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第33話 いざナイーブ村へ!そして2人の女の子と
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翌朝の準備は少し手間取った。ブラッドが鎧を着ると言ったからだ。
その為、ブラッドは村までレイガルドに跨がる。
そして宿の前に行くと、武装した4人が騎乗してブラッドを待っていた。
「お前ら、そんな格好でどうした?」
「あんたについていくんだよ。もう決めたんだ」
「お前らみんな奴隷を買ったって言っていなかったか?」
「ああ。帰ってきたら奴隷としては開放する事にしたよ。その、昨夜結婚を申し込んで受け入れてくれたよ」
「4人共か?」
4人が頷く。
「そんであんたの事を話したら、道中盗賊の出る所だから、護衛として行きなさいと言われたんだ。それでな、ここに来たらみんな居たんだよ」
「分かった。好きにしろ」
ブラッドは4人を仲間認定した。
「あのう、ブラッド様、この方達は?」
「俺の戦友だ。村と町の行き来の護衛をしてくれる。こいつらは強いぞ!何せあの死の崖下りを生き抜いた強者だからな」
そうして4人の仲間と共にナイーブ村を目指して出発した。
騎馬の5人の配置は3人が馬車の前、2人が後ろだ。時折交代し、ブラッドと話をしながら進んでいた。
そんな中、異変があった。村まで後数分といった所で土煙が見え、何かが向かってくる気配がするのだ。
ブラッドは歩みを止めて馬車に異変を知らせた。
皆には無理をするなとし、タミアは弓、ニスティーは槍を身構える。御者はマリーナだ。
ダリス、サウラは馬車を頼む。ガインとワンズは俺と来てくれ。
そうして騎馬の3人は先行して向かってくる者に対処しに行った。
すると2人の女の子が懸命に走っていた。騎馬の3人を見て一瞬固まったが、背後から迫る者から逃げるように駆けて来る。
ブラッドは馬を降りた。
「幼子よ、何かあったのか?」
10歳前後の女の子2人が手を繋いで息を切らせていた。
「おじさんは?」
「ナイーブ村に久し振りに帰る所だ。こんな所に女の子2人でどうした?」
「おじさん、助けて!村が盗賊に襲われているの!ああ、追いつかれた」
ブラッドはヒョイッと女の子を持ち上げるとレイガルドに乗せた。
「レイガルド、小さなレディを守って馬車に送り届けてくれ!それと俺はお兄さんだ!」
何か言いたげだったが、レイガルドは馬車に向かって駆け出した。
「ガイン、ワンズ、援護を頼む!」
「合点承知」
すると盗賊と思われる奴が6人現れた。
「おいおい、逃げた奴を追掛けたら兵隊がいるじゃねえか!クソッ!」
「構わねぇ、やっちまえ!こっちは倍いるんだ!囲んじまえ!あんな重いのをキきていたら動きは鈍いぞ!」
ブラッドは鎧を着ているのにも関わらず駆け出し、一気に距離を詰めた。そして剣ではなくアイスアローを放った。そう、先の戦闘時に水魔法のスキルを取得している事を今更だが思い出し、試しに使ったのだ。
「おいおい、あんた水も持っていたのか?戦で使えばもっと早くに開放されていたろうに」
「数日前に取得したんだ。って歯応えがないな」
あっという間に6人を殺していた。
「ガイン、ワンズ、身包み剥いでから馬車と共に村に来てくれ!ダリス、サウラ、交代だ。村に急ぐぞ!」
「ブラッド、待って!こっちはボクが何とかするから、ガインさんとワンズさんも行って!」
「嫌な事をさせるぞ!身包み剥ぐのはこいつらが何者か調べる為だ」
「うん。平気だよ」
「子供らの面倒はニスティー、お前に託す!」
一人の女の子が馬車から出てきた。
「私も行く!」
「子供は駄目だ!」
「おじさん達だけだと、私がいないと盗賊と間違えられるよ?妹は馬車の案内で、おじさんとは私が行くの。こう見えても土魔法を使えるのよ!」
「分かった。どうなっても知らんぞ!」
ブラッドはレイガルドに跨り、女の子を己の前に乗せたて4人に援護を頼み村に急いだ。
「お前達は村の子か?」
「うん。まだ持ち堪えていれば良いけど、お母さん達は教会に立て籠もっているの。私達は体が小さいから、抜け道から出れそうだったから救援を呼ぶようにと言われたの。えっと私がリリニアで、妹がアリアナよ」
「お父さんは?」
「私達が生まれる前に死んじゃったって。おじさんは独り身?もしそうなら私達のお父さんにならない?」
「会ったばかりなのに唐突だな」
「お母さんは美人で気立てが良いのよ!未亡人は嫌?」
「ははは。俺には将来を誓った娘がいてな、生きていればだが、その娘を迎えに来たんだ。悪いな。心に決めた娘がいるんだ」
「ちぇっ!つまんないな。お母さんは再婚しないのよね!良い縁談があったのに」
「お母さんに愛されているんだろうな。妹さんは何かのスキル持ち?って、君は土って言ってたがもうスキルが使えるのか?」
「うん!使えるわ!だからお母様に救援要請に行くようにとして送り出されたの。妹のスキルは直接聞いて!勝手には言えないわ」
そうこうしていると、煙が見えてきた。
「よし、おしゃべりはここまでだ。それとおじさんじゃない!まだ24歳のお兄さんだ」
「お母さんと一緒だ!」
「お母さんがさ、おばさんって言われて欲しいか?」
首を横に振る。
「じゃあお兄さんか・・ラッドと言ってくれ」
リリニアの耳にはブラッドとは聞こえなかったのであった。
その為、ブラッドは村までレイガルドに跨がる。
そして宿の前に行くと、武装した4人が騎乗してブラッドを待っていた。
「お前ら、そんな格好でどうした?」
「あんたについていくんだよ。もう決めたんだ」
「お前らみんな奴隷を買ったって言っていなかったか?」
「ああ。帰ってきたら奴隷としては開放する事にしたよ。その、昨夜結婚を申し込んで受け入れてくれたよ」
「4人共か?」
4人が頷く。
「そんであんたの事を話したら、道中盗賊の出る所だから、護衛として行きなさいと言われたんだ。それでな、ここに来たらみんな居たんだよ」
「分かった。好きにしろ」
ブラッドは4人を仲間認定した。
「あのう、ブラッド様、この方達は?」
「俺の戦友だ。村と町の行き来の護衛をしてくれる。こいつらは強いぞ!何せあの死の崖下りを生き抜いた強者だからな」
そうして4人の仲間と共にナイーブ村を目指して出発した。
騎馬の5人の配置は3人が馬車の前、2人が後ろだ。時折交代し、ブラッドと話をしながら進んでいた。
そんな中、異変があった。村まで後数分といった所で土煙が見え、何かが向かってくる気配がするのだ。
ブラッドは歩みを止めて馬車に異変を知らせた。
皆には無理をするなとし、タミアは弓、ニスティーは槍を身構える。御者はマリーナだ。
ダリス、サウラは馬車を頼む。ガインとワンズは俺と来てくれ。
そうして騎馬の3人は先行して向かってくる者に対処しに行った。
すると2人の女の子が懸命に走っていた。騎馬の3人を見て一瞬固まったが、背後から迫る者から逃げるように駆けて来る。
ブラッドは馬を降りた。
「幼子よ、何かあったのか?」
10歳前後の女の子2人が手を繋いで息を切らせていた。
「おじさんは?」
「ナイーブ村に久し振りに帰る所だ。こんな所に女の子2人でどうした?」
「おじさん、助けて!村が盗賊に襲われているの!ああ、追いつかれた」
ブラッドはヒョイッと女の子を持ち上げるとレイガルドに乗せた。
「レイガルド、小さなレディを守って馬車に送り届けてくれ!それと俺はお兄さんだ!」
何か言いたげだったが、レイガルドは馬車に向かって駆け出した。
「ガイン、ワンズ、援護を頼む!」
「合点承知」
すると盗賊と思われる奴が6人現れた。
「おいおい、逃げた奴を追掛けたら兵隊がいるじゃねえか!クソッ!」
「構わねぇ、やっちまえ!こっちは倍いるんだ!囲んじまえ!あんな重いのをキきていたら動きは鈍いぞ!」
ブラッドは鎧を着ているのにも関わらず駆け出し、一気に距離を詰めた。そして剣ではなくアイスアローを放った。そう、先の戦闘時に水魔法のスキルを取得している事を今更だが思い出し、試しに使ったのだ。
「おいおい、あんた水も持っていたのか?戦で使えばもっと早くに開放されていたろうに」
「数日前に取得したんだ。って歯応えがないな」
あっという間に6人を殺していた。
「ガイン、ワンズ、身包み剥いでから馬車と共に村に来てくれ!ダリス、サウラ、交代だ。村に急ぐぞ!」
「ブラッド、待って!こっちはボクが何とかするから、ガインさんとワンズさんも行って!」
「嫌な事をさせるぞ!身包み剥ぐのはこいつらが何者か調べる為だ」
「うん。平気だよ」
「子供らの面倒はニスティー、お前に託す!」
一人の女の子が馬車から出てきた。
「私も行く!」
「子供は駄目だ!」
「おじさん達だけだと、私がいないと盗賊と間違えられるよ?妹は馬車の案内で、おじさんとは私が行くの。こう見えても土魔法を使えるのよ!」
「分かった。どうなっても知らんぞ!」
ブラッドはレイガルドに跨り、女の子を己の前に乗せたて4人に援護を頼み村に急いだ。
「お前達は村の子か?」
「うん。まだ持ち堪えていれば良いけど、お母さん達は教会に立て籠もっているの。私達は体が小さいから、抜け道から出れそうだったから救援を呼ぶようにと言われたの。えっと私がリリニアで、妹がアリアナよ」
「お父さんは?」
「私達が生まれる前に死んじゃったって。おじさんは独り身?もしそうなら私達のお父さんにならない?」
「会ったばかりなのに唐突だな」
「お母さんは美人で気立てが良いのよ!未亡人は嫌?」
「ははは。俺には将来を誓った娘がいてな、生きていればだが、その娘を迎えに来たんだ。悪いな。心に決めた娘がいるんだ」
「ちぇっ!つまんないな。お母さんは再婚しないのよね!良い縁談があったのに」
「お母さんに愛されているんだろうな。妹さんは何かのスキル持ち?って、君は土って言ってたがもうスキルが使えるのか?」
「うん!使えるわ!だからお母様に救援要請に行くようにとして送り出されたの。妹のスキルは直接聞いて!勝手には言えないわ」
そうこうしていると、煙が見えてきた。
「よし、おしゃべりはここまでだ。それとおじさんじゃない!まだ24歳のお兄さんだ」
「お母さんと一緒だ!」
「お母さんがさ、おばさんって言われて欲しいか?」
首を横に振る。
「じゃあお兄さんか・・ラッドと言ってくれ」
リリニアの耳にはブラッドとは聞こえなかったのであった。
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