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序章 私刑人誕生編
第6話 異変
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翌朝ちゃんとベッドの上で目覚め、眠い目をこすりつつ今日もギルドに行かないとだなぁと呟いていた。
今日の予定を考えつつ伸びをしてからベットから起き上がった。
懐は潤ったが、昨日の事であのがきんちょが無事なのを見ないと落ち着かない。
顔を洗ったり着替えも終わったので、少し早いが朝食を済ませてギルドに向かう。
ギルドに着くと・・・
いたいた。
ちゃんと戻ってきたようだな。
俺に気が付いていない。
いや、何か変だな。
1人の男が色々な冒険者に必死に頼み事をしていた。
しかし皆嫌な顔をして断っている。
するとあのがきんちょが俺に気が付いたようで後ろから声を掛けてきた。
こいついつの間に後ろに?と思うも、事実として後ろに回られたのだが、気配がしなかったので少し驚いた。
「ランスタッドさん!おはようございます!」
「マリニアだったな。その様子だとちゃんと俺の言う事を聞いたようだな」
「あっはい!あの後は薬草の採取をして、周りが帰り始める時に一緒に帰らないかと声を掛けられまして、そのまま一緒に町へ戻りました」
よくある事だ。
力のない弱い者が薬草の採取依頼をするので、周りにいる者達と一緒に引き上げるのが安全なのだ。
いくら弱くても、徒労を組んで人数が多いとおいそれと魔物も襲ってこれなくなるのだ。
「所であれはどうしたんだ?」
「あっはい。受付嬢のテーナさんの婚約者で、彼女の仇を討ってくれって頼んでいるんです」
「ちょっと待て、テーナって昨日夕方話したばかりだぞ。来週寿退職するって言っていて、新人を教えていたぞ!」
「今知っている事を話すので、取り敢えず落ち着きませんか?」
俺達は打ち合わせや飯を食うのに使うテーブルに座る。
「彼女ですが、今朝死体がスラム街の近くで発見されたんです。しかも自ら首を吊っていたとか」
「なんでだ?あんなに幸せそうに話していたのに!」
「服に乱れや、その、強姦された痕跡があったらしく、そのう、純潔を奪われたので咄嗟に首を吊ったんだと思います」
俺は怒りが込み上げてきた。
「何で奴は自分でどうこうしないんだ?それに何故皆断っている?」
「あの人、テーナさんの幼馴染であって、冒険者じゃないんです。だから自分では倒せないと分かっているから、全財産を注ぎ込んででも誰かに託すしかないんです」
この世界は戦闘に適したスキル持ちに対し、生産系のスキル持ちではまるで歯が立たない。
俺はふらっと立ち上がった。
「どうしたんですか?」
「ちと小便をしてくる」
トイレに向かっていたがその男はじゃまだと突き飛ばされ、俺の足元に倒れたので助け起こす。
「表から出て裏で待つ。俺はトイレに行く振りをするからつけてくるな」
俺は大丈夫か?と言って助け起こしてそのままトイレの方から裏に回る。
俺はコートを羽織って顔が分からないように布を巻いてから裏に回ると、憔悴しきった先程の男がいた。
俺は背後から声を掛けた。
「依頼を受けて欲しければこちらを向くな。誰かを詮索もするな。敵討ちだったな?」
その男は来週結婚を控えていて、幼馴染の受付嬢が強姦され自殺したと涙ながらに語った。
俺は多分殺る事が可能だろうと思う。
知った顔の、しかも女性が絶望の中自らの命を絶った事に悲しみと怒りを覚えた。
「お前の依頼、俺が引き受けよう。だから依頼料として俺に硬貨を1枚投げろ」
その男はきょとんとしながらも財布から金貨を1枚取り出すと投げてきた。
「しかと対価を受け取った。依頼完了まで3日待て。毎朝この場に来い。それと警戒されるからもう誰にも頼むな。心配するな、多分今この町にいる冒険者の中で俺に勝てる者はいない」
俺はギルドの建物に戻ると、コートを脱いだりマスク代わりに巻いていた布を外した。
それからトイレで手を洗い、マリニアのところに戻った。
「遅かったですね」
「ああ、済まないな。腹が痛くなってな。心配すんな。ちゃんと手は洗ったぞ。それよりもあの男はどうした?」
「あっはい。さっき突き飛ばされた彼をランスタッドさんが起こしてから外に出ていったのですが、それきり戻ってこないですね。流石に諦めたようです」
「そうか。可哀想だったな。それよりも昨日はどうだった?」
俺は無理に話を変えた。
「あっはい。最初に採っていた分、つまりランスタッドさんが助けてくれる前のが中々の稼ぎになりましたけど、帰りに他の人と話していたら、ランスタッドさんのいう通りで毎年何人もの冒険者が魔物に殺されているって言っていました。ボクが迷う事なく林に入っていくので、強い人なのかなあって思われたようです」
「うん。次から気を付けるんだな」
「あのう、何かお礼をさせてください」
「別に大した事なんてしていないぞ。だから礼なんてありがとうの一言で十分だ。それより尻の穴は大丈夫だったんだよな?」
「尻って?や、やられていません!まあやられ掛けましたけどね。でもおかげさまで未遂でしたから。えっとその、聞いても良いですか?」
「恋人とかならおらんぞ?」
「いや、そんなんはどうでも良いんですけど、昨日受付の子がジェネラルって騒いでいましたけど、1人で倒したんですか?」
「まあな。あれ位は大した事はないんだがな。先に子分のオーク共を倒して、1VS1の状態ならな。ただ、あいつ魔法が外に出せなくなる魔導具持ちだったから少し手こずったがな」
「やっぱり凄い方なんですね。何故これ程の人を追放なんてしたんだろう?って思うんです。で、本題なんですが、弟子にしてください!」
「やだ・・・」
「へっ?やだって子供じゃあるまいし。何故いやなんですか?」
「仲間ならともかく、師匠ってガラじゃないし、何よりも俺はそういった面倒くさいのは、や・な・の!」
「仲間ならともかくって事は、仲間なら良いんですね!宜しくお願いします!やったー!ランスタッドさんの仲間になれるなんて、ボク涙が出るよ!受け入れてくれてありがとうございます!ボク頑張ります!」
マリニアが握手というより、俺の手を両手でがっしりと握ってきた。
確かに言葉のあやとして仲間ならともかくと言ったが、もう仲間だと大きな声で宣言した。
「おっ!ゲロビーがソロを卒業するとさ」
「おや!ルーキーと組んだのか?大事にしてやれよ!」
こいつ!・・・はめやがったな!?と思う。わざと周りに聞こえるように大袈裟にしているのでもう手遅れだ。
ちゃんとした理由もなく今から断ると、皆から袋叩きにあうんだろうな・・・そっちのほうが面倒だな・・
まあ、確かにこいつからすると誰かと一緒にいないと底辺から抜けられないというのも有るが、命が掛かっているから必死なんだろうな。
俺も約2ヶ月間1人でやっていたが、例えルーキーでも信頼できる仲間がいると何かとやりやすいし、何よりも話し相手がいると飯がうまい。
実力が無ければ訓練して育てるまでだ。
贅沢を言えば、こんな小便臭いガキではなく、ボン・キュッ・ボン!の妖艶な美女だったら即オッケーだろうが、そんな女が寄ってくる訳もない。
こいつは仲間ができたと無邪気にはしゃいでいて、それもまあ良いのかなと思う。
確かにこのままだとこいつは近いうちに死ぬだろう。
手を差し出さずにそうなると俺は間違いなく後悔する。
「俺なんかで良いのか?巷でなんて言われているか知っているだろう?」
「ゲロビーですか?あれって意味が分からないんですが、ニックネームですか?」
「意味を知らないのか?なら良い。俺は厳しいぞ。すぐに死なれたら目覚めが悪いからな。暫くは訓練と雑用だけになるかもだぞ?」
俺が受け入れる意志を示すとマリニアの顔はパッと明るくなった。
断られると思ったのだろう。
目に涙を浮かべ、手の甲で拭っていた。
大げさな奴め!と思うも、新たな仲間が出来た嬉しさに俺の方も涙を流し、鼻をかんで誤魔化していた。
あかん・・・俺も大概涙腺が弱いな・・・・
今日の予定を考えつつ伸びをしてからベットから起き上がった。
懐は潤ったが、昨日の事であのがきんちょが無事なのを見ないと落ち着かない。
顔を洗ったり着替えも終わったので、少し早いが朝食を済ませてギルドに向かう。
ギルドに着くと・・・
いたいた。
ちゃんと戻ってきたようだな。
俺に気が付いていない。
いや、何か変だな。
1人の男が色々な冒険者に必死に頼み事をしていた。
しかし皆嫌な顔をして断っている。
するとあのがきんちょが俺に気が付いたようで後ろから声を掛けてきた。
こいついつの間に後ろに?と思うも、事実として後ろに回られたのだが、気配がしなかったので少し驚いた。
「ランスタッドさん!おはようございます!」
「マリニアだったな。その様子だとちゃんと俺の言う事を聞いたようだな」
「あっはい!あの後は薬草の採取をして、周りが帰り始める時に一緒に帰らないかと声を掛けられまして、そのまま一緒に町へ戻りました」
よくある事だ。
力のない弱い者が薬草の採取依頼をするので、周りにいる者達と一緒に引き上げるのが安全なのだ。
いくら弱くても、徒労を組んで人数が多いとおいそれと魔物も襲ってこれなくなるのだ。
「所であれはどうしたんだ?」
「あっはい。受付嬢のテーナさんの婚約者で、彼女の仇を討ってくれって頼んでいるんです」
「ちょっと待て、テーナって昨日夕方話したばかりだぞ。来週寿退職するって言っていて、新人を教えていたぞ!」
「今知っている事を話すので、取り敢えず落ち着きませんか?」
俺達は打ち合わせや飯を食うのに使うテーブルに座る。
「彼女ですが、今朝死体がスラム街の近くで発見されたんです。しかも自ら首を吊っていたとか」
「なんでだ?あんなに幸せそうに話していたのに!」
「服に乱れや、その、強姦された痕跡があったらしく、そのう、純潔を奪われたので咄嗟に首を吊ったんだと思います」
俺は怒りが込み上げてきた。
「何で奴は自分でどうこうしないんだ?それに何故皆断っている?」
「あの人、テーナさんの幼馴染であって、冒険者じゃないんです。だから自分では倒せないと分かっているから、全財産を注ぎ込んででも誰かに託すしかないんです」
この世界は戦闘に適したスキル持ちに対し、生産系のスキル持ちではまるで歯が立たない。
俺はふらっと立ち上がった。
「どうしたんですか?」
「ちと小便をしてくる」
トイレに向かっていたがその男はじゃまだと突き飛ばされ、俺の足元に倒れたので助け起こす。
「表から出て裏で待つ。俺はトイレに行く振りをするからつけてくるな」
俺は大丈夫か?と言って助け起こしてそのままトイレの方から裏に回る。
俺はコートを羽織って顔が分からないように布を巻いてから裏に回ると、憔悴しきった先程の男がいた。
俺は背後から声を掛けた。
「依頼を受けて欲しければこちらを向くな。誰かを詮索もするな。敵討ちだったな?」
その男は来週結婚を控えていて、幼馴染の受付嬢が強姦され自殺したと涙ながらに語った。
俺は多分殺る事が可能だろうと思う。
知った顔の、しかも女性が絶望の中自らの命を絶った事に悲しみと怒りを覚えた。
「お前の依頼、俺が引き受けよう。だから依頼料として俺に硬貨を1枚投げろ」
その男はきょとんとしながらも財布から金貨を1枚取り出すと投げてきた。
「しかと対価を受け取った。依頼完了まで3日待て。毎朝この場に来い。それと警戒されるからもう誰にも頼むな。心配するな、多分今この町にいる冒険者の中で俺に勝てる者はいない」
俺はギルドの建物に戻ると、コートを脱いだりマスク代わりに巻いていた布を外した。
それからトイレで手を洗い、マリニアのところに戻った。
「遅かったですね」
「ああ、済まないな。腹が痛くなってな。心配すんな。ちゃんと手は洗ったぞ。それよりもあの男はどうした?」
「あっはい。さっき突き飛ばされた彼をランスタッドさんが起こしてから外に出ていったのですが、それきり戻ってこないですね。流石に諦めたようです」
「そうか。可哀想だったな。それよりも昨日はどうだった?」
俺は無理に話を変えた。
「あっはい。最初に採っていた分、つまりランスタッドさんが助けてくれる前のが中々の稼ぎになりましたけど、帰りに他の人と話していたら、ランスタッドさんのいう通りで毎年何人もの冒険者が魔物に殺されているって言っていました。ボクが迷う事なく林に入っていくので、強い人なのかなあって思われたようです」
「うん。次から気を付けるんだな」
「あのう、何かお礼をさせてください」
「別に大した事なんてしていないぞ。だから礼なんてありがとうの一言で十分だ。それより尻の穴は大丈夫だったんだよな?」
「尻って?や、やられていません!まあやられ掛けましたけどね。でもおかげさまで未遂でしたから。えっとその、聞いても良いですか?」
「恋人とかならおらんぞ?」
「いや、そんなんはどうでも良いんですけど、昨日受付の子がジェネラルって騒いでいましたけど、1人で倒したんですか?」
「まあな。あれ位は大した事はないんだがな。先に子分のオーク共を倒して、1VS1の状態ならな。ただ、あいつ魔法が外に出せなくなる魔導具持ちだったから少し手こずったがな」
「やっぱり凄い方なんですね。何故これ程の人を追放なんてしたんだろう?って思うんです。で、本題なんですが、弟子にしてください!」
「やだ・・・」
「へっ?やだって子供じゃあるまいし。何故いやなんですか?」
「仲間ならともかく、師匠ってガラじゃないし、何よりも俺はそういった面倒くさいのは、や・な・の!」
「仲間ならともかくって事は、仲間なら良いんですね!宜しくお願いします!やったー!ランスタッドさんの仲間になれるなんて、ボク涙が出るよ!受け入れてくれてありがとうございます!ボク頑張ります!」
マリニアが握手というより、俺の手を両手でがっしりと握ってきた。
確かに言葉のあやとして仲間ならともかくと言ったが、もう仲間だと大きな声で宣言した。
「おっ!ゲロビーがソロを卒業するとさ」
「おや!ルーキーと組んだのか?大事にしてやれよ!」
こいつ!・・・はめやがったな!?と思う。わざと周りに聞こえるように大袈裟にしているのでもう手遅れだ。
ちゃんとした理由もなく今から断ると、皆から袋叩きにあうんだろうな・・・そっちのほうが面倒だな・・
まあ、確かにこいつからすると誰かと一緒にいないと底辺から抜けられないというのも有るが、命が掛かっているから必死なんだろうな。
俺も約2ヶ月間1人でやっていたが、例えルーキーでも信頼できる仲間がいると何かとやりやすいし、何よりも話し相手がいると飯がうまい。
実力が無ければ訓練して育てるまでだ。
贅沢を言えば、こんな小便臭いガキではなく、ボン・キュッ・ボン!の妖艶な美女だったら即オッケーだろうが、そんな女が寄ってくる訳もない。
こいつは仲間ができたと無邪気にはしゃいでいて、それもまあ良いのかなと思う。
確かにこのままだとこいつは近いうちに死ぬだろう。
手を差し出さずにそうなると俺は間違いなく後悔する。
「俺なんかで良いのか?巷でなんて言われているか知っているだろう?」
「ゲロビーですか?あれって意味が分からないんですが、ニックネームですか?」
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俺が受け入れる意志を示すとマリニアの顔はパッと明るくなった。
断られると思ったのだろう。
目に涙を浮かべ、手の甲で拭っていた。
大げさな奴め!と思うも、新たな仲間が出来た嬉しさに俺の方も涙を流し、鼻をかんで誤魔化していた。
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