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序章 私刑人誕生編
第1話 いきなり追い剥ぎに
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俺は万年B級冒険者をしているランスタッド。
年齢は22歳だ。
顔は・・・悪くはないはず?
身長170cmちょいと大きくもなく小さくもない。普通だ。
皆から空気みたいだとか、その辺によくいるような顔だのいわれ、実際にあまりぱっとしない。
特徴がないんだ。
ゲームだとNPCによくありそうな感じで、印象が薄い。
今日はギルドで魔物の討伐依頼を受けていたのもあり、夕方になり町に帰ってきたところだ。
今日は・・・いや、今日もだが、いつもの酒場で安酒を飲んでいた。
周りはというと殆どが冒険者達で、今日の仕事というか、魔物の駆除等の依頼を終わらせて帰ってきた後に飯を食いに来ていたり、俺のようにただ単に安酒を飲んでいたりと日常の光景だ。
そのまま娼館に繰り出したり、通りに出ている女を買ってしっぽりとやる者もおり、結局男の大半は酒を飲むか、女を抱くのかのどちらかになる。
今の俺は稼ぎがそんなに良くなく、女を買う金はないので安酒を飲む事にしている。
女と付き合うのも面倒臭い。
昔の稼ぎはいざという時の為に残す事にしており、生活費に回さない事にしている。なのでないものとして手を付けない。
何故このような状況にあるかというと、2ヶ月ほど前に7年いたS級パーティーからついに追放され、その活動拠点から遠く離れたこの辺境の地に流れ着き、追放されたショックから立ち直っておらず腐っている感じだ。
「ランスタッドさん、今日もかなり飲んでいるけど、そろそろ止めないとどうなっても知らないよ。またこの前みたいに道端で寝る事になるのが嫌らなソロソロ帰んな!」
酒場の女将さんにいつもの言葉を掛けられ、カウンターに金を置いて後ろ手に手を振りながら千鳥足で引き上げた。
俺は先日道端で酔い潰れていて、返す言葉もなく・・・黙って頷くしかなかった。
「相変わらず不味いエールだったな・・・」
俺は場末のしょぼい酒場で安酒を酔い潰れるまで啜っておきながら、毎度毎度同じ事を言う。
定宿に向かって歩いていたが、酔っていてフラフラだったのもあり、道を1本逸れてしまった。
裏路地、それも夜かなり遅い時間になってからだ。
程なくして目の前にナイフをちらつかせているチンピラが現れたので、咄嗟に腰の剣に手をやったが・・・剣は腰に無かった。
どうやら酒場に置いてきたようだ。
時々ある・・・今酒場に何本置いてあるのやら。
「くっくっくっ、死にたくなかったら金出しな!」
追い剥ぎが3人か・・・大した事はない!と言いたいが、気配は3人だが、酔っている為に数人に見える。
今日も飲み過ぎたな。
戦うのも面倒くさい。もうゴミの上でも良いから眠りたいくらいにだ。
仕方がないのでこういう時用の財布に入れ替え、懐に手を忍ばす。
奴らは警戒して身構えた。
俺は片手を上げ、ゆっくりと手を懐から出すと財布を追い剥ぎの1人へと渡そうとして・・・
その手にリバース!
「きったねぇ!こいつガチで吐きやがった!」
とはいえ追い剥ぎはゲロまみれの財布を拾い、中を改める。
銀貨1枚と銅貨6枚が入っている。
つまり1600Gだ。
安い昼食が2回分、又は安い飯屋での晩飯代位しかない。
「っち!しけてやがる。臭いし行こうぜ」
そいつらは各々這いつくばっている俺を蹴り飛ばしたり踏み付けたりし、唾を吐いて去っていったが俺は己のゲロにまみれた状態で意識を失った。
そして辺りが明るくなって来たので目が覚めた。
体が痛いが骨は折れていないようだし、有り難い事に生きている。
だが・・・・何があったか記憶がない。
誰のか知らないが、俺はゲロまみれだ。
冷静に今の状況を判断するに、どうやら俺は酔い潰れてゲロを吐き、その場で寝たようだ。
荷物を確認するも財布がない。
しかし、収納にはメインの財布があり、代わりにトラブル対策の財布がないし上着もない・・・
追い剥ぎにでも遭ったか・・・
取り敢えずクリーン魔法を使う。
この魔法は超便利だ。
何せ面倒な掃除や洗濯から開放される。
この町にもう1人使える奴がいるかどうかで、かなり貴重な魔法だ。
服は・・・ズボンは穿いている。
上着は大したのではないが、肌寒くてぶるると震えた。
取り敢えず周りに誰もいない。
もう1度誰も見ていない事を確認し、その辺の隙間から発見したかのように収納から服を出し、それを着る。
流石に朝は冷えていて、吐く息も白い中で上半身裸だと目立つ。
コートを出してそれも着る。
収納持ちだと分かると色々面倒だ。
俺はとにもかくにも面倒な事は嫌いなんだ。
多分殺気がなく、単に追い剥ぎをする気概しかなかったのかなと思う。
追い剥ぎなら大した事は無いから騎士団も相手にしないが、、殺しとなれば下手人を探すだろう。
要は町の中での殺しはリスクが高いから盗賊も滅多にやらない。
酔っていたとしても、流石に殺気が有れば相手を殺してでも生き残るだろう。
もしも敵わぬと悟れば逃げるかもだが、こんな辺境の町のゴロツキ如きに遅れを取らない。
でも追い剥ぎにあったって?
酔っていて戦うのも面倒臭かったんだと思う。後でリベンジだな。
アザがあったから殴られたようだが、相変わらず馬鹿な奴だよな・・・俺って。
分かってはいるんだ。酒に逃げても仕方がないと。
取り敢えず宿の裏口から部屋に戻り装備を整える。
冷たい水をあおって酔いを覚ます。
いや、クリーン魔法を使ってアルコールはもう抜いたけどね。
身支度を済ませると食堂に行き、硬いパンと殆ど味のしないスープを啜ってから宿を出た。
今は丁度ギルドで依頼が張り出されている時間だ。
少し遅かったようで、依頼の争奪戦が始まっていた。
低ランクの冒険者が多いので、低ランクのF~Dランクの依頼は取り合いになる。
おっ?背の低いガキが紙を持っているから、何とか依頼を取れたようだな。
死なない程度に頑張れよ!
俺か?
俺は腐ってもBと中の上のランクで、Aも受けられる。
面倒臭いのでCかBの中からなるべく楽そうな依頼を選ぶ。
俺のランクは人数が少ないから争奪戦にはならない。
低ランクの依頼は10の依頼があるとすると、15人が来る感じだ。
しかし、中級以上は依頼の方が多いのだ。
さて、今日はど・れ・に・し・よ・う・か・な?
えっと、新しいのがあるな。
なになに?オークの群れの調査、可能なら殲滅っと。
上位種がいると思われる。
薬草の群生地にオークの目撃例が数件あるのか。
さっきのようなガキの適う相手じゃないな。
ジェネラルより上がいると面倒臭いけど、これはなんとかしないといかんな。
この金が有れば久し振りに女を買えるだけの余力が残るだろう。
でも買わんよ。
だって病気が怖いもん。
そろそろ財布の中が寂しくなってきたのと、他の依頼を確認するのが面倒くさく、手に取ったこの依頼を受ける事にした。
歩く事1時間、問題の群生地に来たけど、ルーキーや女の何人かが薬草を取っているな。
おや?さっきのガキも遠目にみえるな。
俺はそんな薬草採取者の怪訝そうな目をよそに、魔物の生息エリアの森の中へと足を踏み入れる。
今日は森に入るので、いつものロングソードではなくショートソードだ。
1時間位魔物の痕跡を探すも空振り。
1度薬草の群生地に戻り、隣接する果物等が取れる林の方へ調査するポイントを変える事にした。
薬草の群生地に戻ったが、薬草を取っている奴らの顔ぶれが少し違うな。増えた者、いなくなっている者もいる。
脅すつもりではないが、薬草を取っているお姉さん方に警告と、何もなかったかを聞いた。
魔物の話をすると、聞いていたようで籠からコンバットナイフのようなのを出して、自分の身は自分で守ると言っていた。
また、警告のお礼と魔物の駆除を頑張ってね!等の当たり障りのない話を少しだけしてから今度は林の奥に入っていく。
すると何か物音が聞こえて来た。
カンカンカン?と誰かが戦っている?
俺は音の方に駆け出した。
すると1人のガキが、もといルーキーが半ば辺りでポッキリと折れた剣で戦っているというか、オークの棍棒を必死に、いら辛うじて防いでいるようだが、怪我もしていて殺されるのは時間の問題だ。
しかもだ、オークは殺さないように嬲っているようだ。
愉しんでいるのか?
射程距離に入ったので投擲用のナイフを3本出すと、そのオークに向けて投げたのであった。
作者からのお願いです。
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年齢は22歳だ。
顔は・・・悪くはないはず?
身長170cmちょいと大きくもなく小さくもない。普通だ。
皆から空気みたいだとか、その辺によくいるような顔だのいわれ、実際にあまりぱっとしない。
特徴がないんだ。
ゲームだとNPCによくありそうな感じで、印象が薄い。
今日はギルドで魔物の討伐依頼を受けていたのもあり、夕方になり町に帰ってきたところだ。
今日は・・・いや、今日もだが、いつもの酒場で安酒を飲んでいた。
周りはというと殆どが冒険者達で、今日の仕事というか、魔物の駆除等の依頼を終わらせて帰ってきた後に飯を食いに来ていたり、俺のようにただ単に安酒を飲んでいたりと日常の光景だ。
そのまま娼館に繰り出したり、通りに出ている女を買ってしっぽりとやる者もおり、結局男の大半は酒を飲むか、女を抱くのかのどちらかになる。
今の俺は稼ぎがそんなに良くなく、女を買う金はないので安酒を飲む事にしている。
女と付き合うのも面倒臭い。
昔の稼ぎはいざという時の為に残す事にしており、生活費に回さない事にしている。なのでないものとして手を付けない。
何故このような状況にあるかというと、2ヶ月ほど前に7年いたS級パーティーからついに追放され、その活動拠点から遠く離れたこの辺境の地に流れ着き、追放されたショックから立ち直っておらず腐っている感じだ。
「ランスタッドさん、今日もかなり飲んでいるけど、そろそろ止めないとどうなっても知らないよ。またこの前みたいに道端で寝る事になるのが嫌らなソロソロ帰んな!」
酒場の女将さんにいつもの言葉を掛けられ、カウンターに金を置いて後ろ手に手を振りながら千鳥足で引き上げた。
俺は先日道端で酔い潰れていて、返す言葉もなく・・・黙って頷くしかなかった。
「相変わらず不味いエールだったな・・・」
俺は場末のしょぼい酒場で安酒を酔い潰れるまで啜っておきながら、毎度毎度同じ事を言う。
定宿に向かって歩いていたが、酔っていてフラフラだったのもあり、道を1本逸れてしまった。
裏路地、それも夜かなり遅い時間になってからだ。
程なくして目の前にナイフをちらつかせているチンピラが現れたので、咄嗟に腰の剣に手をやったが・・・剣は腰に無かった。
どうやら酒場に置いてきたようだ。
時々ある・・・今酒場に何本置いてあるのやら。
「くっくっくっ、死にたくなかったら金出しな!」
追い剥ぎが3人か・・・大した事はない!と言いたいが、気配は3人だが、酔っている為に数人に見える。
今日も飲み過ぎたな。
戦うのも面倒くさい。もうゴミの上でも良いから眠りたいくらいにだ。
仕方がないのでこういう時用の財布に入れ替え、懐に手を忍ばす。
奴らは警戒して身構えた。
俺は片手を上げ、ゆっくりと手を懐から出すと財布を追い剥ぎの1人へと渡そうとして・・・
その手にリバース!
「きったねぇ!こいつガチで吐きやがった!」
とはいえ追い剥ぎはゲロまみれの財布を拾い、中を改める。
銀貨1枚と銅貨6枚が入っている。
つまり1600Gだ。
安い昼食が2回分、又は安い飯屋での晩飯代位しかない。
「っち!しけてやがる。臭いし行こうぜ」
そいつらは各々這いつくばっている俺を蹴り飛ばしたり踏み付けたりし、唾を吐いて去っていったが俺は己のゲロにまみれた状態で意識を失った。
そして辺りが明るくなって来たので目が覚めた。
体が痛いが骨は折れていないようだし、有り難い事に生きている。
だが・・・・何があったか記憶がない。
誰のか知らないが、俺はゲロまみれだ。
冷静に今の状況を判断するに、どうやら俺は酔い潰れてゲロを吐き、その場で寝たようだ。
荷物を確認するも財布がない。
しかし、収納にはメインの財布があり、代わりにトラブル対策の財布がないし上着もない・・・
追い剥ぎにでも遭ったか・・・
取り敢えずクリーン魔法を使う。
この魔法は超便利だ。
何せ面倒な掃除や洗濯から開放される。
この町にもう1人使える奴がいるかどうかで、かなり貴重な魔法だ。
服は・・・ズボンは穿いている。
上着は大したのではないが、肌寒くてぶるると震えた。
取り敢えず周りに誰もいない。
もう1度誰も見ていない事を確認し、その辺の隙間から発見したかのように収納から服を出し、それを着る。
流石に朝は冷えていて、吐く息も白い中で上半身裸だと目立つ。
コートを出してそれも着る。
収納持ちだと分かると色々面倒だ。
俺はとにもかくにも面倒な事は嫌いなんだ。
多分殺気がなく、単に追い剥ぎをする気概しかなかったのかなと思う。
追い剥ぎなら大した事は無いから騎士団も相手にしないが、、殺しとなれば下手人を探すだろう。
要は町の中での殺しはリスクが高いから盗賊も滅多にやらない。
酔っていたとしても、流石に殺気が有れば相手を殺してでも生き残るだろう。
もしも敵わぬと悟れば逃げるかもだが、こんな辺境の町のゴロツキ如きに遅れを取らない。
でも追い剥ぎにあったって?
酔っていて戦うのも面倒臭かったんだと思う。後でリベンジだな。
アザがあったから殴られたようだが、相変わらず馬鹿な奴だよな・・・俺って。
分かってはいるんだ。酒に逃げても仕方がないと。
取り敢えず宿の裏口から部屋に戻り装備を整える。
冷たい水をあおって酔いを覚ます。
いや、クリーン魔法を使ってアルコールはもう抜いたけどね。
身支度を済ませると食堂に行き、硬いパンと殆ど味のしないスープを啜ってから宿を出た。
今は丁度ギルドで依頼が張り出されている時間だ。
少し遅かったようで、依頼の争奪戦が始まっていた。
低ランクの冒険者が多いので、低ランクのF~Dランクの依頼は取り合いになる。
おっ?背の低いガキが紙を持っているから、何とか依頼を取れたようだな。
死なない程度に頑張れよ!
俺か?
俺は腐ってもBと中の上のランクで、Aも受けられる。
面倒臭いのでCかBの中からなるべく楽そうな依頼を選ぶ。
俺のランクは人数が少ないから争奪戦にはならない。
低ランクの依頼は10の依頼があるとすると、15人が来る感じだ。
しかし、中級以上は依頼の方が多いのだ。
さて、今日はど・れ・に・し・よ・う・か・な?
えっと、新しいのがあるな。
なになに?オークの群れの調査、可能なら殲滅っと。
上位種がいると思われる。
薬草の群生地にオークの目撃例が数件あるのか。
さっきのようなガキの適う相手じゃないな。
ジェネラルより上がいると面倒臭いけど、これはなんとかしないといかんな。
この金が有れば久し振りに女を買えるだけの余力が残るだろう。
でも買わんよ。
だって病気が怖いもん。
そろそろ財布の中が寂しくなってきたのと、他の依頼を確認するのが面倒くさく、手に取ったこの依頼を受ける事にした。
歩く事1時間、問題の群生地に来たけど、ルーキーや女の何人かが薬草を取っているな。
おや?さっきのガキも遠目にみえるな。
俺はそんな薬草採取者の怪訝そうな目をよそに、魔物の生息エリアの森の中へと足を踏み入れる。
今日は森に入るので、いつものロングソードではなくショートソードだ。
1時間位魔物の痕跡を探すも空振り。
1度薬草の群生地に戻り、隣接する果物等が取れる林の方へ調査するポイントを変える事にした。
薬草の群生地に戻ったが、薬草を取っている奴らの顔ぶれが少し違うな。増えた者、いなくなっている者もいる。
脅すつもりではないが、薬草を取っているお姉さん方に警告と、何もなかったかを聞いた。
魔物の話をすると、聞いていたようで籠からコンバットナイフのようなのを出して、自分の身は自分で守ると言っていた。
また、警告のお礼と魔物の駆除を頑張ってね!等の当たり障りのない話を少しだけしてから今度は林の奥に入っていく。
すると何か物音が聞こえて来た。
カンカンカン?と誰かが戦っている?
俺は音の方に駆け出した。
すると1人のガキが、もといルーキーが半ば辺りでポッキリと折れた剣で戦っているというか、オークの棍棒を必死に、いら辛うじて防いでいるようだが、怪我もしていて殺されるのは時間の問題だ。
しかもだ、オークは殺さないように嬲っているようだ。
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