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第2章
目覚め
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太一はうわーと叫びながら目覚めたが、そこにはシャロンとエリカがいた。
状況を確認していたが、最後に記憶の有った場所と今いる場所が違う。つまり誰かに運ばれたのだ、
「そうか、俺は気絶したのか。済まない。どれ位の時間が経ったんだ?それとフローラ様はご無事か?」
エリカはそうでもないが、シャロンは俯いていおり、大粒の涙を流していた。
シャロンに変わりエリカが話してくれた。
「ロイはね1日半倒れていたの。あの極大魔法で魔物を駆逐できたから町の被害は小さかったよ。それでも冒険者の死亡が110名、街の住人の死亡が1500名位だったと聞いているの。あと30分遅かったら城も落とされ、街にも甚大な被害が出て、全滅してもおかしくなかったって。あの時既に破滅に向かっていたの。
今私達が生きているのは貴方のお陰よ。フローラ様に言われたのだけれども、誰の魔法だったかというのを聞かれた場合、フローラ様の魔法という事にしなさいと言われているの。フローラ様は手柄を取りたいのではなく、ロイがやった事だとばれてしまうと、城の方から追っ手が差し向けられてしまうからと言っていたの。フローラ様の命と引き換えに放った究極の魔法だったとすれば皆納得するでしょ?ただね、フローラ様はただでさえ弱っているのに街の人達を守る為に最後の力を振り絞り、魔法を放っていたわ。あの後フローラ様は無事だったけれども、残り少ない寿命を更に縮めてしまったの。そしてあの極大魔法が放たれた半日後に亡くなられたわ。私は遠慮したけれども、今屋敷にいる弟子達に看取られながら、穏やかに逝ってしまわれたの。最後にフローラ様はあなたに感謝していたのよ。最後の時を愛する者達に看取られて穏やかに逝ける事を感謝していたの。亡くなられたフローラ様の顔は穏やかで安らかだったわ」
「そうか。やはりこの様な事だったのか。おかしいなと思ったんだ。フローラ様は俺に今生の別れのような事を言っていたから。そうか、無事だったが逝ってしまわれたのか。まだまだ教えて欲しい事が山程有ったのにな。でも穏やかに逝けたんだね」
暫く俯き黙っていたが
「エリカはこの後どうする?何か聞いているのか?」
「私はロイに従い、シャロンと一緒に旅をするつもりなの。フローラ様はね、シャロンと私にロイについて行きなさいと言っていたの。ロイが起きたらすぐに屋敷を出なさいと言われているの。フローラ様は以前宮廷魔術師として国に多大な貢献をなさった方なの。今回の事もありおそらく国葬になるのよ。その為に国の重鎮の方達が間もなくこの屋敷にお悔やみの言葉を伝えにくると思うの。今はカエデ様達が皆様の対応をしてくれているけど、時間的な余裕がない筈よ」
「そうか。シャロンはどうだ?」
「分からないの。今の私には何も分からないの。だってフローラ様が、フローラ様が死んじゃったのよ」
ただ泣くだけだった。無理もないよなとシャロンの頭を撫でていたが、タイチはふと思い出し、フローラから託された手紙を開ける。フローラが亡くなったと分かった段階で開けるようにと言われた手紙だ。そこにはこうあった
「貴殿がこれを見ているという事は私は既に亡くなっている筈です。貴方は私との約束を守り、私が亡くなるまでこの手紙は見ないでしょう。本来は貴方の行き先について示唆したくはありませんでした。ですが危険が迫っております。エリカさんの危険が一番大きいのです。この屋敷にいれば、この屋敷に出入りする者に正体が見破られ、刺客を差し向けられるでしょう。そして貴方も同じです。城の者が多くこの屋敷に訪れるでしょう。そうすると貴方の正体についてバレる可能性が高くなってきます。
それとシャロンは世の中の事について関心が薄く、世情に疎いのです。ですからあちこちを見て周り、見聞を広めて欲しいのです。この手紙を読んだ後、シャロンとエリカを連れて早々に旅立ちなさい。行き先は伝えません。貴方が考えるのです。しつこいようですが、私に言える事は私の葬儀に参加せず、今直ぐに屋敷を出なさいという事だけです。これより下はシャロン宛ての手紙になります。出来れば読まずにシャロンに渡して頂けると有り難いです。
追伸。最後の時を穏やかに過ごす事が出来た筈です。これも全て貴方のお陰です。感謝しております。できたらシャロンを娶り幸せにしてあげてください」
太一はシャロンに宛てた手紙の内容が気になったが、シャロンへと書かれた先は読まなかった。読まずにシャロンに渡す事にした。
「シャロン。この手紙はフローラ様が予め俺に託していて、亡くなった時に直ぐに読むようにと言われてたんだ。この後すぐに屋敷を出ろと書いてある。俺達に危険が迫っているそうだ。それとこの手紙の終わりにシャロン宛の手紙が書いてある。俺は読んでいないからまずはこれを読むんだ」
シャロンは受け取った手紙を読み、更に涙を流していた。一通り読んだ後シャロンは少し明るい顔になり、太一に手紙を渡す。
「荷物を持ってきます」
そう言って自室に戻って行った。ちょっとした着替えや大切な物を持ってくる、そんな感じで5分程で戻って来た。
そして安置されているフローラの遺体の前に行き、3人で手を合わせた。
「葬儀にも出れず申し訳ない。俺達は言いつけに従いこれで失礼させて頂きます。フローラ様安らかにお眠り下さい」
太一は両手を合わせ短い別れの言葉を述べた。各々フローラに別れの言葉を述べ、屋敷を出る。今ならまだ間に合う筈だった。カエデが玄関先に馬車を引き連れてきた。そうシャロンを救助した時の馬車だ。
中を掃除し、荷物を入れ替えて旅に出られるようにして、馬を繋げてくれていた。
カエデは街の入り口まで同行すると言っていた。そう見送りをしてくれるのだ。その前にギルドに採取依頼の達成報告と、採取した薬草の提出及び販売、それとパーティー登録を変更しカエデを外す。街を去る前にそれをしなければならなかった。
そして馬車でギルドに向かい、粛々と手続きやランクアップ等をしていく。そしてたまたまギルドマスターが2階から降りてきている所で、太一達の存在に気付いていた。くいくいと手招きされ、ギルドマスターの部屋で少し話をした。これから町を出るのに了承をもらう。必ず戻ってくるんだぞと言い、エリカとハグをし別れた。
そして今は街の入り口の方に向かっていた。
入り口にてカエデが太一にロングソードを返そうとしたが、
「カエデさん、この剣をどうぞ使ってください。僕にはまだまだ使いこなせないような代物でしょうが、貴女になら使いこなせるでしょう?」
「いいのかい?これは相当値が張る物なんだよ」
「はい。だからこそ大切な人に貰って欲しいんです。いずれこの屋敷に戻ってくるでしょう。それまでお屋敷の事をお願いします。街に戻ってきた時に僕はともかく、シャロンの戻ってくる場所を用意しておいてあげたいんです」
「分かった。お願いされた。必ず生きて戻ってくるんだぞ!いいな?」
「勿論です。僕はカエデさんを娶らなきゃいけないんでしょ?大丈夫、それまではちゃんと生き抜きますから」
「そうだな。じゃあ元気で行っておいで」
そういうとカエデはいきなり太一にキスをした。頬にではなく唇にだ。シャロンもエリカも口を大きく開け驚いていた。そう太一のファーストキスであった。太一も固まっている
「あたいのファーストキスだよ。必ず戻ってくるんだよ。必ずあたいを娶る為だけに戻るんだぞ。だからあたいを娶るまでは絶対に死ぬなよ」
太一は初めての唇の感触に真っ赤になりながら
「はい必ず戻ってきます。僕も今のがファーストキスでした。太一は真っ赤になりながら馬車に乗る。
太一は馬車を操れない。その為エリカとシャロンのどちらかが御者をする事になる。そして馬車を出し、街を出るのであった。
状況を確認していたが、最後に記憶の有った場所と今いる場所が違う。つまり誰かに運ばれたのだ、
「そうか、俺は気絶したのか。済まない。どれ位の時間が経ったんだ?それとフローラ様はご無事か?」
エリカはそうでもないが、シャロンは俯いていおり、大粒の涙を流していた。
シャロンに変わりエリカが話してくれた。
「ロイはね1日半倒れていたの。あの極大魔法で魔物を駆逐できたから町の被害は小さかったよ。それでも冒険者の死亡が110名、街の住人の死亡が1500名位だったと聞いているの。あと30分遅かったら城も落とされ、街にも甚大な被害が出て、全滅してもおかしくなかったって。あの時既に破滅に向かっていたの。
今私達が生きているのは貴方のお陰よ。フローラ様に言われたのだけれども、誰の魔法だったかというのを聞かれた場合、フローラ様の魔法という事にしなさいと言われているの。フローラ様は手柄を取りたいのではなく、ロイがやった事だとばれてしまうと、城の方から追っ手が差し向けられてしまうからと言っていたの。フローラ様の命と引き換えに放った究極の魔法だったとすれば皆納得するでしょ?ただね、フローラ様はただでさえ弱っているのに街の人達を守る為に最後の力を振り絞り、魔法を放っていたわ。あの後フローラ様は無事だったけれども、残り少ない寿命を更に縮めてしまったの。そしてあの極大魔法が放たれた半日後に亡くなられたわ。私は遠慮したけれども、今屋敷にいる弟子達に看取られながら、穏やかに逝ってしまわれたの。最後にフローラ様はあなたに感謝していたのよ。最後の時を愛する者達に看取られて穏やかに逝ける事を感謝していたの。亡くなられたフローラ様の顔は穏やかで安らかだったわ」
「そうか。やはりこの様な事だったのか。おかしいなと思ったんだ。フローラ様は俺に今生の別れのような事を言っていたから。そうか、無事だったが逝ってしまわれたのか。まだまだ教えて欲しい事が山程有ったのにな。でも穏やかに逝けたんだね」
暫く俯き黙っていたが
「エリカはこの後どうする?何か聞いているのか?」
「私はロイに従い、シャロンと一緒に旅をするつもりなの。フローラ様はね、シャロンと私にロイについて行きなさいと言っていたの。ロイが起きたらすぐに屋敷を出なさいと言われているの。フローラ様は以前宮廷魔術師として国に多大な貢献をなさった方なの。今回の事もありおそらく国葬になるのよ。その為に国の重鎮の方達が間もなくこの屋敷にお悔やみの言葉を伝えにくると思うの。今はカエデ様達が皆様の対応をしてくれているけど、時間的な余裕がない筈よ」
「そうか。シャロンはどうだ?」
「分からないの。今の私には何も分からないの。だってフローラ様が、フローラ様が死んじゃったのよ」
ただ泣くだけだった。無理もないよなとシャロンの頭を撫でていたが、タイチはふと思い出し、フローラから託された手紙を開ける。フローラが亡くなったと分かった段階で開けるようにと言われた手紙だ。そこにはこうあった
「貴殿がこれを見ているという事は私は既に亡くなっている筈です。貴方は私との約束を守り、私が亡くなるまでこの手紙は見ないでしょう。本来は貴方の行き先について示唆したくはありませんでした。ですが危険が迫っております。エリカさんの危険が一番大きいのです。この屋敷にいれば、この屋敷に出入りする者に正体が見破られ、刺客を差し向けられるでしょう。そして貴方も同じです。城の者が多くこの屋敷に訪れるでしょう。そうすると貴方の正体についてバレる可能性が高くなってきます。
それとシャロンは世の中の事について関心が薄く、世情に疎いのです。ですからあちこちを見て周り、見聞を広めて欲しいのです。この手紙を読んだ後、シャロンとエリカを連れて早々に旅立ちなさい。行き先は伝えません。貴方が考えるのです。しつこいようですが、私に言える事は私の葬儀に参加せず、今直ぐに屋敷を出なさいという事だけです。これより下はシャロン宛ての手紙になります。出来れば読まずにシャロンに渡して頂けると有り難いです。
追伸。最後の時を穏やかに過ごす事が出来た筈です。これも全て貴方のお陰です。感謝しております。できたらシャロンを娶り幸せにしてあげてください」
太一はシャロンに宛てた手紙の内容が気になったが、シャロンへと書かれた先は読まなかった。読まずにシャロンに渡す事にした。
「シャロン。この手紙はフローラ様が予め俺に託していて、亡くなった時に直ぐに読むようにと言われてたんだ。この後すぐに屋敷を出ろと書いてある。俺達に危険が迫っているそうだ。それとこの手紙の終わりにシャロン宛の手紙が書いてある。俺は読んでいないからまずはこれを読むんだ」
シャロンは受け取った手紙を読み、更に涙を流していた。一通り読んだ後シャロンは少し明るい顔になり、太一に手紙を渡す。
「荷物を持ってきます」
そう言って自室に戻って行った。ちょっとした着替えや大切な物を持ってくる、そんな感じで5分程で戻って来た。
そして安置されているフローラの遺体の前に行き、3人で手を合わせた。
「葬儀にも出れず申し訳ない。俺達は言いつけに従いこれで失礼させて頂きます。フローラ様安らかにお眠り下さい」
太一は両手を合わせ短い別れの言葉を述べた。各々フローラに別れの言葉を述べ、屋敷を出る。今ならまだ間に合う筈だった。カエデが玄関先に馬車を引き連れてきた。そうシャロンを救助した時の馬車だ。
中を掃除し、荷物を入れ替えて旅に出られるようにして、馬を繋げてくれていた。
カエデは街の入り口まで同行すると言っていた。そう見送りをしてくれるのだ。その前にギルドに採取依頼の達成報告と、採取した薬草の提出及び販売、それとパーティー登録を変更しカエデを外す。街を去る前にそれをしなければならなかった。
そして馬車でギルドに向かい、粛々と手続きやランクアップ等をしていく。そしてたまたまギルドマスターが2階から降りてきている所で、太一達の存在に気付いていた。くいくいと手招きされ、ギルドマスターの部屋で少し話をした。これから町を出るのに了承をもらう。必ず戻ってくるんだぞと言い、エリカとハグをし別れた。
そして今は街の入り口の方に向かっていた。
入り口にてカエデが太一にロングソードを返そうとしたが、
「カエデさん、この剣をどうぞ使ってください。僕にはまだまだ使いこなせないような代物でしょうが、貴女になら使いこなせるでしょう?」
「いいのかい?これは相当値が張る物なんだよ」
「はい。だからこそ大切な人に貰って欲しいんです。いずれこの屋敷に戻ってくるでしょう。それまでお屋敷の事をお願いします。街に戻ってきた時に僕はともかく、シャロンの戻ってくる場所を用意しておいてあげたいんです」
「分かった。お願いされた。必ず生きて戻ってくるんだぞ!いいな?」
「勿論です。僕はカエデさんを娶らなきゃいけないんでしょ?大丈夫、それまではちゃんと生き抜きますから」
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そういうとカエデはいきなり太一にキスをした。頬にではなく唇にだ。シャロンもエリカも口を大きく開け驚いていた。そう太一のファーストキスであった。太一も固まっている
「あたいのファーストキスだよ。必ず戻ってくるんだよ。必ずあたいを娶る為だけに戻るんだぞ。だからあたいを娶るまでは絶対に死ぬなよ」
太一は初めての唇の感触に真っ赤になりながら
「はい必ず戻ってきます。僕も今のがファーストキスでした。太一は真っ赤になりながら馬車に乗る。
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