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本編2
お悩み
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(前半:春樹side 後半:優里side)
結城翠。裏の顔は"情報屋マリス"。
裏でその名を知らぬものはいない。
金さえ払えばどんな情報でも手に入る、最も有能な情報屋。
優里には、スイとの関係を友人ということにしてあるが、実際はただの仕事仲間だ。
情報屋や俺のような闇医者は、優先する組織が多少あるものの、どの組織にとっても必要な存在のために比較的中立の立場にある。
そんな立場の俺たち2人は師匠セヤを通じて知り合った。
どちらの立場からしても知り合っておくには害がない、というよりむしろ有益だ。
そこから交流していくうちに、一緒に遊びに行ったり、食事をしたり、恋愛相談したり、もはや普通の友達レベルの仲の良さではあるが。
しかしながら、いくらスイと俺の仲が良くても、彼に恋人がいても、優里とはこんなに早く会わせるつもりはなかった。
一人占めしていたかったし、そもそも俺の仕事について話していないし。
と、思っていたがそこはさすが情報屋。
優里が俺の家にいるのをいち早く把握し、俺がいないときを狙ってやって来た。
俺がスイに何も伝えるつもりはないと予想していたのだろう。
もちろん彼が何の目的もなく、俺の家に突撃してくるような人ではないことを知っている。ちょっとチャラいが。
今回は"一条優里"という人物への接触と俺への忠告だろう。
「くれぐれも気を付けろよ」と。
俺に恋人がいることが広まれば、それは俺の弱点を広めているのと同義。つまりは優里が俺の代わりに命を狙われる可能性が出てくるということ。
それを言いに来たんだと思われる。
スイも理央くんも優里に、俺が闇医者だと告げていないことを察しているだろう。
2人から彼に何か言ったりはしないようだが、彼らなりに何も知らない優里を気にかけてくれているようだった。
まさか忠告に来た2人が狙われるとは思っていなかったが。
あのとき、優里がもしもグラスを投げていなかったらと思うとぞっとする。
あのナイフのスピードではさすがに俺もスイも理央くんを守るための対応はできなかっただろう。
ちゃんとした店だから、と油断していた。
俺と付き合うことで優里が危険にさらされる、その事実をやっと自分事として感じられた。
ーーー本当は俺のそばにいない方が安全だ。
だからといって、離れる、なんて選択肢は俺の中にはない。
そう、俺が守ればいいだけなのだから。と、完結させる。
しかし、1つの問題がのこる。
いつ優里に本当のことを言うか、だ。
スイが彼に情報屋だと伝えると少し複雑な顔をした。
びっくりしているような、苦虫を噛み潰したような、それをうまくごまかそうとしているような。
正直、反応は芳しくない。
いきなり裏社会の住人だと伝えられてとまどっているのか、はたまた引いているのか。
今、はまだそのときではないはずだ。
けれど、いつかは嫌われる覚悟を持って…いや、それなら今の方がいいのではないか?
問いの答えも嫌われる覚悟も嫌われない自信もない。
ただひとつ、けれど大きな隠し事をして、俺は彼の恋人で居られるだろうか……違う。居続けるんだ。
ーーーーーーー
結城さんと理央くんは衝撃的な事実を残して帰っていった。
濃い1日だった!!!
とにかくお疲れなので、早々に風呂に入り、ベッドに横たわる。
俺の後にベッドに入ってきた春樹。
俺を抱きしめて、眠りに誘導するようないい声で「おやすみ」と声をかけられる。
そして夢の世界へ……
そう、お気付きだろうか。
キスから先がない!!のである。
とはいえ、まだ付き合って2日目だが。
いやいやいや、そもそもそれっぽい雰囲気が全くない。
付き合いたてのカップルが同じベッドだぞ?
うーん、俺にそういう魅力がないのだろうか…困った。
何せ、俺はそういうことは初めてなのだ。
全くこれまでに恋人がいなかったわけではないが、「やっぱり違う」と言われ、恋人に戻ること数回。
そういう雰囲気になったことがなく、持っていき方もわからない。
よし!
ここはあの人に相談しよう。
最近、俺と同じポジションだとわかった、先輩であるあの人に!!!
「優里ちゃん。今回は何の相談?」
相変わらず、俺の呼び出しにすぐに応じてくれた栄。
今回もコーヒーを奢ることになっている。
「夜の話」
「ブーー!!」
飲んでいたコーラを吹き出す栄。
「ゲホゲホッ……は?」
「栄はアジュと付き合ってるんでしょ?ってことは…そういうのも…だから、アドバイス欲しくて」
「え?優里ちゃん、その……まだなの?あいつ、手早そうなのに」
「うん、同じベッドで寝てはいるんだけどね。キスしかしない」
「まじかぁ」
「俺に魅力ないのかな?どうしたらいいんだろ…」
「でもさ!まだ2日くらいでしょ?……いや、ヘタレな可能性も…?」
「どうしたらいいかな?誘えばいいのかな?」
「うーん、俺じゃわかんないな。よし、アジュに聞いてみるか。とりあえず呼ぶわ」
いつも夜はアジュから誘われるために、誘い方がわからない栄は、俺の悩みを丸投げするためにアジュを呼び出してくれることになった。
結城翠。裏の顔は"情報屋マリス"。
裏でその名を知らぬものはいない。
金さえ払えばどんな情報でも手に入る、最も有能な情報屋。
優里には、スイとの関係を友人ということにしてあるが、実際はただの仕事仲間だ。
情報屋や俺のような闇医者は、優先する組織が多少あるものの、どの組織にとっても必要な存在のために比較的中立の立場にある。
そんな立場の俺たち2人は師匠セヤを通じて知り合った。
どちらの立場からしても知り合っておくには害がない、というよりむしろ有益だ。
そこから交流していくうちに、一緒に遊びに行ったり、食事をしたり、恋愛相談したり、もはや普通の友達レベルの仲の良さではあるが。
しかしながら、いくらスイと俺の仲が良くても、彼に恋人がいても、優里とはこんなに早く会わせるつもりはなかった。
一人占めしていたかったし、そもそも俺の仕事について話していないし。
と、思っていたがそこはさすが情報屋。
優里が俺の家にいるのをいち早く把握し、俺がいないときを狙ってやって来た。
俺がスイに何も伝えるつもりはないと予想していたのだろう。
もちろん彼が何の目的もなく、俺の家に突撃してくるような人ではないことを知っている。ちょっとチャラいが。
今回は"一条優里"という人物への接触と俺への忠告だろう。
「くれぐれも気を付けろよ」と。
俺に恋人がいることが広まれば、それは俺の弱点を広めているのと同義。つまりは優里が俺の代わりに命を狙われる可能性が出てくるということ。
それを言いに来たんだと思われる。
スイも理央くんも優里に、俺が闇医者だと告げていないことを察しているだろう。
2人から彼に何か言ったりはしないようだが、彼らなりに何も知らない優里を気にかけてくれているようだった。
まさか忠告に来た2人が狙われるとは思っていなかったが。
あのとき、優里がもしもグラスを投げていなかったらと思うとぞっとする。
あのナイフのスピードではさすがに俺もスイも理央くんを守るための対応はできなかっただろう。
ちゃんとした店だから、と油断していた。
俺と付き合うことで優里が危険にさらされる、その事実をやっと自分事として感じられた。
ーーー本当は俺のそばにいない方が安全だ。
だからといって、離れる、なんて選択肢は俺の中にはない。
そう、俺が守ればいいだけなのだから。と、完結させる。
しかし、1つの問題がのこる。
いつ優里に本当のことを言うか、だ。
スイが彼に情報屋だと伝えると少し複雑な顔をした。
びっくりしているような、苦虫を噛み潰したような、それをうまくごまかそうとしているような。
正直、反応は芳しくない。
いきなり裏社会の住人だと伝えられてとまどっているのか、はたまた引いているのか。
今、はまだそのときではないはずだ。
けれど、いつかは嫌われる覚悟を持って…いや、それなら今の方がいいのではないか?
問いの答えも嫌われる覚悟も嫌われない自信もない。
ただひとつ、けれど大きな隠し事をして、俺は彼の恋人で居られるだろうか……違う。居続けるんだ。
ーーーーーーー
結城さんと理央くんは衝撃的な事実を残して帰っていった。
濃い1日だった!!!
とにかくお疲れなので、早々に風呂に入り、ベッドに横たわる。
俺の後にベッドに入ってきた春樹。
俺を抱きしめて、眠りに誘導するようないい声で「おやすみ」と声をかけられる。
そして夢の世界へ……
そう、お気付きだろうか。
キスから先がない!!のである。
とはいえ、まだ付き合って2日目だが。
いやいやいや、そもそもそれっぽい雰囲気が全くない。
付き合いたてのカップルが同じベッドだぞ?
うーん、俺にそういう魅力がないのだろうか…困った。
何せ、俺はそういうことは初めてなのだ。
全くこれまでに恋人がいなかったわけではないが、「やっぱり違う」と言われ、恋人に戻ること数回。
そういう雰囲気になったことがなく、持っていき方もわからない。
よし!
ここはあの人に相談しよう。
最近、俺と同じポジションだとわかった、先輩であるあの人に!!!
「優里ちゃん。今回は何の相談?」
相変わらず、俺の呼び出しにすぐに応じてくれた栄。
今回もコーヒーを奢ることになっている。
「夜の話」
「ブーー!!」
飲んでいたコーラを吹き出す栄。
「ゲホゲホッ……は?」
「栄はアジュと付き合ってるんでしょ?ってことは…そういうのも…だから、アドバイス欲しくて」
「え?優里ちゃん、その……まだなの?あいつ、手早そうなのに」
「うん、同じベッドで寝てはいるんだけどね。キスしかしない」
「まじかぁ」
「俺に魅力ないのかな?どうしたらいいんだろ…」
「でもさ!まだ2日くらいでしょ?……いや、ヘタレな可能性も…?」
「どうしたらいいかな?誘えばいいのかな?」
「うーん、俺じゃわかんないな。よし、アジュに聞いてみるか。とりあえず呼ぶわ」
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