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第2章

魔力を増やしたい

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 宿で夕食を食べたが、食事の用意のできる一番早い時間に準備をして貰い、早々に休んだ。そして今朝はかなり早く出発していた。由美子にも御者をして貰う事になり、御者を教えつつ進んで行く。御者席に座るのは最初がシャロンと由美子、その後由美子とノエル、そして次が太一とノエルの順番で、一休憩毎に一人が玉突きで変わっていく感じだ。御者席に2人座り、警戒の次に御者、休憩、これを一人ずつ入れ替わってローテーションをしていく感じになった

 由美子は不満だった。御者を太一と一緒に座る番がないのだ。太一は自分自身が御者をするのが精一杯で、人に教えられるレベルになっていないからと御者をまともにできる2人から教わった方がいいという事になったのだ。

 今日は美夏達もそれなりに元気になっていた。リスクが高かったが、宿に泊まり、柔らかい布団でしっかり寝れた事が大きかった。

 稲垣は利き腕側の手を失っている為食事が大変だったが、美夏の場合は利き腕が残っている。片腕の為食器を押さえるのに少し苦労はしていたが、一人でなんとか食べれるレベルであった。

 由美子は太一と一緒に座っている時間がない事に対する不満を少しぼやいていたが、御者を覚える為だといい、今日は我慢して貰う。その代わり昼食の時等は太一の横で一緒に食べる感じになった。

 美夏はと言うと馬車の中で稲生に弓の使い方を一生懸命伝えていた。先の戦闘の時も美夏がずっと弓の使い方をレクチャーしつつ、稲生が矢を放つと次の矢を稲生に渡していた。

 稲生は義足のお陰で昨日はかろうじて歩けるようにはなっていたが、美夏の弓の方はまだまだだった。短時間の戦闘であれば弓を放つ事ができるだろう。

 予備の弓や大量の矢も収納に有った為、特に矢の不足については困らない。その為に馬車の中から戦闘時は2人でやを放つ事となったようだ。

 美夏も一晩考えたようだ。このままではいけないとずっと塞ぎ込んでいても仕方がないと思ってはいたようだが、昨夜稲生と美夏が言い争いをしている声を太一は聞いていた。腕がない事を言い訳にするなと言っていたのだ。できる事をやれと。その為寝る前に義手を生成し、由美子が美夏に義手の装着を手伝っていた。
 その後に稲生と由美子は弓の練習をしていたがやはり現段階では不慣れな為、命中精度が著しく落ちていると言っていた。太一も練習に付き合っていたが、魔力が切れ掛かっているのが分かり、美夏に魔力の供給を止めさせ、義手が消える直前に太一が魔力を流すを繰り返していた。魔力が完全に枯渇するとかなり面倒な事になるからだ。魔力を増やす方法はいくつかあると聞いた事がある。

 一つはレベルアップだ。これにより魔力が増える。もう一つは限界近くまで魔力を使い、魔力枯渇若しくは枯渇寸前まで使ってから回復すると魔力の上限値が増えるという。

 その事を聞いてはいたのだが、太一は有り余る魔力の為、特に魔力を増やす事を行う必要がなかったが、美夏達は義足や義手の維持の為に多くの魔力を必要としていた。そう、今現在魔力が足らないのだ。その為魔力回復のポーションを大量に購入したりもした。

 魔力回復ポーションはかなりまずい味の物だと言う。魔力を枯渇寸前まで使い、魔力を回復する。それを繰り返していたが、ポーションの使用量にも限界というものも有り、稲生は既にその限界量まで昨夜は使っており、これ以上魔力をチャージするのは宜しくないという状況にまでなっていた。

 日中は基本的には義足や義手は作らない。理由はいざ戦闘の時に役に立たなくなるからだった。ただ寝る前にしっかり魔力を使い、枯渇寸前にまでしており、徐々にではあるが魔力量を増やすようにして行き、魔力の総量を増やそうとしていったのであった。
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