奴隷勇者の転生物語

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第一章 リスタート編

第10話 森からの襲撃者

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 僕が王都に来て三日目の朝を迎えた。それはつまり、僕が孤高の剣を放逐されて4日が経った事を意味するんだ。絶対に後悔する位に強くなってやる!そして俺達が間違っていた。戻ってきてくれ!と言わせるんだ。勿論ドヤ顔で断る!但し、あいつが僕の靴を舐めたら考えよう!それが今の僕の心の支えにしている見返してやりたいという思いなんだ。

 恋人が出来たら変わるのかな?流石にカレンさんには彼氏がいるよな・・・僕なんか見向きもされないよな・・・そんな事を思っていた。

 カレンが気にはなるのだが、奥手なジークは食事にも誘えないヘタレだ。

 カレンさんに明日はギルドに寄らずにそのまま薬草採取に行くので、顔を出すのは夕方になると思うと伝えた。その時にカレンさんが残念そうな顔をしていたのだが、その事に今の僕には気が付く余裕はなかった。もし気が付いていたら気の利いた事を言えたかもだけど、復讐をしたいという思いが邪魔をしていたんだ。

 宿で朝食を食べた後弁当を受け取り、その足でまたもや薬草採取に向かった。

 昨日は2日前よりも少し多目に薬草を取っていたが、今日は遠慮する事なくいきなり森の近くの薬草の多い所で採取を始めた。

 だが、驚いた事に途中からひとつのグループが森の近くで採取を始めたんだ。

 なんだ他の人も来るんじゃないか!と思ったが、僕は順調に薬草を取っていた。そろそろ昼食を食べようかなとなった時点では特に何もなかった。そのグループは仲が良く和気あいあいだった。凄い凄い!いっぱいあるよ!とキャッキャキャッキャと騒ぎながら薬草を採っていた。

 様子を見てみると、どうやら男の子2人と女の子3人の僕と同い年か冒険者になりたての者達かな?というような年齢のように感じた。

 ジークは楽しそうで羨ましいなと、僕のいた所とは大違いだなとしみじみと思い、羨ましいなと憧れを感じつつ、のほほんと見ていた。

「おい見ろよ、すげーぞ!こっちの方がもっといっぱいあるぞ!」

「本当だ!凄いね!」

 そんな感じで彼女達は段々と森の方に近付いて行った。

 やがて文字通り森の入り口で取り始めていた。 

 すげーな!ここの方がいっぱいあるぞと歓喜の声が聞こえていた。女の子達からはこれで今日はお風呂に入れる!等の声が聞こえていた。まあ人それぞれ色々あるよなとのほほんとなりながら採取をしていた。

 そうしていると、森から何かが出てくる気配がした。僕はやばいと思い薬草を収納に入れ、剣を出して辺りを見回した。するとよりによって、先程から声のしている子達の方から魔物が近付いてくる気配がした。

 流石にまずい!と思い咄嗟に叫んだ。

「君達まずいぞ!そこから逃げるんだ!森から何か出てくるぞ!」

 ほえ?というような情けない顔をし、女の子達は僕の方を見た。見るのはそっちじゃないと想ったが、漸く男の子が何かの音がしているという事が分かったようで、急ぎ薬草をストレージに入れていた。いや違う!そんな暇はないから逃げろよと叫ぼうとした。

 僕が叫ぶより先にもう一人の男の子が叫んだ。

「不味いよ!何かがあっちから出てくるよ!みんな逃げなきゃ!」

 皆気が付いたようで、森から離れる方向に5人が走り出した。

 そうするとオークが2体出てきた。僕は思わずなんだオークかよと唸ったが、よくよく見ると、そのオーク達は必死の形相で逃げているとしか思えなかった。

 そうしていると複数の獣型の魔物が出てきた。どうやらCランクの魔物であるワーウルフのようだ。最悪の状況である。

 そして足の遅いオークに追い付き、またたく間に仕留めた後、5人組にヘイトが向いた。そしてワーウルフが5人目掛けて一斉に駆け出した。

 最後尾を走っていた女の子が躓くと転けた。あっ!となり、僕もそちらの方に向かって走っていたが、その転けた女の子に向かってまず一頭が飛び掛かった。咄嗟の事だったけれども僕は間に合ったようで、なんとか剣でその爪を受け止めた。女の子は目を瞑り、恐怖から震えて失禁していた。ガキーンという音と共に蹴りを入れ、ワーウルフを蹴飛ばした。

 だが、浅くしか入らず、単に弾き飛ばしただけだった。それでもワーウルフの脚を止める事には成功した。

 ワーウルフと睨み合いになっており、5人組は各々武器を出して身構えたと言いたかったが、武器を持たぬ者もいたのだった。

 
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