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不義の子

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「どうにかって……、私なんかじゃ……。私、何もできないから……」
「「???」」


 けど、ゼルとヘイヴィアは私の言っている意味が分からないのか首を傾げていた。


「何言ってんだ、お前」
「そんな分けねぇだろ」
「え?」
「だって、アルケ村の時、マナはあの豚野郎が魔法を放つのをいち早く察して動いてたろ? あれってあいつの魔法が来るって先読みしてたんだろ? 俺はあれに気づかなかった。お前には俺にない力があるんだろ?」
「へ?」
「そうだ。それにここの場所を突き止めたとき、ほとんど何言ってるか分かんなかったけど、そういう頭使うの得意なんだろ?」
「んっと、それは……」


 二人が思いのほか私を評価していて、どう反応していいか戸惑う。


「だから、信じてるんだ。お前なら何とかしてくれるかもって」
「あっ……」


 そして、思い出した。ここに来る前、レミリアさんに言われたことを。





「話って何ですか? レミリアさん」


 二人はもうディオナ神殿に入っていった。このままじゃ私は置いて行かれてしまう。


「その前に一つ誤解を解いておかなきゃいけないことがある」
「誤解、ですか?」
「アンタ、自分が騎士団に入れたのは親の力だと思っているだろ?」
「え? 違うんですか? だって、私の試合内容は誰が見ても不合格……」
「そうだな。試験監督が団長がただのバカだったらそうなってたかもな」
「それってどういう……私はただ逃げ回ってただけで……」
「アホ抜かせ。あれがただ逃げ回ってただけなわけないだろう。アタシもあの試合を見てた」
「っ!」
「制限時間が来るまで一撃の攻撃を食らわずに逃げ切れるなんてのは、並の人間じゃまず無理だ」


 それだけで私は理解した。
 レミリアさんと団長は気づいていた。


「アンタの家の事情は知ってるし、アンタが自分の力を信じられない理由も何となく分かる。いくらでも自分を疑っても構わない。だけどな一つだけ覚えておけ……」


「仲間の言葉だけは疑うな」







 ああ、そうだ。私は知っている。
 この二人は仲間を疑ったりしない。常に信じていたことを。
 なら、私も信じよう。
 自分の力じゃない。
 仲間が信じてくれた私の力を。


「任せて!」


 だから、私は自信を持ってそう答えた。






 私は不義の子としてルクスリア家に生まれた。
 それだけでも家では疎まれていたが、それ以上に私が持って生まれた魔法属性が家族たちには受け入れがたいものだった。
 魔法属性とは生まれながらに一つと決まっており、それは遺伝が大きく関わってくる。
 基本的に父か母の属性を受け継ぐものとされている。
 けれど、ごく稀に突然変異的に両親とは違う属性を持って生まれることがある。
 私は後者。
 父の光属性を受け継ぐことは出来ず、全く別の魔法属性を授かった。
 その属性とは……。
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