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1万文字以内短編
座敷わらしとすいか飴(約10分 男1女2)
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ジャンル【ほのぼの・ラブコメ】
配役 3名
お嬢さん:女性・ 学生~社会人くらい
店主:男性・20代~30代くらい
糖蜜(とうみつ):女性・見た目小学生くらい
○モノローグ(N=ナレーション)
お嬢さんN:もしもその日、たまたま一時間早く目が覚めて、いつもは眠っている冒険心にちょっとだけ火がついて、いつもと違う道を通ってみようと思わなければ。
もしもこの夏の猛暑に負けて、やっぱりやめよー!なんて引き返していたら。
あの人と出会うことは、なかったのかもしれない。
〇和菓子屋・外
お嬢さん:「あれ? こんな所にお店なんてあったんだ。何だか和風な感じがするけど、何屋さんだろう…?」
店主:「いらっしゃいませですか?」
お嬢さん:「きゃっ! ……びっくりした」
お嬢さんN:(………え? この人、お店の人なの? なんでお店の中からじゃなくて、私の後ろから現れるの? で、『いらっしゃいませですか?』って何? そんなこと訊かれたの初めてなんですけど…)
お嬢さん:「あの、えーと………」
店主:「……? あぁ、変な方向から来てすみません。こんな早い時間帯は、いつもお客さんがいないので、店を放り出してその辺を散歩していました」
お嬢さん:「ええっ?」
店主:「…あ。私また余計なことを言ってしまいましたよね? これは今日も怒られるだろうなぁ…。あの子は耳がいいから、外で話していることも聞いてたりするんだよねぇ」
お嬢さん:「??? あの、さっきから何の話を…」
店主:「あぁ、失礼しました! えーと、いらっしゃいませで合ってるんですよね? どうぞ、店内へ」
お嬢さん:「え? え? あの、あ………お、お邪魔します…?」
お嬢さんN:何が何だかわからないまま、あっという間に店の中へ通されてしまった。
〇同・中
お嬢さん:「へぇ~、和菓子屋さんだったんですね」
お嬢さんN:中に入ってしばらく店内を眺めていたら、嵐のような出会い頭の一時に戸惑っていた頭も、ようやくついていけるようになってきた。
店主:「はは…すみませんでした。ここが何屋さんなのかも私が何者なのかも謎のまま店に押し込んでしまって」
お嬢さん:「あはは…は………すごいこと言ってるよ…」
お嬢さんN:控えめに言っても変な人で、こんな所早く立ち去った方がいいのではないかと思ったけれど……その人の、いかにも着慣れていない申し訳程度の着物に、全然着物と合わない独特な眼鏡を合わせ、そしてなぜか顔立ちだけは異常に整っているという、このヘンテコなアンバランスさが、私を妙に安心させた。
店主:「…おや。糖蜜! そんなところにいないで、こっちに来てお客様にご挨拶しなさい」
お嬢さん:「ん? 糖蜜?」
糖蜜:「あーい」
お嬢さんN:呼ばれてトテトテと走ってきたのは、おかっぱの綺麗な黒髪をした小さな女の子だった。
糖蜜:「こんにちは」
お嬢さん:「え? あ、こんにちは」
店主:「ふふふ。よくできました」
お嬢さんN:(…それは、この子に言ったのよね? まさか私にじゃないよね……)
店主:「可愛らしいでしょう? うちのマスコットキャラクターです」
お嬢さん:「ま、マスコット…」
糖蜜:「偉そうにマスコットとか言ってるけど、あんた今日も店放り出してその辺ほっつき歩いてたでしょ。いくら早朝だからって、お客さんが来ることだってあるかもしれないってあれほど言ったのに。ほんっとわたしのいうこと全っ然きかないんだから。いつか困ることになっても知らないからね」
お嬢さんN:(めっちゃ怒られてるー!!)
店主:「ははは…お客さんの前なのに手厳しいなぁ」
糖蜜:「まったくもう」
お嬢さん:「あ…えーと、可愛いですね。着物着てるし、このお店の子ですか? あ、糖蜜っていうのは源氏名みたいなものなのかな?」
店主:「あぁ、この子は座敷わらしですよ」
少し間
お嬢さん:「………………え?」
糖蜜:「なにつまらない冗談言ってるんだか」
お嬢さん:「え? …そ、そうよね! 冗談よね! もう、真面目な顔して言うから一瞬びっくりしちゃいましたよ~」
店主:「え~? 本当なんですよ?」
お嬢さん:「………………」
お嬢さんN:(この顔、冗談なのか本気なのか……全然わからない)
糖蜜:「……へぇ~、でも、あんたがこんな『冗談』言うの、初めてじゃない? ……これは面白いかもね」
お嬢さん:「? 面白い…? この冗談は面白くないと思うけど」
店主:「ひどいっ!」
糖蜜:「きゃははは。やっぱり面白い。……お姉ちゃん、いいね」
お嬢さん:「?」
お嬢さんN:ケラケラと笑う、座敷わらしとか糖蜜とか呼ばれてる不思議な女の子をよそに、これまた作ってるのか地なのかよくわからないポーカーフェイスで佇む店主のお兄さんを見て、……これだけおかしなことが沢山あったのに、私はなぜなのか、彼の変な眼鏡の奥の綺麗な顔に、今更ぼんやりと見とれていたのだ。
〇翌・和菓子屋・中
店主:「いらっしゃいませ。あぁ、おはようございます」
お嬢さん:「おはようございます。あ…昨日買ったお菓子が、みんなに大好評で! 今日も買っていくって言っちゃったんです~」
店主:「それはそれは、嬉しいですね。どうぞ、ごゆっくり見ていってください。昨日と同じものがいいですか? それとも違うもの?」
お嬢さん:「あ、じゃあ違うものも見たいかな」
店主:「では今の時季のおすすめは、……おや? この栗最中いいですねぇ」
お嬢さん:「え! いま夏ですけど!?」
店主:「あぁ、そうでした。すみません、なんか目に入ったものを言ってしまって」
お嬢さん:「ははは………」
糖蜜:「お姉ちゃん! 今日も来てくれたんだね!」
お嬢さん:「あ、糖蜜ちゃん。おはよう。今は夏休みなのかな?」
糖蜜:「夏休み…ね? ふふふ」
お嬢さん:「?」
糖蜜:「ねえ、お姉ちゃんまだ時間ある? あそこの長椅子で一緒にお茶飲も!」
お嬢さん:「え、お茶? でもそこってイートインじゃなくて荷物置くためだけの場所じゃ…」
店主:「そうですね、お茶をお出ししましょう。どうぞ、座ってください」
お嬢さん:「え、でも……」
糖蜜:「わーい! 早く早くー」
お嬢さん:「………じゃ、じゃあお言葉に甘えて…」
店主:「アイスコーヒーでいいですか?」
お嬢さんN:(お茶じゃないんだ!)
× × ×
糖蜜:「ねーねー、お姉ちゃんはなんで今日も来てくれたの?」
お嬢さん:「え……だ、だから、お菓子が好評だったから、また買いに………」
糖蜜:「……ほんとに?」
お嬢さん:「…ほ、ほんとよ!」
糖蜜:「ふぅ~ん」
お嬢さん:「……?」
糖蜜:「あのね、この長椅子って、ほんとはわたし専用なんだよ!」
お嬢さん:「え、そうなの? 私、座っちゃっていいの?」
糖蜜:「うん。…ここまではオッケーだから!」
お嬢さん:「ここまではオッケー……?」
糖蜜:「そしたら……今、カレシとかいる?」
お嬢さん:「え、どうしたの急に。おませさんね~」
糖蜜:「いるの? いないの? ねーねー」
お嬢さん:「い…いないけど」
糖蜜:「うんうん。いい感じだね」
お嬢さん:「???」
店主:「こちら、よかったらお茶請けにどうぞ」
お嬢さん:「へ? あ、ありがとうございます!」
店主:「? どうかしましたか?」
お嬢さん:「あ…いえ、その……」
お嬢さんN:(変なタイミングで現れるから…なんて言えない)
糖蜜:「えぇ~、わたしこの飴あんまり好きじゃないよぉ~」
お嬢さん:「えーと、あ。『すいか飴』? へぇー、夏にぴったりですね。薄い赤色が綺麗」
店主:「これね、色と同じように味も薄いんですよ~」
お嬢さん:「………え?」
店主:「しかもなんか甘いようなしょっぱいような妙な味でね、あんまり売れてないから、無料でいいんですー」
お嬢さん:「………………」
糖蜜:「アホ。そういうのは言っちゃダメなの」
店主:「あ、そっか! すみません! 今の聞かなかったことにしといてください!」
お嬢さん:「………(苦笑)」
糖蜜:「お姉ちゃん、これに懲りずにまた来てくれる?」
お嬢さん:「え?」
糖蜜:「また来てほしいの」
お嬢さん:「あ、ありがとう。もちろん、また来るよ」
糖蜜:「やったね」
店主:「やったね」
お嬢さん:「わっ、お兄さんまだいたんですか」
店主:「だってお客さん来ないんですもん」
糖蜜:「また余計なことを」
お嬢さん:「(笑う)」
お嬢さんN:こんなゆったりした朝って……いつぶりだっけ?
〇同(夜)
店主:「さあて今日もよく働きました」
糖蜜:「どこがだ」
店主:「店主は店に居るのが仕事だからね」
糖蜜:「それならわたしの方がよっぽど働いてるわ」
店主:「糖蜜よ……有難いんだけどね、あんまりあからさまなことはしないでくれよ?」
糖蜜:「わたしがこのぐらいしないと、あんたなんかちっとも自分で動き出さないじゃない」
店主:「すみませんね………奥手なもんで」
糖蜜:「顔だけはいいくせに勿体ない男ね」
〇お嬢さん自室(夜)
お嬢さん:「売れないからって持ち帰り用までくれたけど…。これほんと変な味」
お嬢さんN:見た目は綺麗なんだけどなぁ。なんでこんな変な味なんだろう。………ん? それって何かに似てない?
お嬢さん:「あ。………あはははははっ」
お嬢さんN:今年の夏。すいか飴みたいな人に恋をした。
座敷わらしが運んでくれた、まだ薄味の、夏の恋。
END
配役 3名
お嬢さん:女性・ 学生~社会人くらい
店主:男性・20代~30代くらい
糖蜜(とうみつ):女性・見た目小学生くらい
○モノローグ(N=ナレーション)
お嬢さんN:もしもその日、たまたま一時間早く目が覚めて、いつもは眠っている冒険心にちょっとだけ火がついて、いつもと違う道を通ってみようと思わなければ。
もしもこの夏の猛暑に負けて、やっぱりやめよー!なんて引き返していたら。
あの人と出会うことは、なかったのかもしれない。
〇和菓子屋・外
お嬢さん:「あれ? こんな所にお店なんてあったんだ。何だか和風な感じがするけど、何屋さんだろう…?」
店主:「いらっしゃいませですか?」
お嬢さん:「きゃっ! ……びっくりした」
お嬢さんN:(………え? この人、お店の人なの? なんでお店の中からじゃなくて、私の後ろから現れるの? で、『いらっしゃいませですか?』って何? そんなこと訊かれたの初めてなんですけど…)
お嬢さん:「あの、えーと………」
店主:「……? あぁ、変な方向から来てすみません。こんな早い時間帯は、いつもお客さんがいないので、店を放り出してその辺を散歩していました」
お嬢さん:「ええっ?」
店主:「…あ。私また余計なことを言ってしまいましたよね? これは今日も怒られるだろうなぁ…。あの子は耳がいいから、外で話していることも聞いてたりするんだよねぇ」
お嬢さん:「??? あの、さっきから何の話を…」
店主:「あぁ、失礼しました! えーと、いらっしゃいませで合ってるんですよね? どうぞ、店内へ」
お嬢さん:「え? え? あの、あ………お、お邪魔します…?」
お嬢さんN:何が何だかわからないまま、あっという間に店の中へ通されてしまった。
〇同・中
お嬢さん:「へぇ~、和菓子屋さんだったんですね」
お嬢さんN:中に入ってしばらく店内を眺めていたら、嵐のような出会い頭の一時に戸惑っていた頭も、ようやくついていけるようになってきた。
店主:「はは…すみませんでした。ここが何屋さんなのかも私が何者なのかも謎のまま店に押し込んでしまって」
お嬢さん:「あはは…は………すごいこと言ってるよ…」
お嬢さんN:控えめに言っても変な人で、こんな所早く立ち去った方がいいのではないかと思ったけれど……その人の、いかにも着慣れていない申し訳程度の着物に、全然着物と合わない独特な眼鏡を合わせ、そしてなぜか顔立ちだけは異常に整っているという、このヘンテコなアンバランスさが、私を妙に安心させた。
店主:「…おや。糖蜜! そんなところにいないで、こっちに来てお客様にご挨拶しなさい」
お嬢さん:「ん? 糖蜜?」
糖蜜:「あーい」
お嬢さんN:呼ばれてトテトテと走ってきたのは、おかっぱの綺麗な黒髪をした小さな女の子だった。
糖蜜:「こんにちは」
お嬢さん:「え? あ、こんにちは」
店主:「ふふふ。よくできました」
お嬢さんN:(…それは、この子に言ったのよね? まさか私にじゃないよね……)
店主:「可愛らしいでしょう? うちのマスコットキャラクターです」
お嬢さん:「ま、マスコット…」
糖蜜:「偉そうにマスコットとか言ってるけど、あんた今日も店放り出してその辺ほっつき歩いてたでしょ。いくら早朝だからって、お客さんが来ることだってあるかもしれないってあれほど言ったのに。ほんっとわたしのいうこと全っ然きかないんだから。いつか困ることになっても知らないからね」
お嬢さんN:(めっちゃ怒られてるー!!)
店主:「ははは…お客さんの前なのに手厳しいなぁ」
糖蜜:「まったくもう」
お嬢さん:「あ…えーと、可愛いですね。着物着てるし、このお店の子ですか? あ、糖蜜っていうのは源氏名みたいなものなのかな?」
店主:「あぁ、この子は座敷わらしですよ」
少し間
お嬢さん:「………………え?」
糖蜜:「なにつまらない冗談言ってるんだか」
お嬢さん:「え? …そ、そうよね! 冗談よね! もう、真面目な顔して言うから一瞬びっくりしちゃいましたよ~」
店主:「え~? 本当なんですよ?」
お嬢さん:「………………」
お嬢さんN:(この顔、冗談なのか本気なのか……全然わからない)
糖蜜:「……へぇ~、でも、あんたがこんな『冗談』言うの、初めてじゃない? ……これは面白いかもね」
お嬢さん:「? 面白い…? この冗談は面白くないと思うけど」
店主:「ひどいっ!」
糖蜜:「きゃははは。やっぱり面白い。……お姉ちゃん、いいね」
お嬢さん:「?」
お嬢さんN:ケラケラと笑う、座敷わらしとか糖蜜とか呼ばれてる不思議な女の子をよそに、これまた作ってるのか地なのかよくわからないポーカーフェイスで佇む店主のお兄さんを見て、……これだけおかしなことが沢山あったのに、私はなぜなのか、彼の変な眼鏡の奥の綺麗な顔に、今更ぼんやりと見とれていたのだ。
〇翌・和菓子屋・中
店主:「いらっしゃいませ。あぁ、おはようございます」
お嬢さん:「おはようございます。あ…昨日買ったお菓子が、みんなに大好評で! 今日も買っていくって言っちゃったんです~」
店主:「それはそれは、嬉しいですね。どうぞ、ごゆっくり見ていってください。昨日と同じものがいいですか? それとも違うもの?」
お嬢さん:「あ、じゃあ違うものも見たいかな」
店主:「では今の時季のおすすめは、……おや? この栗最中いいですねぇ」
お嬢さん:「え! いま夏ですけど!?」
店主:「あぁ、そうでした。すみません、なんか目に入ったものを言ってしまって」
お嬢さん:「ははは………」
糖蜜:「お姉ちゃん! 今日も来てくれたんだね!」
お嬢さん:「あ、糖蜜ちゃん。おはよう。今は夏休みなのかな?」
糖蜜:「夏休み…ね? ふふふ」
お嬢さん:「?」
糖蜜:「ねえ、お姉ちゃんまだ時間ある? あそこの長椅子で一緒にお茶飲も!」
お嬢さん:「え、お茶? でもそこってイートインじゃなくて荷物置くためだけの場所じゃ…」
店主:「そうですね、お茶をお出ししましょう。どうぞ、座ってください」
お嬢さん:「え、でも……」
糖蜜:「わーい! 早く早くー」
お嬢さん:「………じゃ、じゃあお言葉に甘えて…」
店主:「アイスコーヒーでいいですか?」
お嬢さんN:(お茶じゃないんだ!)
× × ×
糖蜜:「ねーねー、お姉ちゃんはなんで今日も来てくれたの?」
お嬢さん:「え……だ、だから、お菓子が好評だったから、また買いに………」
糖蜜:「……ほんとに?」
お嬢さん:「…ほ、ほんとよ!」
糖蜜:「ふぅ~ん」
お嬢さん:「……?」
糖蜜:「あのね、この長椅子って、ほんとはわたし専用なんだよ!」
お嬢さん:「え、そうなの? 私、座っちゃっていいの?」
糖蜜:「うん。…ここまではオッケーだから!」
お嬢さん:「ここまではオッケー……?」
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お嬢さん:「え、どうしたの急に。おませさんね~」
糖蜜:「いるの? いないの? ねーねー」
お嬢さん:「い…いないけど」
糖蜜:「うんうん。いい感じだね」
お嬢さん:「???」
店主:「こちら、よかったらお茶請けにどうぞ」
お嬢さん:「へ? あ、ありがとうございます!」
店主:「? どうかしましたか?」
お嬢さん:「あ…いえ、その……」
お嬢さんN:(変なタイミングで現れるから…なんて言えない)
糖蜜:「えぇ~、わたしこの飴あんまり好きじゃないよぉ~」
お嬢さん:「えーと、あ。『すいか飴』? へぇー、夏にぴったりですね。薄い赤色が綺麗」
店主:「これね、色と同じように味も薄いんですよ~」
お嬢さん:「………え?」
店主:「しかもなんか甘いようなしょっぱいような妙な味でね、あんまり売れてないから、無料でいいんですー」
お嬢さん:「………………」
糖蜜:「アホ。そういうのは言っちゃダメなの」
店主:「あ、そっか! すみません! 今の聞かなかったことにしといてください!」
お嬢さん:「………(苦笑)」
糖蜜:「お姉ちゃん、これに懲りずにまた来てくれる?」
お嬢さん:「え?」
糖蜜:「また来てほしいの」
お嬢さん:「あ、ありがとう。もちろん、また来るよ」
糖蜜:「やったね」
店主:「やったね」
お嬢さん:「わっ、お兄さんまだいたんですか」
店主:「だってお客さん来ないんですもん」
糖蜜:「また余計なことを」
お嬢さん:「(笑う)」
お嬢さんN:こんなゆったりした朝って……いつぶりだっけ?
〇同(夜)
店主:「さあて今日もよく働きました」
糖蜜:「どこがだ」
店主:「店主は店に居るのが仕事だからね」
糖蜜:「それならわたしの方がよっぽど働いてるわ」
店主:「糖蜜よ……有難いんだけどね、あんまりあからさまなことはしないでくれよ?」
糖蜜:「わたしがこのぐらいしないと、あんたなんかちっとも自分で動き出さないじゃない」
店主:「すみませんね………奥手なもんで」
糖蜜:「顔だけはいいくせに勿体ない男ね」
〇お嬢さん自室(夜)
お嬢さん:「売れないからって持ち帰り用までくれたけど…。これほんと変な味」
お嬢さんN:見た目は綺麗なんだけどなぁ。なんでこんな変な味なんだろう。………ん? それって何かに似てない?
お嬢さん:「あ。………あはははははっ」
お嬢さんN:今年の夏。すいか飴みたいな人に恋をした。
座敷わらしが運んでくれた、まだ薄味の、夏の恋。
END
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