漆黒の私刑人〜S級パーティーを追放されたので今度は面倒事から逃げてのほほんとしたいのに・・・〜

KeyBow

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第1章 王都編

第69話 4人での初依頼

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 今日はソシアのレベル上げと、戦闘に慣れて貰うのもあり、ゴブリンの討伐に向かう。

 出現エリアは情報屋から教えて貰っている。

 ヤーナからの情報も一致する事からヤーナをギルドに送ってからゴブリン駆除に向かう。

 しかし・・・ソシアが辛そうで、回復魔法をこまめに掛けていき、1時間で行ける所を1時間半も掛かった。

 申し訳なさそうにしていたが、そういう事を含め、課題を見付ける為に来ていると特にマリニアが優しくしていた。

 スニシスもソシアと仲良くしていて、俺は3人の後ろを警戒しつつ歩いていたが、時折意味ありげな視線を向けて来るが、どうせ俺の悪口を言っているんだろう。

 女の中に男が1人・・・来たれ男の冒険者!
 でも鼻の下を伸ばして彼女達目当ての奴はお父さん許しませんからね!

 ゲフンゲフン。

 帰りはおぶって行く事になるかな。
 取り敢えず戦闘を経験して貰うだけだから、今日は俺はソシアの護衛に徹っし、スニシスをメインにしてマリニアはサポートかな。

 スニシスもまだ不慣れだからな。

「よし。今日はスニシスがメインで攻撃しマリニアは式だ。可能ならスニシスへの指導とフォローを頼むよ。ソシアは見学と自衛な。万が一の時は俺が皆を守るが、それまでは俺は見ているだけだから頑張ってくれ!」

 俺の提案に3人は「はい!」と返事を返す。

 素直でよろしい。

 道を逸れ、林を進む。
 マリニアの本領発揮だ。
 索敵と誘導については指示をしていないが、自分で考え行動している。

 指示待ち人間が多い中、マリニアはちゃんと受けた仕事についてどうやれば達成出来るか考えている。

 やはり俺が拾ったのは石ころではなく、ダイヤの原石だと再認識した。
 ちゃんと光り輝くダイヤにしてやるのが俺の役目だ。

 時折止まっては気配を探り再び進む。

 ふと片手を上げて皆を止めた。
 首を振りつつ俺のところに来た。

「どうした?」

「うん。ゴブリンじゃなく、もっと強い何かの気配がするし、こっちに気が付いているようなんだ。どうする?」

「まあそんな事もあるさ。ゴブリンが多くいるだけであり、他の魔物がいない訳じゃないからな。取り敢えず当初の予定通りで行く。魔物の種類によっては俺がやるが、可能なら2人で殺れ。ただ、無理はするなよ」

 スニシスと打ち合わせし、2人はマリニアが気配を感じだ魔物の方へと向かう。

 すると3体のオークが走ってきた。

「ボクは真ん中、スニシスは右、ランスタッドは左を頼みます」

「了解」

 ソシアの手を引き、左側のオークに投げナイフを投げて注意を引き、10mに近付くと俺も駆けて1振りで倒す。

 2人を見ると各々の分を倒しきったようだ。

 スニシスは矢で両目を射抜き、近付いてショートソードでトドメをさす。

 マリニアは落ち着いて棍棒を躱しつつ首筋を斬り、動きが止まった所へトドメの一撃で難なく屠った。

「2人共オークを1体単独で倒すなんて凄いぞ!」

 2人はハイタッチして俺が褒めるのをこそばゆがっていた。

「キャー」

 ソシアの悲鳴だ。
 俺が振り向くとソシアの目の前に現れたレッドベアーが、腕を振りかぶっていた。
 俺のミスだ。
 マリニアのいうもっと強いのはこいつだ。

 B級で頭は悪いが、力がかなり強い熊だ。
 俺はソシアを庇って抱きしめると横に飛んだ。

 背中に激痛が走る。
 俺だけならどう問いう事はないが、ソシアを助けるのに無防備に背中をさらさざるを得なかった。

 ゴブリン退治だからと鎧も着けていないから、もろに怪我をした。

 魔物相手に怪我をしたのはこの1年記憶にない。
 片膝をついたがソシアを見る。

「すまなかった。怪我はないか?」

「そ、そんな。ランスタッド様、血が・・・」

 俺は痛みで意識が朦朧としたかのように振る舞い、這いつくばった。

 勿論ヒールを使ったから直に治るだろう。
 俺は地面に倒れたように伏せ、2人の反応を見る。

 マリニアならソシアの援護があれば倒すまでは行かなくても、逃げるところまで追い込めるだろう。

 彼女達の成長の為に丁度良いなと思い、一芝居打つ事にしたのであった。
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