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本来の姿
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「…………龍神……様」
その姿を見たおとめは、呆然と立ち尽くした。
恐怖からではなく、今、龍神が置かれている現状があまりにも無謀だったからだ。
「――龍神様!!」
叫び駆け寄り、ぐったりとした頬に触れる。
すると、ゆっくりと目を開いた龍神は、柔らかく目を細めた。
「来てしまったか……」
「何してるんですか!! こんなことしてたら、春になる前に死んでしまう!!」
「ふむ……それより、この姿は怖くないか?」
弱々しい声で問われ、おとめはキッと龍神を睨む。
「怖いなんてあるはずないでしょう!? どんな姿でも龍神様は龍神様だよ!!」
蛇とは違うけれど爬虫類に似た顔、立派な角が二本と長い髭。口を開けば巨大な牙が見え隠れしている。伸びている胴体は巨木の幹のように太く逞しい。神なので当たり前なのかもしれないが、神々しいとはこのような姿を指すのだろう。
そんな巨体が……弱々しく雪の上に横たわり、その身体で雪崩を堰き止めているのだ。
少しでも龍神が身体を動かせば、村に大量の雪が流れていくだろう。そうなったら……村の被害は免れない。
「なに、春になれば溶ける」
何でもないように龍神は言うが、まだ二月。これから山の雪は一ヶ月以上残るだろう。それに、これからまだ雪が降るに違いない。
「その前に死ぬよ!!」
冷たくなった龍神を想像しただけで、おとめは目から涙が溢れてきた。
「なんで、ここまでするの……」
もう贄の儀式はしていない。龍神が助けることはないのだ。
「先日……おとめが拐かされて、怒りで村の小屋を壊した」
「そんなの、あんなボロ屋すぐに直せたよ!」
「それに地響きを起こしたからな。それで雪崩が起こったのかもしれない」
「もしそうだとしても!! ここまでする必要ないのに……」
「人間に関与したのは事実だ。俺がしたことの始末をしないとな」
これ以上何を言っても、きっと龍神は引かないだろう。
おとめは立ち上がり、龍神の大きな顔に触れ唇を寄せた。
「絶対助けるから。待ってて」
龍神が何か言おうとしたが、それを振り切って山を駆け降りる。
本来ならば、人間と関わってはいけないのかもしれない。これ以上、龍神が龍神であると知られるのは良くないのかもしれない。それでも、何もせずに弱っていく龍神を見ているなど、おとめには到底できない。
足がもつれて、何度も雪の中に埋もれてしまったが、立ち上がりまた駆け出す。
そのまま村の道を走り、村長の家に駆け込んだ。
「村長!!」
「おとめちゃん――ってどうしたんだい?! 雪まみれじゃないか!! ばぁさん、布を持ってきてくれ!!」
「聞いて!! お願い!!」
「わかったから。どうした??」
手を引かれ居間に連れていかれそうになったが、それを払っておとめは玄関で叫ぶ。
「山で雪崩が起こってるの!! 龍神様が身体で止めてるけど、このまま春になるまで龍神様が止めているなんて出来ない、だから」
「雪崩? そんな気配あったか?」
奥から男衆の一人が顔を覗かせた。どうやら運良く男衆の会合があったようだ。
「龍神様が止めてたから、気付かなかったの。私も、なんか変な音がするって思って様子を見に入っただけで」
何人か出てきた男衆の中で、怪訝そうな顔をする男もいる。そんな一人が、あぁーと面倒そうな声を出した。
「それなら龍神様に任せるべきでねぇか? ほら、神様なら大丈夫だろ?」
その無責任な言葉に、おとめは一気に頭に血が上った。
「本来なら龍神様は人間のことに関与しないのよ!! でも今は……私を留吉から助けた時に小屋を壊したからって。あんなボロ屋を壊したってだけで、龍神様は身体を張って雪崩から守ってくれてるのよ!? 人の生活を荒らした罪滅ぼしで守ってくれてるだけなの!! 生かしてもらったんなら、これからは自分たちでどうにかしないと!!」
「でもよ、雪崩だろ? 何ができる?」
男衆は、人間で雪崩は止められんだろうと口々に呟く。
そんな中、黙っていた村長がおとめの手を取った。
「雪崩の場所はどこだ?」
「村長!! 案内する!!」
「力のある奴は半分おとめと山に入るぞ! 他の奴らは山から離れた屋敷で待機。女衆と煮炊きして暖めておいてくれ。交代しながら除雪する」
「そんな無茶な!!」
「無理でもやる」
きっぱりと言い切った村長に、おとめは手を握り返した。
「ありがとう……ございます……」
「いや、知らせてくれてありがとう。おとめがいなかったら、日照りも乗り越えられず、村は途絶えたかもしれん。これくらいはさせてくれ」
村長が決断すると、村はそれに従う。それは良くも悪くもではあるけれど、おとめは今ほど頼りに思えたことはなかった。
農具を背負った男達は龍神の本来の姿に慄いたものの、それはすぐに畏怖に変わり、龍神が塞き止めていた雪を退かし始める。
龍神様が守ってくれたんだ、と歓喜の涙を流す男衆も少なくなった。
おとめは女衆と村で待つように言われたけれど、そんなことができるはずもなく、男衆と共に懸命に雪を退かした。
三日三晩、雪を退かし続け、ようやく雪崩の危険がなくなった時には、全員が疲労困憊であったけれど雄々しい歓喜の叫びが山に響いた。
その声でまた別の場所で雪崩が起きると、村長に窘められたけれど、この経験は村を一つにまとめあげたのは間違いない。
「龍神様……、もう大丈夫です」
おとめの声に、龍神はゆっくりと瞼を持ち上げた。
「そうか、良かった。村長、人々を村へ」
「はい。ありがとうございます。このお礼は必ず致します」
「いらぬ。俺の……せいでもあるからな」
「では、春になりましたら、食べ物をたんと供えさせて下さい」
「村に影響のないようにな」
龍神の寛大な心に、村長は何度も礼を述べた。
「おとめちゃんは……」
「私は、残る。龍神様の傍にいます」
揺るがない決意を感じたらしく、村長はあっさりと男衆を引き連れて山を降りていった。
そしてその姿が見えなくなると、龍神はその姿を人の形へ変え立ち上がろうとしたものの、雪の中に倒れ込んでしまった。
駆け寄ったおとめはその身体を抱き起こし、どうにか抱えて歩き出す。
「……おとめも、村へ、帰るんだ」
「帰らない。本当に帰って欲しいなら、村長が帰る前に言えましたよね?」
「………………」
もし村長達が居ても帰るつもりはなかったが、黙る龍神を抱えた手に少しだけ力を入れた。
「お願い。傍にいさせて」
「…………わかった」
雪で悪い足元を中を龍神と湖を目指す。途中、次郎にトヨへの言伝を頼んだので、きっと大丈夫だろう。
それに、三日三晩の中でおとめも何度か村には帰っている。その際、トヨにこのまま龍神の元に行くと思うとは伝えてあった。
それが、何日……何週間、何ヶ月になるかは分からないけれど……。
「湖、見えてきた。龍神様、着地、できそうですか?」
さすがに、湖の底の屋敷にそのまま落ちれば無事では済まないだろう。
「…………それくらいは……」
その言葉を信じ、おとめは湖に到着すると躊躇いなく龍神を抱き締めたまま飛び込んだ。
その姿を見たおとめは、呆然と立ち尽くした。
恐怖からではなく、今、龍神が置かれている現状があまりにも無謀だったからだ。
「――龍神様!!」
叫び駆け寄り、ぐったりとした頬に触れる。
すると、ゆっくりと目を開いた龍神は、柔らかく目を細めた。
「来てしまったか……」
「何してるんですか!! こんなことしてたら、春になる前に死んでしまう!!」
「ふむ……それより、この姿は怖くないか?」
弱々しい声で問われ、おとめはキッと龍神を睨む。
「怖いなんてあるはずないでしょう!? どんな姿でも龍神様は龍神様だよ!!」
蛇とは違うけれど爬虫類に似た顔、立派な角が二本と長い髭。口を開けば巨大な牙が見え隠れしている。伸びている胴体は巨木の幹のように太く逞しい。神なので当たり前なのかもしれないが、神々しいとはこのような姿を指すのだろう。
そんな巨体が……弱々しく雪の上に横たわり、その身体で雪崩を堰き止めているのだ。
少しでも龍神が身体を動かせば、村に大量の雪が流れていくだろう。そうなったら……村の被害は免れない。
「なに、春になれば溶ける」
何でもないように龍神は言うが、まだ二月。これから山の雪は一ヶ月以上残るだろう。それに、これからまだ雪が降るに違いない。
「その前に死ぬよ!!」
冷たくなった龍神を想像しただけで、おとめは目から涙が溢れてきた。
「なんで、ここまでするの……」
もう贄の儀式はしていない。龍神が助けることはないのだ。
「先日……おとめが拐かされて、怒りで村の小屋を壊した」
「そんなの、あんなボロ屋すぐに直せたよ!」
「それに地響きを起こしたからな。それで雪崩が起こったのかもしれない」
「もしそうだとしても!! ここまでする必要ないのに……」
「人間に関与したのは事実だ。俺がしたことの始末をしないとな」
これ以上何を言っても、きっと龍神は引かないだろう。
おとめは立ち上がり、龍神の大きな顔に触れ唇を寄せた。
「絶対助けるから。待ってて」
龍神が何か言おうとしたが、それを振り切って山を駆け降りる。
本来ならば、人間と関わってはいけないのかもしれない。これ以上、龍神が龍神であると知られるのは良くないのかもしれない。それでも、何もせずに弱っていく龍神を見ているなど、おとめには到底できない。
足がもつれて、何度も雪の中に埋もれてしまったが、立ち上がりまた駆け出す。
そのまま村の道を走り、村長の家に駆け込んだ。
「村長!!」
「おとめちゃん――ってどうしたんだい?! 雪まみれじゃないか!! ばぁさん、布を持ってきてくれ!!」
「聞いて!! お願い!!」
「わかったから。どうした??」
手を引かれ居間に連れていかれそうになったが、それを払っておとめは玄関で叫ぶ。
「山で雪崩が起こってるの!! 龍神様が身体で止めてるけど、このまま春になるまで龍神様が止めているなんて出来ない、だから」
「雪崩? そんな気配あったか?」
奥から男衆の一人が顔を覗かせた。どうやら運良く男衆の会合があったようだ。
「龍神様が止めてたから、気付かなかったの。私も、なんか変な音がするって思って様子を見に入っただけで」
何人か出てきた男衆の中で、怪訝そうな顔をする男もいる。そんな一人が、あぁーと面倒そうな声を出した。
「それなら龍神様に任せるべきでねぇか? ほら、神様なら大丈夫だろ?」
その無責任な言葉に、おとめは一気に頭に血が上った。
「本来なら龍神様は人間のことに関与しないのよ!! でも今は……私を留吉から助けた時に小屋を壊したからって。あんなボロ屋を壊したってだけで、龍神様は身体を張って雪崩から守ってくれてるのよ!? 人の生活を荒らした罪滅ぼしで守ってくれてるだけなの!! 生かしてもらったんなら、これからは自分たちでどうにかしないと!!」
「でもよ、雪崩だろ? 何ができる?」
男衆は、人間で雪崩は止められんだろうと口々に呟く。
そんな中、黙っていた村長がおとめの手を取った。
「雪崩の場所はどこだ?」
「村長!! 案内する!!」
「力のある奴は半分おとめと山に入るぞ! 他の奴らは山から離れた屋敷で待機。女衆と煮炊きして暖めておいてくれ。交代しながら除雪する」
「そんな無茶な!!」
「無理でもやる」
きっぱりと言い切った村長に、おとめは手を握り返した。
「ありがとう……ございます……」
「いや、知らせてくれてありがとう。おとめがいなかったら、日照りも乗り越えられず、村は途絶えたかもしれん。これくらいはさせてくれ」
村長が決断すると、村はそれに従う。それは良くも悪くもではあるけれど、おとめは今ほど頼りに思えたことはなかった。
農具を背負った男達は龍神の本来の姿に慄いたものの、それはすぐに畏怖に変わり、龍神が塞き止めていた雪を退かし始める。
龍神様が守ってくれたんだ、と歓喜の涙を流す男衆も少なくなった。
おとめは女衆と村で待つように言われたけれど、そんなことができるはずもなく、男衆と共に懸命に雪を退かした。
三日三晩、雪を退かし続け、ようやく雪崩の危険がなくなった時には、全員が疲労困憊であったけれど雄々しい歓喜の叫びが山に響いた。
その声でまた別の場所で雪崩が起きると、村長に窘められたけれど、この経験は村を一つにまとめあげたのは間違いない。
「龍神様……、もう大丈夫です」
おとめの声に、龍神はゆっくりと瞼を持ち上げた。
「そうか、良かった。村長、人々を村へ」
「はい。ありがとうございます。このお礼は必ず致します」
「いらぬ。俺の……せいでもあるからな」
「では、春になりましたら、食べ物をたんと供えさせて下さい」
「村に影響のないようにな」
龍神の寛大な心に、村長は何度も礼を述べた。
「おとめちゃんは……」
「私は、残る。龍神様の傍にいます」
揺るがない決意を感じたらしく、村長はあっさりと男衆を引き連れて山を降りていった。
そしてその姿が見えなくなると、龍神はその姿を人の形へ変え立ち上がろうとしたものの、雪の中に倒れ込んでしまった。
駆け寄ったおとめはその身体を抱き起こし、どうにか抱えて歩き出す。
「……おとめも、村へ、帰るんだ」
「帰らない。本当に帰って欲しいなら、村長が帰る前に言えましたよね?」
「………………」
もし村長達が居ても帰るつもりはなかったが、黙る龍神を抱えた手に少しだけ力を入れた。
「お願い。傍にいさせて」
「…………わかった」
雪で悪い足元を中を龍神と湖を目指す。途中、次郎にトヨへの言伝を頼んだので、きっと大丈夫だろう。
それに、三日三晩の中でおとめも何度か村には帰っている。その際、トヨにこのまま龍神の元に行くと思うとは伝えてあった。
それが、何日……何週間、何ヶ月になるかは分からないけれど……。
「湖、見えてきた。龍神様、着地、できそうですか?」
さすがに、湖の底の屋敷にそのまま落ちれば無事では済まないだろう。
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