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2-5 ☆夕飯は後日食べに行きました
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「でも、夕飯……あ、ん、ん!」
「あー……そうだったな。悪い。今度埋め合わせする」
本当に忘れていたようだ。
少しバツが悪そうな声がしたが、腰を掴む手の強さは変わらない。
ふわ、と耳に後ろから熱い吐息がかかる。
「あんなこと言われたら、止まらない」
「っ!! あ! ん、ふあ! っあ、ああっ、ッ!」
ぐちゅん、と隘路に押し入った質量のせいで脳がびりびりとしびれる。
先ほどより圧迫感が増しているような気がする。囁かれた台詞から考えれば間違っていないかもしれない。
「あ、……あ、すぐ、イっ、ん、んん!」
腰を打ち付けられる速度が上がる。
みっちり埋まった質量に深いところも浅いところも上も下も余すところなく擦られて、思考が散漫になっていく。縋るように大きな枕を握りしめ、歯を食いしばって声を抑えた。
ぬかるみに怒張が何度も沈み、足が突っ張る。
俊の声が押さえられなくなるほど腹の奥に打ち付けられる熱は激しさを増していく。
衝撃を受け止める腰も背中もびくびくと痙攣している。
自身が言ったとおり、俊はすぐに二度目の精液を吐き出した。
「っ……は、あ…ん」
まだ息が整わないうちに背中に乗り上げていたクレイグに顎を取られ、唇を奪われる。長い舌が俊の口内を蹂躙し、ぐちゃ、と水音を立てた。同時にクレイグを受け入れたままの結合部からも音が響く。
「ひあ! ま、…って、きゅ、休憩……あ、っ!」
クレイグが腰を掴み直した。
再度奥まで押し込まれれば、絶頂の余韻が残る全身に再びの快感が走り、腕からがくりと力が抜けた。
俊は下肢だけをクレイグに支えられたまま枕にうつぶせになる。恥ずかしい格好を変えたくても、繰り返される抽挿の気持ちよさを受け入れることしかできない。
「悪い、まだ…っ」
後頭部に荒い息がかかる。制服の前をはだけさせた彼の鼓動を背中で感じた。それと連動するようにどくどくと自身の血流も早さを増していく。
「あ! いや、…ん! ま、また…アレに、あ! あっ!」
濁流のように腰に官能が溜まっていく感覚。
前は痛いほど張りつめているのに射精の予感はない。
またアレになってしまう。
俊は止めてほしいと舌っ足らずに懇願したが、聞き入れてもらえない。
俊が一番感じる場所ばかりを先端で擦ったかと思えば、奥まで激しく打ち付けられて、もうまともな言葉をつむげない。
何度か経験して理解したが、後ろだけで絶頂を迎えると体力の消耗が激しい。それなのにもっと欲しくなってしまう。しかも前後不覚になった俊に煽られるように、クレイグも朝まで執拗に求めてくる。
「……っ、お前といると、発情期も何も関係ないな」
「は、ああ…っア!!」
体が持ち上がり、クレイグの上に座らせられた。中を抉る角度が変わり、声を上げて退け反る。
真っ赤になった首筋を尖った犬歯が後ろから食む。少しの痛みはすぐに快楽に変わり、内部はクレイグを締め付けた。
押し殺した声が耳たぶを打ったかと思えば、聞くに堪えない音を立て、熱が容赦なく突き上げられる。互いの乱れた衣服が擦れる。
ずく、ずく、と強烈な痺れが次から次へと込み上げ、どんなに声を出してもどこにも逃がしようがなくなった。
「あ、い、や……っ」
腰を高く掲げられ、ひくついている襞からずるりと熱が抜けそうになる。ふ、と息を吐いたクレイグに、一気に突き落とされた。
「ふ、あ! あああ――っ!!」
「…っ!」
奥に到達した質量がすさまじい快感を連れてくる。視界が明滅する。びくびくと跳ねる体を逃すまいと後ろから腕が回され、震えることすら許されない。
どくどくとクレイグのものが注ぎ込まれる感覚に戦慄いた。
「っ……は、あ……」
ぐったりとクレイグにもたれ掛かると、さらにきつく抱きしめられた。
まだじりじりと熱は体に蔓延っていて、クレイグを締め付けている後ろがざわめく。潤んだ視界で確認すれば、やはり前は何も吐き出していない。
「……まだしても良いよな?」
後ろからこちらをのぞき込むクレイグは、荒い息を吐いているもののまだ十分に欲をはらんだ目を向けてくる。
「そうなるように仕向けたんだろ……!」
若干納得いかない部分もあるが、求められると嬉しくて仕方がない。ばれているのか、字面だけの悪態に謝罪のような戯れのようなキスをされた。
体勢を変え、隊服を脱いだ彼と真正面から抱き合う。シーツに横たえられ、真上から金の視線に晒された。
「ずっとそばにいろよ」
「っ……クレイグこそ」
また真っ赤になった顔を笑われる。
王子様のくさい台詞には慣れたはずなのに、クレイグから言われるといまだに動揺してしまう。
羞恥心を誤魔化そうと眉根を寄せている俊をまた少し笑い、クレイグは黒髪を梳いた。さらりとシーツに髪束が広がる。クレイグの紳士的行動はそれで終わりだった。
結局、いつも通り俊の体力が限界に来るまで抱かれ続けた。
ちなみに自省したクレイグが魔術で綺麗にしたスーツは、視界に入る度に彼が難しい顔をするので、ワードローブの奥で眠っている。
――――――――――――――――――
ここまで読んでいただきありがとうございました。
拍手や感想もとても嬉しかったです。
番外編はひとまずこれで終わりです。
ディートとデビーの話も途中までは書いているので、環境が変わればまた書きたいです。
本編から番外編まで長い間お付き合いいただき、ありがとうございました!
「あー……そうだったな。悪い。今度埋め合わせする」
本当に忘れていたようだ。
少しバツが悪そうな声がしたが、腰を掴む手の強さは変わらない。
ふわ、と耳に後ろから熱い吐息がかかる。
「あんなこと言われたら、止まらない」
「っ!! あ! ん、ふあ! っあ、ああっ、ッ!」
ぐちゅん、と隘路に押し入った質量のせいで脳がびりびりとしびれる。
先ほどより圧迫感が増しているような気がする。囁かれた台詞から考えれば間違っていないかもしれない。
「あ、……あ、すぐ、イっ、ん、んん!」
腰を打ち付けられる速度が上がる。
みっちり埋まった質量に深いところも浅いところも上も下も余すところなく擦られて、思考が散漫になっていく。縋るように大きな枕を握りしめ、歯を食いしばって声を抑えた。
ぬかるみに怒張が何度も沈み、足が突っ張る。
俊の声が押さえられなくなるほど腹の奥に打ち付けられる熱は激しさを増していく。
衝撃を受け止める腰も背中もびくびくと痙攣している。
自身が言ったとおり、俊はすぐに二度目の精液を吐き出した。
「っ……は、あ…ん」
まだ息が整わないうちに背中に乗り上げていたクレイグに顎を取られ、唇を奪われる。長い舌が俊の口内を蹂躙し、ぐちゃ、と水音を立てた。同時にクレイグを受け入れたままの結合部からも音が響く。
「ひあ! ま、…って、きゅ、休憩……あ、っ!」
クレイグが腰を掴み直した。
再度奥まで押し込まれれば、絶頂の余韻が残る全身に再びの快感が走り、腕からがくりと力が抜けた。
俊は下肢だけをクレイグに支えられたまま枕にうつぶせになる。恥ずかしい格好を変えたくても、繰り返される抽挿の気持ちよさを受け入れることしかできない。
「悪い、まだ…っ」
後頭部に荒い息がかかる。制服の前をはだけさせた彼の鼓動を背中で感じた。それと連動するようにどくどくと自身の血流も早さを増していく。
「あ! いや、…ん! ま、また…アレに、あ! あっ!」
濁流のように腰に官能が溜まっていく感覚。
前は痛いほど張りつめているのに射精の予感はない。
またアレになってしまう。
俊は止めてほしいと舌っ足らずに懇願したが、聞き入れてもらえない。
俊が一番感じる場所ばかりを先端で擦ったかと思えば、奥まで激しく打ち付けられて、もうまともな言葉をつむげない。
何度か経験して理解したが、後ろだけで絶頂を迎えると体力の消耗が激しい。それなのにもっと欲しくなってしまう。しかも前後不覚になった俊に煽られるように、クレイグも朝まで執拗に求めてくる。
「……っ、お前といると、発情期も何も関係ないな」
「は、ああ…っア!!」
体が持ち上がり、クレイグの上に座らせられた。中を抉る角度が変わり、声を上げて退け反る。
真っ赤になった首筋を尖った犬歯が後ろから食む。少しの痛みはすぐに快楽に変わり、内部はクレイグを締め付けた。
押し殺した声が耳たぶを打ったかと思えば、聞くに堪えない音を立て、熱が容赦なく突き上げられる。互いの乱れた衣服が擦れる。
ずく、ずく、と強烈な痺れが次から次へと込み上げ、どんなに声を出してもどこにも逃がしようがなくなった。
「あ、い、や……っ」
腰を高く掲げられ、ひくついている襞からずるりと熱が抜けそうになる。ふ、と息を吐いたクレイグに、一気に突き落とされた。
「ふ、あ! あああ――っ!!」
「…っ!」
奥に到達した質量がすさまじい快感を連れてくる。視界が明滅する。びくびくと跳ねる体を逃すまいと後ろから腕が回され、震えることすら許されない。
どくどくとクレイグのものが注ぎ込まれる感覚に戦慄いた。
「っ……は、あ……」
ぐったりとクレイグにもたれ掛かると、さらにきつく抱きしめられた。
まだじりじりと熱は体に蔓延っていて、クレイグを締め付けている後ろがざわめく。潤んだ視界で確認すれば、やはり前は何も吐き出していない。
「……まだしても良いよな?」
後ろからこちらをのぞき込むクレイグは、荒い息を吐いているもののまだ十分に欲をはらんだ目を向けてくる。
「そうなるように仕向けたんだろ……!」
若干納得いかない部分もあるが、求められると嬉しくて仕方がない。ばれているのか、字面だけの悪態に謝罪のような戯れのようなキスをされた。
体勢を変え、隊服を脱いだ彼と真正面から抱き合う。シーツに横たえられ、真上から金の視線に晒された。
「ずっとそばにいろよ」
「っ……クレイグこそ」
また真っ赤になった顔を笑われる。
王子様のくさい台詞には慣れたはずなのに、クレイグから言われるといまだに動揺してしまう。
羞恥心を誤魔化そうと眉根を寄せている俊をまた少し笑い、クレイグは黒髪を梳いた。さらりとシーツに髪束が広がる。クレイグの紳士的行動はそれで終わりだった。
結局、いつも通り俊の体力が限界に来るまで抱かれ続けた。
ちなみに自省したクレイグが魔術で綺麗にしたスーツは、視界に入る度に彼が難しい顔をするので、ワードローブの奥で眠っている。
――――――――――――――――――
ここまで読んでいただきありがとうございました。
拍手や感想もとても嬉しかったです。
番外編はひとまずこれで終わりです。
ディートとデビーの話も途中までは書いているので、環境が変わればまた書きたいです。
本編から番外編まで長い間お付き合いいただき、ありがとうございました!
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