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本編2
確定演出
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明けましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m
ーーーーーーー
(春樹side)
「俺が4、5歳頃までは普通の家庭だった。父は仕事へ行き、母もフリーターとして多少の仕事をしながら俺たちの子育てをする、そんな家族。
でも父は、単身赴任になり、あまり帰ってこなくなった。普通の生活ができるくらいの金には困らなかったが、家事や育児が母にとって大きな負担になった。周りに頼れる人もおらず、年子を育てるのが苦痛になった母は、突然育児放棄をし、家に男を連れ込むようになった。
当時、俺は5歳、兄は6歳。まだ幼くて無力な俺たちは、家の隅で抱き合って1日が過ぎるのを待っていた。
母が一番多く連れ込んでいた男は、来る度に俺たちのためにお菓子やパンを買ってきてくれた。母は料理をしないし、食べ物を買ってきてもくれなかった。
だから、男からもらった食べ物で命を繋いでいた、と言っても過言ではない。
兄の小学校入学式の前日、やっと父が単身赴任から帰ってきた。しかし、そのときちょうど、いつもお菓子をくれる男に抱かれている母を目撃してしまい、父は激怒。
そしてそこから父は月に一度、金を置きに来る以外に帰ってこなくなった。
さらにお菓子をくれる男も来なくなった。
小学校には通わされた。面談などでは取り繕った母が参加した。だから先生に自分の家の状況を伝えても信じて貰えなかった。
助けてくれる大人がいないとわかった俺たちは、父が置いていった金で買い物をして、自分たちで食べ物を得る、という術を身につけた。
そんな日々のある日。いや、9歳の12月24日。兄が家に帰ってこなかった。
その日は、母は相変わらず男を連れ込んで朝からずっと部屋から出てこなかった。兄はそんな母が嫌で、男が来ているときはよく外出していたので、その日もそうなんだろう、と思っていたが結局その日も次の日も帰ってこなかった。
そして兄が家に帰ってこなくなって一週間後。知らない男数人が家に乗り込んできた。母の知り合いでも無かったらしい。
ヤのつく職業の人だった。後にそれが青橋組だったとわかるが。
兄は道端で倒れていたところ、その男たちに助けられ、療養しているという。兄を引き取りたいらしく、その契約に来たそうだ。
半分脅されるかたちで、母は契約を結んだ。『兄に一切関わらない』という内容らしい。
ついでに俺のことも引き取ろう、と言ってくれたが断った。兄と共に過ごしたくない、と思っていた。こんなにバラバラになった家族だ。もう兄と一緒にいなくてもいいだろう。
そう伝えると、別の引き取り手を紹介してくれると言った。それが今の俺の師匠、セヤだ。
セヤは闇医者をやっていた。俺は彼に引き取られ、学ばせて貰い、高校生の時に海外へ行って医者になった。
一応海外の医師免許は持っているが、日本で学びたいと思い、今大学に通っている。
……というのが俺の過去だ。闇医者になったのは自分の意志ではないが、後悔はしていない」
しばらく3人で沈黙した。
1番に口を開いたのは優里だった。
「たいへん、だったんだね」
優里にそう言って貰えただけで涙が出そうになった。
「うん……俺のこと、嫌いになった?」
「なってない!なるわけないでしょ。どんな春樹でも好きだし、過去があるから今の春樹がいるんじゃん」
「ありがとう。俺のこれまでの生活は優里に出会うための必要な道のりだったのかもしれない」
「それは別でしょ!そんな生活が必要な道のりなわけない。春樹がどんな過去を持ってても、俺たちは出逢ってた!!というか、春樹の親にムカついてきた。殴りにいこうかな、生きてるんだよね?」
優里がいきなり立って、指をポキポキと鳴らしながら玄関の方へ…
「ま、まって優里。生きてるけど…優里の手を汚したくはないよ、ね?」
「しょうがない、今日はやめておくよ」
ポキポキと指を鳴らす様があまりにも本気だったので慌てて止める。
「ところで……なんで急にそれを話してくれようと思ったの?」
「もともと話すつもりはあったんだけど……空原が、優里には秘密があるって。それを話せずにいて、悩んでるって言うから…俺が先に話せば話しやすくなるんじゃないか、と思って……」
「あ、あいつ…。はぁ」
ものすごく深いため息をついた優里。
なんだかここ数日の暗さはなくなっていた。
「そういえば春樹」
「ん?」
「前にさ、春樹が血だらけで倒れてたときそれを俺が助けたって…」
「あー、たぶん昔の逆恨みで狙われて。道端で倒れてたら優里が『救急車?』って聞いてくれたんだよね」
そう俺が答えると、彼は深く考え込んだ。
「春樹」
「はい」
急に畏まった風に優里に呼ばれて、慌てて返事をする。
「貴方の…お兄さんの名前に"秋"って字は入りますか」
「入ります…けど…?黒崎秋夜って名前なので…」
なにを聞いてきてるんだ?思わず丁寧な答えになってしまった。
俺の答えに彼は納得したように頷く。
「じゃあ貴方は、闇医者"ネロ"ですか?」
そこで俺は目を見開いた。
なぜ知ってる?俺は1度も名前を出していないのに。
優里は感情の読めない作り笑顔でいる。
なぜか逆らってはいけないと感じた。
「はい…」
俺が肯定すると、彼はこちらに身を乗り出して聞いてきた。
「じゃあじゃあ、"白季の姫"ってご存知?」
は?訳がわからない。なんで優里がそんなこと知ってるんだ?
「白季の姫」って、白季組の噂の隠し子のことだろ?
みんなが血眼になって探してるあれだろ?
「なんで知って……」
優里を見ると、さっきまでの作り笑顔とは違う、満面の笑みを浮かべている。
「それね、俺のことなんだ」
「……………は?」
ーーーーーーー
ソシャゲとかの確定演出って嬉しいですよね。
次回、一条優里の秘密?編
本年もどうぞよろしくお願い致しますm(_ _)m
ーーーーーーー
(春樹side)
「俺が4、5歳頃までは普通の家庭だった。父は仕事へ行き、母もフリーターとして多少の仕事をしながら俺たちの子育てをする、そんな家族。
でも父は、単身赴任になり、あまり帰ってこなくなった。普通の生活ができるくらいの金には困らなかったが、家事や育児が母にとって大きな負担になった。周りに頼れる人もおらず、年子を育てるのが苦痛になった母は、突然育児放棄をし、家に男を連れ込むようになった。
当時、俺は5歳、兄は6歳。まだ幼くて無力な俺たちは、家の隅で抱き合って1日が過ぎるのを待っていた。
母が一番多く連れ込んでいた男は、来る度に俺たちのためにお菓子やパンを買ってきてくれた。母は料理をしないし、食べ物を買ってきてもくれなかった。
だから、男からもらった食べ物で命を繋いでいた、と言っても過言ではない。
兄の小学校入学式の前日、やっと父が単身赴任から帰ってきた。しかし、そのときちょうど、いつもお菓子をくれる男に抱かれている母を目撃してしまい、父は激怒。
そしてそこから父は月に一度、金を置きに来る以外に帰ってこなくなった。
さらにお菓子をくれる男も来なくなった。
小学校には通わされた。面談などでは取り繕った母が参加した。だから先生に自分の家の状況を伝えても信じて貰えなかった。
助けてくれる大人がいないとわかった俺たちは、父が置いていった金で買い物をして、自分たちで食べ物を得る、という術を身につけた。
そんな日々のある日。いや、9歳の12月24日。兄が家に帰ってこなかった。
その日は、母は相変わらず男を連れ込んで朝からずっと部屋から出てこなかった。兄はそんな母が嫌で、男が来ているときはよく外出していたので、その日もそうなんだろう、と思っていたが結局その日も次の日も帰ってこなかった。
そして兄が家に帰ってこなくなって一週間後。知らない男数人が家に乗り込んできた。母の知り合いでも無かったらしい。
ヤのつく職業の人だった。後にそれが青橋組だったとわかるが。
兄は道端で倒れていたところ、その男たちに助けられ、療養しているという。兄を引き取りたいらしく、その契約に来たそうだ。
半分脅されるかたちで、母は契約を結んだ。『兄に一切関わらない』という内容らしい。
ついでに俺のことも引き取ろう、と言ってくれたが断った。兄と共に過ごしたくない、と思っていた。こんなにバラバラになった家族だ。もう兄と一緒にいなくてもいいだろう。
そう伝えると、別の引き取り手を紹介してくれると言った。それが今の俺の師匠、セヤだ。
セヤは闇医者をやっていた。俺は彼に引き取られ、学ばせて貰い、高校生の時に海外へ行って医者になった。
一応海外の医師免許は持っているが、日本で学びたいと思い、今大学に通っている。
……というのが俺の過去だ。闇医者になったのは自分の意志ではないが、後悔はしていない」
しばらく3人で沈黙した。
1番に口を開いたのは優里だった。
「たいへん、だったんだね」
優里にそう言って貰えただけで涙が出そうになった。
「うん……俺のこと、嫌いになった?」
「なってない!なるわけないでしょ。どんな春樹でも好きだし、過去があるから今の春樹がいるんじゃん」
「ありがとう。俺のこれまでの生活は優里に出会うための必要な道のりだったのかもしれない」
「それは別でしょ!そんな生活が必要な道のりなわけない。春樹がどんな過去を持ってても、俺たちは出逢ってた!!というか、春樹の親にムカついてきた。殴りにいこうかな、生きてるんだよね?」
優里がいきなり立って、指をポキポキと鳴らしながら玄関の方へ…
「ま、まって優里。生きてるけど…優里の手を汚したくはないよ、ね?」
「しょうがない、今日はやめておくよ」
ポキポキと指を鳴らす様があまりにも本気だったので慌てて止める。
「ところで……なんで急にそれを話してくれようと思ったの?」
「もともと話すつもりはあったんだけど……空原が、優里には秘密があるって。それを話せずにいて、悩んでるって言うから…俺が先に話せば話しやすくなるんじゃないか、と思って……」
「あ、あいつ…。はぁ」
ものすごく深いため息をついた優里。
なんだかここ数日の暗さはなくなっていた。
「そういえば春樹」
「ん?」
「前にさ、春樹が血だらけで倒れてたときそれを俺が助けたって…」
「あー、たぶん昔の逆恨みで狙われて。道端で倒れてたら優里が『救急車?』って聞いてくれたんだよね」
そう俺が答えると、彼は深く考え込んだ。
「春樹」
「はい」
急に畏まった風に優里に呼ばれて、慌てて返事をする。
「貴方の…お兄さんの名前に"秋"って字は入りますか」
「入ります…けど…?黒崎秋夜って名前なので…」
なにを聞いてきてるんだ?思わず丁寧な答えになってしまった。
俺の答えに彼は納得したように頷く。
「じゃあ貴方は、闇医者"ネロ"ですか?」
そこで俺は目を見開いた。
なぜ知ってる?俺は1度も名前を出していないのに。
優里は感情の読めない作り笑顔でいる。
なぜか逆らってはいけないと感じた。
「はい…」
俺が肯定すると、彼はこちらに身を乗り出して聞いてきた。
「じゃあじゃあ、"白季の姫"ってご存知?」
は?訳がわからない。なんで優里がそんなこと知ってるんだ?
「白季の姫」って、白季組の噂の隠し子のことだろ?
みんなが血眼になって探してるあれだろ?
「なんで知って……」
優里を見ると、さっきまでの作り笑顔とは違う、満面の笑みを浮かべている。
「それね、俺のことなんだ」
「……………は?」
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ソシャゲとかの確定演出って嬉しいですよね。
次回、一条優里の秘密?編
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