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第三章 リブート編
第83話 防壁の攻防
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ジークは先に戻って来ていたシャリンに指示をしていた。
「シャリンさん。申し訳ありませんが、緊急事態ですので、再び聖女様の元に行き、町が魔王軍の襲撃を受けている事を伝えて欲しいんです。その上で天空の絆のクランメンバーに対し、門の所に集まるように俺が言っていたと伝えてください。町の防衛に彼女達の力が必要です」
「は、はい。あのう、ジーク様は私の事をお嫌いじゃないのですか?」
「あっ!その、先日はシャリンさんの立場を無視して一方的に怒鳴ってしまいました申し訳ありませんでした。取り巻きの方に騙されていたって聞きました。それにあの勉強会の後、カレンに教えて貰っていたと聞いています。生き残ったら僕の勉強会に是非参加してください。って、余り時間がないのでお願いします」
そうしてシャリンを送り出したが、ジークが背中を向けるとシャリンは深々とお辞儀をしていた。
ジークは魔王軍との戦闘について考えたが、これはチャンスでもあると感じた。
この世界は経験値やレベルがあり、レベルが上がれば徐々に能力が上がっていく。だから魔王軍が攻め込んできていても、対処できる内容であれば、経験値稼ぎになる可能性もある。もちろん今のステータスから対処できない強い敵が現れたらアウトだが、こちらも向こうもまだ顕現したばかりで、鍛える前の初期戦力での戦闘になると踏んでいる。
今は町の鐘がけたたましく鳴り響き、一般市民は門から離れる方向に避難している。
神殿に行かなかった天空の絆の面々もギルドにいたので、そちらを引き連れて防壁に登った。防壁の上には多くの冒険者達がおり、兵士は門の内側で待機をしている。門が破壊されて防壁内に突入されたら兵士達が最後の防波堤になる。冒険者に比べ兵士の個の戦力は遥かに落ちる。それだけギフトの力は強力なのだ。
空を飛んでいる魔物がいるので、防壁にいる弓使いや魔法使いに対し、剣で戦える相手が護衛する必要がある。
取り敢えず、ユークリスに魔法使いと弓使い系の遠距離攻撃が可能な者と、近接戦闘系の者がペアを組み、それで対処するようにと指示をした。
魔王軍の第一陣というか、先鋒は少なかったようで、既に対処が終わっていた。聞いた話だと恐らく統制を無視した奴らが功を競い、飛び出してきたようだ。
そして今は第2陣というか、実質的な先鋒に備えている。遠くから煙が見えている事から第2陣が眼前に迫っている事が分かる。そうこうしていると、アーリアを除き聖女の元から戻り、天空の絆は全員集合になった。誰か一人は聖女の元に残り、護衛に衝いていた方がいいだろうという話になり、近接戦闘組でくじ引きを行った結果、アーリアが残る事になったと言う。
ペアを作らせていくが、ジークが己の護衛にはステージアを選んだ。アイシアはマリーシスの護衛だ。シリウスは正面の右側、天空の絆は正面左側に陣取った。防衛の要になるのはこの2つのクランだ。他のクランや冒険者は更に外側に配置された。
それらはギルドマスターが仕切っており、焦りの色が見て取れた。
ジークはシリウスにも何本かオリハルコンの剣を貸し与えたが、勿論天空の絆のクランメンバー全員にオリハルコン装備を渡していく。
レベルや実力に見合わない装備を渡す事になってしまうが、死んでしまっては元も子もない。発生したての魔王軍がどれ程のものなのか分からないが舐めて掛かると痛い目に遭う。
また、可能な限り、周りの者に補助魔法を掛けていった。
また、敵の先頭が見えてきたので、ジークはステージアに暫くの間完全に無防備になるので、守ってくれと頼んだ。
そう、対魔物用の極大魔法を放つ為だ。極大魔法自体は今のジークにも放つ事は出来るのだが、詠唱時間がやたらと長い。成長とともに詠唱時間が短くなるのだが、今のレベルでは本来使えない魔法だ。
だが知識があるので使えるのは使えるのだが、発動するのに5分程時間が掛かってしまう。その為、まだ戦闘に入っていない段階で極大魔法を唱え始めた。
唱ると言っても魔法陣を展開し、そこに魔力を込めている、そういう感じだ。時折ぶつぶつと番号を読み上げたり、第1ゲート開放、第2ゲート出力開始!第4ゲートを第2ゲートにバイバス接続などと、魔法陣の細かい制御を口に出しながら行っている。
そうしていると、上空に直径100mは超えるであろうという巨大な魔法陣が展開を始めた。皆その状況を見て驚いていた。
2発が限界か?ジークがそう呟いていた。
いつのまにか戦闘が始まっており、城壁の上にも多くの魔物が襲来していた。ジャンプ力の高い魔物や、空からの攻撃だ。中には岩を投げてくるのも有る。
何度となくジークも襲われており、特に多いのがハーピーのような魔物であり、ステージアはひたすら斬っていた。基本的に防壁の上から魔法や弓で地上にいる魔物を攻撃している。一部の者はギルドマスターの指示で対空戦闘をさせていた。
そうこうしていると、魔法陣の展開が完了したようで、ジークは行くぞとステージアに告げ、魔法の発動を始めた。
目標を見定める。一際大きなサイクロプスがおり、そいつをターゲットにした。
「グラビィティエクスプロージョンの発動だ!いっけー!」
そうすると黒いテニスボール程の玉が生成され、それをジークは左を前に出して狙いを定め、右手で押し出す形で、サイクロプス目掛け投射したのであった。
「シャリンさん。申し訳ありませんが、緊急事態ですので、再び聖女様の元に行き、町が魔王軍の襲撃を受けている事を伝えて欲しいんです。その上で天空の絆のクランメンバーに対し、門の所に集まるように俺が言っていたと伝えてください。町の防衛に彼女達の力が必要です」
「は、はい。あのう、ジーク様は私の事をお嫌いじゃないのですか?」
「あっ!その、先日はシャリンさんの立場を無視して一方的に怒鳴ってしまいました申し訳ありませんでした。取り巻きの方に騙されていたって聞きました。それにあの勉強会の後、カレンに教えて貰っていたと聞いています。生き残ったら僕の勉強会に是非参加してください。って、余り時間がないのでお願いします」
そうしてシャリンを送り出したが、ジークが背中を向けるとシャリンは深々とお辞儀をしていた。
ジークは魔王軍との戦闘について考えたが、これはチャンスでもあると感じた。
この世界は経験値やレベルがあり、レベルが上がれば徐々に能力が上がっていく。だから魔王軍が攻め込んできていても、対処できる内容であれば、経験値稼ぎになる可能性もある。もちろん今のステータスから対処できない強い敵が現れたらアウトだが、こちらも向こうもまだ顕現したばかりで、鍛える前の初期戦力での戦闘になると踏んでいる。
今は町の鐘がけたたましく鳴り響き、一般市民は門から離れる方向に避難している。
神殿に行かなかった天空の絆の面々もギルドにいたので、そちらを引き連れて防壁に登った。防壁の上には多くの冒険者達がおり、兵士は門の内側で待機をしている。門が破壊されて防壁内に突入されたら兵士達が最後の防波堤になる。冒険者に比べ兵士の個の戦力は遥かに落ちる。それだけギフトの力は強力なのだ。
空を飛んでいる魔物がいるので、防壁にいる弓使いや魔法使いに対し、剣で戦える相手が護衛する必要がある。
取り敢えず、ユークリスに魔法使いと弓使い系の遠距離攻撃が可能な者と、近接戦闘系の者がペアを組み、それで対処するようにと指示をした。
魔王軍の第一陣というか、先鋒は少なかったようで、既に対処が終わっていた。聞いた話だと恐らく統制を無視した奴らが功を競い、飛び出してきたようだ。
そして今は第2陣というか、実質的な先鋒に備えている。遠くから煙が見えている事から第2陣が眼前に迫っている事が分かる。そうこうしていると、アーリアを除き聖女の元から戻り、天空の絆は全員集合になった。誰か一人は聖女の元に残り、護衛に衝いていた方がいいだろうという話になり、近接戦闘組でくじ引きを行った結果、アーリアが残る事になったと言う。
ペアを作らせていくが、ジークが己の護衛にはステージアを選んだ。アイシアはマリーシスの護衛だ。シリウスは正面の右側、天空の絆は正面左側に陣取った。防衛の要になるのはこの2つのクランだ。他のクランや冒険者は更に外側に配置された。
それらはギルドマスターが仕切っており、焦りの色が見て取れた。
ジークはシリウスにも何本かオリハルコンの剣を貸し与えたが、勿論天空の絆のクランメンバー全員にオリハルコン装備を渡していく。
レベルや実力に見合わない装備を渡す事になってしまうが、死んでしまっては元も子もない。発生したての魔王軍がどれ程のものなのか分からないが舐めて掛かると痛い目に遭う。
また、可能な限り、周りの者に補助魔法を掛けていった。
また、敵の先頭が見えてきたので、ジークはステージアに暫くの間完全に無防備になるので、守ってくれと頼んだ。
そう、対魔物用の極大魔法を放つ為だ。極大魔法自体は今のジークにも放つ事は出来るのだが、詠唱時間がやたらと長い。成長とともに詠唱時間が短くなるのだが、今のレベルでは本来使えない魔法だ。
だが知識があるので使えるのは使えるのだが、発動するのに5分程時間が掛かってしまう。その為、まだ戦闘に入っていない段階で極大魔法を唱え始めた。
唱ると言っても魔法陣を展開し、そこに魔力を込めている、そういう感じだ。時折ぶつぶつと番号を読み上げたり、第1ゲート開放、第2ゲート出力開始!第4ゲートを第2ゲートにバイバス接続などと、魔法陣の細かい制御を口に出しながら行っている。
そうしていると、上空に直径100mは超えるであろうという巨大な魔法陣が展開を始めた。皆その状況を見て驚いていた。
2発が限界か?ジークがそう呟いていた。
いつのまにか戦闘が始まっており、城壁の上にも多くの魔物が襲来していた。ジャンプ力の高い魔物や、空からの攻撃だ。中には岩を投げてくるのも有る。
何度となくジークも襲われており、特に多いのがハーピーのような魔物であり、ステージアはひたすら斬っていた。基本的に防壁の上から魔法や弓で地上にいる魔物を攻撃している。一部の者はギルドマスターの指示で対空戦闘をさせていた。
そうこうしていると、魔法陣の展開が完了したようで、ジークは行くぞとステージアに告げ、魔法の発動を始めた。
目標を見定める。一際大きなサイクロプスがおり、そいつをターゲットにした。
「グラビィティエクスプロージョンの発動だ!いっけー!」
そうすると黒いテニスボール程の玉が生成され、それをジークは左を前に出して狙いを定め、右手で押し出す形で、サイクロプス目掛け投射したのであった。
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