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序章 私刑人誕生編
第27話 クルシュの館にて
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ハァハァハァハァ・・・
流石に半日も子供2人を抱っこして歩くのは俺でも疲れる。
クルシュさんの館に辿り着いた時は正直安堵したもんだ。
コンコンコン
俺はドアをノックした。
程なくしてドタバタと音がしてドアが開く。
そして俺と目が合うと嫌そうな顔をして閉めやがった。
あの馬鹿メイドめ!
もう1度ノックするも反応がない。
俺はため息をつき、ひたすらドアをノックした。
三三七拍子とか、嫌がらせとしか思えない感じでだ。
マリニアは不思議そうに俺を見る。
ふうとため息をつくと激しく叩いた。
正確にはドア・ノッカーをだ。
近所迷惑のレベルでだ。
「うるさいでーす!クルシュ様いないので帰るでーす!」
嘘だ!絶対いる。さらに激しくしていると、ガチャリとドアが開いた。
「騒がしいやつじゃのう。もっと静かにノック位できんのか?」
「いないとか言われたぞ」
クルシュが呼び鈴を激しく鳴らす。
「お呼びですかぁ!今お掃除中でぇ忙しいんですけどぉ」
「さっきゲロビーが来なかったかえ?」
「さあ?」
「言いたい事はそれだけかえ!?」
「ご、ごめんなさい。お掃除が中々終わらなくてぇ・・・つい。てへ♪」
「この馬鹿が・・・すまんかったのう。取り敢えず中に入るとええ」
「お邪魔します」
リビングに通され適当に座る。
クルシュは子供達を見るとため息をついた。
「お主が違法奴隷に手を出すとは意外じゃのう」
「分かっていて言っているんでしょ?」
「ねぇランスタッド、この子は何者なの?随分親しいようだけど?」
「言わなかったか?俺に魔法を教えてくれた結界師のクルシュさんだ。可愛らしい見た目だけどな、俺の倍は生きている方だからな。見た目に騙されるなよ」
「そうなんだ。えっと、ボクはランスタッドの仲間のマリニアって言います。宜しくお願いします!」
「ほう。お主と違い礼儀正しいのう。我は結界師のクルシュじゃ。そなたがゲロビーの弟子か。フムフム」
「なあ、小さな子供がいるから単刀直入に行きたいんだが良いか?」
「そうじゃな。お主はどうでも良いが、可愛らしい子に罪はないからのう。この子らは違法奴隷じゃな?我に何をさせたい?」
「今日魔物の駆除をしている時にこの子達が襲われていて保護したんだよ」
「そのようじゃな」
「1つ頼みがあるんだ」
「この子らを引き取って欲しいと言うのは無理じゃぞ」
「いや、それじゃなくて、首輪を結界で切断して欲しいんだ」
「お主にはまだ早いか。ふむふむ。子らよこちらに来るのじゃ」
「首輪を外してどうするのじゃ?」
「ああ。王都で連れ去られたようなんで、俺とマリニアで王都に連れて行くんだ」
「で、その後は?」
「その後というと?」
「引き渡す者がおらなんだらどうするのじゃ?」
「その時に考えるよ」
「まあええじゃろう。ほら、こちらにおいで。その首輪を取ってあげるぞえ。ゲロビーは我がどうやっているかよく見て覚えるのじゃぞ!」
リリアーナが恐る恐るクルシュに近付くと、その頭を撫でていた。
「動くでないぞ。すぐ済むからのう。うむ。ゲロビーと違い良い子じゃのう!」
クルシュが首輪に触れると結界が発動し、首輪がスパッと切れた。
良く見ると大雑把な結界の発動の準備後、手を細かく動かして位置や大きさを調整している。
今まで気が付かなかったな。
確かにあれなら出来るけど、戦いの場では無理だな。
それを残りの2人に同じようにしていった。
「クルシュさん、ありがとうございます。お代はどれ位になりますか?」
「馬鹿にするでない!このようなわ小さい子が困っておるのに金なんぞいらぬわい!」
「クルシュさんって良い人なんですね!」
「マリニアと言うたな。我の事を何だと思っておるのじゃ。全くどいつもこいつも。ゲロビーよ、用はそれだけかえ?」
「ああ。もう1つあるんだ。魔導具の検証だ。やってくれと言ったらマリニアに持たせる棒切れを結界で斬ってくれ」
俺はブラックマスクに触れ、魔力を流す。
「クルシュさん。やってくれ」
しかし何も起こらない。
俺はブラックマスクをクルシュに投げた。
「それに魔力を流してくれ。流したら教えてくれ」
「全く人使いが荒いのう。ほれ、流したぞえ」
パキーン
棒が折れた。しかも魔法も外に放てた。
「クルシュさん、有り難う。それの検証だったんだ。オークジェネラルのドロップなんだ。結界が発動しなかったろ?」
「うむ。他の魔法も無理じゃったが、しっかり魔力は無くなったぞえ。それはなんぞや?」
「魔導具に魔力を流すと一定範囲の魔法を無効にするチートアイテムで、所有者しか使えないようだ」
「ふむ。面白い物を見せてもろうたわい」
「他にも報告したい事があるけど、この子達を早く休ませてやりたいから失礼するよ。ありがとうな」
「うむ。女には優しくするのじゃぞ!」
おかしな事を言われたが、取り敢えずクルシュの館を離れ、宿に向かうのであった。
流石に半日も子供2人を抱っこして歩くのは俺でも疲れる。
クルシュさんの館に辿り着いた時は正直安堵したもんだ。
コンコンコン
俺はドアをノックした。
程なくしてドタバタと音がしてドアが開く。
そして俺と目が合うと嫌そうな顔をして閉めやがった。
あの馬鹿メイドめ!
もう1度ノックするも反応がない。
俺はため息をつき、ひたすらドアをノックした。
三三七拍子とか、嫌がらせとしか思えない感じでだ。
マリニアは不思議そうに俺を見る。
ふうとため息をつくと激しく叩いた。
正確にはドア・ノッカーをだ。
近所迷惑のレベルでだ。
「うるさいでーす!クルシュ様いないので帰るでーす!」
嘘だ!絶対いる。さらに激しくしていると、ガチャリとドアが開いた。
「騒がしいやつじゃのう。もっと静かにノック位できんのか?」
「いないとか言われたぞ」
クルシュが呼び鈴を激しく鳴らす。
「お呼びですかぁ!今お掃除中でぇ忙しいんですけどぉ」
「さっきゲロビーが来なかったかえ?」
「さあ?」
「言いたい事はそれだけかえ!?」
「ご、ごめんなさい。お掃除が中々終わらなくてぇ・・・つい。てへ♪」
「この馬鹿が・・・すまんかったのう。取り敢えず中に入るとええ」
「お邪魔します」
リビングに通され適当に座る。
クルシュは子供達を見るとため息をついた。
「お主が違法奴隷に手を出すとは意外じゃのう」
「分かっていて言っているんでしょ?」
「ねぇランスタッド、この子は何者なの?随分親しいようだけど?」
「言わなかったか?俺に魔法を教えてくれた結界師のクルシュさんだ。可愛らしい見た目だけどな、俺の倍は生きている方だからな。見た目に騙されるなよ」
「そうなんだ。えっと、ボクはランスタッドの仲間のマリニアって言います。宜しくお願いします!」
「ほう。お主と違い礼儀正しいのう。我は結界師のクルシュじゃ。そなたがゲロビーの弟子か。フムフム」
「なあ、小さな子供がいるから単刀直入に行きたいんだが良いか?」
「そうじゃな。お主はどうでも良いが、可愛らしい子に罪はないからのう。この子らは違法奴隷じゃな?我に何をさせたい?」
「今日魔物の駆除をしている時にこの子達が襲われていて保護したんだよ」
「そのようじゃな」
「1つ頼みがあるんだ」
「この子らを引き取って欲しいと言うのは無理じゃぞ」
「いや、それじゃなくて、首輪を結界で切断して欲しいんだ」
「お主にはまだ早いか。ふむふむ。子らよこちらに来るのじゃ」
「首輪を外してどうするのじゃ?」
「ああ。王都で連れ去られたようなんで、俺とマリニアで王都に連れて行くんだ」
「で、その後は?」
「その後というと?」
「引き渡す者がおらなんだらどうするのじゃ?」
「その時に考えるよ」
「まあええじゃろう。ほら、こちらにおいで。その首輪を取ってあげるぞえ。ゲロビーは我がどうやっているかよく見て覚えるのじゃぞ!」
リリアーナが恐る恐るクルシュに近付くと、その頭を撫でていた。
「動くでないぞ。すぐ済むからのう。うむ。ゲロビーと違い良い子じゃのう!」
クルシュが首輪に触れると結界が発動し、首輪がスパッと切れた。
良く見ると大雑把な結界の発動の準備後、手を細かく動かして位置や大きさを調整している。
今まで気が付かなかったな。
確かにあれなら出来るけど、戦いの場では無理だな。
それを残りの2人に同じようにしていった。
「クルシュさん、ありがとうございます。お代はどれ位になりますか?」
「馬鹿にするでない!このようなわ小さい子が困っておるのに金なんぞいらぬわい!」
「クルシュさんって良い人なんですね!」
「マリニアと言うたな。我の事を何だと思っておるのじゃ。全くどいつもこいつも。ゲロビーよ、用はそれだけかえ?」
「ああ。もう1つあるんだ。魔導具の検証だ。やってくれと言ったらマリニアに持たせる棒切れを結界で斬ってくれ」
俺はブラックマスクに触れ、魔力を流す。
「クルシュさん。やってくれ」
しかし何も起こらない。
俺はブラックマスクをクルシュに投げた。
「それに魔力を流してくれ。流したら教えてくれ」
「全く人使いが荒いのう。ほれ、流したぞえ」
パキーン
棒が折れた。しかも魔法も外に放てた。
「クルシュさん、有り難う。それの検証だったんだ。オークジェネラルのドロップなんだ。結界が発動しなかったろ?」
「うむ。他の魔法も無理じゃったが、しっかり魔力は無くなったぞえ。それはなんぞや?」
「魔導具に魔力を流すと一定範囲の魔法を無効にするチートアイテムで、所有者しか使えないようだ」
「ふむ。面白い物を見せてもろうたわい」
「他にも報告したい事があるけど、この子達を早く休ませてやりたいから失礼するよ。ありがとうな」
「うむ。女には優しくするのじゃぞ!」
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