漆黒の私刑人〜S級パーティーを追放されたので今度は面倒事から逃げてのほほんとしたいのに・・・〜

KeyBow

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第1章 王都編

第53話 奴隷の女

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 非常に困った。
 女というか、美少女の性奴隷がいたのだ。

「ヤーナさん。この子の扱いってどうすれば?」

「ランスタッドさんの物になりますね」

 俺が困った顔をするとヤーナさんが続けた。

「まずこの人は奴隷で、どうやら男爵を殺したランスタッドさんの奴隷になったようです。奴隷の主人を殺すと殺した者が新たな主人となります。それに奴隷は物扱いです。この館は中にある物を含めランスタッドさんにお譲りするので、もしも主なしであってもランスタッドさんの物だと主張出来ますよ」

「君の名は?」

「御主人様、名を下さい!」

「参考までに奴隷になる前の名前は?」

「ご命令でしょうか?」

「いや。命令はしたくない」

「命令をお願いします」

「ランスタッドさん。元の名を名乗るのには命令がないと言えないようにされている奴隷もいると聞いた事がありますわ」

「まあいい。君は性奴隷って言っていたがいくつか聞きたい。まず、奴隷から一般人になる事が可能なのか?可能ならその方法は?次に何で奴隷落ちになったんだ?それと性奴隷としてではなく普通のメイドとしてこの館で働く事は可能か?」

「あっはい。私は金貨3800枚で買われました。今だと買い戻しには7600枚、処女を捧げた後は金貨2000枚があれば買い戻し出来ますが、御主人様の気まぐれで開放して頂ける場合、金貨5000枚を奴隷商に払わなければならず、実質無理な話です。私が何故奴隷になったのかは分かりません。物心付いた時には奴隷でした。聞いた話だと5歳の頃奴隷となり、段々と美人に育ってきたからと高級奴隷として教育を受け、1番高く売れる17歳になりオークションに掛けられました。勿論メイドとして働く事は可能です」

「もし今奴隷から開放されたとしたら身の振り方はどうする?」

「御主人様に一生お仕えしたいと思います」

「自由になったらの話だぞ?」

「あっはい。やはりお仕えしたいと思います。世間を知らない私は御主人様の庇護下にいないと何もできません」

「ヤーナさん。俺がこの場でこの子を自由にしたら問題は起こりますか?」

「無理ですよ。そうですね。もしできるとしても何もないですよ。勿体ないだけですよ。こんな美人の性奴隷を何もしないうちに開放するなんて無いですよ」

「ヤーナさん。秘密を守れるか?」

「えっ?」

「秘密を守れるならこの子を奴隷から開放する所を見せてやるよ」

「じゃあ私と専属契約をお願いします」

「君はまだ専属を持っていないのか?」

「先週受付嬢になって2年になるので、専属を持てるようになったんです」

「俺なんか冒険者登録しているのはマリニアと2人で、もうひとりは弓の腕は凄いがギフトは来年のスニシスの3人だぞ。だから、もっと稼ぎが良いヤツの方が良くないか?」

「ランスタッドさんを気に入ったのではだめですか?稼ぐかどうかなら問題ないですし、それに稼ぐと思います。実は・・・それと来週までに専属をえられなければサンタナ氏の専属にさせられそうだから是非お願いします」

「あいつSだぞ」

「あの人嫌いなんです。やらせてくれたら専属になってやるとか、デートしろとか、変な下着をプレゼントしてきたりとしつこいんです。いつも私の旨をジロジロ見て気持ち悪いんです」

「君がターゲットにされたか。じゃあ契約をしよう」

「よし、見ていてくれよ。取り敢えず椅子に座ってじっとしていてくれよ」

 俺は集中し、スニシスの首輪を破壊したように結界を発動した。
 するとパリーン!と乾いた音と共首輪が破壊された。

「エエエエエエエエー」

「ほら。首輪が外れたぞ!これで君は自由だ。もし希望するならこの館のメイドとして雇いたいが、もしどこか他に行くなら独り立ちする為の金位何とかするぞ」

 泣きながら俺に抱きついてきたので、そっと背中を擦り落ち着くのを待った。

「や、雇ってください!行くところがありません・・・」

「じゃあ自己紹介から始めようか!俺はランスタッド・・・」

 そうして取り敢えず自己紹介を始めるのであった。
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