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6、触れ合い*
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(男? 嘘だろ? え、俺、男で勃ってんのか? いや、でも蓮ならイケ……って俺何考えてんだよ。そうじゃなくて……)
「いや、蓮は男でも綺麗だし、大した問題じゃないよ」
やっと出た言葉に自分自身が驚愕する。これではまるで自分がホモだと言っているようだ。これ以上、蓮との関係を崩さないためには何かフォローをしなければならいのだが、何かを言う度にそれは土壷にはまりそうな気がして出来なかった。
「えっと、その……私にとっては恭吾さんの方が魅力的ですよ?」
混乱した頭にさらに警報ベルが鳴る。蓮は一体何を言っているのだろうか。きっと自分の聞き間違いに違いないと無言で二回目の回答を待つ。
「恭吾さん、私にとって貴方はとても魅力的なんです」
口に湯が入るギリギリのラインで どこがだよ と呟くと、蓮は驚いたように全身で振り向き浴槽を掴んで恭吾の顔に近づいた。
白く透明感のある肌が目の前にある。
思わず唾を飲み込み、喉を鳴らした。
「色々な意味で、恭吾さんは私の特別なんです。それに私に綺麗なんて言った人は……言った人は恭吾さんだけです」
目の前の顔が嬉しそうに笑う。
優しく、美しく、物腰の柔らかな、所作まで鮮麗された蓮が今まで綺麗と言われたことが無いことを不思議に思った。
大人の余裕を見せながらも、時に子供のような笑顔を見せる。そのひとつひとつがこの数日間で愛しくなっていたのを恭吾も薄々気づいていた。
その感情を無意識に押さえつけて、世話になっているのだと思って距離を置いていたのだ。
だが、今、目の前の蓮を改めて愛しいと思ってしまった。男性を恋愛対象として見たことは一度もないが、蓮に関しては性別など……種族など関係ないように思えた。
「キス、していいか?」
まだ浴槽の縁を掴んでいる蓮に湯の波を立てて近づいた。
「……キス……ですか?」
「嫌か?」
そっと蓮の髪を右手で梳く。世話になり始めてから今まで、自分からは決して触れなかった蓮の一部に触れているという興奮が湧いた。しっとりと濡れた質感は、想像していた以上に滑らかですっと手に馴染む。
瞬間、恭吾の理性の糸が切れた。
まだ了を得ていないにも関わらず、蓮の髪を梳いた手で引き寄せ、唇を無理矢理奪う。
「ん! ん……」
蓮は一度離れようとしたが、恭吾が強く手で引き寄せているのですぐに抵抗をしなくなった。
重ねた唇は触れた髪以上にしっとりとして、そこからも花の香りがする。これ以上は止めた方が良いと分かっているのに、その香りを、柔らかさを感じたいと夢中で唇を重ねた。
「……蓮……」
キスの最中に名前を呼ぶと、うっすらと目を開いた蓮はとろんと瞳が潤んでもっとと強請るように吐息を吐く。
「はぁ……ん……、恭吾さ……ん……んぅ!」
開かれた唇に這わせた舌を差し込む。味わう口腔は甘く、危険な蜜のようだ。
せっかく天花が張ってくれた新しい湯の中で、恭吾の肉茎はびくびくと大きさを増し先走りを湯に混じらせる。悪いと思っても、恭吾は興奮を止めることが出来なかった。
整った歯列の裏を撫でるように舌で刺激を与える。
すると、受け身でされるがままだった蓮も恭吾の舌を唇で挟むようにしてその行為を楽しむようにし始めた。
二人の唇が溶けて一つになってしまうのでは無いかと言うほど、長いキスだった。
「蓮……」
くちゅりと音を立て、唇を離す。上気した表情の蓮が片手で顔を隠すように横を向いてしまう。
途中からは合意だったような蓮の行動だが、きっかけは恭吾の理性の糸の細さだ。いくら恭吾が良くても、蓮はそういうつもりはなかったのだろうと思い反省した。
「悪かった……」
「そ、そうじゃないんです!」
再び顔を合わせる蓮の頬は紅潮し、それは浴槽に入っていないので逆上せたせいでは無いことは容易に理解できた。
「えっと……その、初めてでして……驚いてしまいました」
初な表情を見せる蓮を、ますます愛おしくなってしまう。
蓮の腰に巻かれた布は、くっきりと下に隠された熱が勃ち上がっているのを表していた。
その反応は人間と変わらないのだと、恭吾は無性に嬉しくなった。
自分以外の男性の陰部など触れたことは無かったが、蓮のその隠された場所は触れてみたいと思いそっと手を伸ばす。
ぴくんと体を少し跳ねさせた蓮だが、その行為を制止しようとはしなかった。
布越しの肉茎は、自身のそれよりも少し小さく感じた。
優しく傷を付けないように、布ごと手に包み擦り上げる。蓮は先ほどより大きく体を跳ねて、浴槽を強く握り指先が白さを増した。
「力を抜いた方がいいぞ」
耳元で囁くと、蓮は熱い息を漏らした。
「抜けないんです……こんな……どうし、て……ぁ、あ……」
感じ始めた蓮はゆるく腰を動かし始めたが、どうやら無意識のようで恭吾が手を止めても自ら擦り付けるようにしている。
布が隠しているその下へ恭吾は手を伸ばした。蜜を溢れさせる肉茎の奥の二つの実をゆっくりと直に手で握る。痛みを感じないように二つを擦り合わせるようにしてやると、肉茎とは別の反応を示した。
「あぁぁ! はぁ、恭吾……さん……そこ、嫌です、変……」
手のひらで二つをクリグリとしながら、指を奥の菊花へ伸ばした。
「ひゃん! きょ……ごさん! そこ、や、だめ、それ……あぁ!」
目の前で惚けた表情をして懇願する蓮に、再び唇を合わせ嫌という言葉を塞いだ。
そして、きゅっと締まる菊花の中心に中指をゆっくりと沈める。
男を抱いたことは無いが、そこに快楽を感じる前立腺と言うものがあることは聞いたことがある。すぐにそこが見つかるとは思わないが、蓮がもっと惚けて感じ達する様を見てみたい、という欲望が溢れ押さえられなかった。
キスに答えようと必死に舌を差し出す蓮に吸い付くようにしゃぶり、顔を見ると惚けた瞳の端から一筋の涙が流れた。
光る涙が蓮と恭吾のキスの間に流れ込み、うっすらと塩の味がする。
そのしょっぱい刺激ですら恭吾を更に掻き立てる。
半分まで沈めた指を、ゆっくりと中を掻くように動かす。それに蓮の体は素直に反応を示した。
「あぁぁ、あ、ぁ……ぁん……ん、んぅ……はぁ……っ……あぁぁ!」
声を我慢していた蓮が、指の動きに耐えられず甘い喘ぎ声を漏らす。
先程までの反応とはまるで違う、予想以上の甘く可愛らしい反応に恭吾は指の動きを大きく早くさせる。
そして、その場所を偶然見つけてしまった。
コリコリとしたその腹側の丘のような膨らみ。その前立腺と呼ばれる場所を指の腹で撫でるように押し上げる。
「あぁぁぁぁ! そこ、だめです! や、な……これ、変に……なってしまいます! や。恭吾さん! 怖い、やぁ、恭吾さん、恭吾さ……きょ……あぁ、あ、あ……」
唇を離して、恭吾の肩にすがるように抱きつき腰をくねらせる。怖いと言うわりに、蓮の中は熱く指に吸い付いて離さない。
「なぁ……蓮……」
「は、はい?」
「イって良いから。我慢するな、怖くないから」
伝え終わるより先に、恭吾は中に沈んだ指で前立腺を一気に攻め上げる。吸い付き離さないそこから、無理矢理抜くように引き出し、そして膨らみをズリズリと刺激しながら挿入した。
布の下にまだ隠れている蓮の欲望が見たくて、もう片方の手でその一枚を剥ぐ。
「あぁぁ、恭吾さん……見ないで、恥ずかし……です。お願い、もう、おかしくなりそ……なんです……お願い、お願い、恭吾さ……ぁ、あぁ、やだ、……来る、何か来ます、怖い、怖い。恭吾さん! んぅ!」
蜜を次々に溢れさせ、布までぐっしょりと濡らしてしまった陰茎は、蓮とは別の存在とでも言うようにビクンビクンと震わせている。申し訳程度に茂らせる薄い陰毛と使用したことが無いと思われるピンクに腫れる亀頭は、想像通り蓮らしいと思った。
初な反応をする蓮が、前立腺だけでイケるとは思えない。恭吾は痛めた足を少し庇いながら、その熱棒を擦り上げた。
「そろそろだろ? イケよ」
「あぁぁ、出ちゃ……出ちゃいます……恭吾さ……あぁぁぁぁぁ!」
一際大きく体を震わせた蓮は、後ろに反り胸を恭吾に突き出すような姿勢でその先端から白い蜜を吹き出した。
達する瞬間に、恭吾が先端に手をかざして浴室が汚れてしまうのを最小限に押さえる。ゆっくりと菊花から埋めていた指を抜くとちゅぽっと淫猥な音が浴室に響いた。
他人の精液など、触れたことは無いが蓮の白い蜜で染められた手をじっと見ていると舐めてみたい衝動に駆られた。
少し挑戦するように舌の先を這わせる。
その味を感じたとき、自身の下半身が大きく反応を示した。
まるで達してしまうのではないかと思えるほど、その蜜は淫靡で舐めることを止められない味。そして、なんとも言えない快楽を運んできた。
まだ息を弾ませ目を潤ませる蓮の前で、その蜜を愛おしそうに舐めてしまう。こんな性癖があったなんて自分でも知らなかったと、どこか冷静な脳内が語りかけるが、体と行動はその脳とは反対に熱を持ったように夢中で舐めた。
くちゅくちゅと音を立てて、白い蜜が無くなるまで舐めきると、今度は自身の肉茎から出したいという欲望が溢れてくる。そして、蓮もそれを察したのか息を整えて恭吾に再び近づいてきた。
「すいません、先に達してしまい……その、恭吾さんのも……」
その言葉に押され、恭吾はゆっくりと湯船を出て椅子に座る。
特に隠す布の無い恭吾の硬い熱は、今にも果ててしまいそうな程その存在を増していた。
白い蓮の手がその肉を包む。少し冷えたその手が熱くなりすぎた棒を沈めている様な気がしたが、それは逆に余計に蓮を感じて大きさを増す結果になった。
経験人数は少ないが、蓮と比べると獰猛に思える自身の陰茎が繊細な手に包まれているという状況は、支配したような気分にさせ優越感に浸る。
「蓮の手……」
「ぁ……冷たいですよね」
「いや、冷たくて気持ちいい。それに……蓮だから、もっと触れてほしい。でも、ちょっと限界だ」
そう言うと恭吾は蓮の手を肉茎から離し、立ち上がらせる。
「痛かったら止めていい。だから、俺に跨いでゆっくりと腰を下ろしてくれ」
少し戸惑った様子を見せた蓮だったが、すぐに恭吾の言う通りに跨ぎ、彼の達したばかりだが既に勃起した塊を目の前に差し出してきた。
思わず舐めてしまいたい、口に含み思い切りフェラチオをしてやりたいと思った。口淫で蓮を喘がせ、もっとと言わせたい。自分から欲しがるまで蓮を攻め立てたいという衝動に駆られた。だが、グッと我慢をして細い腰に手を添える。
折れてしまうのではないかというほど、無駄な肉の無い体がゆっくりと恭吾の締まった体に沈む。
そして、ゆっくりとその硬い楔を菊花に埋めた。
「っ……」
狭い入り口に思わず眉間に皺を寄せる。だが、もっと痛く辛いのは蓮のはずだとその様子を確かめる。
肩に置いた手を震わせて、痛みに耐えるというより、快楽に溺れないように必死になっている形相のような蓮に息を飲む。
「痛いか?」
ゆっくりと首を振り、涙を浮かべて蓮は口を開く。
「違うんです、その気持ちが良くて……初めてなのに……それが……怖いのです。怖いのですけど……、恭吾さんから与えて貰えると嬉しくて、どうしたらいいのか……」
赤く染めた頬と唇、潤む瞳にその言葉。恭吾はたまらず一気に蓮の腰を引き寄せ降ろさせる。
「あぁぁぁぁ! きょ、ごさっ……あ、ぁぁあ、はぁ」
狭い中がギチギチと音を立てているように、その熱を放つ楔を締め付けた。油断をすれば、一気に搾り取られてしまいそうな感覚だ。
恭吾に座るように向かい合った蓮が無性に愛おしく感じ、優しく抱き締めた。
「悪い、我慢できなかった」
「大丈……夫、です。だから、恭吾さ……もっと、……いえ、お怪我をされているので……私が動き……ます」
「いや、それは……ちょ、つ、あぁ!」
恭吾の頭を抱えるようにして、蓮はゆっくりと上下に動き始める。
ヌプヌプと音を立てて、恭吾の大きな楔を擦る。
さらに、蓮は熱を持ちダラダラと蜜を垂らす肉茎を恭吾の腹に擦り付けていた。先程、達したばかりの亀頭の先は多くの透明の蜜で滑り、腹と亀頭を引いた蜜糸が繋いだ。
「あ、あぁ、恭吾さ……ん……んぅ…、こんな……私を、……許して下さい、嫌いに……ならないで……下さい……」
夢中になった頭でも、許しを請うその内容は今の行為の事ではないと理解できたが、今はそれよりも目の前の蓮を感じていたかった。
「嫌いにならない、だから……もっと、蓮っ……ぁ、そう、いっ……。イッ……蓮、出る!」
「恭吾さっ……ん、私も、また、また……あぁぁぁ!」
ほぼ同時に達した蓮と恭吾は、お互いの蜜の熱を腹の中と外で感じた。
その後、湯冷めをしてしまうからと体を丁寧に洗われ、そして再び今度は二人で浴槽に入る。先程までしていた行為が嘘のように、蓮は変わらない態度を取ってくれた。
手伝いに戻ってきてくれた天花は二人で入浴している様子に驚いた顔をしたが、今度は三つ子とも一緒に入りましょうとぴょんぴょん跳ねながら言ってくれた。
蓮に対して恋愛なのか、それとも世話になっている為に勘違いしてしまった感情なのかはわからないが、あの甘い唇と蜜の味はしばらく忘れられそうにないと恭吾はため息を吐いた。
この足が治れば、二度と味わえる機会が無くなってしまう。
それならば、ずっと痛いままで構わないのにとすら考えてしまった。その自身の異常な考えに、違うため息を吐いたのだった。
「いや、蓮は男でも綺麗だし、大した問題じゃないよ」
やっと出た言葉に自分自身が驚愕する。これではまるで自分がホモだと言っているようだ。これ以上、蓮との関係を崩さないためには何かフォローをしなければならいのだが、何かを言う度にそれは土壷にはまりそうな気がして出来なかった。
「えっと、その……私にとっては恭吾さんの方が魅力的ですよ?」
混乱した頭にさらに警報ベルが鳴る。蓮は一体何を言っているのだろうか。きっと自分の聞き間違いに違いないと無言で二回目の回答を待つ。
「恭吾さん、私にとって貴方はとても魅力的なんです」
口に湯が入るギリギリのラインで どこがだよ と呟くと、蓮は驚いたように全身で振り向き浴槽を掴んで恭吾の顔に近づいた。
白く透明感のある肌が目の前にある。
思わず唾を飲み込み、喉を鳴らした。
「色々な意味で、恭吾さんは私の特別なんです。それに私に綺麗なんて言った人は……言った人は恭吾さんだけです」
目の前の顔が嬉しそうに笑う。
優しく、美しく、物腰の柔らかな、所作まで鮮麗された蓮が今まで綺麗と言われたことが無いことを不思議に思った。
大人の余裕を見せながらも、時に子供のような笑顔を見せる。そのひとつひとつがこの数日間で愛しくなっていたのを恭吾も薄々気づいていた。
その感情を無意識に押さえつけて、世話になっているのだと思って距離を置いていたのだ。
だが、今、目の前の蓮を改めて愛しいと思ってしまった。男性を恋愛対象として見たことは一度もないが、蓮に関しては性別など……種族など関係ないように思えた。
「キス、していいか?」
まだ浴槽の縁を掴んでいる蓮に湯の波を立てて近づいた。
「……キス……ですか?」
「嫌か?」
そっと蓮の髪を右手で梳く。世話になり始めてから今まで、自分からは決して触れなかった蓮の一部に触れているという興奮が湧いた。しっとりと濡れた質感は、想像していた以上に滑らかですっと手に馴染む。
瞬間、恭吾の理性の糸が切れた。
まだ了を得ていないにも関わらず、蓮の髪を梳いた手で引き寄せ、唇を無理矢理奪う。
「ん! ん……」
蓮は一度離れようとしたが、恭吾が強く手で引き寄せているのですぐに抵抗をしなくなった。
重ねた唇は触れた髪以上にしっとりとして、そこからも花の香りがする。これ以上は止めた方が良いと分かっているのに、その香りを、柔らかさを感じたいと夢中で唇を重ねた。
「……蓮……」
キスの最中に名前を呼ぶと、うっすらと目を開いた蓮はとろんと瞳が潤んでもっとと強請るように吐息を吐く。
「はぁ……ん……、恭吾さ……ん……んぅ!」
開かれた唇に這わせた舌を差し込む。味わう口腔は甘く、危険な蜜のようだ。
せっかく天花が張ってくれた新しい湯の中で、恭吾の肉茎はびくびくと大きさを増し先走りを湯に混じらせる。悪いと思っても、恭吾は興奮を止めることが出来なかった。
整った歯列の裏を撫でるように舌で刺激を与える。
すると、受け身でされるがままだった蓮も恭吾の舌を唇で挟むようにしてその行為を楽しむようにし始めた。
二人の唇が溶けて一つになってしまうのでは無いかと言うほど、長いキスだった。
「蓮……」
くちゅりと音を立て、唇を離す。上気した表情の蓮が片手で顔を隠すように横を向いてしまう。
途中からは合意だったような蓮の行動だが、きっかけは恭吾の理性の糸の細さだ。いくら恭吾が良くても、蓮はそういうつもりはなかったのだろうと思い反省した。
「悪かった……」
「そ、そうじゃないんです!」
再び顔を合わせる蓮の頬は紅潮し、それは浴槽に入っていないので逆上せたせいでは無いことは容易に理解できた。
「えっと……その、初めてでして……驚いてしまいました」
初な表情を見せる蓮を、ますます愛おしくなってしまう。
蓮の腰に巻かれた布は、くっきりと下に隠された熱が勃ち上がっているのを表していた。
その反応は人間と変わらないのだと、恭吾は無性に嬉しくなった。
自分以外の男性の陰部など触れたことは無かったが、蓮のその隠された場所は触れてみたいと思いそっと手を伸ばす。
ぴくんと体を少し跳ねさせた蓮だが、その行為を制止しようとはしなかった。
布越しの肉茎は、自身のそれよりも少し小さく感じた。
優しく傷を付けないように、布ごと手に包み擦り上げる。蓮は先ほどより大きく体を跳ねて、浴槽を強く握り指先が白さを増した。
「力を抜いた方がいいぞ」
耳元で囁くと、蓮は熱い息を漏らした。
「抜けないんです……こんな……どうし、て……ぁ、あ……」
感じ始めた蓮はゆるく腰を動かし始めたが、どうやら無意識のようで恭吾が手を止めても自ら擦り付けるようにしている。
布が隠しているその下へ恭吾は手を伸ばした。蜜を溢れさせる肉茎の奥の二つの実をゆっくりと直に手で握る。痛みを感じないように二つを擦り合わせるようにしてやると、肉茎とは別の反応を示した。
「あぁぁ! はぁ、恭吾……さん……そこ、嫌です、変……」
手のひらで二つをクリグリとしながら、指を奥の菊花へ伸ばした。
「ひゃん! きょ……ごさん! そこ、や、だめ、それ……あぁ!」
目の前で惚けた表情をして懇願する蓮に、再び唇を合わせ嫌という言葉を塞いだ。
そして、きゅっと締まる菊花の中心に中指をゆっくりと沈める。
男を抱いたことは無いが、そこに快楽を感じる前立腺と言うものがあることは聞いたことがある。すぐにそこが見つかるとは思わないが、蓮がもっと惚けて感じ達する様を見てみたい、という欲望が溢れ押さえられなかった。
キスに答えようと必死に舌を差し出す蓮に吸い付くようにしゃぶり、顔を見ると惚けた瞳の端から一筋の涙が流れた。
光る涙が蓮と恭吾のキスの間に流れ込み、うっすらと塩の味がする。
そのしょっぱい刺激ですら恭吾を更に掻き立てる。
半分まで沈めた指を、ゆっくりと中を掻くように動かす。それに蓮の体は素直に反応を示した。
「あぁぁ、あ、ぁ……ぁん……ん、んぅ……はぁ……っ……あぁぁ!」
声を我慢していた蓮が、指の動きに耐えられず甘い喘ぎ声を漏らす。
先程までの反応とはまるで違う、予想以上の甘く可愛らしい反応に恭吾は指の動きを大きく早くさせる。
そして、その場所を偶然見つけてしまった。
コリコリとしたその腹側の丘のような膨らみ。その前立腺と呼ばれる場所を指の腹で撫でるように押し上げる。
「あぁぁぁぁ! そこ、だめです! や、な……これ、変に……なってしまいます! や。恭吾さん! 怖い、やぁ、恭吾さん、恭吾さ……きょ……あぁ、あ、あ……」
唇を離して、恭吾の肩にすがるように抱きつき腰をくねらせる。怖いと言うわりに、蓮の中は熱く指に吸い付いて離さない。
「なぁ……蓮……」
「は、はい?」
「イって良いから。我慢するな、怖くないから」
伝え終わるより先に、恭吾は中に沈んだ指で前立腺を一気に攻め上げる。吸い付き離さないそこから、無理矢理抜くように引き出し、そして膨らみをズリズリと刺激しながら挿入した。
布の下にまだ隠れている蓮の欲望が見たくて、もう片方の手でその一枚を剥ぐ。
「あぁぁ、恭吾さん……見ないで、恥ずかし……です。お願い、もう、おかしくなりそ……なんです……お願い、お願い、恭吾さ……ぁ、あぁ、やだ、……来る、何か来ます、怖い、怖い。恭吾さん! んぅ!」
蜜を次々に溢れさせ、布までぐっしょりと濡らしてしまった陰茎は、蓮とは別の存在とでも言うようにビクンビクンと震わせている。申し訳程度に茂らせる薄い陰毛と使用したことが無いと思われるピンクに腫れる亀頭は、想像通り蓮らしいと思った。
初な反応をする蓮が、前立腺だけでイケるとは思えない。恭吾は痛めた足を少し庇いながら、その熱棒を擦り上げた。
「そろそろだろ? イケよ」
「あぁぁ、出ちゃ……出ちゃいます……恭吾さ……あぁぁぁぁぁ!」
一際大きく体を震わせた蓮は、後ろに反り胸を恭吾に突き出すような姿勢でその先端から白い蜜を吹き出した。
達する瞬間に、恭吾が先端に手をかざして浴室が汚れてしまうのを最小限に押さえる。ゆっくりと菊花から埋めていた指を抜くとちゅぽっと淫猥な音が浴室に響いた。
他人の精液など、触れたことは無いが蓮の白い蜜で染められた手をじっと見ていると舐めてみたい衝動に駆られた。
少し挑戦するように舌の先を這わせる。
その味を感じたとき、自身の下半身が大きく反応を示した。
まるで達してしまうのではないかと思えるほど、その蜜は淫靡で舐めることを止められない味。そして、なんとも言えない快楽を運んできた。
まだ息を弾ませ目を潤ませる蓮の前で、その蜜を愛おしそうに舐めてしまう。こんな性癖があったなんて自分でも知らなかったと、どこか冷静な脳内が語りかけるが、体と行動はその脳とは反対に熱を持ったように夢中で舐めた。
くちゅくちゅと音を立てて、白い蜜が無くなるまで舐めきると、今度は自身の肉茎から出したいという欲望が溢れてくる。そして、蓮もそれを察したのか息を整えて恭吾に再び近づいてきた。
「すいません、先に達してしまい……その、恭吾さんのも……」
その言葉に押され、恭吾はゆっくりと湯船を出て椅子に座る。
特に隠す布の無い恭吾の硬い熱は、今にも果ててしまいそうな程その存在を増していた。
白い蓮の手がその肉を包む。少し冷えたその手が熱くなりすぎた棒を沈めている様な気がしたが、それは逆に余計に蓮を感じて大きさを増す結果になった。
経験人数は少ないが、蓮と比べると獰猛に思える自身の陰茎が繊細な手に包まれているという状況は、支配したような気分にさせ優越感に浸る。
「蓮の手……」
「ぁ……冷たいですよね」
「いや、冷たくて気持ちいい。それに……蓮だから、もっと触れてほしい。でも、ちょっと限界だ」
そう言うと恭吾は蓮の手を肉茎から離し、立ち上がらせる。
「痛かったら止めていい。だから、俺に跨いでゆっくりと腰を下ろしてくれ」
少し戸惑った様子を見せた蓮だったが、すぐに恭吾の言う通りに跨ぎ、彼の達したばかりだが既に勃起した塊を目の前に差し出してきた。
思わず舐めてしまいたい、口に含み思い切りフェラチオをしてやりたいと思った。口淫で蓮を喘がせ、もっとと言わせたい。自分から欲しがるまで蓮を攻め立てたいという衝動に駆られた。だが、グッと我慢をして細い腰に手を添える。
折れてしまうのではないかというほど、無駄な肉の無い体がゆっくりと恭吾の締まった体に沈む。
そして、ゆっくりとその硬い楔を菊花に埋めた。
「っ……」
狭い入り口に思わず眉間に皺を寄せる。だが、もっと痛く辛いのは蓮のはずだとその様子を確かめる。
肩に置いた手を震わせて、痛みに耐えるというより、快楽に溺れないように必死になっている形相のような蓮に息を飲む。
「痛いか?」
ゆっくりと首を振り、涙を浮かべて蓮は口を開く。
「違うんです、その気持ちが良くて……初めてなのに……それが……怖いのです。怖いのですけど……、恭吾さんから与えて貰えると嬉しくて、どうしたらいいのか……」
赤く染めた頬と唇、潤む瞳にその言葉。恭吾はたまらず一気に蓮の腰を引き寄せ降ろさせる。
「あぁぁぁぁ! きょ、ごさっ……あ、ぁぁあ、はぁ」
狭い中がギチギチと音を立てているように、その熱を放つ楔を締め付けた。油断をすれば、一気に搾り取られてしまいそうな感覚だ。
恭吾に座るように向かい合った蓮が無性に愛おしく感じ、優しく抱き締めた。
「悪い、我慢できなかった」
「大丈……夫、です。だから、恭吾さ……もっと、……いえ、お怪我をされているので……私が動き……ます」
「いや、それは……ちょ、つ、あぁ!」
恭吾の頭を抱えるようにして、蓮はゆっくりと上下に動き始める。
ヌプヌプと音を立てて、恭吾の大きな楔を擦る。
さらに、蓮は熱を持ちダラダラと蜜を垂らす肉茎を恭吾の腹に擦り付けていた。先程、達したばかりの亀頭の先は多くの透明の蜜で滑り、腹と亀頭を引いた蜜糸が繋いだ。
「あ、あぁ、恭吾さ……ん……んぅ…、こんな……私を、……許して下さい、嫌いに……ならないで……下さい……」
夢中になった頭でも、許しを請うその内容は今の行為の事ではないと理解できたが、今はそれよりも目の前の蓮を感じていたかった。
「嫌いにならない、だから……もっと、蓮っ……ぁ、そう、いっ……。イッ……蓮、出る!」
「恭吾さっ……ん、私も、また、また……あぁぁぁ!」
ほぼ同時に達した蓮と恭吾は、お互いの蜜の熱を腹の中と外で感じた。
その後、湯冷めをしてしまうからと体を丁寧に洗われ、そして再び今度は二人で浴槽に入る。先程までしていた行為が嘘のように、蓮は変わらない態度を取ってくれた。
手伝いに戻ってきてくれた天花は二人で入浴している様子に驚いた顔をしたが、今度は三つ子とも一緒に入りましょうとぴょんぴょん跳ねながら言ってくれた。
蓮に対して恋愛なのか、それとも世話になっている為に勘違いしてしまった感情なのかはわからないが、あの甘い唇と蜜の味はしばらく忘れられそうにないと恭吾はため息を吐いた。
この足が治れば、二度と味わえる機会が無くなってしまう。
それならば、ずっと痛いままで構わないのにとすら考えてしまった。その自身の異常な考えに、違うため息を吐いたのだった。
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