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序章 私刑人誕生編
第31話 情報屋にて情報を得る
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俺が奴隷商について調査依頼をしている情報屋は、俺の知る限り1番腕の立つと言っても良い程の情報屋だ。
ひとところに長居しないといい、絶対俺の後をついてきているなと思うほどどこに行っても見る。
実は同じ外観をした兄弟が沢山・・・いないわな。
こんど首根っこを掴んでじっくり聞きたいな。
しかし情報屋に入ると、奴は今までに見た事のない難しい表情を見せた。
俺の顔を見るなり首を横に振ったのは初めてだろうか。
「旦那の一番知りたい事でやすが、今年の闇市が中止になりやした。奴隷商はこの町の領主や有力貴族が注文していた表の奴隷を納品しただけで、もう1台の馬車に乗せていた奴隷はそのままで慌てて町を出て行きやしたぜ。こちらも表の奴隷でやした。どうも見張りを防壁の入口近くに配置していたようでやして、旦那が連れてきた子供達が奴隷商が連れてきていた違法奴隷だという事を把握し、領主達の所に奴隷を引き渡すと逃げるように町を去っていったという事でやす。旦那が睨んだ通りこの奴隷商は曲者ですな」
「見られていたのか。悪い、気が付かなかった」
「へい。それと、奴隷商が予め派遣しておいた部下達の事でやすが、漆黒の私刑人により壊滅した盗賊団の中に忍ばせていたようでやして、部下が殺られた事を把握して闇市の開催を断念したようでやす。それとこの町の領主や貴族共はグレーでやす。残念ながら証拠がありやせん。過去に闇市に参加していた形跡がなく、今回奴隷商から購入したのは表の奴隷でございやすからね。違法奴隷を買う為の隠れ蓑の可能性が高いと思いやす」
情報屋は一旦話を切り、俺の顔を伺った。
「旦那はこれからどうするので?」
「保護している子供達を王都に連れて行く。子供達を連れてでは今から追い掛ける事もできないしな。向こうで探すさ。その奴隷商について教えてくれ。確か王都には複数の奴隷商がいるよな?俺達は3日後に王都に行く行商人の商隊に便乗させてもらう事で話がついている。護衛兼用だがな」
「そうでやすか。それではまた明日にでもお越しくだせえ。もう少し詳しく調べておきやすぜ。今ある情報はこれだけでやす」
「分かった。急かせてすまなかったな」
「おっと。旦那、今から下町に行きなされ」
情報屋が地図を渡してきた。
今回の闇市に参加する為に来ていた者の1人の滞在場所だけでやすが、判明いたしやした。その中でそいつだけが赤文字でやして、今はまだどうやって町に入り込んだのか分かりやせん」
俺は頷くと大雑把な人相書きを含む紙を貰い情報屋を後にした。
人のいない所で黒装束に着替え、地図の場所を頭に叩き込んでからそいつの所へと闇夜を進むのであった。
ひとところに長居しないといい、絶対俺の後をついてきているなと思うほどどこに行っても見る。
実は同じ外観をした兄弟が沢山・・・いないわな。
こんど首根っこを掴んでじっくり聞きたいな。
しかし情報屋に入ると、奴は今までに見た事のない難しい表情を見せた。
俺の顔を見るなり首を横に振ったのは初めてだろうか。
「旦那の一番知りたい事でやすが、今年の闇市が中止になりやした。奴隷商はこの町の領主や有力貴族が注文していた表の奴隷を納品しただけで、もう1台の馬車に乗せていた奴隷はそのままで慌てて町を出て行きやしたぜ。こちらも表の奴隷でやした。どうも見張りを防壁の入口近くに配置していたようでやして、旦那が連れてきた子供達が奴隷商が連れてきていた違法奴隷だという事を把握し、領主達の所に奴隷を引き渡すと逃げるように町を去っていったという事でやす。旦那が睨んだ通りこの奴隷商は曲者ですな」
「見られていたのか。悪い、気が付かなかった」
「へい。それと、奴隷商が予め派遣しておいた部下達の事でやすが、漆黒の私刑人により壊滅した盗賊団の中に忍ばせていたようでやして、部下が殺られた事を把握して闇市の開催を断念したようでやす。それとこの町の領主や貴族共はグレーでやす。残念ながら証拠がありやせん。過去に闇市に参加していた形跡がなく、今回奴隷商から購入したのは表の奴隷でございやすからね。違法奴隷を買う為の隠れ蓑の可能性が高いと思いやす」
情報屋は一旦話を切り、俺の顔を伺った。
「旦那はこれからどうするので?」
「保護している子供達を王都に連れて行く。子供達を連れてでは今から追い掛ける事もできないしな。向こうで探すさ。その奴隷商について教えてくれ。確か王都には複数の奴隷商がいるよな?俺達は3日後に王都に行く行商人の商隊に便乗させてもらう事で話がついている。護衛兼用だがな」
「そうでやすか。それではまた明日にでもお越しくだせえ。もう少し詳しく調べておきやすぜ。今ある情報はこれだけでやす」
「分かった。急かせてすまなかったな」
「おっと。旦那、今から下町に行きなされ」
情報屋が地図を渡してきた。
今回の闇市に参加する為に来ていた者の1人の滞在場所だけでやすが、判明いたしやした。その中でそいつだけが赤文字でやして、今はまだどうやって町に入り込んだのか分かりやせん」
俺は頷くと大雑把な人相書きを含む紙を貰い情報屋を後にした。
人のいない所で黒装束に着替え、地図の場所を頭に叩き込んでからそいつの所へと闇夜を進むのであった。
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