奴隷勇者の転生物語

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第三章 リブート編

第61話 精算

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 まだかなり早い時間帯にギルドに戻る事になった。

 さすがに人数が多いので、各パーティーの代表者がパーティー員のカードを持ってカレンの所に行く事になった。

「皆さんお帰りなさい。早かったんですね」

 勿論ジークがカレンと話す。

「昼からワーウルフとかが出たので、稼ぎとしてはもう十分かなとなったんです。それと僕の方は森の中に入ってミノタウロスを倒してきましたので、取りあえず解体場を貸して欲しいんです」

「あれっ?確か孤高の剣ってミノタウロスの討伐に失敗したのではなかったでしたっけ?ミノタウロスはA級の依頼よ」

「元 S ランクパーティーのメンバー2人と、僕も A ランクの時のメンバーでしたからね。実力的にはミノタウロスを討伐するには十分だと思いますよ。それとワーウルフなど危険な魔物を予め狩り取っておこうと思ったんですが、ミノタウロスが出たっていう感じなんです。それと孤高の剣が失敗したのは、あくまで指揮を執ったダニーの失敗ですから、きちんと指揮をする者さえいれば、ミノタウロスなんてC級の大地の絆のメンバーだけで十分に対処出来ますよ」

「やっぱりジークは凄いな。そうだった、解体をするのよね。じゃあ皆さん解体場に行きましょうか。解体場のスタッフに声を掛けてから行きますので、先に行って始めていてくださいね」

 そうしてワーウルフ6頭とミノタウロス2体を出した。

 帰り道に大地の絆のメンバーと目配せをしアイコンタクトで何をするのか物語っていた。

「じゃあ大地の絆はミノタウロスの解体、他のメンバーはワーウルスの解体をお願いね。僕は手続きをしてくるよ」

 そうこうしていると解体場のスタッフが来て、早速初期査定をしていた。

 カウンターに行くと、手続きをするにあたって、カレンはもうジークがどうするのか予測していた。

「配分はワーウルフを3頭ずつあの子達にあげるのでしょう?大地の絆はミノタウロスのみね。あのミノタウロスのうち大きい方は、場合によっては S ランクの依頼になるわね。ちょっとマスターに聞いてくるわね」

 結局マスターと解体場に行き、ミノタウロスを確認したギルドマスターがため息をついていた。

 手続きが複雑になるが、一旦今持っている分の中からワーウルフの常時依頼分の討伐証明部位を提出し、常時依頼をした事のテツヅキをした。

 それでジークは B ランクに昇格になった。ギルドマスターはジークを早々にAランクに上げるつもりである。ギルドマスターからすると、元 A ランクパーティーにいた者のランクが低いのはよくないのだ。しかも実力がAランク相当以上にある以上、低ランクに止めるのはおかしな話である。

 本来はダメなのだが、新緑の森にてミノタウロスの討伐依頼があるのだ。Aランクの討伐依頼だが、依頼として受理してくれる事になった。

 大地の絆メンバーに対し、ジークは自分の能力について正直に話しをした。その為アイシアもマリーシスも知らなかったので、大層驚いていた。孤高の剣では最後までジークのストレージについては、正確な情報を伝えなかった。あくまで特殊なのは時間停止がある事で、容量に今のところ制限がないという事は誰も知らなかったのだ。

 人数が多いのであっという間に魔物の解体が終わり、金額が確定したので一旦全員が会議室に集まり、お金の分配をした。ワーウルフの分は遠慮していたが、ミノタウロスの金額がいくらかを聞いて驚いており、ジークの遠慮するなとの一言で皆頷き、いただきますという事になった。

 ただし、ジークはワーウルフの分は出来れば装備、特に防具関係にそのお金を回して欲しいと伝えた。

 それとこの日の残り時間は折角なので、戦闘訓練をする事にした。

 ジークも得意だが、ダガーの扱いについて、得意な者が各々不得意な者に教える事になった。

 戦士系の者でもサブウェポンとしてダガーは必ず身に付けるものである。非近接戦闘系の者、つまり魔法使い系の者も魔法の発動の合間に接近されてしまった時などはダガーや杖で身を守らねばならない。

 特に遭遇戦や混戦になった場合、隊列もなにもあったものではないので、そういった時には特に魔法使い系にとってダガーが頼りになるのだ。また、狭いところ等で剣を振り回せられない時にはダガーの出番である。

 訓練をしたのは小一時間程であったが、実戦を想定しての扱い方を伝えており、皆真剣に取り組んでいた。因みにローシェルやリースティアも使い方をよく分かっていなかった。

 ジークの狙いは戦力の底上げもあるが、自衛力の向上が最大の狙いである。

 森を進んでいる時に森の横から急に入られて中衛が襲われる事もある。なので相手を倒すことよりも身を守ることを重点的に教えていた。

 ただ、大地の絆の配分は少し特殊だった。

 各自金貨50枚の受け取りとし、残りの500枚をパーティ用の資金としたり、その他はジークが個人的に負担したお金の分の補填を完了させる事にした。

 そしてこの日は全員がというよりカレンも加わりジークのおごりで夕食を皆で食べた。

 食事の時にユーリクスが皆と話を進めており、まだ少し早いかもだがと断りを入れ、クランを作ってはどうかと提案してきた。

 当然の事ながら団長はジークである。

 もちろんシリウスもクランを持っている。
 ジークがホエーとなっていたが、皆から拍手をされ、既に団長やジーク団長と言われるのであった。
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