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新生Glanz
侮れないチーム
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櫻井の予想通り、北乃はこれでマウンドを下りた。
代わったのは左の佐々木。
ドルフィンズから移籍した3年目の若手だが、如何せん経験不足からか、3番唐澤に左中間へのツーベースを打たれる。
ここで交代といきたいところだが、今年から投手には3人の打者との対戦か、イニング終了までの登板が義務付けられたルールにより、佐々木は右の森高との対戦を強いられる。
佐々木は3球目に投じたカーブが甘く入り、森高はこれを見逃さず強振。
打球は一直線にバックスクリーン横の左中間スタンドへ逆転のツーランで試合をひっくり返す。
8回はアクーニャ、最終回は守護神降谷が3人で抑え、Glanzが開幕戦を勝利で飾った。
勝ち投手はマクダウェル、降谷は1セーブをマーク。
石川、森高の今シーズン初アーチが飛び出し、幸先のいいスタートを切った。
他球場の結果は、
東京ボールパークで北陸レッズ対東京キングダムが行われ、3対4でキングダムがサヨナラ勝ち。
マーリンズフィールドでは、長州レボリューションズ対東北マーリンズの一戦は1対5でマーリンズの勝利。
ナゴヤ99ドームでは、甲府ブレーブス対名古屋99ersの開幕戦が行われ、3対1でブレーブスが勝利するという番狂わせが起こる。
ブレーブスは4番の結城が3安打3打点の活躍を見せ、新生ブレーブスの初陣を飾る。
「スゲーな、結城さん!新しいチームの4番で、しかも3打点だって」
「結城さんは残って欲しかったなぁ」
選手は口々に結城という存在の大きさを改めて知った。
翌日の第二戦は、スーパーフェニックスが札幌ウォーリアーズから移籍した鈴木、Glanzはエースナンバー18を背負う中邑が先発。
スタメンに変更は無し。
さいたま S Villageは今日も超満員で、レフトスタンドの温泉には湯に浸かりながら観戦するファンが。
それにしても、温泉入りながら観戦とは、果たして楽しめるものなのか。
些か疑問に思う。
試合は中邑が初回に1番刀根をフォークで三振、2番山川をカーブで見逃し三振、3番足達を159km/hの速球で空振りの三振に打ち取り、早くもエンジン全開。
スーパーフェニックスの先発鈴木はのらりくらりとしたピッチングでGlanz打線を抑える。
変化球が多彩で、ストレートは140にも満たないスピードだが、ボール球を上手く使った投球術で藤村、石川、唐澤と三者凡退に打ち取る。
この日も先制したのはスーパーフェニックス。
4回の表、ツーアウトから4番の新外国人フォスターが中邑のツーシームをライトスタンドへ今シーズン初ホームランで1点を先取。
Glanzも毎回ランナーを出すものの、鈴木の老獪なピッチングの前に打線は沈黙。
6回の表には、ランナー二塁の場面で1番刀根が中邑のストレートを上手くセンター前へ運び、更に1点追加。
Glanzは8回の裏に徳川がライトスタンドへプロ初アーチを放つものの、後続が打ち取られ、1点差で敗れる。
鈴木は実に4年ぶりの勝利。
スーパーフェニックスは鈴木―高田―吉田―大島のリレーで初勝利を飾った。
試合後のコメントで櫻井は、
「烏合の衆かと思ったが、まとまりのあるチームで戦力的には劣るかもしれないが、勝利への執念が強い。
特にクローザー(大島)のフォークは分かっていても打てないレベルだ」
と大島のフォークを絶賛した。
大島はかつてドラフト2位で琉球マシンガンズに入団したプロ5年目の25才。
155km/hの速球と落差の大きいフォークで将来を期待された右腕だったが、コントロールが悪く、四球を連発して自滅するパターンを繰り返し、一軍では使えないという事で二軍に落とされ、以来二軍で過ごす。
昨年の秋に戦力外通告を受け、合同トライアウトでスーパーフェニックスに入団。
年俸1200万という年俸で再スタートを切り、キャンプではコントロールを気にせず、ドンドン強気で攻めろという、飯島投手コーチのアドバイスを受け、ストレートでグイグイ押すピッチングでオープン戦で結果を出す。
荒れ球だが、球威のある速球とフォークで空振りを獲るピッチングでスーパーフェニックスの抑えとなった。
「何だ、ありゃ?あんなピッチャーが今まで二軍だったなんて、どうなってんだ」
「相手の抑えですか?ボクも初めて見ましたが、フォークの落差は凄いですよ。ナンバーワンと言われる中澤くんのフォークよりも鋭く落ちてると思いますよ」
監督室で櫻井と中田は試合を振り返る。
「コントロールは悪いが、荒れ球で狙いが絞れない分、バッターは相当苦労するぞ」
「でしょうね…とにかく彼が出てこないような試合展開をしないと」
「寄せ集めの連中ばっかだから楽ショーなんて思ったけど…こりゃあ手強いぜ」
「当たり前ですよ。寄せ集めとは言え、相手もプロなんだし」
1勝1敗のイーブン。
翌日の三戦目はどうなるか。
代わったのは左の佐々木。
ドルフィンズから移籍した3年目の若手だが、如何せん経験不足からか、3番唐澤に左中間へのツーベースを打たれる。
ここで交代といきたいところだが、今年から投手には3人の打者との対戦か、イニング終了までの登板が義務付けられたルールにより、佐々木は右の森高との対戦を強いられる。
佐々木は3球目に投じたカーブが甘く入り、森高はこれを見逃さず強振。
打球は一直線にバックスクリーン横の左中間スタンドへ逆転のツーランで試合をひっくり返す。
8回はアクーニャ、最終回は守護神降谷が3人で抑え、Glanzが開幕戦を勝利で飾った。
勝ち投手はマクダウェル、降谷は1セーブをマーク。
石川、森高の今シーズン初アーチが飛び出し、幸先のいいスタートを切った。
他球場の結果は、
東京ボールパークで北陸レッズ対東京キングダムが行われ、3対4でキングダムがサヨナラ勝ち。
マーリンズフィールドでは、長州レボリューションズ対東北マーリンズの一戦は1対5でマーリンズの勝利。
ナゴヤ99ドームでは、甲府ブレーブス対名古屋99ersの開幕戦が行われ、3対1でブレーブスが勝利するという番狂わせが起こる。
ブレーブスは4番の結城が3安打3打点の活躍を見せ、新生ブレーブスの初陣を飾る。
「スゲーな、結城さん!新しいチームの4番で、しかも3打点だって」
「結城さんは残って欲しかったなぁ」
選手は口々に結城という存在の大きさを改めて知った。
翌日の第二戦は、スーパーフェニックスが札幌ウォーリアーズから移籍した鈴木、Glanzはエースナンバー18を背負う中邑が先発。
スタメンに変更は無し。
さいたま S Villageは今日も超満員で、レフトスタンドの温泉には湯に浸かりながら観戦するファンが。
それにしても、温泉入りながら観戦とは、果たして楽しめるものなのか。
些か疑問に思う。
試合は中邑が初回に1番刀根をフォークで三振、2番山川をカーブで見逃し三振、3番足達を159km/hの速球で空振りの三振に打ち取り、早くもエンジン全開。
スーパーフェニックスの先発鈴木はのらりくらりとしたピッチングでGlanz打線を抑える。
変化球が多彩で、ストレートは140にも満たないスピードだが、ボール球を上手く使った投球術で藤村、石川、唐澤と三者凡退に打ち取る。
この日も先制したのはスーパーフェニックス。
4回の表、ツーアウトから4番の新外国人フォスターが中邑のツーシームをライトスタンドへ今シーズン初ホームランで1点を先取。
Glanzも毎回ランナーを出すものの、鈴木の老獪なピッチングの前に打線は沈黙。
6回の表には、ランナー二塁の場面で1番刀根が中邑のストレートを上手くセンター前へ運び、更に1点追加。
Glanzは8回の裏に徳川がライトスタンドへプロ初アーチを放つものの、後続が打ち取られ、1点差で敗れる。
鈴木は実に4年ぶりの勝利。
スーパーフェニックスは鈴木―高田―吉田―大島のリレーで初勝利を飾った。
試合後のコメントで櫻井は、
「烏合の衆かと思ったが、まとまりのあるチームで戦力的には劣るかもしれないが、勝利への執念が強い。
特にクローザー(大島)のフォークは分かっていても打てないレベルだ」
と大島のフォークを絶賛した。
大島はかつてドラフト2位で琉球マシンガンズに入団したプロ5年目の25才。
155km/hの速球と落差の大きいフォークで将来を期待された右腕だったが、コントロールが悪く、四球を連発して自滅するパターンを繰り返し、一軍では使えないという事で二軍に落とされ、以来二軍で過ごす。
昨年の秋に戦力外通告を受け、合同トライアウトでスーパーフェニックスに入団。
年俸1200万という年俸で再スタートを切り、キャンプではコントロールを気にせず、ドンドン強気で攻めろという、飯島投手コーチのアドバイスを受け、ストレートでグイグイ押すピッチングでオープン戦で結果を出す。
荒れ球だが、球威のある速球とフォークで空振りを獲るピッチングでスーパーフェニックスの抑えとなった。
「何だ、ありゃ?あんなピッチャーが今まで二軍だったなんて、どうなってんだ」
「相手の抑えですか?ボクも初めて見ましたが、フォークの落差は凄いですよ。ナンバーワンと言われる中澤くんのフォークよりも鋭く落ちてると思いますよ」
監督室で櫻井と中田は試合を振り返る。
「コントロールは悪いが、荒れ球で狙いが絞れない分、バッターは相当苦労するぞ」
「でしょうね…とにかく彼が出てこないような試合展開をしないと」
「寄せ集めの連中ばっかだから楽ショーなんて思ったけど…こりゃあ手強いぜ」
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1勝1敗のイーブン。
翌日の三戦目はどうなるか。
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