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本編2
デート(前編)
しおりを挟む「うひゃああ!!遊園地!!」
「楽しそうだね、優里」
「うん!!!」
現在、俺たちは遊園地に来ています。
きっかけは、あの事件から1週間経った日の朝。
「優里、来週の土日空いてる?」
毎晩のせいで腰を痛めながら、春樹の作った実においしい朝食を食べているときに尋ねられた。
「空いてるけど…?」
「遊園地行かない?泊まりでさ」
「遊園地?」
春樹の話によると、この前のお詫びとして結城さんが、遊園地のチケットとその系列のホテルを取ってくれたらしい。
「で、行く?」
「行く!!」
と、デートの約束をしたのだった。
そしてそれから1週間の今日。
大はしゃぎの俺。数ヵ月ぶりの遊園地である。
最後に行ったのは栄とアジュと3人でだった。
「春樹!春樹!うさうさいる!!!」
春樹の手を引き、遊園地のマスコットキャラクターのうさぎの"うさうさ"のもとへ駆け出す俺。
子供かよ…と思われると思うが、はしゃいでる俺を見ている春樹は周りがぶっ倒れそうなデレデレイケメンスマイルになってるから嫌がってる訳じゃなさそうなので問題なし!
いや、周りはイケメンスマイルで倒れちゃって大変か……これも黒崎効果?
そして、かわいいうさうさと春樹と3人で写真を撮る。
あらあら、うさうさも春樹を見てぶっ倒れそうになってる…大丈夫?
今日の服装はなんと!!ペアルック的なやつです。
春樹は白基調、俺は黒基調の完全カップルコーデ。
普通の街中を歩くのには恥ずかしいけれど、ここは遊園地。
誰も遊園地に夢中になって俺たち(というより主に春樹)を注目しないはず!と思ったのだが、彼のルックスの強さはマスコットよりも上だった…。
というわけで現在、俺たち2人は注目されていますが、春樹は注目されるのに慣れているようで気にしていないので、俺も気にしない気にしない。
「優里」
呼ばれて振り向くと、頭にカチューシャをつけられる。
「うふふ、かわいいね。これにしよう」
うさうさの耳のカチューシャ。
うわぁ!かわいい~!!
「春樹は?どれにするの?」
「うーん、どうしようかな。…そうだ、優里が決めて?」
春樹が似合うやつ、どれだ?……いや、なんでも似合うからな。
お、これとかいいんじゃないか?
身長差のために腕をめいいっぱい伸ばして彼の頭につけたのは、マスコットキャラクター"おきつねさん"のカチューシャ。
似合ってる似合ってる。我ながらいいセンス。
俺が選んだカチューシャに満足したらしい春樹は、2つのカチューシャを持ってレジへ。
今日は俺は財布を出さない、という約束をここに来る前にしたため、全て春樹が払うことになっている……彼氏の意地、だってさ。
列の邪魔にならないように1人で端っこの方に寄った俺は、何気なくスマホを見ると2件の通知。
1つはアジュから。
『楽しんでる~?俺たちは水族館にいるよ。銀弥はチンアナゴのところから離れなくてさ~』
というメッセージと共に、水槽にはり付いている栄の写真も。
楽しそうだな。
もう1つは家族からだった。
2人のうちの上の兄から。
『我が愛しき弟よ。元気かい?
もちろん俺は優里が全然家に帰ってこないので元気ではない。俺の健康のためにも早く帰ってきておくれ。
ところで、君のもう一人の兄に恋人がいるのは知っていると思うが、なんと今回、その恋人と結婚することにしたそうだ……というのを伝え忘れていた。すまない。
よって、急になってしまったが、二ヶ月後に結婚式が行われるので来てくれ。
場所はいつものホテル。詳細は優里が家に帰ってきたら教えることとしよう。
だから、早めに帰ってこい』
…相変わらずですね、雄兄。
とにかく早く帰ってこい、というのはよく伝わった。
いつ行こうかなぁ。最近ずっと春樹と一緒にいるから1人にならないしな……と考えていると、レジの長い列から帰ってきた春樹にカチューシャをつけられる。
あ、そうだ!
「春樹、写真撮ろーよ!」
彼の頭におきつねさんのカチューシャをつけて、スマホという名のカメラを構える。
自撮りのツーショット。
いきなり撮られたにもかかわらず、イケメンに写った春樹。
むむむ。これだからイケメンは。
『楽しんでるよ~!!!初デートだもん!』
というメッセージと共に、早速撮った写真を送る。
これでよし。
それを見た春樹が、
「"初デート"、か。そうだよね、楽しもうね」
と微笑んだことで、周りのみんながぶっ倒れたのは言うまでもない。
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