Strong Baseball 主砲の一振り 続編5

オールスターゲーム

オールスターゲーム 2日目

決勝戦は吉岡VSロドリゲスの一戦となった。

このホームラン競争に優勝すれば、賞金100万円を獲得出来る。


先行の吉岡は落ち着いた表情で打席に入った。


「吉岡、勝てよ！」


「タケル、勝ったら奢れよ！」


ベンチからはチームメイトの檄が飛ぶ。


「ヨシ、来い…」


バットを握り、表情が険しく変わった。


チームメイトの中山がピッチャー役としてマウンドに立つ。


「投げる方も責任重大だな…」


変なプレッシャーでコントロールミスしない様にと深呼吸をした。



中山が初球を投げた。


緩く弧を描いたボールはインコース高めへ向かっている。


吉岡は強靭なリストでボールを捕え、レフトへ引っ張った。


グーンと伸びた打球はあっという間にレフトスタンド中段へ飛び込む。


ワァーっという歓声に包まれ、先ずは1本目をクリア。


その後も天性の長打力で次々とスタンドへ運び、後攻のロドリゲスにプレッシャーを与える。


しかし、6球目の打球は角度が上がらずレフトフェンスを直撃。


「あぁ～、ダメだったか」


場内が溜息に包まれた。


吉岡に動揺した様子は無く、その後もスタンドに放り込み、結果9本で終えた。


「9本か！」


「ロドリゲスはこれを上回るだろうか？」


「難しいんじゃね？」


「どっちが勝つと思う？」


「オレは吉岡だな」


「いやぁ、ロドリゲスだろ」


「ヨシ、賭けようぜ！」


ベンチでは選手達が勝者は誰か賭けを行っていた。


ロドリゲスが悠然と打席に入った。


193cm 103kgの巨体ながら大振りはせず、抜群のバットコントロールで逆方向にも強い打球を飛ばすのがロドリゲスの持ち味だ。


ピッチャー役はチームメイトの棚橋が務める。


「ヘーイ、イツキ！ハヤク、ハヤク！」


打席でロドリゲスが早く投げろと急かす。


「わ、分かったよ…」


投げる方も慎重に投げなきゃならない。


「フゥ…ヨシ」


大きく息をつき、初球を投げた。


だが、ボールはベース手前でワンバンした。


「oh！イツキ、ドウシタノ？リラックス、リラックス！」


ロドリゲスは落ち着けと棚橋にジェスチャーする。


「何だよ、大丈夫か？何なら、オレが投げようか？」


隣にいる中山が声を掛けた。


「あっ、大丈夫っす！ただマウンドに慣れてないだけで」


棚橋はやんわりと断る。


「ホームラン競争なんだし、そんなに慎重にならなくてもいいんだぞ」


「は、はい…そうですよね」


もう一度深呼吸して投げた。


ゆっくりと弧を描いたボールはアウトコース低めに。


ロドリゲスはこれを上手く逆方向へ打ち返した。


打球は失速すること無く、弾丸ライナーでライトスタンドへ突き刺さった。


「オイオイ、スゲー打球だな」


「もしかしたら、ロドリゲスが優勝するんじゃないのか？」


「オレ、ロドリゲスに乗り替えようかな」


「もう遅せぇよ、お前は吉岡に賭けたんだろ」


一体幾ら賭けてるのだろうか。


ロドリゲスはノリノリでその後もポンポンとスタンドへ運ぶ。


ミスショットする気配も無く、どのコースにも上手く対応してバットコントロールの良さを見せつける。


最後の1球はインコース低めをすくい上げ、左中間スタンドに放り込んだ。


「パーフェクトじゃん！」


「勝ったのはロドリゲスかよ！」


「やったーっ！ロドリゲスに賭けて良かったぜ」


「マジか～っ！パーフェクト出されちゃ勝ち目はねえよ」


ベンチは悲喜交々の歓声が上がっている。


ホームラン競争はロドリゲスの優勝で幕を閉じた。


こうしてオールスターゲームの初日は終了。


明日は本番のゲームが控えている。



ホームラン競争の優勝賞金100万をゲットしたロドリゲスはその晩、数名の選手に集られあっという間に3分の2を使い果たしたそうな。



オールスターゲーム2日目、この日もキングダムの本拠地東京ボールパークで開催された。


余興の初日と違い、2日目はアポロリーグとネプチューンリーグの試合が行われる。


先行アポロリーグのスタメンは、


1センター 陽凪 5（マリナーズ）
2ライト 国分 3（ヤンキース）
3指名打者 ボーン 44（マシンガンズ）
4セカンド 鬼束 5（パイレーツ）
5ファースト 上田 1（ヤンキース）
6レフト 高橋 8（ウォーリアーズ）
7キャッチャー 矢幡 27（ドルフィンズ）
8サード 横山 9（ニックス）
9ショート 西口 7（ドルフィンズ）

ピッチャー 小橋 18（ヤンキース）

アポロリーグの先発はヤンキースの小橋。


ネプチューンリーグのスタメン


1ライト 中山 2（Glanz）
2ショート 白石 5（マーリンズ）
3センター 浅倉 8（キングダム）
4指名打者 ロドリゲス 44（キングダム）
5サード 吉岡 33（Glanz）
6ファースト 結城 23（ブレーブス）
7キャッチャー 外崎 27（99ers）
8レフト 棚橋 3（キングダム）
9セカンド 仲眞（レッズ）


ピッチャー 天海 18（マーリンズ）


ネプチューンリーグの先発はマーリンズのエース天海。


午後6時、主審の上がりプレイボール！