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1万文字以内短編

真面目さんのBLゲーム勉強会(約10分 男2女3)

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ジャンル【コメディ】

配役 5名
A子:女性・学生・18歳以上。BL好き女子。
姉:女性・大学生~社会人くらい。A子の姉。
男子1:男性・中学生。真面目さんその1。
男子2:男性・中学生。真面目さんその2。
女子1:女性・中学生。真面目さんその3。



○A子の自宅・リビング(夕)

A子:「ただいまー」
姉:「おかえりっ! ちょっとちょっとちょっと、こっち来てこっち!」
A子:「え? なにお姉ちゃん、どうしたの?」
姉:「あんた明日も、パソコンのゲームやるわよね!?」
A子:「えっ? やだ何なのそんな必死な顔して。いや、やるけどさ…」
姉:「お願いがあるの」
A子:「へ?」
姉:「あたしの彼が家庭教師のバイトしてるんだけどね、受け持ちにちょ~っと真面目すぎる子が3人ほど居て、中学生なのに流行りの遊びとか何も知らなくて、お勉強ばっかりしててなかなかお友達もできないみたいで、困ってるのよ!」
A子:「へぇ~。それで?」
姉:「でね、その子達に今の子が好きな遊びとかを教えてあげて、もう少し融通がきくようにしてあげて欲しいって言うのよ」
A子:「うん。………………うん?」
姉:「だからここはひとつ、あんたに協力して欲しくて」
A子:「…えぇーと………というと、それはつまり………?」
姉:「ゲームを見学させてあげてくれない? あんたがやってるやつでいいから!」
A子:「い! いやいやいやいや、だってお姉ちゃんも知ってるでしょ!? 私がやってるゲームって……BLだけなんですけど!!」
姉:「うん、それでいいそれで」
A子:「いいわけあるか! だいたい中学生でしょ!? 教育上よろしくないんじゃないの?」
姉:「全年齢対象のやつある?」
A子:「ある」
姉:「オッケ!」
A子:「それだけの問題なの!?」
姉:「お願いよ~。彼にいい顔しておいて、今度の旅行でたくさん高いもの買わせたいの」
A子:「なんで私がそんなことのために!」
姉:「きっとBLゲームも買ってくれるよ」
A子:「………え?」
姉:「あんたは18歳越えてるから、18禁のゲームでもいいんじゃない? 欲しいのあるでしょ?」
A子:「………………ある」
姉:「交渉成立!」
A子:「………どうなっても知らないからねぇぇ~!?」


○翌・A子の自宅・自室

姉:「お待たせ~。どうぞ、入って入って♪」
A子:「…ゲームに釣られてつい承諾してしまったが………冷静に考えたら、真面目すぎるからってBLゲームを勉強させてどうするっていうんだ…意味がわからないでしょ……」

 少し間

男子1:「失礼致します」
男子2:「失礼致します」
女子1:「失礼致します」
A子:「お、おおぉ~………これはまたお行儀のよろしい方々で…」
男子1:「本日はお招き頂きましてありがとうございます」
男子2:「こちら、つまらないものですが皆さんで召し上がってください」
女子1:「貴重な機会を頂き、感謝しております」
姉:「あはは……い、いい子達でしょ?」
A子:「…は、はぁ………どうも、恐縮でございますです」
男子1:「あなたが僕達に必要なことをご教授くださる先生ですね」
A子:「ほえっ!?」
真面目3人:「よろしくお願い致します」
A子:「は、はぁ………こちらこそでございますであります…」
姉:「はい、ゲーム起動して」
A子:「~~~っ…(なんともいえない気持ちでゲームをつける)」
男子1:「あ、ノートの準備を」
男子2:「質問がある時は、その都度挙手でよろしいでしょうか?」
女子1:「もしこの授業での注意点などがありましたら、予めご提示頂ければ」
A子:「な、ないないない、そんなもん! えーと、正座しなくていいんで、適当にくつろいで、その、なんだ? あー……こういうものもあるんだなぁとか思ってもらえればいいと、思います、です、はい」
女子1:「お気遣いありがとうございます」
姉:「始まったね。えーと、タイトルは?」
A子:「………………男子校のプリンセスは眠らない、です」
真面目3人:「おおぉー(拍手)」
A子:「泣きたい………」
男子2:「はい! 早速質問なのですが!」
A子:「えっ! し質問!?」
男子2:「なぜ、男子校なのにプリンセスなのですか? プリンセスとは王女のことなので、女性になるのでは…?」
A子:「えっ! そこ!?」
姉:「説明してあげて。わかるようにね」
A子:「えぇ~……そんなの……だってさぁ…」
男子1:「キミ、これは簡単な問題だよ。男子校だから男性しかいないというのはひっかけじゃないかい?」
A子:「………ん?」
男子2:「というと? あぁ、わかったぞ」
男子1:「そう。男子校にも、女性の教員はいるんだ」
A子:「ええぇ!?」
男子1:「(笑顔で)ですよね、先生?」
A子:「いや、それは……その………」
女子1:「なるほど。ではこれは、男子校に勤務する女性教諭を描いた物語ということなのですね」
A子:「違う違う! 違うよぉ! これには男の子しか出てこないし、プリンセスももちろん男の子のことだし………」
男子2:「え! 違うのですか!?」
姉:「………(笑いを堪える)」
男子1:「なんと………それは僕が思っていたよりもずっと難しい問題だ」
女子1:「女性を示したタイトルになっているけれど、作品中に女性は登場しない……」
男子2:「かなりの難問ですね……」
A子:「いや、あのねぇ………」
姉:「まあほら、あれよ。女の子みたいに可愛い男の子だから、お姫様って呼んじゃってるだけよ」
男子1:「え? そんな単純なことなのですか?」
男子2:「でもそれは、いじめに繋がりかねません」
姉:「繋がりません繋がりません。本人が『ボクってお姫様みたいに可愛いでしょ♡』って言ってるから!」
A子:「(小声で)えぇっ、そんな台詞ないよ…」
姉:「(小声で)いいからそういうことにしときなさい」
女子1:「なるほど。とても深い作品なのですね」
男子1:「僕らが当たり前だと思っていたことは、当たり前ではなかったということか」
男子2:「勉強になりました」
A子:「助かった………」
姉:「はい、ゲームスタート!」

 少し間

女子1:「…ふむふむ、背景が変わる」
男子1:「画面の下の方に文字が出てくる…」
男子2:「人物の姿が静止画で出てくる…」
A子:「そんなのノートに取らなくていいからさ……」
男子2:「先生、質問いいですか?」
A子:「は、はいっ! なんでございましょうかっ!」
男子2:「この彼が横の彼を『俺の女だ』と形容しているのは、先程タイトル問題で提示された、男性をあえて女性のように呼ぶことと同じ意味合いを持つのですか?」
姉:「…ひぃー(笑いを堪えるのに必死)」
A子:「…はい、そうですそういうことです………」
女子1:「教科書には書かれない、深い話なのですね」
A子:「進めますよ……」

 少し間

男子1:「先生、僕も質問が!」
A子:「はひぃ~! なんですか~!」
男子1:「先程から何となく思っていたのですが、これは男性同士の恋愛の物語なのですか?」
A子:「え、今更そこ!?」
男子2:「今更、ということは、そうだということなのですね?」
A子:「そ、そうですよ……それ以外何だっていうんですか……」
女子1:「では、こちらの彼が言っている『今すぐチューしちゃうぞ♡』というのは、このあと実行されるということですか?」
A子:「………」
姉:「にひひひひひ(笑いを堪えられない)」
A子:「そうです今私がこのマウスをクリックしたら彼らのチューが実行されます。…見ますか? 見ませんか? 見たくないならここでゲームを切ってもいいんですよ?」
男子1:「とんでもない! ここまで学んできたのに途中で放棄なんて、できるはずがありません!」
男子2:「あ、ペンの色を変えたいので、少し待ってください!」
女子1:「真剣に学ばせて頂きます」
A子:「………そうですか」
姉:「みんな真面目なのねぇ。さすがあたしの彼の教え子ね」
A子:「じゃあいくよ、はい。はいキスした。いえーい」
男子1:「………」
男子2:「………」
女子1:「………」
A子:「お? どうしたどうした? 真面目な中学生には刺激が強すぎたのかな?」
男子1:「……うーん、わからないなぁ」
A子:「ん?」
男子2:「僕も、わからない…」
女子1:「私も、わかりそうなのですけれど、もう少しのところでわかりません…」
A子:「ん? なんだ? どした??」
男子1:「先生、僕達、どうしても彼らが愛し合う気持ちがわかりません」
男子2:「男同士でキスをして嬉しいという気持ちもわかりません」
女子1:「それを見て喜ぶ女性達の気持ちが、もう少しでわかりそうです」
A子:「………………え?」
姉:「??」
男子1:「そうだ。わからない時には実際に体験してみるのがいいと、理科の先生が言っていました」
A子:「………ん?」
男子2:「なるほど。ちょうどここには男子が2人いるので、再現は可能ですね」
A子:「………………え……?」
姉:「あらぁ?」
女子1:「私はそれを見て喜んでみようと思います」
A子:「ちょっと………え、……君たち、あの、ちょっと? え………」

  × × ×

女子1:「わーい、わーい。はい、これで完了です」
A子:「………………」
男子1:「ふむ、何だったのかよくわからないけれど、実際にやってみる事に意味があるのだから、良い経験になったんだろう」
男子2:「勉強させて頂きました! ありがとうございました!!」
A子:「…は、い………………」


○数日後・A子の自宅・リビング

A子:(なぜあれで満足したのかわからないまま、彼らは丁寧にお礼を言って、行儀よく帰っていった。数日後、姉の彼氏は私の所望する通りの18禁BLゲームを本当に買ってくれたので、私にとってはあの滅茶苦茶な一日も、無駄ではなかったといえるようになって安心した。あれで彼らに友達が増えたのか…むしろ減ったのかもわからないままだけれど、一つだけ意外なことがあった)
 
姉:「ねえ、こないだBLゲームの勉強していった女の子覚えてる?」
A子:「忘れられるわけないじゃない。あの子がどうかした?」
姉:「あの子からの伝言だって、あたしの彼からの伝言なんだけどね、『俺が買ってあげた18禁のBLゲーム、18歳になったらあの子も一緒にやらせてほしいそうだよ』ですって」
A子:「………え?」
姉:「意外とあの子、…後になってじわじわきたのかしらね?」


END
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