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龍神の悩み
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おとめはまた来てくれた。
確かに、また村の日照り解消のためではあったけれど、その様子からしてこちらを嫌っている感じは無く……むしろ、好いてくれていると思う。多分。きっと。希望的なアレだけれど。
ただ、おとめは自身は人間で、こちらは神だからと一線を引いているのも事実だろう。
だから、今回はやたらと奉仕精神を全面に出してきたのだと思う。
アレはアレで良かった。
魔羅を飲み込んだおとめの蜜道が、キュウキュウと締める感覚。それに呼応するように、快楽に溺れていく表情。腰の動きも淫らに良い部分に当てようと必死になるのも、それで揺れる大きな乳房も最高だ。
一言で言うならば、絶景。
しかし、いくら何でもまだ二回目だ。無理し過ぎたおとめはその一回で寝入ってしまい、ようやく起きた時は身体の筋肉が悲鳴を上げているらしく……一日は動けなかった。
食事を運び、薬湯に浸からせ、回復した時に山に返した。
それはもう、紳士的に。
紳士なので……口説くことも出来なかったが。
愛し過ぎて、ただ慈しむように触れて世話をするしかできなかったのだ。
いや、その世話も楽しかったのだが……正直、物足りない。
回数も……そして………………。
「はぁぁぁぁぁ……」
机に突っ伏した龍神の前に、狸と狐が一匹ずつ冷めた目でそれを見ている。
「……重症だな」
「……重症やなぁ」
狸の次郎は、心配そうに龍神の頭をポンポンと肉球で撫でた。
「おとめちゃんが前に来てから、結構たったんなぁ?」
「三ヶ月だな」
狐の三国が即答し、改めて三ヶ月の長さを感じる。
村はあの後にしっかりと秋雨が降り注ぎ、山も田畑も潤い、本格的な冬に向けて備蓄しているらしい。
「もう三ヶ月も経つんな。なら、もうおとめちゃんは」
「こらっ!! 次郎のアホ!!」
しまったというように、次郎が口元を手で押さえると、龍神はチラリと視線を上げて二匹を見た。
「おとめは……息災か?」
「はい。龍神さまの雨のおかげで潤いましたが、村は米も何もかも実りが少なかったから方々に駆け回ってますよ。備蓄食を作らないと、冬は乗り切れないからな」
「そうだな……」
それが人間の生活だ。忙しいのは分かってるが、少しでも、欠片でも自身のことをおとめは思い出してくれているだろうか。
そして、思い出したあとに……少しでも会いたい気持ちを持ってくれていれば……それだけで、この後、数百年は生きていけそうだ。
しかし。
「――おとめと、口吸いをしなかったんだ」
突然の告白に、二匹は目を瞬かせた。
「口吸い?」
「それに、乳房も吸ってない」
「……それに何の意味が?」
全く意味不明と言わんばかりの二匹に、龍神は頬杖をついて指をさす。
「意味しかないだろ」
「わからんのだが……三国はわかるか?」
「いや、まったく。口吸いは人が逢引きのときに、こっそりしてるのを見た。多分愛情表現だろ」
「ふむ? なら乳は? 赤子に吸わせるもんやろが?」
首を捻る二匹に、龍神はため息を吐く。
「本当にわからぬのか? 男にはない、愛らしい乳房に慎まく主張をしてしまう桃色の乳首。それが勃つとコリコリとして指先だけで扱けるほどになるのだ。しかも、そこだけで達せるほどの快楽を拾うのだぞ? はぁー……。何故、弄ってやらなかったのか……」
「龍神さまは赤子になりたいんか?」
「断じて違う!!」
あらぬ誤解を即座に否定するが、やはり二匹は理解できないようだ。
「まぁ、人間や神の営みは分からないけど……その話はヤエの前ではしない方がいいと思いますよ」
「あたりまえだ。男しかいないから話したまでだ」
狸であろうとヤエは雌だ。そんな話をすれば、冷めた目……いや、廃棄物でも見るような目で見られること間違いなしだろう。
「――はぁ……、おとめに会いたい」
「見に行けばよかろ?」
「あのな。次郎。龍神さまは神だぞ? 人間に姿を見せるなんてできないさ」
「ようわからん。好きなら必死に口説かんと」
次郎の言葉が心に重くのしかかる。
本当にその通りだ。
しかし、拒否されたらと思うと……堪らなく怖い。
「人間になりたい」
「無理だろうのぉ」
「……――言ってみただけだ。住む世界も寿命も違う。愛したら苦しいだけだ。わかってる」
無理矢理笑顔を作ってみたが、二匹は切ない息を吐いて「どうにかならないか」と呟いてくれた。
確かに、また村の日照り解消のためではあったけれど、その様子からしてこちらを嫌っている感じは無く……むしろ、好いてくれていると思う。多分。きっと。希望的なアレだけれど。
ただ、おとめは自身は人間で、こちらは神だからと一線を引いているのも事実だろう。
だから、今回はやたらと奉仕精神を全面に出してきたのだと思う。
アレはアレで良かった。
魔羅を飲み込んだおとめの蜜道が、キュウキュウと締める感覚。それに呼応するように、快楽に溺れていく表情。腰の動きも淫らに良い部分に当てようと必死になるのも、それで揺れる大きな乳房も最高だ。
一言で言うならば、絶景。
しかし、いくら何でもまだ二回目だ。無理し過ぎたおとめはその一回で寝入ってしまい、ようやく起きた時は身体の筋肉が悲鳴を上げているらしく……一日は動けなかった。
食事を運び、薬湯に浸からせ、回復した時に山に返した。
それはもう、紳士的に。
紳士なので……口説くことも出来なかったが。
愛し過ぎて、ただ慈しむように触れて世話をするしかできなかったのだ。
いや、その世話も楽しかったのだが……正直、物足りない。
回数も……そして………………。
「はぁぁぁぁぁ……」
机に突っ伏した龍神の前に、狸と狐が一匹ずつ冷めた目でそれを見ている。
「……重症だな」
「……重症やなぁ」
狸の次郎は、心配そうに龍神の頭をポンポンと肉球で撫でた。
「おとめちゃんが前に来てから、結構たったんなぁ?」
「三ヶ月だな」
狐の三国が即答し、改めて三ヶ月の長さを感じる。
村はあの後にしっかりと秋雨が降り注ぎ、山も田畑も潤い、本格的な冬に向けて備蓄しているらしい。
「もう三ヶ月も経つんな。なら、もうおとめちゃんは」
「こらっ!! 次郎のアホ!!」
しまったというように、次郎が口元を手で押さえると、龍神はチラリと視線を上げて二匹を見た。
「おとめは……息災か?」
「はい。龍神さまの雨のおかげで潤いましたが、村は米も何もかも実りが少なかったから方々に駆け回ってますよ。備蓄食を作らないと、冬は乗り切れないからな」
「そうだな……」
それが人間の生活だ。忙しいのは分かってるが、少しでも、欠片でも自身のことをおとめは思い出してくれているだろうか。
そして、思い出したあとに……少しでも会いたい気持ちを持ってくれていれば……それだけで、この後、数百年は生きていけそうだ。
しかし。
「――おとめと、口吸いをしなかったんだ」
突然の告白に、二匹は目を瞬かせた。
「口吸い?」
「それに、乳房も吸ってない」
「……それに何の意味が?」
全く意味不明と言わんばかりの二匹に、龍神は頬杖をついて指をさす。
「意味しかないだろ」
「わからんのだが……三国はわかるか?」
「いや、まったく。口吸いは人が逢引きのときに、こっそりしてるのを見た。多分愛情表現だろ」
「ふむ? なら乳は? 赤子に吸わせるもんやろが?」
首を捻る二匹に、龍神はため息を吐く。
「本当にわからぬのか? 男にはない、愛らしい乳房に慎まく主張をしてしまう桃色の乳首。それが勃つとコリコリとして指先だけで扱けるほどになるのだ。しかも、そこだけで達せるほどの快楽を拾うのだぞ? はぁー……。何故、弄ってやらなかったのか……」
「龍神さまは赤子になりたいんか?」
「断じて違う!!」
あらぬ誤解を即座に否定するが、やはり二匹は理解できないようだ。
「まぁ、人間や神の営みは分からないけど……その話はヤエの前ではしない方がいいと思いますよ」
「あたりまえだ。男しかいないから話したまでだ」
狸であろうとヤエは雌だ。そんな話をすれば、冷めた目……いや、廃棄物でも見るような目で見られること間違いなしだろう。
「――はぁ……、おとめに会いたい」
「見に行けばよかろ?」
「あのな。次郎。龍神さまは神だぞ? 人間に姿を見せるなんてできないさ」
「ようわからん。好きなら必死に口説かんと」
次郎の言葉が心に重くのしかかる。
本当にその通りだ。
しかし、拒否されたらと思うと……堪らなく怖い。
「人間になりたい」
「無理だろうのぉ」
「……――言ってみただけだ。住む世界も寿命も違う。愛したら苦しいだけだ。わかってる」
無理矢理笑顔を作ってみたが、二匹は切ない息を吐いて「どうにかならないか」と呟いてくれた。
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