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第2章

満身創痍とイジられキャラ2号

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 ノエルとシャロンに御者をお願いし、太一は馬車の中に入っていった。中に入ると4人共蒼白な顔ををしていた。弓使いの女に至っては恐怖で震え、失禁していたのだ。

 太一はそっと肩に手を当て

「クリーン。もう大丈夫だから。俺達が助けるからさ。取り急ぎ隣国に逃げ込みたい。腕は残念だったが、まずは生き残る事を考えよう。一旦皆俺のパーティーに加わるんだ。そら送ったから許可をして」

「わ、わ、私達はどうなるの?この腕じゃもう弓は引けないのよ。死んだほうがマシよ。何なのよこの世界は。痛かったよ。お母さん。お母さん。嫌だよ。こんなの耐えられない」


 太一は思わず泣きじゃくる弓使いを抱きしめた

「痛かったな。怖かったな。もう大丈夫だから。俺が付いているから。俺の命の続く限りみんなを守ってやる絶対に死なせてたまるか」

 背中をさすっていると次第に落ち着いてきたのか、今太一に抱きしめられている事に気が付き

「あんた何を勝手に抱きついているのよ。それに何を何勝手に仕切っているのよ。私に気安く触れるんじゃないわよ。それにあんた誰よ?」

「俺は以前伊野さん達とパーティーを組もうとしたんだ。そして君は俺の名前を知っている筈だ。それよりも君の名前を教えてくれないか。俺は君の事を弓使いの女としか分からないんだ。それと、それだけ喋るようになったという事は少しは元気が出たのかな?」
 
 3人は頷いていた。

「何あんた達納得しているのよ。こいつは勝手にリーダーを名乗っているのよ!」

「ああ、彼は間違いなく俺達のリーダーだ。以前彼にリーダーをお願いしたんだ」

 2人は頷く

「えっ?それってどういう事よ?」

「おいおいおいおい。まだ分からないのか?こいつが誰だか本当に分からないのか?」

 ため息を付き

「このデカブツがお前が一生懸命探してい愛しの太一だよ」

「そんな、嘘でしょ?そんなの見つかる訳ないじゃないの。あたしたちの後ろをずっとついて回ってたんでしょう?」

「あははまあそういう事になるね。えっと、あのー、そろそろ君の名前を教えてくれないかな?いつまでも君とかお前とかあんたとかそんな風に呼びたくないからさ」

「仕方がないわね。そんなに知りたいなら教えてあげるからありがたく聞きなさい。稲塚 美夏よ。美しい夏と書いて美夏なんだからね」

「よろしくな美夏。俺の事も太一でいいぞ」

「何よあんた?いきなり私の事を呼び捨てだなんて!許してなんていないわよ」

「それだけの口が聞ければもう大丈夫だな?お前の呼び名はやっぱり美夏で決定だからな。決定ってまあ、そんな些細な事よりも、後で紹介するが俺の連れのエルフだが、剣を使う背の高い方が魔法戦士のシャロンで背の小さい方がヒーラーのエリカだ。もとい本名でいいや、ノエルといい、元ギルドの受付嬢をやっていた。特に美夏、お前とノエルの相性は多分悪いぞ。なにせ2人共ツンデレだからな
 」

「何ゆ失礼な。何よそのツンデレって」

「お前の事だよ、お前の事!まさしくツンデレじゃねえか。今更だろ」

 キーとなっていたが誰も相手にしなかった。太一は思ういじられキャラ2号誕生だと。ノエルをいじるのも楽しかったが、こいつも一杯いじってやろうと思う。今は体の一部を失った3人の気を反らしてやる方が先決だと思う。ただ現実問題かなり厳しい。足のない格闘家、利き腕をなくした剣士、左手をなくした弓使い。まあ稲垣の場合は利き腕じゃない方の手で剣を使えばなんとかなる。また右腕に盾を装備すればそれなりに使えるだろう。美夏もそうだ。弓諦めて魔法が使える杖を使い、魔法に特化するという手もある。だが問題は稲生だ。足を失った格闘家とかなり致命的だ。蹴りを入れるのは義足を着けるなりし、失った方の足でやればいい。だがこの世界にある義足がなんぼのものか分からない。走るのは絶望的だろう。歩くのもどうするかといったところだ。当面 徒歩の場合、稲生が肩を貸してやる事になるのかなと思っている。幸いなのが由美子が何ともなかった事だ。おそらくこの3人は戦いに参加していたのでやられたののだろう。由美子は戦えないのだろうか?おそらく戦えないのだろう。武装もしていないので脅威判定が低く後回しにされたのだろうと思っていた。

 取り敢えず先に進む事にした。少しは距離を空けておきたかったからだ。今の座り方はこうだ。

 由美子、美夏そしてその間に太一が座る。向かい側に稲垣と稲生だ。理由は簡単だ。太一が退いた後はシャロンかノエルが座るからと、それと今は由美子が震えながらずっと太一の腕にしがみついていたからである。さてどうすっかなと、一人太一はぼやき、暫く目を瞑り考え込むのであった。
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