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第2章

生活魔法の実験

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 太一とシャロンは既に付き合っているようなものだったが、太一からちゃんと告白し、シャロンが受け入れたので付き合って行く事になった。ただシャロンは釈然とはしていない。

 恋人という期間を終え、それから結婚に至るプロセスが理解出来なかった。この世界は殆どが親から紹介された相手に、親が言うがままに結婚する事が一般的だったのだ。結婚イコールハーレム入りだった。そこでより強い男に守られ、次代の子を生み、育てるのが幸せと教えられ、疑う事が無かったという。そう、エルフの仕来りだった。

 名残惜しかったが、シャロンとの甘い時間は終わりを告げる。そうシャロンも休息が必要で、睡眠を摂る必要がある。ましてや一番きつい真ん中の見張りを受け持って貰ったのだから。

「ついに僕にも恋人ができたか、しかもエルフで超絶美少女と来たもんだ。異世界も捨てたもんじゃないな。しかし星が綺麗だな。街明かりがないのもあるが、日本でも昔はこれ位綺麗に星が見えていたのかな?」

 太一は大自然に比べ、いかに自分がちっぽけな存在なのだろうか!とふと思いそのような事を考えていた。自分は一体何の為にここに来て、何を為すのだろうか?もしあの時、あの魔法陣に気付かなかったり、気づいていても無視していたらどうなったのだろうか?勿論シャロンやノエルと知り合う事はなかっただろう。

 人の縁とは不思議なものだ。こんな事がなければ知り得なかった女性と出会えた。あのクソビッチ王女に対しても自分を死地に送りやがって!という思いがない事はないが、それよりも今は許そうと思っていた。この出会いに感謝だ。ダンジョンに送られ、あの時山を彷徨っていなければシャロンを救う事が出来なかったであろう。寧ろ感謝せねばならないとさえ感じていた。

 見張りの最中、さてどの街に向かったものかな?と頭の中で地図を展開し眺める。やっぱりフローラ様の紹介状にある方に師事するのが吉なのかな?確か方向的にはこっちで合ってるんだよな。明日2人に聞いてみるしか無いよなという方に考えが纏まった。

 しかしノエルも可愛いよな。と言うか美人だ。顔は優しいお姉さんチックな顔なんだけれども、顔と性格が合わないんだよな。またそれがギャップ萌えでいいのかも分からないけどもね。俺はこの2人を大事にしたい。シャロンと付き合うと言ったらノエルは怒るだろうか?既に数日間、仲間として過ごしたが、そんな感じでノエルにも惹かれる太一である。

 シャロンは男装の似合うような闊達な美少女。ノエルは顔だけを見ると穏やかで優しく、虫も殺せぬ者のような、そういうおっとりした感じがする。2人はタイプが違う。
 どちらかを選べと言われたら自分には選らぶ事が出来るのだろうか?そんなしょうもない事ばかりを考えていた。

 いかんいかんと思いつつ、シャロンと付き合う事になった時にシャロンに言われたんだよな、自分もノエルと2人、更にカエデさんも一緒に娶って欲しいと。この先どうするかを考えていたが、いつの間にか彼女達の事で頭が一杯だった。

 また、見張りは暇だったので、生活魔法の方を色々なパターンで組み合わせてみる事にした。

 例えば風魔法と水魔法を組み合わせてのウォーターショットなるものだ。高圧縮した水を、圧縮した空気で打ち出す。また炎と風の組み合わせでは荒れ狂う炎の竜巻といった感じの物も出来た。

 また3つの魔法の組み合わせも考えてみた。土、炎、風この組み合わせだ。土を固め、数百度にまで熱し弾丸状にした。その弾丸を風魔法で圧縮した空気で放つ。数百度という灼熱の弾丸が相手に当たるとどうなるか?威力がかなり高いだろうと想像が付く。あくまでも有り余る魔力がある太一だからできる話である。

 また一般的に知られているもので火、水の組み合わせで火の割合を減らしたホットだ。熱湯ではないが、これを使えばシャワーやお風呂に入れるのではないかと考えていた。既に試したのは各々割合が高い熱湯を相手に掛けるというものであった。これはかなり効果があった。

 ただ辺り一帯が濡れてしまい、外でやると泥だらけになるので考えものではある。組み合わせがあまり考えられなかったのが水と土だった。相性が悪いのか良い組み合わせが分からない。

 生活魔法で土を使ったものもなくはないのだが、いまいち使い方が分からなかった。大概は穴を掘るだけの魔法の扱いであった。所謂ホールだ。畑などに穴を開け、そこに残飯や野菜屑等を埋め戻すというのが一般的な使い方であるという事だ。これ使えるかな?
 練習が必要だが、今までは試した時は制御が難しく、使用を自粛していたのだ。暇なので練習をしようと思い立ったのだ。

 ロープを張っている周りにホールで穴を開けまくった。別に穴を開ける必要は無かったのだが、最初の数箇所を開けている時に、これ幅1 mとか2 mで溝が出来ないかな?と思っていると溝が掘れたのだ。

 これで堀が作れるなと思いつつ、溝を土魔法で掘って行く。ロープで囲った野営地の周りをぐるっと一周溝で囲い、馬車が通れる範囲の道だけを残しておいた。これはこれでアリか?なそんな感じだ。

 またウィンドウでもウィンドカッターもどきが出来ていた。空気を極限まで薄く圧縮し、それを放つ。任意の方向はまだ無理で、手をかざした方向に出すのだ。するとウインドカッターそのものであった。

 また風と炎の組み合わせで圧縮した炎を風で撃ち出すファイヤーボールみたいなものが出来た。なる程、なる程と色々な組み合わせを考えて行く。また魔力の比率でいろんな事ができるのが楽しかった。また水の方では風魔法との組み合わせで温度をどんどん奪って行くという事が分かった。炎との組み合わせかと思ったが、どうもこの世界では違うらしい。よく小説などで水に火の魔法を組み合わせてそれで温度をどんどん奪い氷にしていくというのを読んだ事があるような気がするが、出来なかった。ただ、その代わり風魔法を使うと水魔法で作った水の温度をコントロールし、下げる方にはできた。上げる方は火で、下げる方は風といった具合で使わなければならなかった。

 ただ氷ができたので、これからはキンキンに冷えた飲み物が飲みたいと思った時に用意が出来る。そう太一は俺は出来る子だ!等と自分に言い聞かせていた。また圧目に氷を作ると氷の壁が出来た。色々使い道はあるのだ。ただどうしてもできなかった事がある。

 魔力弾等と生活魔法の組み合わせが出来なかったのだ。
 魔法ではなく魔力をコントロールして行う結界等に生活魔法が組み込む事が出来ないかと考えたのだが、ことごとく出来なかったのだ。

 今やった事がダメだったのかも分からないが、望みは薄かった。色々試して考察をまとめていたのであった。
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