奴隷勇者の転生物語

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第二章 大地の絆始動編

第29話 初依頼へ

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 隣村までは歩いて一時間程度とかなり近い方だ。その為歩いて向かう事になった。

 今日の装備だが、ジークは軽装だった。丈夫な冒険者用の服の下に心臓を守る胸当て、篭手、皮の脛当て位で、ほぼ動きに規制がかからない装備だ。ユーリクスとアーリアも似たような感じだ。アーリアはビキニアーマーを着ており、その上に服を着ている。ギャレッジだけは革鎧を着ていた。また、ローシェルとリースティアは普段着としか思えなかった。ローシェルはサイズの合う冒険者用の服が無かったのだ。

 道中の街道は王都の近くと言うのもあり、人の行き交いが盛んだった。目的の村から一時間位歩いた所にソランの街があり、殆どの旅人はこの村には立ち寄らない。魔物も少なく、農業の盛んな村だ。

 ジークは町を出て直ぐに視線を感じたが、その後は特に何もなく、気の所為かな?位に思っていた。

 ジークが難しそうな顔をしていたので、ローシェルが文句を言った。

「ジーク、何を辛気臭い顔をしているのよ。似合わないわよ」

「あ、いや、誰かが見ていたような気がしたから、なんだろうなって」

「そりゃあジークさんは有名人ですもの。あっ!あの人って?っという感じで通り掛かった人がふと見たんじゃないですか?それより、ほら、いい天気じゃないですか!スマイルスマイル!」

 リースティアは天然さんのようで、天真爛漫っていうのかな。このパーティーのムードメーカーだ。ユーリクスはお調子者で下ネタが多く、いつもローシェルに叩かれている。妙に仲が良いなと感じている。

 そしてギャレッジは相変わらず無口で、その口からはまだ二言しか聞いていない。

 ローシェルとユーリクスはよく喧嘩をしているが、大抵しょうもない事だ。例えば食べ物の塩っ辛さだ。昨日のシチューの味が塩加減が薄かったってユーリクスが言うと、ローシェルは塩辛かったと言っていた。

 僕はその時敢えて言わなかったが、ローシェルに出されたと思うシチューを腹減ったと言ってとっとと奪って食べていたのだ。次に持って来たサラを置く時に戸惑いの表情が有ったから、多分近接戦闘組とそうでない者で塩加減を分けていたと思うんだ。まあ見てて飽きないから取っくみあいにならなきゃ放置かなと。

 アーリアは僕が止める前に大概二人の頭を叩いて話を終わらせる。
 ただ、アーリアは真面目過ぎる。少しからかうと直ぐに食って掛かってくるし、手も早い。すぐに剣に手を掛ける。
 何より口調が堅い。

 中々個性豊かな面々だと思うけど、僕ってどんなキャラと見られているのかな?そう思う。僕が5人の事をあーでもないこーでもないと勝手に評価するように、向こうも評価しているだろうと。

 ユーリスクだけは絶対にブレない自信がある。兄貴って無条件に慕ってくれているのが分かる。ローシェルも問題ない。既に他のメンバーと同じように扱ってくれているから、気を許してくれているっぽい。問題はリースティアとアーリアだ。命の恩人としてしか見ていないような気がする。口調が明らかに目上に対するものだから、少し気になるんだよね。まあ、これから仲良くなれば良いかな。

 ただ一つ言えるのは、悪い気はしないけど、頼られているのは確かだった。格好つけたいのもあり、自信たっぷりな余裕感を出していた。それまではあいつの顔色を伺っていたけど、それが必要なくなったからか、ジークの本来の性格なのか、スキルの影響からか、リーダーになった影響からか面倒見の良い頼れるお兄さんキャラになりつつあった。

 そうしていると、何事もなく村に着いたので、そのまま依頼を発注した村長のところに向かった。

 村の入口でギルドの依頼で来たと告げ、村長の所を教えてもらい、言われたところに向かったが直ぐに分かった。
 村長がいたのですぐに応接に通され、魔物の出没地点の近くまで案内してくれる事になり、村長の代わりに案内する者を呼びにやっていた。

 案内されたのは畑に向かう村の者しか使わない道だった。

 ゴブリンの目撃が有った所までで勘弁して欲しいとなったが、更に5分程進むとオークが出没したとの目撃地点があるとの事だ。特に同行して貰う必要を感じなかったので、案内人には帰ってもらったのであった。
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