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現在ネプチューンリーグの順位は
西地区
1名古屋99ers
2長州レボリューションズ 1.5
3北陸レッズ 3.0
4京都スーパーフェニックス5.5
東地区
1SAITAMA Glan
2東北マーリンズ 2.0
3甲府ブレーブス 2.5
4東京キングダム 3.5
ブレーブスは東地区の3位、トップのGlanzとは2.5ゲーム差。
まだ始まったばかりだが、未知数のブレーブスはどのようにしてネプチューンリーグを引っ掻き回すのか。
ブレーブスの監督は、北九州ドジャースで4番を打っていた廣永 雅行(ひろながまさゆき)
ヘッドコーチは廣永のチームメイトでドジャースのエースだった真中 俊(まなかしゅん)
ドジャースと言えば、セイバーメトリクスに基づいた戦略が有名だが、この2人はセイバーメトリクスとインスピレーションを加えた戦術でブレーブスを率いる。
守備ではキャプテンの結城が指示を出し、いくつものフォーメーションで鉄壁の守りを誇る。
廣永はブレーブスの監督に就任して真っ先に行ったのがディフェンスの強化だ。
野球は攻撃よりも守りの方が重要だと言われる。
いくら攻撃陣が良くても、チーム打率はせいぜい.270程度。
それならばと、廣永は守備の上手い選手を獲得して守備力をアップさせた。
日が落ちた甲府の空は満月が顔を覗かせている。
マウンド上ではルーキーの高山が投球練習を終え、バッテリーを組む武内とサインの確認をしている。
そこへファーストの結城が入り、バッテリーに声を掛ける。
「さぁ、やろう!高山くん、結果は気にせず思いっきり投げるんだ…
いいね?」
「は、はい!」
高山は初先発とあって、緊張の面持ちだ。
「武内くん…高山くんを上手く引っ張ってくれ」
武内の肩にポンと手を置く。
「…ハイ。
結城さん、今日はどのフォーメーションで守りますか?」
「Glanzは右バッターが多いし、高山くんは左だから…フォーメーションAでいこうか」
「分かりました…高山、頼んだぞ」
「ハイ…」
「ヨシ、では守備につこう」
結城の声で守備についた。
時計の針は午後6時を指した。
【プレーボール!】
主審の手が挙がり、試合はスタート。
【1回の表ぇ~、Glanzの攻撃はぁ…1番ん、レフト藤村ぁ~、背番号46ぅ】
風林火山スタジアムのウグイス嬢が独特の言い回しでアナウンスする。
トップバッターの藤村がゆっくりと右打席に入る。
ここまで17打数3安打と打率はイマイチだが、既に8個のフォアボールで出塁率はかなり高い。
高山は武内のサインをジッと見る。
ノーワインドアップからのゆったりとしたモーションで第1球を投げた。
アウトコースやや高めに外れたストレート、球速は147km/hをマーク。
「ボール!」
球の走りは悪くない。
高山はチラッとファーストの方を見る。
結城がファーストミットをパシッと叩き、その調子だと高山を上手く乗せる。
武内がサインを出す。
すると高山は首を振る。
もう一度サインを出すと頷き、2球目を投げた。
真ん中やや低めから鋭く落ちる縦のスライダーに空振り。
「ストライク!」
バッターの手元でフォークの様に落ちる縦のスライダーは高山が一番自信を持っている。
カウントはワンボール、ワンストライク。
武内がサインを出した。
大きく頷き、3球目を投げた。
アウトコースギリギリにストレートがズバッと決まる。
「ストライクツー!」
藤村は手が出ない。
次は1球外すか、それとも勝負か。
「ヨシ、いいゾ高山くん!その調子でドンドン投げるんだ」
結城が高山を鼓舞する。
ブレーブスのユニフォームは白を基調に赤の文字で【Braves】というデザイン。
キャップは濃紺に赤文字でブレーブスのロゴマークが入る。
背番号11の若きサウスポーがフゥと大きく息を吐く。
武内がサインを出す。
高山は大きく頷き、4球目を投げた。
すると同時に内野陣が瞬時に守備位置を変えた。
縦に割れるカーブを藤村が上手く右へ流した。
「ヨシ、これはヒットだ!」
しかし、セカンドの上原が極端な右寄りの守備についていたせいであえなくセカンドゴロに倒れた。
「ウソっ!何であんな位置で守ってるんだよ?」
ヒットだと思った藤村は愕然とする。
高山が投げた瞬間、上原と青島が素早く右にシフトを敷き、真正面にボールを捕って一塁へ送球。
通常の守備位置ならば、ライト前へ運ばれていただろう。
ワンナウトとなって、打席には2番の石川が入る。
アウトをとったせいか、高山の表情に余裕が生まれる。
「う~ん…さすが守りのチームだな」
「そりゃ、野球はディフェンスが第一だしな」
ブレーブスはまとまりのあるチームだ。
西地区
1名古屋99ers
2長州レボリューションズ 1.5
3北陸レッズ 3.0
4京都スーパーフェニックス5.5
東地区
1SAITAMA Glan
2東北マーリンズ 2.0
3甲府ブレーブス 2.5
4東京キングダム 3.5
ブレーブスは東地区の3位、トップのGlanzとは2.5ゲーム差。
まだ始まったばかりだが、未知数のブレーブスはどのようにしてネプチューンリーグを引っ掻き回すのか。
ブレーブスの監督は、北九州ドジャースで4番を打っていた廣永 雅行(ひろながまさゆき)
ヘッドコーチは廣永のチームメイトでドジャースのエースだった真中 俊(まなかしゅん)
ドジャースと言えば、セイバーメトリクスに基づいた戦略が有名だが、この2人はセイバーメトリクスとインスピレーションを加えた戦術でブレーブスを率いる。
守備ではキャプテンの結城が指示を出し、いくつものフォーメーションで鉄壁の守りを誇る。
廣永はブレーブスの監督に就任して真っ先に行ったのがディフェンスの強化だ。
野球は攻撃よりも守りの方が重要だと言われる。
いくら攻撃陣が良くても、チーム打率はせいぜい.270程度。
それならばと、廣永は守備の上手い選手を獲得して守備力をアップさせた。
日が落ちた甲府の空は満月が顔を覗かせている。
マウンド上ではルーキーの高山が投球練習を終え、バッテリーを組む武内とサインの確認をしている。
そこへファーストの結城が入り、バッテリーに声を掛ける。
「さぁ、やろう!高山くん、結果は気にせず思いっきり投げるんだ…
いいね?」
「は、はい!」
高山は初先発とあって、緊張の面持ちだ。
「武内くん…高山くんを上手く引っ張ってくれ」
武内の肩にポンと手を置く。
「…ハイ。
結城さん、今日はどのフォーメーションで守りますか?」
「Glanzは右バッターが多いし、高山くんは左だから…フォーメーションAでいこうか」
「分かりました…高山、頼んだぞ」
「ハイ…」
「ヨシ、では守備につこう」
結城の声で守備についた。
時計の針は午後6時を指した。
【プレーボール!】
主審の手が挙がり、試合はスタート。
【1回の表ぇ~、Glanzの攻撃はぁ…1番ん、レフト藤村ぁ~、背番号46ぅ】
風林火山スタジアムのウグイス嬢が独特の言い回しでアナウンスする。
トップバッターの藤村がゆっくりと右打席に入る。
ここまで17打数3安打と打率はイマイチだが、既に8個のフォアボールで出塁率はかなり高い。
高山は武内のサインをジッと見る。
ノーワインドアップからのゆったりとしたモーションで第1球を投げた。
アウトコースやや高めに外れたストレート、球速は147km/hをマーク。
「ボール!」
球の走りは悪くない。
高山はチラッとファーストの方を見る。
結城がファーストミットをパシッと叩き、その調子だと高山を上手く乗せる。
武内がサインを出す。
すると高山は首を振る。
もう一度サインを出すと頷き、2球目を投げた。
真ん中やや低めから鋭く落ちる縦のスライダーに空振り。
「ストライク!」
バッターの手元でフォークの様に落ちる縦のスライダーは高山が一番自信を持っている。
カウントはワンボール、ワンストライク。
武内がサインを出した。
大きく頷き、3球目を投げた。
アウトコースギリギリにストレートがズバッと決まる。
「ストライクツー!」
藤村は手が出ない。
次は1球外すか、それとも勝負か。
「ヨシ、いいゾ高山くん!その調子でドンドン投げるんだ」
結城が高山を鼓舞する。
ブレーブスのユニフォームは白を基調に赤の文字で【Braves】というデザイン。
キャップは濃紺に赤文字でブレーブスのロゴマークが入る。
背番号11の若きサウスポーがフゥと大きく息を吐く。
武内がサインを出す。
高山は大きく頷き、4球目を投げた。
すると同時に内野陣が瞬時に守備位置を変えた。
縦に割れるカーブを藤村が上手く右へ流した。
「ヨシ、これはヒットだ!」
しかし、セカンドの上原が極端な右寄りの守備についていたせいであえなくセカンドゴロに倒れた。
「ウソっ!何であんな位置で守ってるんだよ?」
ヒットだと思った藤村は愕然とする。
高山が投げた瞬間、上原と青島が素早く右にシフトを敷き、真正面にボールを捕って一塁へ送球。
通常の守備位置ならば、ライト前へ運ばれていただろう。
ワンナウトとなって、打席には2番の石川が入る。
アウトをとったせいか、高山の表情に余裕が生まれる。
「う~ん…さすが守りのチームだな」
「そりゃ、野球はディフェンスが第一だしな」
ブレーブスはまとまりのあるチームだ。
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