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第35話 アジトの襲撃とスキル

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 村に入ると取り敢えずアリアナをレイガルドから降ろし、アリアナに教会に行くようにと伝え、村長を呼ぶように指示をした。

 ブラッドは4人に声を掛けた。

「ワンズ、ガイン、ダリス、サウラ、助かった。さて、コイツラをどうにかしないとな」

 ワンズがニヤリとする。

「勿論アジトをやるんだろ?」

「勿論だ。ついてこい」

 しゃー!と4人共に喜ぶ。
 ブラッドは怪我人を治療し、ワンズに生き残った盗賊のうち2人を連れてこさせた。

「分かっていると思うが、逃げたら確実に死ぬ。アジトはあるのか?言わなきゃ殺すぞ」

「誰がテメェに教えるかよ!」
 
 ブラッドはそいつの首を刎ねた。

「ひぃー!」もう一人が唸る。

「殺されないとでも思ったのか?見ての通りだ。選べ!」

「言う、言うから助けてくれ!」

「分かった。ちゃんとアジトに案内すれば命だけは助けてやる。今治療してやるからな」

 ブラッドは手を触れて傷を治してやった。

「タミア、村を頼む。後顧の憂いを断つのに行ってくる」

「ボクも行っちゃ駄目?」

「ワンズ、代わりにここにいてやってくれ。勿論分前はちゃんとやる。お前が俺の副官だからな。村を預ける」

「そういう事なら仕方ないな。貸しだぞ!」

「済まない。腕の立つやつを一人は村に置いておきたい。こっちのニスティーは見ての通り槍のスキル持ち、侍女のマリーナは暗殺だ。おいニスティーにマリーナ。俺達は盗賊のアジトを潰しに行く。放って置くとまた襲ってくるからな。このワンズの指示に従え。ワンズ、ちびっ子が村長を連れてくるから、対応を頼む。よし、行くぞ!」

 案内をさせる盗賊を縛り上げ、ブラッドの前に座らせた。

「嵌めようとしたり、嘘をついたら殺す。まだ捕えている奴はいるからな」

 案内をさせる奴は必死に命乞いをする。

 うららららあぁ!と雄叫びを上げながら4人と一人の少女、捕えた賊の6人は駆けていく。

 タミアは盗賊が乗っていた馬を駆る。

 そして進む事10分、いかにもといった感じの洞窟が見えてきた。ここを根城にして村を襲っていたのだ。勿論短期の根城だ。

 ブラッドはタミアに援護を頼むと、アジトに向かう。するとヒュインヒュインと矢が飛んできて、ブラッドは前に乗せていた奴の体を掴むと盾にした。ドスっと音がしてそいつの額に矢が刺さる。

 ブラッドはそいつを投げ出し、槍を出すと矢を射掛けてきた奴に投げて倒す。

 ブラッドは3人に目配せをする。するとすうっとその場からいなくなった。

 取り敢えずブラッドは気配のする方向にアイスアローを撃ちまくった。
 すると叫び声がする。

 取り逃がした奴らはざっと10人。多分頭目も逃げ果した。先ずはアジトに逃げるだろうとここに来たが、どうやらバカではなかったようだ。こちらの行動を予測し、待ち伏せをしたようだ。だが、予測は甘かったようだ。タミアも視認した奴に矢を射掛ける。

 この場所は四方を山に囲まれており、ポツッと開けた場所だった。

 だから隠れた奴からの絶好の的になる。

 なのでブラッドはレイガルドから降りると来るなと伝え、自らを囮としてアジトの入り口に向かう。矢が放たれるとブラッドは剣で払う。するとタミアが矢の軌道から射た者の位置を予測しては矢を放っていた。

 そして程なくして迂回した3人が隠れ潜んでいる奴らを次々に仕留めていく。

 ブラッドは頷くとアジトの中に入る。
 3人とタミアが潜んでいる盗賊達を殲滅すると確信しているからだ。

 入り口は狭かったが、中は予測よりも中々広い。

 テニスコート位の面積があったのだ。

 中は天幕がびっしりとあり、そこで寝泊まりをしていたようだ。お宝は奥に棚があり、どうやらそこにあるようだ。

 いるな!天幕に潜んでいる奴がいる。一瞬焼き払おうかと思ったが、そうすると自分がやばくなると気が付き、アイスアローを飛ばしまくった。
 ぎゃーと叫び声が聞こえてきたが、そうするとナイフが投げられ、ブラッドは剣で弾いた。

「よくも子分共を好き勝手に殺りやがったな!楽に死ねると思うなよ」

 しゃー!と唸りながら急に目の前に現れた。

 なっ!?っと唸りつつ、ブラッドは反射的にバックステップで躱した。

「くっ!何だ今のは?」

「ほう、躱したか。いつまで行けるかな!死ねや!」

 目の前から消え失せたかと思うと背後に急に気配と共に奴が現れた。咄嗟に前に倒れ込むと、背後でナイフが振られたと分かる。反射的に回し蹴りをするも当たらず姿もない。

 なっ?どうなっている?とブラッドは冷や汗をかく。

「これは転移か気配を完全に殺しているな?」

 ブラッドは仕方がないなと出口に向かう。出口から天幕にファイヤーボールを出していたが、中心部に当たると爆裂した。

 すると天幕が一斉に燃えだした。

 ブラッドは入り口に向い身構えていた。分かり難いように左手に剣を握り、後ろに向けて構えた。

 気配を感じ少し体を反らしたが、グサリと肉を切り裂く感覚があった。手に持った剣と自らの首とに。

「ば、ばかな?くそっ!」

 ブラッドは振り向様に頭を鷲掴みにすると、一気に地面に叩きつけて決着を見た。

 するとやはり頭に何かが入って来た。
 ブラッドは首にナイフが刺さったまま振り向き、ウォーターボールを出しまくり火を消した。

 するとガクッと膝を付き、意識が遠のきそうになってきたが、力を振り絞りナイフに手を触れてストレージに仕舞った。

 首から一気に血が吹き出し、急ぎ自らに回復魔法を使う。

 ふうと一息つく。
 すると4人が集まってきた。

「逃げた奴はいるか?」

「分からんな。逃げたと認識出来た奴はいないが、もしも逃げ果せた奴がいても大した数じゃない。それよりもお宝はあるのか?」

「勿論だ。取り敢えず俺のストレージに入れるぞ!天幕は駄目だ。燃やしたからな」

 そうして4人は棚にあったお宝をごっそり回収せんとして見て回った。

 そして取り急ぎお宝をストレージに入れる。2人が棚から取るとブラッドが触れてストレージに入れていく。サウラとタミアが外で見張りだった。

 今回一つスキルを奪い、今あるスキルはこうなったのであった。

 火魔法
 魔法反射
 剣術(上級)
 回復魔法
 怪力
 風魔法
 スティール
 水魔法
 テレポート(短距離転移)
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