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全寮制高校での3年間
寮長に聞いてみよう
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案の定、授業中は眠くて腹が減った。
それはオレだけではなく、カズも同じだった。
オレとカズは同じクラスで席も近い。カズはオレの席の斜め前で、しかも窓際だから春の麗らかな日差しを浴びて、肩肘で頬杖をつきながら時折カクッと頭が動く。
多分寝ているんだろう。
オレも同じように片手でシャーペンを持ちながら、教科書を見ているフリをしながら、うつらうつらと心地よい眠りに誘われた。
ヒロトはどうなんだろうか。
寝不足なのに、よくあんな量のメシが食えるもんだ。
腹一杯でやっぱり眠くなってるんじゃないかと思う。
それにしても問題はあの男だ。
アイツは真夜中にカップラーメン食べて、朝食も腹一杯食べてまともに授業を受けてるのだろうか?
クラスが違うので確認は出来ないが、まともに授業なんか受けちゃいないだろう。
じゃなきゃ、一年生を四回もやるなんて普通ではあり得ない。
どんなに成績が悪くても、余程の事が無い限り留年などしない。
しかも三回留年って…
見るからに頭の悪そうなヤツで、会話もまともに出来ない。
会話のキャッチボールというのが出来ないのだ。
とにかく一方的に話まくり、相手の話は一切聞かない。
コミュニケーションを取ろうと思ってもどうすればいいのか、こっちだって戸惑う。
「わかりました!」とデカイ声で返事をするが、何がどう解ったのか、理解してないだろう。
暇さえあればスマホを弄り、何か思い付いたかのように、写真を撮りまくる。
二段ベッドや今自分が食べるカップラーメン、寮の廊下等々…
そんなものを写して何をしてるのか不思議だ。
こんな事を考え、眠気と空腹に耐えながら何とか昼まで持ちこたえた。
昼になり、オレとカズはダッシュで食堂へと向かった。
とにかく腹が減っていた。
トレイに山盛りのパスタやサラダを乗せ、一気に胃袋に詰め込んだ。
今夜もあの男は夜中にゴソゴソとうるさくするのだろうか?そんな事を考えると憂鬱になる。
授業が終わり、オレたちは寮に戻った。
宇棚は部屋に戻ってきてないみたいだ。
「どうする、これから?」
オレはヒロトとカズに聞いてみた。
「もう無理!絶対に無理!オレはもう他で寝たいよ!」
ヒロトは宇棚のベッドにある枕を掴み、壁に叩きつけた。
「うん…無理だな。あのスマホの明かりがちょうどこっちに向いてるから、眩しくて寝られないよ」
部屋は二段ベッドが2列になって、オレは宇棚の上で寝て、反対側のベッドではカズが下で寝てヒロトは上で寝ている。
宇棚とカズは部屋を挟んで両サイドの二段ベッドの下で寝ているのだが、消灯時間になっても一向に寝る気配は無く、とにかく一晩中スマホを弄ってる。
オレたちはアイマスクと耳栓をして寝ているのだが、それでも光や音は漏れてくる。
何より寝る時にそんなもんを装着しなきゃならないっていうのがストレスに感じて余計に寝られない。
ヤツの弄るスマホの明かりがカズが寝ている側に向けている為、その明かりが眩しくてとても寝られる状態ではないと言う。
カズだけじゃない。
オレも宇棚の上で寝ているが、とにかく動く度にベッドがギシギシして、挙げ句にはベッドから抜け出し、荷物を置いてあるクローゼットを開けて、ガチャガチャと音を立ててうるさい。
オレたちは夜中にトイレに行く時でさえ、なるべく音を立てずにベッドから起きて用を足すのだが、宇棚はオレたちが寝ていようがお構い無しにドタドタとうるさい。
「アイツに出てってもらおうか」
ホントに出てってもらいたい。
寮生活という意味を理解してない感じだ。
「寮長もアイツに関しては何も言わないしなぁ。何かあるのかな、アイツは」
そう言うと、ヒロトはクローゼットを開けた。
そこには宇棚の荷物というより、カップラーメンやスナック菓子が山積みになっていた。
「こんなもんばっか食ってやがって!これ全部処分してやろうか!」
ヒロトが怒るのも無理もない。
「もしかしたら特別な待遇なのかな…」
カズは自分のベッドで横になると、授業中寝ていたせいか、遅れを取り戻そうとする為、教科書を開いていた。
特別な待遇か…
でもそれっておかしいだろ、だって皆規則に従って3年間ここで暮らしているんだぞ、アイツだけ特別扱いなのか?
「どうする。
もうすぐ夕飯の時間だぞ。また寮長に言ってみるか?」
今朝みたいにもう一度寮長に言って何とかしてもらいたい程だ。
「無理だろ、寮長でさえアイツの行動を黙認してるみたいだし」
確かにヒロトの言う通りだな。
「ど、どっか空いてる部屋って無いのかな?」
カズは教科書を読みながら話をしている。
そんなんでよく頭に入るな…器用なヤツだ…
ただオレたちはホントにあの男に振り回されっぱなしだ。
「こうなりゃオレたちで駅前にあるネカフェで寝泊まりするか?」
ヤケクソでオレは言ってみた。
ホントはそうしたいのだが、何せ規則はうるさい。
「それかアイツを追い出すしかないのかもな…」
「…」
ヒロトの言葉にオレとカズは無言になった。
出来ればそうしたい、でもそれは不可能だろう。
「そういえばさぁ」
クローゼットの扉を閉め、ヒロトが何かを思い出したかのように話を続けた。
「今の二年生や三年生もアイツと一緒に寮生活してたって事になるよな?」
そうか、留年を三回もしてるから、上級生達はアイツと同部屋で生活してたって人が何人かいるはずだよな。
「で、その一緒に暮らしてた上級生を探すってのか?」
オレは床に寝そべり、ぼんやりと天井を見ながら言った。
「で、でも上級生と接する機会がないし…」
カズの言う通り、オレたちは各学年によって棟が別れてる為、接する機会はほとんど無い。
「昼飯の時に皆集まるだろ?その時に上級生に聞いてみるってのはどうだろう?」
…ヒロトの言う事も解らないワケじゃないが、1人1人に聞いてみるってのか?
「難しくないか、それって?」
「…あ」
カズが何かを言おうとしていた。
「どうした、カズ?」
「何か思い出したのか?」
オレとヒロトは身を乗り出した。
何かいいアイデアでも思い付いたみたいだ。
カズはコミュ障って言うが、決して喋らないってワケじゃない、ただ人見知りというか、話下手なだけだ。
「寮長なら知ってるかも…」
あっ、そうか!寮長から聞き出せばいいのか。
「スゲーじゃん、カズ!」
「じゃ、夕飯の時に聞いてみるか!」
オレとヒロトはカズのアイデアに賛成した。
その後オレたちは無言で教科書に目を通していた。
何せ進学校だから、少しでも遅れを取り戻そうと必死だ。
もうすぐ夕飯の時間だ。オレたちは食堂で寮長に聞いてみる事にした。
それはオレだけではなく、カズも同じだった。
オレとカズは同じクラスで席も近い。カズはオレの席の斜め前で、しかも窓際だから春の麗らかな日差しを浴びて、肩肘で頬杖をつきながら時折カクッと頭が動く。
多分寝ているんだろう。
オレも同じように片手でシャーペンを持ちながら、教科書を見ているフリをしながら、うつらうつらと心地よい眠りに誘われた。
ヒロトはどうなんだろうか。
寝不足なのに、よくあんな量のメシが食えるもんだ。
腹一杯でやっぱり眠くなってるんじゃないかと思う。
それにしても問題はあの男だ。
アイツは真夜中にカップラーメン食べて、朝食も腹一杯食べてまともに授業を受けてるのだろうか?
クラスが違うので確認は出来ないが、まともに授業なんか受けちゃいないだろう。
じゃなきゃ、一年生を四回もやるなんて普通ではあり得ない。
どんなに成績が悪くても、余程の事が無い限り留年などしない。
しかも三回留年って…
見るからに頭の悪そうなヤツで、会話もまともに出来ない。
会話のキャッチボールというのが出来ないのだ。
とにかく一方的に話まくり、相手の話は一切聞かない。
コミュニケーションを取ろうと思ってもどうすればいいのか、こっちだって戸惑う。
「わかりました!」とデカイ声で返事をするが、何がどう解ったのか、理解してないだろう。
暇さえあればスマホを弄り、何か思い付いたかのように、写真を撮りまくる。
二段ベッドや今自分が食べるカップラーメン、寮の廊下等々…
そんなものを写して何をしてるのか不思議だ。
こんな事を考え、眠気と空腹に耐えながら何とか昼まで持ちこたえた。
昼になり、オレとカズはダッシュで食堂へと向かった。
とにかく腹が減っていた。
トレイに山盛りのパスタやサラダを乗せ、一気に胃袋に詰め込んだ。
今夜もあの男は夜中にゴソゴソとうるさくするのだろうか?そんな事を考えると憂鬱になる。
授業が終わり、オレたちは寮に戻った。
宇棚は部屋に戻ってきてないみたいだ。
「どうする、これから?」
オレはヒロトとカズに聞いてみた。
「もう無理!絶対に無理!オレはもう他で寝たいよ!」
ヒロトは宇棚のベッドにある枕を掴み、壁に叩きつけた。
「うん…無理だな。あのスマホの明かりがちょうどこっちに向いてるから、眩しくて寝られないよ」
部屋は二段ベッドが2列になって、オレは宇棚の上で寝て、反対側のベッドではカズが下で寝てヒロトは上で寝ている。
宇棚とカズは部屋を挟んで両サイドの二段ベッドの下で寝ているのだが、消灯時間になっても一向に寝る気配は無く、とにかく一晩中スマホを弄ってる。
オレたちはアイマスクと耳栓をして寝ているのだが、それでも光や音は漏れてくる。
何より寝る時にそんなもんを装着しなきゃならないっていうのがストレスに感じて余計に寝られない。
ヤツの弄るスマホの明かりがカズが寝ている側に向けている為、その明かりが眩しくてとても寝られる状態ではないと言う。
カズだけじゃない。
オレも宇棚の上で寝ているが、とにかく動く度にベッドがギシギシして、挙げ句にはベッドから抜け出し、荷物を置いてあるクローゼットを開けて、ガチャガチャと音を立ててうるさい。
オレたちは夜中にトイレに行く時でさえ、なるべく音を立てずにベッドから起きて用を足すのだが、宇棚はオレたちが寝ていようがお構い無しにドタドタとうるさい。
「アイツに出てってもらおうか」
ホントに出てってもらいたい。
寮生活という意味を理解してない感じだ。
「寮長もアイツに関しては何も言わないしなぁ。何かあるのかな、アイツは」
そう言うと、ヒロトはクローゼットを開けた。
そこには宇棚の荷物というより、カップラーメンやスナック菓子が山積みになっていた。
「こんなもんばっか食ってやがって!これ全部処分してやろうか!」
ヒロトが怒るのも無理もない。
「もしかしたら特別な待遇なのかな…」
カズは自分のベッドで横になると、授業中寝ていたせいか、遅れを取り戻そうとする為、教科書を開いていた。
特別な待遇か…
でもそれっておかしいだろ、だって皆規則に従って3年間ここで暮らしているんだぞ、アイツだけ特別扱いなのか?
「どうする。
もうすぐ夕飯の時間だぞ。また寮長に言ってみるか?」
今朝みたいにもう一度寮長に言って何とかしてもらいたい程だ。
「無理だろ、寮長でさえアイツの行動を黙認してるみたいだし」
確かにヒロトの言う通りだな。
「ど、どっか空いてる部屋って無いのかな?」
カズは教科書を読みながら話をしている。
そんなんでよく頭に入るな…器用なヤツだ…
ただオレたちはホントにあの男に振り回されっぱなしだ。
「こうなりゃオレたちで駅前にあるネカフェで寝泊まりするか?」
ヤケクソでオレは言ってみた。
ホントはそうしたいのだが、何せ規則はうるさい。
「それかアイツを追い出すしかないのかもな…」
「…」
ヒロトの言葉にオレとカズは無言になった。
出来ればそうしたい、でもそれは不可能だろう。
「そういえばさぁ」
クローゼットの扉を閉め、ヒロトが何かを思い出したかのように話を続けた。
「今の二年生や三年生もアイツと一緒に寮生活してたって事になるよな?」
そうか、留年を三回もしてるから、上級生達はアイツと同部屋で生活してたって人が何人かいるはずだよな。
「で、その一緒に暮らしてた上級生を探すってのか?」
オレは床に寝そべり、ぼんやりと天井を見ながら言った。
「で、でも上級生と接する機会がないし…」
カズの言う通り、オレたちは各学年によって棟が別れてる為、接する機会はほとんど無い。
「昼飯の時に皆集まるだろ?その時に上級生に聞いてみるってのはどうだろう?」
…ヒロトの言う事も解らないワケじゃないが、1人1人に聞いてみるってのか?
「難しくないか、それって?」
「…あ」
カズが何かを言おうとしていた。
「どうした、カズ?」
「何か思い出したのか?」
オレとヒロトは身を乗り出した。
何かいいアイデアでも思い付いたみたいだ。
カズはコミュ障って言うが、決して喋らないってワケじゃない、ただ人見知りというか、話下手なだけだ。
「寮長なら知ってるかも…」
あっ、そうか!寮長から聞き出せばいいのか。
「スゲーじゃん、カズ!」
「じゃ、夕飯の時に聞いてみるか!」
オレとヒロトはカズのアイデアに賛成した。
その後オレたちは無言で教科書に目を通していた。
何せ進学校だから、少しでも遅れを取り戻そうと必死だ。
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