスキルを手に入れ、運命を切り開くために立ち上がる。 果たして、彼は仲間たちを救い、自らの運命を変えることができるのか?友情、裏切り、そして成長を描くアクションファンタジーここに始まる!

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?

歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。 それから数十年が経ち、気づけば38歳。 のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。 しかしーー 「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」 突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。 これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。 ※書籍化のため更新をストップします。

処理中です...