10 / 12
Last Moon (約40分 男5(少年・男女不問))
概要
しおりを挟む「マカロフ卿こっちは終わったわよ。お蔭さまで私のMPは残り僅かね」
「そのスキルがあれば対個人戦は無敵なんじゃないか? ナリユキ・タテワキにも勝てそうだ」
「そうなの? まあいいわ。残りのあの日本人は任せたわ」
「何だ知っていたのか。それにしても仕事が早いな」
「そうかしら? 長期戦になりそうな相手は先手必勝するほうが手っ取り早いのよ」
ちょっと待って? どういう事? 何でアマミヤさんがあんな隙だらけで、マカロフ卿と話しているの?
私は身体向上を使ってジャンプした。こんなところを抜け出すのはいとも簡単。
クレーターから抜けだして私は絶望した。
アリスちゃんが凍っている……。
全身の力が抜けて私の活力という活力は抜けきってしまった。なんで――。
「メンタルブレイクってやつだな」
「2人もやられてしまったら当然の事ね」
「2人? 他にもいるのか?」
「ええ。お蔭で本当にへとへとなの。他の人間が絶対零度を2度も使ったらMPが0になる可能性多いわね」
「確かにそうだな。まあそこは転生者補正ってやつだろうさ」
ここで戦わないといけないのに、私は全身の力が入らなかった――。手と足、そして先程のダメージで一旦自動消滅した天使の翼は出すことすらできない感覚に陥っている。
「ほら、見ろ。完全に戦意喪失しているようだ。お嬢様よ良く聞け。大人しく捕まれ」
「大人しく言うことを聞けば酷い仕打ちをするような部屋には連れて行かないわ」
そうか。ここで私が捕まればアードルハイム帝国の拷問部屋に連れていかれることになるのか――。でも――。どう考えてもこの2人を相手にして勝つ方法が見当たらない。ここで、アリスちゃんの氷を持って、天使の翼で空を飛びながら逃げた方がよいのだろうか?
「大人しく言う事を聞けば、アリスちゃんとノア君を元通りにしてくれるの?」
「そんな訳ないでしょ。特にあの少年を元に戻したら脅威になるじゃない」
「あの少年ってあれか? 緑色の髪をした奴か?」
「そうよ。マーズベルに行った時にいたの?」
「ああ。念波動の数値は5,200だ」
「――。冗談キツイわ」
「ナリユキ・タテワキも同じ数字だったな」
「帯刀さんも同じ数値なのね。まあ流石といったところね」
「知っているのか?」
「ええ。地球にいたときの知り合いというか――。先輩だったから」
先輩? 本当にナリユキさんとこの女性はどういう関係なのだろうか?
「成程な。さてお嬢様。ラストチャンスだ。大人しく捕まれ」
私が捕まれば計画は大狂いのなるのではないか? それだけが心配だった。
ふと、見上げて視界に入ったマカロフ卿の顔――。彼の瞳はどこか悲しさを持ち合わせていた。
そして思う。彼は悪い人じゃないのかもしれない。
私は不思議と両手を差し出していた。これは意識してではない。無意識のうちだった。
「あら。案外素直なのね。どういう風の吹きまわしかしら」
アマミヤさんはそう言いながら私に手枷と足枷をした。これで私はもう何も抵抗することはできない。この手枷と足枷を外す方法は、自力で何とかするか、無難に鍵を探すかの二択になる。
「そんなことはいいだろう。お嬢様も馬鹿ではない。なにせナリユキ・タテワキの側近だからな。とは言っても俺からすればまだまだ甘ちゃんだがな」
「元軍人が言うと皆がひよっ子に見えてしまうわ。いずれにしても連れて行きましょう。裏ルートからでいいはね?」
「そうだな」
そう言って私とアリスちゃんは馬車に乗せられて運ばれることになった。
そして気になったのは裏ルートという言葉。一体何を考えているのだろう。じゃない! 1つ肝心な事を聞いていなかった!
「少し聞きたいんだけど、ティラトンのbarを襲ったのは?」
「貴女が気にする必要はないわ。と言っても貴女にはもうスキルを発動することができないから、何もすることができないんだけど」
まあそうだよね。教えてくれないよね。
「ラングドールさんはどうなるの?」
「彼は大方死刑ね。貴女はあくまで転生者。彼はこっちの世界の人間。元々干渉することが無い次元から来た私達が、彼の命を気にかける意味なんてないのよ。所詮他人の命なのだから、今は自分の命を大切にしなさい」
言っていることが意味が分かるようで分からない。自分の命を大切にしなさいなんて、どういう意図があってそんな事を言うのだろう。マカロフ卿もアマミヤさんも一体何を企んでいるのだろう。考えれば考えるほど沼になりそうだ。
「ラングドールが死刑って聞いて驚かないんだな」
「予測はできていたからね。それに私の印象では彼は死を恐れていない。やれること全力でやった。例え死んでも誰か繋いでくれる。そう考えているような気がするから」
「凄いわね。貴方今いくつ?」
「22だよ」
「よく見ているわね。肝心なところで鈍感な帯刀さんとは大違い」
その言葉にふと疑問を抱く。私の印象だとなりゆき君は凄く優しくて気配りができて、尚且つ腰が適度に低い謙虚な男性だ。私とアマミヤさんの印象に大きなズレが生じているだけだろうか。
いや……。この人は私が知らないなりゆき君を知っている。そう考えただけで知りたいという欲と、嫉妬が半々ほどの割合で沸々と込み上げてきた。
「そのスキルがあれば対個人戦は無敵なんじゃないか? ナリユキ・タテワキにも勝てそうだ」
「そうなの? まあいいわ。残りのあの日本人は任せたわ」
「何だ知っていたのか。それにしても仕事が早いな」
「そうかしら? 長期戦になりそうな相手は先手必勝するほうが手っ取り早いのよ」
ちょっと待って? どういう事? 何でアマミヤさんがあんな隙だらけで、マカロフ卿と話しているの?
私は身体向上を使ってジャンプした。こんなところを抜け出すのはいとも簡単。
クレーターから抜けだして私は絶望した。
アリスちゃんが凍っている……。
全身の力が抜けて私の活力という活力は抜けきってしまった。なんで――。
「メンタルブレイクってやつだな」
「2人もやられてしまったら当然の事ね」
「2人? 他にもいるのか?」
「ええ。お蔭で本当にへとへとなの。他の人間が絶対零度を2度も使ったらMPが0になる可能性多いわね」
「確かにそうだな。まあそこは転生者補正ってやつだろうさ」
ここで戦わないといけないのに、私は全身の力が入らなかった――。手と足、そして先程のダメージで一旦自動消滅した天使の翼は出すことすらできない感覚に陥っている。
「ほら、見ろ。完全に戦意喪失しているようだ。お嬢様よ良く聞け。大人しく捕まれ」
「大人しく言うことを聞けば酷い仕打ちをするような部屋には連れて行かないわ」
そうか。ここで私が捕まればアードルハイム帝国の拷問部屋に連れていかれることになるのか――。でも――。どう考えてもこの2人を相手にして勝つ方法が見当たらない。ここで、アリスちゃんの氷を持って、天使の翼で空を飛びながら逃げた方がよいのだろうか?
「大人しく言う事を聞けば、アリスちゃんとノア君を元通りにしてくれるの?」
「そんな訳ないでしょ。特にあの少年を元に戻したら脅威になるじゃない」
「あの少年ってあれか? 緑色の髪をした奴か?」
「そうよ。マーズベルに行った時にいたの?」
「ああ。念波動の数値は5,200だ」
「――。冗談キツイわ」
「ナリユキ・タテワキも同じ数字だったな」
「帯刀さんも同じ数値なのね。まあ流石といったところね」
「知っているのか?」
「ええ。地球にいたときの知り合いというか――。先輩だったから」
先輩? 本当にナリユキさんとこの女性はどういう関係なのだろうか?
「成程な。さてお嬢様。ラストチャンスだ。大人しく捕まれ」
私が捕まれば計画は大狂いのなるのではないか? それだけが心配だった。
ふと、見上げて視界に入ったマカロフ卿の顔――。彼の瞳はどこか悲しさを持ち合わせていた。
そして思う。彼は悪い人じゃないのかもしれない。
私は不思議と両手を差し出していた。これは意識してではない。無意識のうちだった。
「あら。案外素直なのね。どういう風の吹きまわしかしら」
アマミヤさんはそう言いながら私に手枷と足枷をした。これで私はもう何も抵抗することはできない。この手枷と足枷を外す方法は、自力で何とかするか、無難に鍵を探すかの二択になる。
「そんなことはいいだろう。お嬢様も馬鹿ではない。なにせナリユキ・タテワキの側近だからな。とは言っても俺からすればまだまだ甘ちゃんだがな」
「元軍人が言うと皆がひよっ子に見えてしまうわ。いずれにしても連れて行きましょう。裏ルートからでいいはね?」
「そうだな」
そう言って私とアリスちゃんは馬車に乗せられて運ばれることになった。
そして気になったのは裏ルートという言葉。一体何を考えているのだろう。じゃない! 1つ肝心な事を聞いていなかった!
「少し聞きたいんだけど、ティラトンのbarを襲ったのは?」
「貴女が気にする必要はないわ。と言っても貴女にはもうスキルを発動することができないから、何もすることができないんだけど」
まあそうだよね。教えてくれないよね。
「ラングドールさんはどうなるの?」
「彼は大方死刑ね。貴女はあくまで転生者。彼はこっちの世界の人間。元々干渉することが無い次元から来た私達が、彼の命を気にかける意味なんてないのよ。所詮他人の命なのだから、今は自分の命を大切にしなさい」
言っていることが意味が分かるようで分からない。自分の命を大切にしなさいなんて、どういう意図があってそんな事を言うのだろう。マカロフ卿もアマミヤさんも一体何を企んでいるのだろう。考えれば考えるほど沼になりそうだ。
「ラングドールが死刑って聞いて驚かないんだな」
「予測はできていたからね。それに私の印象では彼は死を恐れていない。やれること全力でやった。例え死んでも誰か繋いでくれる。そう考えているような気がするから」
「凄いわね。貴方今いくつ?」
「22だよ」
「よく見ているわね。肝心なところで鈍感な帯刀さんとは大違い」
その言葉にふと疑問を抱く。私の印象だとなりゆき君は凄く優しくて気配りができて、尚且つ腰が適度に低い謙虚な男性だ。私とアマミヤさんの印象に大きなズレが生じているだけだろうか。
いや……。この人は私が知らないなりゆき君を知っている。そう考えただけで知りたいという欲と、嫉妬が半々ほどの割合で沸々と込み上げてきた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
フリー声劇台本〜1万文字以内短編〜
摩訶子
大衆娯楽
ボイコネのみで公開していた声劇台本をこちらにも随時上げていきます。
ご利用の際には必ず「シナリオのご利用について」をお読み頂ますようよろしくお願いいたしますm(*_ _)m
フリー声劇台本〜BL台本まとめ〜
摩訶子
恋愛
ボイコネのみで公開していた声劇台本の中からBLカテゴリーのものをこちらにも随時上げていきます。
ご使用の際には必ず「シナリオのご使用について」をお読み頂ますようよろしくお願いいたしますm(*_ _)m
片思い台本作品集(二人用声劇台本)
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
今まで投稿した事のある一人用の声劇台本を二人用に書き直してみました。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。タイトル変更も禁止です。
※こちらの作品は男女入れ替えNGとなりますのでご注意ください。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい
【フリー声劇台本】地下劇場あるかでぃあ(男性3人用または不問3人用)
摩訶子
キャラ文芸
『いらっしゃいませ。カフェではなく、【劇場】の方のお客様ですか。……それなら、あなたはヒトではないようですね』
表向きは、美しすぎる男性店主と元気なバイトの男の子が迎える女性に大人気のカフェ。
しかしその地下に人知れず存在する秘密の【朗読劇場】こそが、彼らの本当の仕事場。
観客は、かつては物語の主人公だった者たち。
未完成のまま葬られてしまった絵本の主人公たちにその【結末】を聴かせ、在るべき場所に戻すのが彼らの役目。
そんな二人の地下劇場の、ちょっとダークな幻想譚。
どなたでも自由にご使用OKですが、初めに「シナリオのご使用について」を必ずお読みくださいm(*_ _)m
👨一人用声劇台本「寝落ち通話」
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
彼女のツイートを心配になった彼氏は彼女に電話をする。
続編「遊園地デート」もあり。
ジャンル:恋愛
所要時間:5分以内
男性一人用の声劇台本になります。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/entertainment.png?id=2f3902aa70cec36217dc)
声劇・シチュボ台本たち
ぐーすか
大衆娯楽
フリー台本たちです。
声劇、ボイスドラマ、シチュエーションボイス、朗読などにご使用ください。
使用許可不要です。(配信、商用、収益化などの際は 作者表記:ぐーすか を添えてください。できれば一報いただけると助かります)
自作発言・過度な改変は許可していません。
バレンタイン作品集👩一人用、👨一人用、👩👨二人用声劇台本
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
バレンタイン関連の声劇台本。
5分以内のショートショート作品をこちらにまとめました。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
※こちらの作品は男女入れ替えNGとなりますのでご注意ください。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい
【フリー台本】一人向け(ヤンデレもあるよ)
しゃどやま
恋愛
一人で読み上げることを想定した台本集です。五分以下のものが大半になっております。シチュエーションボイス/シチュボとして、声劇や朗読にお使いください。
別名義しゃってんで投稿していた声劇アプリ(ボイコネ!)が終了したので、お気に入りの台本や未発表台本を投稿させていただきます。どこかに「作・しゃどやま」と記載の上、個人・商用、収益化、ご自由にお使いください。朗読、声劇、動画などにご利用して頂いた場合は感想などからURLを教えていただければ嬉しいのでこっそり見に行きます。※転載(本文をコピーして貼ること)はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる