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交流戦 終盤
鬼神の如く
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「殺っちまえ!」
3度目の乱闘が始まった。
「止めろ!何度言えば分かるんだ!」
結城はボロボロになりながらも、何度も止めに入る。
「うるせぇ、黙ってろボケ!」
ヤンキースの選手が結城を突き飛ばす。
「止めるんだ、この試合没収になるぞ!」
「うるせぇ!」
もう止まらない。
気づけば、グラウンドのあちこちで取っ組み合いが始まっている。
唐澤は久住と、財前は上田と、藤村は与那嶺相手にケンカをしている。
そこへJINや南野が乱闘に加わり、収拾がつかない状態となった。
それでも結城は身体を張って仲裁する。
「皆、止めろ!こんな醜態を晒していいのか、止めるんだ!」
しかし、誰も聞いちゃいない。
「結城くん、危ない!」
マウンドに駆け寄った櫻井が声を上げる。
「エッ…」
振り向いた瞬間、久住の右ストレートが顔面を捕らえた。
バキッ…
「ガハッ…」
不意打ちを食らい、結城はバタンと倒れた。
「ケッ、うるせぇんだよ!1人だけいい子ブリやがって、何が球界のジェントルマンだ!」
久住は知らない。
結城のもう一つの顔を。
「あぁ、ヤバい…」
「結城さんにあんな事するなんて…」
「アァ?何がヤベェんだよ!コイツ殴ったらどうヤベェってんだよ、なぁ!」
そう言うと、結城の背中を踏みつける。
「うゎ…」
「アイツ終わったな…」
「さっきから何、グダグダ言ってんだ!コイツはオレに殴られてダウンしてるじゃねぇか!」
「誰がダウンしてるって…?」
「アァ?」
久住は後ろを振り返った。
「…な、お前、いつの間に…」
じゃあ、今踏みつけてるのは誰だ?
久住はゆっくりと視線を落とした。
「ゲッ!!上田さん…」
「グッ…うぅ」
久住が足で踏みつけている相手は結城ではなく、チームメイトの上田だった。
「…っ、な、何だよオイ…また殴られてぇのか…」
言葉とは裏腹に、表情が強ばる。
口から血を流し、鬼のような形相をした結城がユラ~っとした状態から、目にも留まらぬ速さで久住を吹っ飛ばす。
バコォ…
「グヘッ…」
結城のワンパン(ワンパンチ)で久住の意識は飛んだ。
「グヮァァァ!!」
「ヤバい、結城さんがキレたぞ!」
唐澤の顔が恐怖で引つる。
ヤンキーモードに入った結城は怒り狂い、目の前の相手をバタバタと薙ぎ倒す。
「グェっ」
「ガハッ…」
「グゥ…」
「グハッ!」
あっという間に数人をKO、もう誰も結城を止められない。
「オラッ、テメーも舞え!」
バキッ、ドカッ、ボコッ!
一瞬のうちに揉み合っている連中を倒した。
「うわぁぁぁ、逃げろ!」
「待て、ゴラァ!!」
逃げる相手を捕まえては倒し、捕まえては倒す。
いくらケンカが強いヤンキースの選手でも、結城の前では赤子同然。
たった一人で暴走族を壊滅した程の強さを誇る。
「結城さん、止めて下さい!もう、全員倒れてます!」
唐澤が止めに入るが、結城は攻撃の手を止めない。
「どけ、オラァ!!」
バコッ!
「ギャァ…」
結城の左ストレートを食らい、唐澤は失神KO。
「チサト、仲間を倒してどうすんだ!落ち着けって!」
「うるせぇ!」
「ぐあぁ…」
財前が背後から羽交い締めにするが、結城はその体勢から財前を投げ飛ばした。
「怒りが収まるまで誰も止める事が出来ない…」
「味方のオレらまで殺られるのかよ…」
藤村とJINは、恐怖のあまり立ちすくむ。
「テメーら、一人残らずぶち殺してやらぁ!!」
まるで鬼神の如く。
すると、ヘッドコーチの陳が結城の前に立ちはだかる。
「よくもウチの選手をやってくれたナ!」
台湾で習得した中国拳法で迎え撃つ。
「失せろ、チャイナ!!」
ドガッ!
「ぐあぁ…」
まともにラリアットを食らい、陳は一回転して地面に叩きつけられた。
「青幇っ…テメー、よくも青幇を殺りやがったな!!」
守山が剛腕を力任せに振り抜く。
バキッ!
守山の右拳が結城の顔面にクリーンヒットした。
「この、老いぼれが!テメーのパンチなんざ、効いちゃいねえんだよっ!!」
結城はまともに食らったが、倒れるどころか、守山に襲いかかる。
すると、
「どけっ、ボス猿!」
という声が。
「何でお前がここにいるんだ!」
スーツ姿の榊が間に割って入った。
「テメーもぶっ飛べっ!!」
結城は榊目掛けてロシアンフックを炸裂!
しかし、榊はこれを読んで上手くかわし、一瞬にして結城の背後をとった。
「これで大人しくしてろっ…」
その体勢から、得意のヘソで投げるバックドロップで結城を叩きつけた。
ズダーン!!
と強かに頭部を打ち付け、結城の動きは止まった。
「ヨシ、今だ!」
榊は覆い被さるように、背後からスリーパーホールドで頸動脈を締め上げた。
「グッ…ガハッ…ッグ…」
バタバタともがいていたが、最後は榊が結城を絞め落とした。
「まるで台風が過ぎ去った様に、物が散乱してるじゃねぇか」
「一人で相手チームを倒してしまった…」
ホントにそんな感じだ。
結局、両チーム合わせて6名が退場となり、試合はスカイウォーカーズが怒涛の攻撃で8点を奪い勝利した。
翌日の試合は、前日とは打って変わってマナーの良い試合運びだったが、両チーム共決定打を欠いて0対0の引き分けに終わり、交流戦は同率でヤンキースとスカイウォーカーズの同時優勝となった。
MVPは打率0.384 本塁打3 打点18 盗塁6をマークした唐澤が受賞。
尚、ヤンキースはこれを機にラフプレーがかなり減少したそうな。
3度目の乱闘が始まった。
「止めろ!何度言えば分かるんだ!」
結城はボロボロになりながらも、何度も止めに入る。
「うるせぇ、黙ってろボケ!」
ヤンキースの選手が結城を突き飛ばす。
「止めるんだ、この試合没収になるぞ!」
「うるせぇ!」
もう止まらない。
気づけば、グラウンドのあちこちで取っ組み合いが始まっている。
唐澤は久住と、財前は上田と、藤村は与那嶺相手にケンカをしている。
そこへJINや南野が乱闘に加わり、収拾がつかない状態となった。
それでも結城は身体を張って仲裁する。
「皆、止めろ!こんな醜態を晒していいのか、止めるんだ!」
しかし、誰も聞いちゃいない。
「結城くん、危ない!」
マウンドに駆け寄った櫻井が声を上げる。
「エッ…」
振り向いた瞬間、久住の右ストレートが顔面を捕らえた。
バキッ…
「ガハッ…」
不意打ちを食らい、結城はバタンと倒れた。
「ケッ、うるせぇんだよ!1人だけいい子ブリやがって、何が球界のジェントルマンだ!」
久住は知らない。
結城のもう一つの顔を。
「あぁ、ヤバい…」
「結城さんにあんな事するなんて…」
「アァ?何がヤベェんだよ!コイツ殴ったらどうヤベェってんだよ、なぁ!」
そう言うと、結城の背中を踏みつける。
「うゎ…」
「アイツ終わったな…」
「さっきから何、グダグダ言ってんだ!コイツはオレに殴られてダウンしてるじゃねぇか!」
「誰がダウンしてるって…?」
「アァ?」
久住は後ろを振り返った。
「…な、お前、いつの間に…」
じゃあ、今踏みつけてるのは誰だ?
久住はゆっくりと視線を落とした。
「ゲッ!!上田さん…」
「グッ…うぅ」
久住が足で踏みつけている相手は結城ではなく、チームメイトの上田だった。
「…っ、な、何だよオイ…また殴られてぇのか…」
言葉とは裏腹に、表情が強ばる。
口から血を流し、鬼のような形相をした結城がユラ~っとした状態から、目にも留まらぬ速さで久住を吹っ飛ばす。
バコォ…
「グヘッ…」
結城のワンパン(ワンパンチ)で久住の意識は飛んだ。
「グヮァァァ!!」
「ヤバい、結城さんがキレたぞ!」
唐澤の顔が恐怖で引つる。
ヤンキーモードに入った結城は怒り狂い、目の前の相手をバタバタと薙ぎ倒す。
「グェっ」
「ガハッ…」
「グゥ…」
「グハッ!」
あっという間に数人をKO、もう誰も結城を止められない。
「オラッ、テメーも舞え!」
バキッ、ドカッ、ボコッ!
一瞬のうちに揉み合っている連中を倒した。
「うわぁぁぁ、逃げろ!」
「待て、ゴラァ!!」
逃げる相手を捕まえては倒し、捕まえては倒す。
いくらケンカが強いヤンキースの選手でも、結城の前では赤子同然。
たった一人で暴走族を壊滅した程の強さを誇る。
「結城さん、止めて下さい!もう、全員倒れてます!」
唐澤が止めに入るが、結城は攻撃の手を止めない。
「どけ、オラァ!!」
バコッ!
「ギャァ…」
結城の左ストレートを食らい、唐澤は失神KO。
「チサト、仲間を倒してどうすんだ!落ち着けって!」
「うるせぇ!」
「ぐあぁ…」
財前が背後から羽交い締めにするが、結城はその体勢から財前を投げ飛ばした。
「怒りが収まるまで誰も止める事が出来ない…」
「味方のオレらまで殺られるのかよ…」
藤村とJINは、恐怖のあまり立ちすくむ。
「テメーら、一人残らずぶち殺してやらぁ!!」
まるで鬼神の如く。
すると、ヘッドコーチの陳が結城の前に立ちはだかる。
「よくもウチの選手をやってくれたナ!」
台湾で習得した中国拳法で迎え撃つ。
「失せろ、チャイナ!!」
ドガッ!
「ぐあぁ…」
まともにラリアットを食らい、陳は一回転して地面に叩きつけられた。
「青幇っ…テメー、よくも青幇を殺りやがったな!!」
守山が剛腕を力任せに振り抜く。
バキッ!
守山の右拳が結城の顔面にクリーンヒットした。
「この、老いぼれが!テメーのパンチなんざ、効いちゃいねえんだよっ!!」
結城はまともに食らったが、倒れるどころか、守山に襲いかかる。
すると、
「どけっ、ボス猿!」
という声が。
「何でお前がここにいるんだ!」
スーツ姿の榊が間に割って入った。
「テメーもぶっ飛べっ!!」
結城は榊目掛けてロシアンフックを炸裂!
しかし、榊はこれを読んで上手くかわし、一瞬にして結城の背後をとった。
「これで大人しくしてろっ…」
その体勢から、得意のヘソで投げるバックドロップで結城を叩きつけた。
ズダーン!!
と強かに頭部を打ち付け、結城の動きは止まった。
「ヨシ、今だ!」
榊は覆い被さるように、背後からスリーパーホールドで頸動脈を締め上げた。
「グッ…ガハッ…ッグ…」
バタバタともがいていたが、最後は榊が結城を絞め落とした。
「まるで台風が過ぎ去った様に、物が散乱してるじゃねぇか」
「一人で相手チームを倒してしまった…」
ホントにそんな感じだ。
結局、両チーム合わせて6名が退場となり、試合はスカイウォーカーズが怒涛の攻撃で8点を奪い勝利した。
翌日の試合は、前日とは打って変わってマナーの良い試合運びだったが、両チーム共決定打を欠いて0対0の引き分けに終わり、交流戦は同率でヤンキースとスカイウォーカーズの同時優勝となった。
MVPは打率0.384 本塁打3 打点18 盗塁6をマークした唐澤が受賞。
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