上 下
58 / 119
第1章 王都編

第58話 専属契約

しおりを挟む
 冒険者が女性を注視している場合、ステータスを鑑定しており、けしからん内容を見ていると判断され兼ねない。

 俺が1分程見ると全てが見える。
 賢者等は30秒位だが、そんな時間見も知らぬ者、承諾している者を見るのはトラブルになる。

 ただ、男同士だと何人の女とやったかを競ったりする猥談のネタに使われたりする。
 冒険者とはそんなものだ。

 で、結婚前の女性が処女証明をする為に鑑定持ちにお金を払い鑑定する事がある。
 特に貴族の令嬢が親に連れられ清い乙女だと証明し、非処女だと勘当させられるのだ。
 家名に泥を塗ったとされる。

 で、このヤーナの行動を失念していたが、ステータスを見させるというのは経験人数を晒す事を意味する。

 ヤーナは清らかな乙女だったから俺にそれをアピールしたいのだろうが、これはあれだ。
 専属契約をするのに気に入られようとしたのだろう。

 冒険者の男は受付嬢を彼女にしたい!モノにしたいと下心が働き、それで稼ぐしょうもない生き物だ。
 俺もそんなふうに彼女を見ていると思われているのか・・・

 うむ。
 適度に距離を取りそんな目で見ていないと分かって貰おう。
 勘違いしてはいけない。
 契約の為に好きでもない俺の好感度を上げ、気に入られる為の行動だ。

 こんな綺麗な受付嬢が俺なんて好きになる訳がない。
 危ない危ない。
 確かにちょっと抜けていて愛嬌もあり、彼女にしたいと、こんな女性が彼女だったらなと思う。
 それとなく彼氏がいないかマリニアに聞いてもらおう。

 いや、それよりこのソシアだ。
 奴隷と主人の関係になっている。
 ちゃんと1人の女としてオレなんかと違い、素敵な彼氏を見付け、その者と結婚をして子を産む権利がある。

 子を産むのが幸せになるのか分からないが、子を得ると変わると酒場で聞こえてきていて、ベテラン冒険者が若手に早く嫁さんを見付け、ガキを作れと言っていたな。

 俺には父親になる資格なんかないのさ。
 でもあの子達の父親代わりをする事になってしまった。

 俺がそんな物思いに耽けながらヤーナの後ろを歩いていたが、急に腕を引っ張られたが、俺は目の前のヤーナにぶつかってしまい、倒れてしまう。

 ヤーナのイタタタとの呻き声が聞こえるが、俺の視界は真っ暗だ。
 少しして真っ暗な原因の俺に被さっている布をどけたが、そこにはM字開脚したヤーナがおり、俺はヤーナのスカートの中に頭を埋めた形だったのだ。

 俺は土下座を敢行する。

「ぼうっとしていた。すまない」

「ランスタッドさんだから気にしていませんから。少しびっくりしましたけど、急に止まった私も悪いので、
 起きてください。それよりも見ました?」

「薄いブルー・・・」

「いや~ん!ランスタッドさんのエッチぃ!」

 おかしい・・・怒られなかった。
 そう、専属契約をした後ギルドマスターの部屋に来ていた。
 そんなラブコメはともかく、ドアをノックしようとしたらギルドマスターが歩いて執務札に戻って来ており、手には資料を持っていた。

「ギルドマスター。緊急で報告があります」

「ランスタッド君絡みか。うむ。入り給え」

 応接に座るように手振りで示され、両手に花で座る。
 ヤーナはてっきりギルドマスターの隣かと思ったが、肩が触れていて彼女の髪がふわっとなり、俺の鼻腔をくすぐる。
 良い匂いだな。

「・・・で私は先程専属契約をして頂きました」

「サンタナ君が怒るのではないのかね?」

「先日も言いましたが、彼は嫌いです。私の事を娼婦を値踏みするような厭らしい目でしか見てきません。あまりにもしつこくて退職を考えていた所、ランスタッドさんと出会いました。彼なら結婚を前提としたお付き合いも可だと思う紳士でした」

 あれ?結婚を前提とした?
 サンタナと契約をしたくないから当て馬にしたのじゃないのか?

「ランスタッド君、彼女はいるのかね?もしいなければヤーナ君と付き合うのもありだし、私は公認しよう。と、王都に来たばかりだったね。少し話が飛躍しましたが、専属契約は受付嬢の権利で、自己責任です。勿論ランスタッド君なら歓迎するよ。ヤーナ君を頼むよ。ところでそれだけなら緊急ではないね?そちらのメイドさんが本題になるのかな?」

「はい。先程館を見に行った時に・・・」

 俺はソシアが奴隷としてあそこにおり、奴隷から開放した旨と大聖女だと言う事を話し始めたのであった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

俺は善人にはなれない

気衒い
ファンタジー
とある過去を持つ青年が異世界へ。しかし、神様が転生させてくれた訳でも誰かが王城に召喚した訳でもない。気が付いたら、森の中にいたという状況だった。その後、青年は優秀なステータスと珍しい固有スキルを武器に異世界を渡り歩いていく。そして、道中で沢山の者と出会い、様々な経験をした青年の周りにはいつしか多くの仲間達が集っていた。これはそんな青年が異世界で誰も成し得なかった偉業を達成する物語。

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

異世界複利! 【1000万PV突破感謝致します】 ~日利1%で始める追放生活~

蒼き流星ボトムズ
ファンタジー
クラス転移で異世界に飛ばされた遠市厘(といち りん)が入手したスキルは【複利(日利1%)】だった。 中世レベルの文明度しかない異世界ナーロッパ人からはこのスキルの価値が理解されず、また県内屈指の低偏差値校からの転移であることも幸いして級友にもスキルの正体がバレずに済んでしまう。 役立たずとして追放された厘は、この最強スキルを駆使して異世界無双を開始する。

処理中です...