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新年のご挨拶
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山火事の件も落ち着き、村の人々は各々の家で新年を迎えて賑わっているだろう。
だが、だいぶ雪が積もってきたこともあり、その賑やかな声は届いてこない。
夏ならば、家の窓や戸を開きっぱなしにしているので聞こえてくることもあるのだが、冬は閉じきっているうえに雪が音を吸い込んでしまう。なので、おとめの家は母と娘の二人が静かに新年を迎えて料理を食べていた。
山火事の後、焼けることのなかった自宅に戻ったおとめは母のトヨに全てを打ち明けた。
龍神が守ってくれたこと。
そして、おとめが龍神を本気で愛したこと。
最初はなぜと言ったトヨだったけれど、すぐに 貫けるのね と言ってきた。
きっと、トヨも十何年も会えていない父を本気で愛していたのだろう。そして今もその想いを貫いている。
しっかりと頷くと なら好きにしなさい。でも死ぬことだけは許しません。 とトヨらしい言葉で応援してくれた。
そして、友人のゆきとこうにも同じ話をした。
二人はおとめが幸せならば、それを全力で応援すると言って手を握ってくれた。
龍神とは、どうにもならない関係かもしれない。しかし、こんな話も受け入れてくれる良い友人を持てたな……とおとめは涙を流した。
芋煮の盛らた器を見て、ふと呟いた。
「龍神様は新年のお祝いしてるのかな?」
「どうかしら? 行ってくれば良いじゃない」
「え? いいの??」
トヨの言葉におとめは目を瞬かせる。
「会える時に会わないと、後悔しても遅いわよ?」
「お母さん……」
きっと父との出来事を思い出しているのだろう。シンと静まり返り湿っぽくなった空気を、トヨは手を叩いて散らし立ち上がった。
「そうだわ! おせちを持って行きなさいな。それに、おとめが作った芋煮もね。男は胃袋を掴むのよ」
「え、龍神様でも?」
「男には変わらないでしょ?」
確かにそうだ。龍神も男性だから、おとめを抱いたのだし見た目は人間そのものであり、茶と茶菓子は食べていたので食事も多分可能だろう。
そんなことを考えているうちに、トヨは手際よくおせちと芋煮を詰め始める。
「ちょっと、お母さん?」
「なによ」
「今から行くの? 元旦だよ??」
「特別な日に挨拶する女は特別でしょ?」
「えぇ……そうかもしれないけど……」
そして料理を詰め終わると、トヨは今度は箪笥を開き着物を出し始めた。
「……お母さん??」
「なによ」
「いや、何してるの?」
「着物出してるの」
見ればわかる。さすがのおとめも、察してトヨに駆け寄った。
「まさか、よそ行きの出そうとしてない!?」
「あんたね……。新年に神様にご挨拶行くんでしょう? 振袖に決まってんでしょ」
「えぇ……振袖……。いやいや! 無理だよ! 外は雪だよ!?」
どうしても振袖を着せたかったトヨとの押し問答はしばらく続いたが、折衷案でどうにか引っ張り出した振袖よりも袖の長さが短い二尺袖に袴を着ることで収まった。
雪の山に入るのに、振袖なんて絶対無理。だが、農作業のモンペ姿は絶対ダメ。それならばと、トヨがかつて仕立てたという白地に鮮やかな桜が袖に散った美しい着物とえんじ色の袴を押し付けられたのだ。
当時は袴を着る女の子はほとんどおらず、トヨも試着で一回袖を通しただけだと言う着物と袴だ。
おとめとしては、いつもの着物の方が何倍も歩きやすいのだけれど、トヨにも思うところがあるのだろう。袴を着付けてもらっている最中、トヨはずっとご機嫌だった。
「春になったら、振袖着るね」
「そうね。私の宝物だから、汚したら承知しないけど」
「なら雪の日に着せようとしないでよ」
「あら。汚れても龍神様がどうにかしてくれるでしょう?」
確かに頼めば一瞬で綺麗にしてくれそうだけれど……。
「龍神様は何でも屋じゃないんだけど」
「そうね。じゃぁ、いってらっしゃい」
「うん。早めに帰るね」
「ゆっくりしてらっしゃい。私は新年とか関係無いから編み物でもしてるわ」
そう言って、押し出すようにトヨに見送られ、おとめは山に向かう。
雪は止んでいるけれど、積もった雪をうまく踏みしめながら進むのは時間がかかる。その上、量は多くないけれどおせちと芋煮を背負っているのだ。
両手で袴の裾を持ち上げながら、山にはいる。
昼といえど、山は葉が落ちて雪が積もり、動物達の気配もない。
この静まり返った空気がおとめは好きだった。
一人で干し芋だけ持って、雪山に入り、沈みそうな太陽を木に登って眺めたりもしていた。
その時、この見える景色以外にもたくさんの素晴らしい景色があるんだなと感動した。そして、その景色を見るためにトヨと一緒に村を出ようかと思ったりもしたのだけれど、今は村を出ずに良かったと思う。
大好きな友人に出逢え、龍神の元に通えるようになったのだ。こんな幸福はそうそう訪れるものではないだろう。
「さーて、ついた……」
崖から湖を覗くと、湖面がキラキラと輝いている。
「綺麗――、まって。凍ってないよね?」
この辺りで湖面が凍るほどの寒さはまだ訪れていない。大丈夫だろうと思うけれど、風もなく凪いだ湖面は凍っているのかいないのか……どちらかよくわからない。
「うーん……ぶつかったら、痛いよね……」
骨が折れるだろうか。しかし、その衝撃で氷が割れて龍神の元へいけるのだろうか。
「骨折ってたら、龍神様に怒られそうだな……」
だが、このまま悩み続けていても仕方ない。
一か八かならば、もうおとめは何度もその賭けに勝っているようなものだ。
「よし、行こう!!」
袴を上げ直し、助走をつけて思い切り崖を飛び降りた。
いつもより澄んだ空気に、相変わらず美しく輝く湖面。それに吸い込まれていくような感覚に、心が踊る。
トプン! と優しい音が聞こえた。
湖面は凍ってはいなかったようだ。
目を開くと、すぐに龍神が庭で待っているのが見えた。
「龍神様!」
その返事の代わりなのか、龍神は腕を広げおとめが落ちていくのを待っくれる。その腕に飛び込みしがみつく。
「おとめ、よく来た」
「龍神様、あけましておめでとうございます!」
「ん? あぁ、新年を迎えていたか。おめでとう」
「今日は元旦ですよ? 何もしてないんですか?」
抱き上げられたままのおとめが首を傾げると、龍神は 何も となんでもないように答えた。
「祝ってはいけない……とかですか?」
それならば、おとめの格好も荷物も場違いになる。少し心が曇るが、すぐにその憂いを龍神が取り去ってくれた。
「いや、長年一人だったからな。必要が無いのと時が経つのが早くていつの間にか数年すぎることがある」
「な、るほど?」
「おとめ」
ゆっくりと降ろしてくれた龍神が一歩下がる。
「ふむ。美しいな」
「!?」
「袴は巫女が着てるものだと思ったが、そうやっておとめが着ると晴れ着のようだ。美しいし、良く似合う。桜の色がおとめの白い肌に栄えてとても良い。うん。だが、濃い色も似合うだろうな。ふむ……」
「あの、褒め過ぎです……」
「そうか? ん? なんだ? その後ろの大荷物は」
龍神は覗き込むようにおとめが背負った荷物を見た。
「あ! 新年なので、おせち料理持って来ました! でも山火事や日照りがあったので量は少しなんですけど……龍神様は人の食べ物を口に出来ますか?」
「もちろん」
それを聞いて嬉しくなったおとめは、満面の笑みを浮かべた。
だが、だいぶ雪が積もってきたこともあり、その賑やかな声は届いてこない。
夏ならば、家の窓や戸を開きっぱなしにしているので聞こえてくることもあるのだが、冬は閉じきっているうえに雪が音を吸い込んでしまう。なので、おとめの家は母と娘の二人が静かに新年を迎えて料理を食べていた。
山火事の後、焼けることのなかった自宅に戻ったおとめは母のトヨに全てを打ち明けた。
龍神が守ってくれたこと。
そして、おとめが龍神を本気で愛したこと。
最初はなぜと言ったトヨだったけれど、すぐに 貫けるのね と言ってきた。
きっと、トヨも十何年も会えていない父を本気で愛していたのだろう。そして今もその想いを貫いている。
しっかりと頷くと なら好きにしなさい。でも死ぬことだけは許しません。 とトヨらしい言葉で応援してくれた。
そして、友人のゆきとこうにも同じ話をした。
二人はおとめが幸せならば、それを全力で応援すると言って手を握ってくれた。
龍神とは、どうにもならない関係かもしれない。しかし、こんな話も受け入れてくれる良い友人を持てたな……とおとめは涙を流した。
芋煮の盛らた器を見て、ふと呟いた。
「龍神様は新年のお祝いしてるのかな?」
「どうかしら? 行ってくれば良いじゃない」
「え? いいの??」
トヨの言葉におとめは目を瞬かせる。
「会える時に会わないと、後悔しても遅いわよ?」
「お母さん……」
きっと父との出来事を思い出しているのだろう。シンと静まり返り湿っぽくなった空気を、トヨは手を叩いて散らし立ち上がった。
「そうだわ! おせちを持って行きなさいな。それに、おとめが作った芋煮もね。男は胃袋を掴むのよ」
「え、龍神様でも?」
「男には変わらないでしょ?」
確かにそうだ。龍神も男性だから、おとめを抱いたのだし見た目は人間そのものであり、茶と茶菓子は食べていたので食事も多分可能だろう。
そんなことを考えているうちに、トヨは手際よくおせちと芋煮を詰め始める。
「ちょっと、お母さん?」
「なによ」
「今から行くの? 元旦だよ??」
「特別な日に挨拶する女は特別でしょ?」
「えぇ……そうかもしれないけど……」
そして料理を詰め終わると、トヨは今度は箪笥を開き着物を出し始めた。
「……お母さん??」
「なによ」
「いや、何してるの?」
「着物出してるの」
見ればわかる。さすがのおとめも、察してトヨに駆け寄った。
「まさか、よそ行きの出そうとしてない!?」
「あんたね……。新年に神様にご挨拶行くんでしょう? 振袖に決まってんでしょ」
「えぇ……振袖……。いやいや! 無理だよ! 外は雪だよ!?」
どうしても振袖を着せたかったトヨとの押し問答はしばらく続いたが、折衷案でどうにか引っ張り出した振袖よりも袖の長さが短い二尺袖に袴を着ることで収まった。
雪の山に入るのに、振袖なんて絶対無理。だが、農作業のモンペ姿は絶対ダメ。それならばと、トヨがかつて仕立てたという白地に鮮やかな桜が袖に散った美しい着物とえんじ色の袴を押し付けられたのだ。
当時は袴を着る女の子はほとんどおらず、トヨも試着で一回袖を通しただけだと言う着物と袴だ。
おとめとしては、いつもの着物の方が何倍も歩きやすいのだけれど、トヨにも思うところがあるのだろう。袴を着付けてもらっている最中、トヨはずっとご機嫌だった。
「春になったら、振袖着るね」
「そうね。私の宝物だから、汚したら承知しないけど」
「なら雪の日に着せようとしないでよ」
「あら。汚れても龍神様がどうにかしてくれるでしょう?」
確かに頼めば一瞬で綺麗にしてくれそうだけれど……。
「龍神様は何でも屋じゃないんだけど」
「そうね。じゃぁ、いってらっしゃい」
「うん。早めに帰るね」
「ゆっくりしてらっしゃい。私は新年とか関係無いから編み物でもしてるわ」
そう言って、押し出すようにトヨに見送られ、おとめは山に向かう。
雪は止んでいるけれど、積もった雪をうまく踏みしめながら進むのは時間がかかる。その上、量は多くないけれどおせちと芋煮を背負っているのだ。
両手で袴の裾を持ち上げながら、山にはいる。
昼といえど、山は葉が落ちて雪が積もり、動物達の気配もない。
この静まり返った空気がおとめは好きだった。
一人で干し芋だけ持って、雪山に入り、沈みそうな太陽を木に登って眺めたりもしていた。
その時、この見える景色以外にもたくさんの素晴らしい景色があるんだなと感動した。そして、その景色を見るためにトヨと一緒に村を出ようかと思ったりもしたのだけれど、今は村を出ずに良かったと思う。
大好きな友人に出逢え、龍神の元に通えるようになったのだ。こんな幸福はそうそう訪れるものではないだろう。
「さーて、ついた……」
崖から湖を覗くと、湖面がキラキラと輝いている。
「綺麗――、まって。凍ってないよね?」
この辺りで湖面が凍るほどの寒さはまだ訪れていない。大丈夫だろうと思うけれど、風もなく凪いだ湖面は凍っているのかいないのか……どちらかよくわからない。
「うーん……ぶつかったら、痛いよね……」
骨が折れるだろうか。しかし、その衝撃で氷が割れて龍神の元へいけるのだろうか。
「骨折ってたら、龍神様に怒られそうだな……」
だが、このまま悩み続けていても仕方ない。
一か八かならば、もうおとめは何度もその賭けに勝っているようなものだ。
「よし、行こう!!」
袴を上げ直し、助走をつけて思い切り崖を飛び降りた。
いつもより澄んだ空気に、相変わらず美しく輝く湖面。それに吸い込まれていくような感覚に、心が踊る。
トプン! と優しい音が聞こえた。
湖面は凍ってはいなかったようだ。
目を開くと、すぐに龍神が庭で待っているのが見えた。
「龍神様!」
その返事の代わりなのか、龍神は腕を広げおとめが落ちていくのを待っくれる。その腕に飛び込みしがみつく。
「おとめ、よく来た」
「龍神様、あけましておめでとうございます!」
「ん? あぁ、新年を迎えていたか。おめでとう」
「今日は元旦ですよ? 何もしてないんですか?」
抱き上げられたままのおとめが首を傾げると、龍神は 何も となんでもないように答えた。
「祝ってはいけない……とかですか?」
それならば、おとめの格好も荷物も場違いになる。少し心が曇るが、すぐにその憂いを龍神が取り去ってくれた。
「いや、長年一人だったからな。必要が無いのと時が経つのが早くていつの間にか数年すぎることがある」
「な、るほど?」
「おとめ」
ゆっくりと降ろしてくれた龍神が一歩下がる。
「ふむ。美しいな」
「!?」
「袴は巫女が着てるものだと思ったが、そうやっておとめが着ると晴れ着のようだ。美しいし、良く似合う。桜の色がおとめの白い肌に栄えてとても良い。うん。だが、濃い色も似合うだろうな。ふむ……」
「あの、褒め過ぎです……」
「そうか? ん? なんだ? その後ろの大荷物は」
龍神は覗き込むようにおとめが背負った荷物を見た。
「あ! 新年なので、おせち料理持って来ました! でも山火事や日照りがあったので量は少しなんですけど……龍神様は人の食べ物を口に出来ますか?」
「もちろん」
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