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交流戦 終盤
逆恨み
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翌日の第二戦はGlanzが東山、パイレーツは今シーズン3勝0敗、防御率1.86とリーグトップの山内が先発。
両軍のスタメンは前日と同じ。
この日はデーゲームで行われ、今シーズン1勝4敗と負け越している東山は今日こそ勝つぞと、気合いの入ったピッチングでパイレーツ打線を5回まで1安打のみに抑える。
そんな東山の好投に応えるべく、打線は援護をしたいところだが、山内のスライダーに手こずり、こちらも僅か1安打に封じられる。
試合が動いたのは7回の裏。
この回先頭の牧田がレフト線へのツーベースヒットで出塁すると、3番冬野はフルカウントからのワンシームが外れてフォアボール。
ノーアウトランナー一塁、二塁という場面で4番の鬼束を迎える。
ここが踏ん張りどきと気合いを入れ直し、ストレート主体のピッチングで攻め立てるが、4球目のカットボールが真ん中に入り、鬼束はこれをジャストミート。
打球はセンターバックスクリーンへ飛び込む、リーグトップの19号スリーランで一挙3点を献上。
東山はここで降板。
この3点が決勝点となり、Glanzは完封負けを喫する。
試合後、櫻井は東山を二軍に降格する事を明言。
ここ数試合勝ち星に恵まれず、防御率も5.27とリーグワーストを記録。
調子は決して悪くないのだが、決め球のカットボールを打たれて試合を落とす場面が目立つ。
「下でピッチングを勉強してこい」
高峰投手総合コーチは無期限の二軍降格を告げた。
「…はい」
失意のまま、東山は二軍行きを命じられた。
ローテーションの一角でもある東山が二軍落ちとなれば、代わりに誰がローテーション入りするのか。
「冴島、寶井、金澤のうち誰をローテーション入りさせるか…」
「テストさせりゃいいじゃん」
「テスト?」
「うん、誰がローテーションの一角を担うかテストすりゃいいんだよ」
財前が提案する。
「ウン、財前くんの言う通りだ。
誰と決めるのではなく、テストしてみて良かった選手をローテーション入りすればいいんですよ」
櫻井は財前の提案を採用するつもりだ。
パイレーツとの二連戦を終えたGlanzは本拠地さいたま S Villageに戻り、千葉ヤンキースとの二連戦をスタートさせる。
初戦は先発マクダウェルがヤンキース打線を封じ、攻撃では4回の裏に石川の第12号ソロで先制すると、6回には9番武藤がランナー二塁の場面でヤンキース先発澁谷のチェンジアップをライトスタンドへプロ初アーチを飾る。
8回は唐澤が第11号ソロでダメ押し。
投げてはマクダウェルが僅か92球でヤンキース打線を完封、6勝目をマークした。
翌日はヤンキースがエース小橋、Glanzはローテーションの谷間とあって、アンダースローの金澤が先発。
この日は投手戦となり、両チームチャンスを作るも決め手に欠け、0対0のまま試合は延長戦へ。
11回の表、ヤンキースは新外国人のロバーツが4番手ピッチャー流川のストレートをライトスタンドへツーランホームランで均衡を破り、その裏は守護神の川田が3人で抑え、ヤンキースが前日の借りを返す。
交流戦がスタートして1ヶ月が経過した。
交流戦の順位は、
1東北マーリンズ
2甲府ブレーブス 0.5
3名古屋99ers 1.5
4千葉ヤンキース 3.5
5SAITAMA Glanz 5.5
6東京キングダム 7.0
7北九州ドジャース9.0
8長州レボリューションズ11.0
9大阪ドルフィンズ 12.0
10北陸レッズ 13.5
11京都スーパーフェニックス15.0
12札幌ウォーリアーズ17.5
13新潟パイレーツ 21.5
14高松マリナーズ 23.0
15琉球マシンガンズ 25.0
16長野ニックス 25.5
マーリンズが首位をキープしているが、2位は新チームのブレーブスが0.5ゲーム差でピッタリと後ろを付ける。
Glanzは5位、交流戦優勝の可能性は消滅した。
そして交流戦最終戦は本拠地さいたま S Villageで交流戦7位のドジャースを迎え撃つ。
そのドジャースの先発は昨年スカイウォーカーズからトレードで移籍した梁屋。
対するGlanzは冴島と両左腕の投げ合いでスタートする。
ドジャースのスタメン
1セカンド 福田 2
2指名打者 石田 24
3ライト 斐川 3
4ファースト ワグナー31
5センター 福西 4
6サード 斎藤 1
7キャッチャー 保坂 27
8ショート 水嶋 52
9レフト 武田 2
ピッチャー梁屋 16
稀代のヒットメーカー斐川はリーグトップの打率.362で116安打とこれまたトップ。
4番は新外国人でリーグ2位の16本塁打を放つワグナー。
長打率.702と驚異的な数字を誇り、四球の数もリーグトップ。
そして先発梁屋は現在2.47とリーグナンバーワンの防御率で安定したピッチングを披露する。
そのピッチングを手助けするのは、昨年途中までスカイウォーカーズの正捕手だった保坂が抜群のリードとフレーミングで引っ張る。
守備だけではなく、打率.283 本塁打7 打点39とバッティングでも勝利に貢献する。
「なぁ…この試合、勝負は度外視して誰かを潰そうぜ」
試合前、斐川はバッテリー2人に対し物騒な事を提案した。
「勝負度外視して、誰かを潰すだと?バカ言ってんじゃねぇ!」
「お前、何考えてんだよ?」
2人は呆れた表情を浮かべる。
「冗談じゃなく、本気で言ってんだよ!お前らだって、アイツらが憎いだろ?」
「…憎いって、恨むのはお門違いだろ」
「お前、ホントにひねくれたヤツだな」
確かにトレードに出された当初は腸が煮えくり返る思いだったが、野球選手にトレードは付き物だ。
それに、スカイウォーカーズからドジャースに移って成績もアップしたし、年俸もスカイウォーカーズの頃に比べて大幅にアップした。
今ではトレードしてくれてありがとうという気持ちだ。
「おい、ホントにそれでいいのかよ!」
「そんな事より、また殴られる様なマネするんじゃねぇぞ」
昨年降谷に殴られ、オマケに吉岡を執拗なパワハラをしていた事がバレて無期限の二軍降格を命じられた。
反省どころか、逆恨みしている困ったヤツだ。
両軍のスタメンは前日と同じ。
この日はデーゲームで行われ、今シーズン1勝4敗と負け越している東山は今日こそ勝つぞと、気合いの入ったピッチングでパイレーツ打線を5回まで1安打のみに抑える。
そんな東山の好投に応えるべく、打線は援護をしたいところだが、山内のスライダーに手こずり、こちらも僅か1安打に封じられる。
試合が動いたのは7回の裏。
この回先頭の牧田がレフト線へのツーベースヒットで出塁すると、3番冬野はフルカウントからのワンシームが外れてフォアボール。
ノーアウトランナー一塁、二塁という場面で4番の鬼束を迎える。
ここが踏ん張りどきと気合いを入れ直し、ストレート主体のピッチングで攻め立てるが、4球目のカットボールが真ん中に入り、鬼束はこれをジャストミート。
打球はセンターバックスクリーンへ飛び込む、リーグトップの19号スリーランで一挙3点を献上。
東山はここで降板。
この3点が決勝点となり、Glanzは完封負けを喫する。
試合後、櫻井は東山を二軍に降格する事を明言。
ここ数試合勝ち星に恵まれず、防御率も5.27とリーグワーストを記録。
調子は決して悪くないのだが、決め球のカットボールを打たれて試合を落とす場面が目立つ。
「下でピッチングを勉強してこい」
高峰投手総合コーチは無期限の二軍降格を告げた。
「…はい」
失意のまま、東山は二軍行きを命じられた。
ローテーションの一角でもある東山が二軍落ちとなれば、代わりに誰がローテーション入りするのか。
「冴島、寶井、金澤のうち誰をローテーション入りさせるか…」
「テストさせりゃいいじゃん」
「テスト?」
「うん、誰がローテーションの一角を担うかテストすりゃいいんだよ」
財前が提案する。
「ウン、財前くんの言う通りだ。
誰と決めるのではなく、テストしてみて良かった選手をローテーション入りすればいいんですよ」
櫻井は財前の提案を採用するつもりだ。
パイレーツとの二連戦を終えたGlanzは本拠地さいたま S Villageに戻り、千葉ヤンキースとの二連戦をスタートさせる。
初戦は先発マクダウェルがヤンキース打線を封じ、攻撃では4回の裏に石川の第12号ソロで先制すると、6回には9番武藤がランナー二塁の場面でヤンキース先発澁谷のチェンジアップをライトスタンドへプロ初アーチを飾る。
8回は唐澤が第11号ソロでダメ押し。
投げてはマクダウェルが僅か92球でヤンキース打線を完封、6勝目をマークした。
翌日はヤンキースがエース小橋、Glanzはローテーションの谷間とあって、アンダースローの金澤が先発。
この日は投手戦となり、両チームチャンスを作るも決め手に欠け、0対0のまま試合は延長戦へ。
11回の表、ヤンキースは新外国人のロバーツが4番手ピッチャー流川のストレートをライトスタンドへツーランホームランで均衡を破り、その裏は守護神の川田が3人で抑え、ヤンキースが前日の借りを返す。
交流戦がスタートして1ヶ月が経過した。
交流戦の順位は、
1東北マーリンズ
2甲府ブレーブス 0.5
3名古屋99ers 1.5
4千葉ヤンキース 3.5
5SAITAMA Glanz 5.5
6東京キングダム 7.0
7北九州ドジャース9.0
8長州レボリューションズ11.0
9大阪ドルフィンズ 12.0
10北陸レッズ 13.5
11京都スーパーフェニックス15.0
12札幌ウォーリアーズ17.5
13新潟パイレーツ 21.5
14高松マリナーズ 23.0
15琉球マシンガンズ 25.0
16長野ニックス 25.5
マーリンズが首位をキープしているが、2位は新チームのブレーブスが0.5ゲーム差でピッタリと後ろを付ける。
Glanzは5位、交流戦優勝の可能性は消滅した。
そして交流戦最終戦は本拠地さいたま S Villageで交流戦7位のドジャースを迎え撃つ。
そのドジャースの先発は昨年スカイウォーカーズからトレードで移籍した梁屋。
対するGlanzは冴島と両左腕の投げ合いでスタートする。
ドジャースのスタメン
1セカンド 福田 2
2指名打者 石田 24
3ライト 斐川 3
4ファースト ワグナー31
5センター 福西 4
6サード 斎藤 1
7キャッチャー 保坂 27
8ショート 水嶋 52
9レフト 武田 2
ピッチャー梁屋 16
稀代のヒットメーカー斐川はリーグトップの打率.362で116安打とこれまたトップ。
4番は新外国人でリーグ2位の16本塁打を放つワグナー。
長打率.702と驚異的な数字を誇り、四球の数もリーグトップ。
そして先発梁屋は現在2.47とリーグナンバーワンの防御率で安定したピッチングを披露する。
そのピッチングを手助けするのは、昨年途中までスカイウォーカーズの正捕手だった保坂が抜群のリードとフレーミングで引っ張る。
守備だけではなく、打率.283 本塁打7 打点39とバッティングでも勝利に貢献する。
「なぁ…この試合、勝負は度外視して誰かを潰そうぜ」
試合前、斐川はバッテリー2人に対し物騒な事を提案した。
「勝負度外視して、誰かを潰すだと?バカ言ってんじゃねぇ!」
「お前、何考えてんだよ?」
2人は呆れた表情を浮かべる。
「冗談じゃなく、本気で言ってんだよ!お前らだって、アイツらが憎いだろ?」
「…憎いって、恨むのはお門違いだろ」
「お前、ホントにひねくれたヤツだな」
確かにトレードに出された当初は腸が煮えくり返る思いだったが、野球選手にトレードは付き物だ。
それに、スカイウォーカーズからドジャースに移って成績もアップしたし、年俸もスカイウォーカーズの頃に比べて大幅にアップした。
今ではトレードしてくれてありがとうという気持ちだ。
「おい、ホントにそれでいいのかよ!」
「そんな事より、また殴られる様なマネするんじゃねぇぞ」
昨年降谷に殴られ、オマケに吉岡を執拗なパワハラをしていた事がバレて無期限の二軍降格を命じられた。
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