奴隷勇者の転生物語

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第一章 リスタート編

第5話 薬草採取

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 受付嬢のカレン聞いたお勧めの薬草採取の場所は、新緑の森の手前の草原だそうだ。まるで新緑のような瑞々しい葉をつける木々があるので新緑と名付けられているとウンチク話をしていた。

 そこは魔物の少ない草原で、冒険者に成り立ての初心者にうってつけの場所だった。但し、その奥に有る新緑の森にはそこそこ強い魔物がいるので近付かない方が良いとアドバイスを貰っていた。間違っても森には入らないようにとも釘を刺されたくらいだ。

 そこはだだっ広い草原で、所々女性を中心に若い冒険者が薬草を採取しているのが分かる。

 他の人と少し距離を置くのがマナーだと教えてくれた。

 ここら辺かな?と場所を定め薬草の採取を開始した。

 薬草採取ポイントというかマナーは、葉っぱを2枚を残す事によりその株を裸にしない事だ。葉が2枚残っていれば翌日にはまた採れるのだという。

 僕は少し出遅れたようで、仕方がないのであまり人のいない森の近くに行ったんだ。案の定まだ手付かずで面白いように薬草が取れていたんだ。

 ジークは途中でお昼休憩を挟んでからも採取を続けた事も有り、かなりの量が取れた。この場所は回復ポーションと毒消しポーションの材料になる薬草が豊富との事だったが、採取してみると聞いた通りだったのが判った。時折薬草だとは判るが、何に使う薬草なのかや、価値が分からないのが有った。価値のある薬草だったらラッキーだよなと取りあえず取ってみた。どうやらいつの間にか獲得していた鑑定のスキルが薬草とそうではないのを見分けてくれるが、薬草の名前自体は分かるが、知識がなかったからあまり意味をなさなかった。だから後でカレンさんに教えて貰おうと思ったんだ。まあ、ストレージに入れといて、価値がないと判れば捨てれば良いとして取っていったんだ。

 小休憩をしている時に僕はギルドでステータスを見る事が出来るのなんて知らなかったな!等と少し考え事をしていた。

 孤高の剣にいた時はリーダーが依頼達成の報告をする時に皆のカードを集め、そのままリーダーが手続きをするのがいつもの事だった。
 僕は知らない事が多いのだと先のカレンさんの反応から分かった。普通はリーダーはそんな事をしない。各自で自分のカードを受付嬢に渡し、そこで貢献具合の配分をパーティー全員の前で受付嬢に告げ、不公平や決めている事を無視されるトラブルを避けるのが普通だと。どうやら僕のギルドランクが上がらないのは、貢献値の配分に悪意を込められているとしか思えないとカレンに言われたのだ。つまり騙されていたのだと。言われてみれば心当たりが多々ある。

 過ぎた事をあれこれと考えても仕方がないので、自分の事を考えるようにした。

 スキル統べる者ってなんだろう?冒険者に成り立ての時は全属性適正しか無かったのに、いつの間にか増えてるし。

 この統べる者ってなんだろう?と思うと頭の中にスキルの詳細が思い浮かんだ。どうやら鑑定のスキルが発動したようだ。

 スキル統べる者
 行い次第で人心を把握し、偉大なリーダーになる素質の持ち主に現れるスキル。成長と共に人々を支配しうるだけの絶対的な力を得る事が可能な程に、心身の成長を促す成長補正。

 正直僕にはよく分からなかった。ただ、能書きはともかくとして、最後の成長補正が気になった。だが、まだ追放されたショックからか僕が若いからか、そのスキルの意味するチートとしか思えない内容について気が付いていなかったんだ。

 所がダニーはいち早くこれに気がついており、自分の立場が危うくなると見抜いていたのだ。ジークがいずれ勇者のギフトを超える力を得て、パーティーを奪われると思い、しょぼい装備しか与え無いなどと小細工をしたりしていた。そうやって活躍をさせないようにわざとサポーターに徹しさせていたり、窮地に追い込んであわよくば魔物に殺させようとしたのだ。追放された日のサイクロプスとの戦いも、男3人が結託してわざとサイクロプスをジークの方に誘導していた。手こずったのは怪しまれずにジークの方に誘導する事だった。残念ながら女性陣が倒してしまい、ジークの始末に失敗したのだ。

 だが、依頼達成報告時にSランクへの昇格の話を聞かされた。今だ!と思いジークの追放の理由を無理やり考え、遂に念願の追放をしたのだ。

 ジークは薬草採取も中々面白いなと思いながら採取をしていたが、ふと周りを見るともう誰もいなかった。やばい!と思い慌てて撤収し、町に戻り始めた。

 帰り道に一度ホーンラビットと偶然鉢合わせになりさくっと倒したが、それ以外は特に何事も無く無事に町に戻ったのであった。
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