【本編完結】大学一のイケメンに好きになったかどうか聞かれています。

羽波フウ

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本編2

大好き

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 あとから乱入してきた有名な情報屋一名。
 彼のせいで全員が一瞬にして固まったが、一番はじめに動き出したのは長男雄兄だった。

「お前!!どうやってここに入ったんだ!?許可してないぞ!」

 結城さんを指さしながらそう叫ぶ。

「門番の子に普通に通してもらえたけど?なんて言ったってそこにいる優里くんと黒崎ネロの友人だからね」

 鼻高々とそう言う結城さん。今の状況……楽しんでますね?

 そして混乱に陥る雄兄。
「いつから優里が…」「騙されているんだろうか」「偶然?いやそんなはずない…」などとブツブツ言っているようだが聞こえない聞こえない。



 まあ実際、これまで両親や兄たちが一生懸命、俺が裏の道に進まなくていいようにいろんな所から隠してくれていた。
 それなのに運命とでも言うのだろうか、結局はその世界へ自ら進もうとしているのだ。
 彼らが頭を抱えるのも無理はない………ちょーっと過保護だけどね。


 今までたくさん大事にされてきたんだよね、俺は。


 でもこれは俺の人生。
 今さら春樹と別れるなんて考えられないし、そもそも最初から戻れないところにいたんだ。
 だからみんなと同じ世界で生きていこうと思うよ。





「父上、お母さん、雄兄、大地。大事なお話があります。聞いてください」

 結城さんと言い争っている雄兄たちの方を向いて膝を正す。
 すると俺に気づいた母が雄兄を止め、静かにさせてくれた。


「俺は今、春樹と付き合っています。春樹は同じ大学の医学部に通っていて、出会いは一応アジュの紹介でした」

「あら、天藍くんのお友達なの?」

 母はにこにことそう尋ねた。
 他の人たちはみんな無表情で俺の話を聞いている。

「そう。アジュも医学部だからね。でも、前に会ったことがあるらしい。父上、覚えてる?俺が血まみれの人を拾ってきたの。あれ、春樹だったんでしょ?」

「……そうだ」

 父はそれだけ答えた。

「それがきっかけでね、アジュに紹介を頼んだんだって。そうでしょ、春樹」

「うん」

 俺が春樹のほうを見ると彼は微笑んで頷く。


「どっちもお互いがそういう人だって知らなかったんだ、最初は。だから恋人になったのは偶然だよ」

 そう断言すると雄兄はホッと息を吐いた。


「恋人に至るまでは…春樹に絆されたっていう感じだけど、今はちゃんと春樹が好き。一緒に住んでるし、デートも行くし、ずっと一緒だし…とにかくラブラブなの!みんなが心配するのもわかるし、反対したくなるのもわかるけど、俺は春樹が好きなの。だから、」

「あぁー!わかったよ!」

 俺の言葉は雄兄によってさえぎられた。


「わかってる、優里が本気でそいつのことが好きなんだろうってのは見ただけでわかるよ。でもさ、心配なんだよ俺は。優里には幸せになって欲しいからさ、わかる?」

「うん」

 そう俺が素直に頷くと雄兄はこちらに移動してきて俺の頭を撫でたあと、俺の隣で黙って正座している春樹の方を見た。


「おい、闇医者。覚悟は出来てんのか?」

「はい」

「命を懸けてでも守れよ」

「当然」


 躊躇うことなくそう答えた春樹。うーん、好き。
 雄兄は「ふん」と鼻をならしてもともと座っていたところに戻ると、父に

「俺は認める」

 と宣言し、父は深く頷いた。



 すると、春樹はいきなり俺のことを横からぎゅーっと抱きしめた。

「わっ」

「大好きだよ、優里」

 みんなの前でやめてよ、恥ずかし……

「おい、俺の前でそういうことするなんて度胸あるなぁ」

 不穏な空気を雄兄が醸し出し始めた。

「優里は俺のですから」

「まだそこまでは認めてない」

「は?」「あ?」



 ……えっと、認められたってことですか?










 ーーーーーーー










 その後、我が家はお寿司を大量に頼み、組員を巻き込んだお祭り騒ぎだった。

 もともと大地とあかりちゃんの結婚祝いもあったけれど、「姫が相手を連れてきたんだからお祝いしないわけにはいかないでしょ!」だそうなので、より大規模になりました。
 俺の別名ってうちが言い始めた訳じゃないよね?本気で俺のこと姫だと思ってないよね??

 結城さんはというと、最初は"こいつなんでいるんだ?"という顔をされていたが今はみんなとわいわい騒いでいる。


 俺もサーモンとえびをパクパクしながら、小さい頃からいる組員とお話ししている。楽しい。
 すると母が近寄ってきた。

「ねえねえ、さっきの雄大、私より姑してなかった?」

「たしかに?」

「私は相手が誰であろうと優里が選んだんだからその人と付き合うのは賛成だったんだけどね。お父さんが息子は誰にもやらん精神で、それを雄大が受け継いだのよ。数日前の電話から大変だったんだから。相手は誰だって」

 そう上品に笑って「素敵な人と出会えて良かったわね」と言い残して父の方へ去っていった。


 そりゃ素敵に決まってますよ、だって俺にとって春樹は世界一ですから。
 ずっとずっと一緒にいたい大好きな人。
 あの時、助けなかったら知らない人のままだった。アジュがいなかったら出会わなかった。偶然が重なって……運命ってこういうことなのかもね。

















「春樹」

すぐ隣にいる恋人に呼びかける。

「うん?」

こちらを向く姿すらもかっこいい。



「春樹、大好き!」

「俺も」



あいしてる、だってさ。












おわり
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