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互いの想いが溢れ出す *

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 魔王アルフレッドに解放され、ふと気が付くと森の中の道で立っていた。日も高く、誘拐された時と景色は何も変わらない。

(本当に時間が経過していないのね……)

 ゆっくりと家に近付きドアノブを握る。
 中からは人の気配がするので、探しに出ていないことはわかった。
 それでも、フロストはアルフレッドに会ったことを察しているのでは……と、そっと家の扉を開いた。

「た、ただいま帰りました」
「おかえり! マリア」

 笑みを浮かべたフロストは、何事もなかったように近付き頭を撫でてくれる。どうやら、誘拐されたことに気付いていないらしい。
 しかし、すぐにフロストは首を傾げて顔を覗き込んできた。見せてくれていた笑みがサッと消え、美しい顔が眉間に皺を寄せる。その様は威圧感があり思わず唾を飲み込んだ。

「……どうしたの? なんか違う」

 軍にいた頃ならば、簡単に心情を読み取られることなどなかったはずだ。いや、タルタロスにいた頃だってそうだ。
 きっと、今はフロストに気を許しているからだろう。フロストだけには気付かれてしまう。
 ということは、下手に嘘はつかない方がいい。

「……魔王に会ったわ」
「まおう? 魔王……魔王だと!? あのお喋りクソジジイにあったのか!!」
「え? お喋りクソジジイ……そうね、お喋りだったけどクソジジイって感じでは」

 どちらかと言えば、令嬢達に好かれそうな風体だったはずだ。実年齢は分からないが、クソジジイよりもクソ野郎の方が言葉としては合うだろう。

「は!? マリアは枯れ専なのか!?」
「枯れ、いや、っていうか私はフロストしか好きになったことないので」

 すると今度は顔を真っ赤にして そういうことはベッドで言えよ! と叫ばれてしまった。

「はぁー……。で? 立ち話でもしたわけ?」

 そんな悠長なことがあるはずがないと分かっているだろうに、苛つく気持ちを抑えるようにフロストはソファーにドカッと音を立てて座る。
 一人がけのソファーだけれど、敢えてフロストの膝の上に腰を下ろす。
 案の定、腰を抱き締められ、微かにフロストが震えているのを感じた。

「私の感覚だと昨日の昼過ぎに拉致されたのよ」
「――時止めか」
「知ってるのね」
「あぁ。クソジジイが得意にしてることだ。何も、されなかったのか?」

 不安そうに胸に頭を埋めてきたのだ、それをゆっくりと撫でてやる。

「えぇ。監禁されただけです。本当はオッズライルに売るつもりだったらしいけど、私と話して……フロストとの関わりを知ったら、気が変わったと」
「完全に遊ばれてんな」

 ハハッと乾いた笑いをしたが、頭は胸に埋めたままなので表情は見えない。

「フロスト。あなたにとって魔王アルフレッドはどんな存在なのかしら?」
「…………………………」

 無言が続き、無理に話さなくて良いと言おうとすると先にフロストが口を開いた。

「恩人であり、俺を生かした悪人だ」
「……死にたかった?」
「そうだな。お喋りクソジジイのことだから、俺の家族の話も聞いたんだろ? 最初は家族の仇を討たせてくれる機会をくれた恩人だった。でも仇だったそいつらも皆死んで、今度は戦場で魂を集めるだけになったら……目的も無く、永遠に生きる意味が分からなくなったんだ。早く死にたかった」

 哀しい声色に何も言えず、ただ緩く頭を撫で続ける。
 戦争は常にどこかで勃発している。それは国同士の大きな場合もあるが、民族間の紛争もある。
 その戦争の悲惨さは――よく知っている。
 自ら軍を率いる時には、絶対に民間人に手を出すなと言っているし、それは戦争をする上での暗黙のルールだ。だが、時にはそうもいかない場合もある。
 こちらが守っていても、あちらも守ってくれるとは限らないからだ。
 滞在していた街に奇襲をかけられれば、赤子を連れた女性や戦力にならない老人や子供まで、否応なしに巻き込まれる。
 たかだか数年、戦場で実践をした私ですら辛いのだ。何十、いや、何百年も戦場を渡り歩いたフロストの心が壊れていないことが不思議なくらいだ。

「死ねないから、魂を集めてた。それだけだ。たまたまマリアの噂を聞いて、興味を持った」
「興味を持ってくれたから、出逢えたのね」

 敢えて軽い口調で話しかけ、そしてゆっくりと……真剣に問いかけた。

「フロストは人間に戻りたいですか?」

 素早く頭を上げたけれど、フロストはすぐに胸に埋め直す。そして諦めたように 戻れない と呟いた。

「アルフレッドから提案を受けました。フロストを人間に戻したいなら、魂を回収した分だけ人を救えと」
「そんなこと、しなくていい」

 氷のように冷たい言葉だった。でも、それが冷た過ぎるので本心でないような、そんな気がした。
 極力優しく、泣く子供に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。

「あのね、フロスト。考えたの。私は沢山の人を死へ追いやりました。あの時はそうするしかなかったけど、今は別の選択ができると考えてる。あんな形ではあったけど、フロストとタルタロスを抜け出して、各国の状況を知っているからこそ……対立してる三国の平和への同盟をしたいの」
「……それはかなり……」
「難しいのは分かってる。ここ数日、考えていました。ミーナや他の街の人達が、今後戦争に巻き込まれないようにしていきたい、安心して暮らせるようにできないかって。それに三国同盟を結ばせれば一気に三国国民の人数分、いえ、これから産まれてくる子供達の分も魂が救われると思わない? 私のやりたいことをして、フロストが人間になるなら最高なのですけど、どうかしら?」
「俺は……俺が回収したのは、それでも足りなかったら?」
「そうね、そうしたら新興宗教の教祖にでもなろうかしら?」

 おどけるように言うと なら俺は一番の信者にならないとな と呟き、ようやく頭を上げた。
 近距離で目を合わせ、無言の空間が続く。

「ごめんなさい」
「何がだ?」
「それっぽいことを言ったけど……私がもう殺さない道を選びたいんです。もう、誰も――殺したく……ないの」

 フロストのためであるけれど、自分自身のためでもある。
 胸の中がグラグラと揺れているのを感じていると、そっと頬を手で包まれてキスをされた。
 触れるだけの優しいキス。それはすぐに離れて今度は額同士が触れ合った。

「厳しいだろうな」
「そうね。でも、やる価値はあると思わない?」
「一つ、無理はしないこと」
「ええ、わかったわ」
「一つ、俺に全部報告すること」
「もちろん」
「一つ、基本的に俺と行動すること」
「努力します」
「一つ、俺を」
「ま、待って! まだあるの?」

 額を離すと、不満の表情を浮かべたフロストに抱き上げられ、そのまま寝室に移動しベッドに縫い付けるように手を押さえられた。抜け出そうと思えばいつでもできるけれど、無抵抗でいると不満の顔が消えて不敵な笑みを浮かべた。

「一つ、俺を愛し続けること」

 そう言うとフロストは顔を沈めてきた。てっきりキスをされると構えたが、それは首筋に触れてきた。
 唾液がたっぷりと絡んだ舌を這わせ、ジュッと音を立ててる。それは赤い花弁のような跡を散らしている音だ。

「それ、今の服だと隠せないからッ」
「隠せない場所に付けてるんだけど」

 そう言ってこちらの服を全て取り払われ、また一つ、二つと跡を増やされる。隠せないから困るのに、フロストからの愛情の証だと思うと嬉しくなってしまうのでしょうがない。
 その証を残す行為は続き、首筋から胸元へ、二の腕の内側、太ももまで散らされていく。
 薄々気付いていたけれど、フロストはかなり独占欲が強いらしい。しかし、それは独占欲だけではない。――失う怖さを知ってるからゆえの執着。そんな気がする。

「んッ」
「痛い?」

 首を振ると、良かったと笑みを浮かべまた一つ証を刻む。
 そこでふと気が付いてしまった。
 入浴をしていない。

「フ、フロスト!!」
「どうした?」
「お風呂入りたいです!!」

 はぁ? と言わんばかりのフロストの表情。それは心底どうでもいいと思っているからだ。だが、こちらにとっては死活問題だ。

「一昨日、一昨日なんです、お風呂入ったのが!」
「前に舐めた時は抵抗しなかったくせに。それに昨日の夜、入ってただろ」
「~~ッ!! アルフレッドに誘拐されたから丸一日追加されてます!!」

 軍の頃なら何日も入れないということは当たり前だし、川や湖で汚れを適当に流すなんてこともあったけれど、それは周りも皆同じ状況だったからだ。
 好きな男に抱かれるなら、話は全く違う。
 拘束されて動いていなかったとはいえ、匂いは気になる。

「時止めして戻ってきたなら、戻ってるだろ」

 それでも昨晩入って、昼間は街に出て……汗はかいている。

「にに、色々匂いが、ほら嫌でしょ? だ――フロスト!!」

 足を閉じようとしていると、それを無理矢理開かれ、グルンと腰を上げられた。その反動で秘部を曝すように足を開いてしまった。

「や、やめって!」
「どうして? あぁ、跡を残してるだけなのにこんなに愛液垂れ流して恥ずかしかった?」

 フッと蜜口に息を吹きかけられ、ヒクンと動いてしまい中から蜜が溢れ出るのを感じる。

「汚い、からァ」
「汚い? マリアは全て綺麗だよ? ほら、見て」

 指を会陰に這わせ蜜を塗るように遊ばせると、ツッーと上りまだ閉じようとしている小陰唇を撫でて陰核を避ける。その指を持ち上げフロストは口に運んだ。

「ヒュっ」

 チュッチュと自らの指を舐め、視線を外せないこちらをみてニコリと笑う。そして 甘酸っぱい とトロリと零れ落ちそうな声色で呟いた。

「ね? 汚くないだろ? だから、もっと見せて」
「え、待っ――アァッ!!」

 こちらの静止を聞き届ける前に、フロストの顔は女の香りを放つ場所に埋められた。
 腕を使い開いた足を固定され、空いた両手で蜜口を隠す柔らかい肉を全て開かれる。そして、全てを曝した秘部にフロストは躊躇うことなく舌を這わせてきた。
 ビクビクと腰を動かすこともままならず、愛液を塗るように全体を舐め回される。

「アッ、んッ――ンッゥ、ッ」
「ヌルヌルれ、おいひい」
「そん、嘘ぉ」

 そんな場所が美味しくてたまるか。

「まだ信じない? なら、もっと溢れさせそうか」
「え? ――あぁァァ!!」
「凄い声。クリトリス吸われるの気持ち良い?」

 痺れて上手く返事をできずにいると、フロストは再び陰核を吸った。チュウチュウと淫らな音を立て、すっかり勃起したそれを舌で押しつぶす。
 時折、歯で甘噛みをされると身体に電流が走ったかのように跳ねてしまった。
 腹を極限まで減らし、ようやく与えられた獲物のように舐め回し食いつき、荒い息が吹きかかる。
 愛撫される感覚はもちろんだけれど、弱点を愛する人に執拗に舐められていると思うと心の奥底から不思議な感覚が溢れてきた。
 フロストがそんな場所を舐めるのは、私のだけだ。
 私の愛液で唇を濡らし、喉を潤し、興奮し、固執する。特別という言葉では足りないほどの優越感。

「もっ、とぉ」

 その言葉に一瞬動きを止め、腫れた陰核を強く吸う。その間にゆっくりと指が中に侵入してきた。
 すんなりと指を受け入れた柔壁は、今度はその形を堪能しようと蠢きだす。だが、それは求めていた長く太く熱い塊ではないと気付いたのか、足りないと叫ぶように締め付けだした。
 自らの意思とは別に指を締め付け続ける柔壁と、可愛がられ続ける陰核に脳が溶けてしまいそうだ。

「んッ、アァッ! ふ、んッ!!」
「マリア、気持ち良さそう」

 満足そうな声色で、指を増やし、溢れる蜜を掻き出すように柔壁引っ掻き、押し込まれ、軽い絶頂を何度も迎える。
 足をピンと伸ばし力が入るが、愛撫は止まらない。
 それどころか指の動きはさらに激しくなり、とうとう身体が限界を感じ取った。

「ふろ、ふろす、と!! フロスト! フロスト!!」

 叫びにも似た声を上げるが、フロストは無視して指の動きを激しくし、快楽を強く感じる場所を押し上げながら陰核を攻め続ける。

「らめらめらめ!! ほんとに、なん、か――出ちゃう!! 出ちゃうからァッ!!」

 ガクンと腰が揺れ、強制的にフロストの指が抜け去り唇が陰核から離れる。そして同時にプシャッ!! プシャー!! と勢いよく何かが吹き出てしまった。

「あぁ、ァ、ッァ」

 出てしまった恥ずかしさと、絶頂から戻って来れない意識が混ざり、あぁと情けない声を出してしまう。
 それが少し落ち着き、フロストを見る。

「!? ――ごめんなさい!! 私、その、漏らして――って舐めるのやめなさい!!」
「んぅ? なんで?」

 何がダメなのかと首を傾げながら、顔や腕に付いた液体を舐めまわしている。

「なんでって……そんな……」

 気持ち良すぎて放尿しました。なんて恥ずかしくて言えるはずもない。涙目でフロストを見上げていると、パッと顔を明るくしてニヤリと笑われた。

「もしかして、おもらしだと?」

 両手で顔を隠し、小さく頷く。

「そっか」

 フロストも横に寝転ぶ。そして身体を包むように抱き締められた。それでも恥ずかしさは変わらない。

「あれは、潮だ」
「し、お?」
「そう。潮吹き。マリアがクリトリス舐められて中を弄られて、気持ち良くて気持ち良くて、身体が限界になった合図だな」

 それはそれで、恥ずかしい。しかし、とりあえず子供のように漏れ出してしまったわけではないようで安心し、フロストを抱き締め返す。

「でも舐めたら、汚いです」
「だから、汚くないって。むしろ初めての潮吹きは全部飲みたかったなぁ……次は全部飲むから」
「はぁ!? ダメです、ダメダメ!! 絶対反対!!」

 焦って抱き締めていた腕を緩め、逞しいフロストの胸に手をついて身体を離すように押す。
 ムッとした表情のフロストだがすぐに破顔一笑し 勝手に飲むから と耳朶を舐めて囁いた。伝わっていないならと、身体を捩り背を向ける。
 すると何を思ったのか、今度は項や背中にキスをし始めた。

「ちょ、アッ、フロスト……」
「こっちは付けてなかったから」
「んッアッ、でも、その――」

 横になることでピッチリとしまった太ももに、熱い塊が押し付けられているの。溢れていた愛液、出てしまった潮、それにべっとりと塗られたフロストの唾液。それらのおかげで押し付けられた肉棒は簡単に太ももの狭間に侵入してくる。
 それが前後に動けば、そのカリ首が先程まで言葉通りデロデロに甘やかされていた陰核を引っ掻くように触れていく。

「だっ、め、それ、ソレッ」
「本当だめ? こんなにトロトロなのに? マリアのここ、吸い付いてくるのに??」

 そう言うと、肉棒は角度を変えて蜜口をトントンと叩く。あと少しフロストが腰を動かすか自身が身悶えれば、焦らされた蜜口はヌプリと音とたて蜜を垂らしてその熱を喜んで飲み込むだろう。
 このまま挿れて欲しい。
 中を満たして掻き回して欲しい。
 ハッハッと短い呼吸を繰り返し、ゆっくりとフロストから身体を離す。

「……マリア?」

 恥ずかしい。ならば、顔が見えなければ素直になれるはずだ。
 フロストに背を向け、四つ這いになり丸みのある柔らかい尻を向ける。

「挿れて、欲しいの」
「――ッ。後ろからで、いいの?」

 見えていない。聞こえていないはずなのに、フロストが唾を飲む音が響いた気がした。

「いい、このまま、奥までシて」

 その言葉に返事はなく、代わりにヌルッと肉棒が蜜口に再び押し付けられた。
 目を瞑れば、雄々しく脈打つ肉棒が先走りと愛液を絡めながら中に挿れられる様子を想像してしまう。

「マリア。腰が揺れてる。すぐに挿れてあげるから」

 ズンッと大きく身体が揺れた直後、頭がビリビリと痺れる。

「――ッ!! ――っぁッ!!」

 身体が跳ね、下腹部から鈍い痛みのようなよく分からない感覚が広がった。

「あう? んッ――」
「イッちゃったんだね。まだ最初の一発なのに。一気にポルチオ叩くのは嫌だった?」

 嫌? いや、イヤ? 嫌ではないけれど、よく分からない。気持ち良いとかではなく、とにかく訳の分からない感覚だ。
 しかも、声も出せない。

「ごめんね。もっと慣らしてからにすべきだったかな。でもマリアが悪いんだぞ。あんな格好で誘って」

 話しかけながらもフロストは腰を動かし始めた。一気に貫いた先程とは違い、優しく柔壁を愛撫するような動きだ。
 言葉は出ないのに、それに合わせて漏れ出る甲高い嬌声は止めることができない。

「マリア――ッ。あぁ、やっぱり一人にするんじゃなかった。あのクソジジイにマリアが見られたなんて……あの目を潰してやろうか」

 恐ろしいセリフだが、それが同時に自身に向けられた恐ろしいほどの執着と紙一重なのだと思うと、何故か心が浮くような気分になる。
 もしかしたら、フロストは危険なのかもしれない。嫉妬深く、狂気じみた執着は、こちらの首を徐々に絞めていく真綿の首輪なのかもしれない。

(でも、それが心地良い……それに私も)

 フロストの目に映るのは私だけでいい。なんて考えているのだから。
 四つ這いのまま振り返り、キスをねだる。求めるものを与えられ、体勢は苦しいはずなのに身体が震えるような快楽で爪先まで満たされるようだ。

「――マリア」

 名前を呼ばれ、唇が離れる。そして名前を呼ばれた意味を察し、小さく頷き いいわ と呟く。
 すると はぁ と一つ息を吐いたフロストは、ガッシリとこちらの腰を掴んだ。

「んんッ!! ――ぁ、は、あ゛ぁ!!」

 恥ずかしい汚い声が出てしまい、シーツをかき寄せ口に含もうとするのをフロストに見つかり奪われる。
 その間も激しく腰は打ち付けられ、バチュバチュと淫らな液体が掻き回される音が響く。

「聞かせて、マリアの声。もっと」
「やら、やっらぁっ!! ごんな――声ェッッ!! やっ、ふぁぉあ゛ッ!! イグイグッ――!!」
「アッ――待って、俺もスグ」
「まっまっ、イッ、イッでる、イ――てるがら!!」
「知ってる、搾り取られそう。――イくよ、出すよ。ほら、奥。ポルチオから注いであげる――クッ」
「アァァぁツッ!!」

 これは交尾だ。獣のように貪られ、イッても止めてくれない。止められない。
 そんな交尾なのに、熱を孕む白濁が注がれているのだと思うと、やはり愛の行為なのだと思えてしまう。

「フロ、スト」
「はぁ、はぁはぁ、待って、止まらない。まだ出てる」

 精を出し尽くすまで少しだけ動きを止め、そしてまたすぐに動き出した。

「!? え!? フロスト!?」
「まさか、これで終わりなはずないでしょ? ほら、もっとマリアも動物になって頭空っぽにして求めて」
「そんなこと――アァッ! できな、イッ!!」
「できる。できるよ、ほら、俺がしてあげる。マリアを俺だけの可愛い淫らな獣にしてあげるから」

 先程よりフロストの肉棒が大きくなったと思うのは気のせいだろうか。真偽は分からないが、先程よりも快楽が強く全身が性感帯になってしまったようだ。

「愛してる。マリア」

 そう言って首筋を舐められ、終わりのない絶頂の波に飲まれていった。
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