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新年
イヤな予感
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オレはシャワーを浴びた。
ベッドでは楓が全裸のまま、悲しげな表情を浮かべていた。
とてもじゃないが、楓のテクではオレの肉棒は勃起しない。
おまけに兄の事が頭に離れなかったせいもあって、オレはとてもじゃないが、そんな気分にはなれない。
バスルームから出て、オレはタオルで身体を拭いていた。
「亮ちゃんゴメンね…私、亮ちゃんが少しでも気持ちよくなるために頑張ったんだけど…無理だよね…」
「いや、楓のせいじゃない。オレはアニキの事で頭がいっぱいだったんだ。
…だってそうだろ?あんな場所でいきなりアニキに会うなんて、フツーはビックリするだろ?しかも初めて会ったんだぜ?」
オレはもっともらしい事を楓に話した。
「…うん。そうだよね…亮ちゃんにはお兄さんがいたなんて夢にも思わなかったからね。無理もないね」
楓もその言葉に頷くように答えた。
兄の言ってたポルトガル語はどういう意味なのだろうか。
会えて嬉しいと訳していたが、とてもそんな感じには思えなかった。
まるで背筋がゾッとするような殺意のある言葉…
気のせいならいいのだが。
「とにかく今日は疲れたよ。もう寝よう」
ホントに疲れた。
KINGDOMの大会でカズがボコボコにやられ、負けた事も気がかりだ。
試合後病院へ直行したが、怪我の具合が気になる。
そこへきて、兄の存在だ。
「うん、亮ちゃん腕枕して」
今はそんな気分じゃないって言ってるのに…仕方ない、オレは右腕を楓の首の後ろに添えた。
抱きつくようにして、楓はオレに絡み付き、チュッっと頬っぺたにキスをして、おやすみと言って寝た。
ここは千尋の部屋で、沢渡が亮輔達と別れて、すぐにこの部屋に訪れた。
「…どうして?何で亮輔が達也と会ったの?ねぇ、どうして?」
千尋が狼狽える。
「落ち着け、元々は兄弟なんだ。しかもホントに偶然にあの場所でバッタリと出会ったんだ」
沢渡が落ち着くようになだめるが、千尋は狼狽するばかりだ。
「あの二人を会わせてはいけないのは、貴方も知っているでしょう!
私は亮輔に何て言えばいいわけ?
まさか本当の兄弟じゃない、貴方は私と沢渡さんの間に出来た子供だとでも言えばいいの?ねぇ、どうすればいいのよ!」
「だから落ち着け!その事は達也くんには何の関係も無いだろ!
とにかくあの二人は戸籍上、兄弟なんだ。
亮輔くんも達也くんに会いたがっていた。だから会っても何の問題もないだろ」
沢渡は千尋に諭すように説得するが、千尋は納得いかない。
「だから、あの二人は会わせたくないのよ!会ったら何かしら問題が起きるわ。
これは私の勘よ!
それに私は達也にどんな顔をして会えばいいの?
今まで虐待してゴメンねって言うの?」
千尋は達也と会うのを恐れていた。
幼少時に言うことを聞かない日本語の分からない達也に何度も手を上げた。
亮輔はその事を知らない。
「その事に関しては黙ってればいいだろう。それに達也くんだって、そんな小さい時の事を覚えてないだろう。
あの二人が会って、何の心配があるというんだ?」
沢渡の言うとおりだ。
いくらなんでも、そんな昔の事を覚えているはずがない。
それに覚えていたとしても、千尋にその恨みを果たすとは到底思えない。
「だといいんだけど…」
千尋は少し冷静さを取り戻し、冷蔵庫にあるワインを取り出し、口にした。
だが、イヤな予感がする。
ベッドでは楓が全裸のまま、悲しげな表情を浮かべていた。
とてもじゃないが、楓のテクではオレの肉棒は勃起しない。
おまけに兄の事が頭に離れなかったせいもあって、オレはとてもじゃないが、そんな気分にはなれない。
バスルームから出て、オレはタオルで身体を拭いていた。
「亮ちゃんゴメンね…私、亮ちゃんが少しでも気持ちよくなるために頑張ったんだけど…無理だよね…」
「いや、楓のせいじゃない。オレはアニキの事で頭がいっぱいだったんだ。
…だってそうだろ?あんな場所でいきなりアニキに会うなんて、フツーはビックリするだろ?しかも初めて会ったんだぜ?」
オレはもっともらしい事を楓に話した。
「…うん。そうだよね…亮ちゃんにはお兄さんがいたなんて夢にも思わなかったからね。無理もないね」
楓もその言葉に頷くように答えた。
兄の言ってたポルトガル語はどういう意味なのだろうか。
会えて嬉しいと訳していたが、とてもそんな感じには思えなかった。
まるで背筋がゾッとするような殺意のある言葉…
気のせいならいいのだが。
「とにかく今日は疲れたよ。もう寝よう」
ホントに疲れた。
KINGDOMの大会でカズがボコボコにやられ、負けた事も気がかりだ。
試合後病院へ直行したが、怪我の具合が気になる。
そこへきて、兄の存在だ。
「うん、亮ちゃん腕枕して」
今はそんな気分じゃないって言ってるのに…仕方ない、オレは右腕を楓の首の後ろに添えた。
抱きつくようにして、楓はオレに絡み付き、チュッっと頬っぺたにキスをして、おやすみと言って寝た。
ここは千尋の部屋で、沢渡が亮輔達と別れて、すぐにこの部屋に訪れた。
「…どうして?何で亮輔が達也と会ったの?ねぇ、どうして?」
千尋が狼狽える。
「落ち着け、元々は兄弟なんだ。しかもホントに偶然にあの場所でバッタリと出会ったんだ」
沢渡が落ち着くようになだめるが、千尋は狼狽するばかりだ。
「あの二人を会わせてはいけないのは、貴方も知っているでしょう!
私は亮輔に何て言えばいいわけ?
まさか本当の兄弟じゃない、貴方は私と沢渡さんの間に出来た子供だとでも言えばいいの?ねぇ、どうすればいいのよ!」
「だから落ち着け!その事は達也くんには何の関係も無いだろ!
とにかくあの二人は戸籍上、兄弟なんだ。
亮輔くんも達也くんに会いたがっていた。だから会っても何の問題もないだろ」
沢渡は千尋に諭すように説得するが、千尋は納得いかない。
「だから、あの二人は会わせたくないのよ!会ったら何かしら問題が起きるわ。
これは私の勘よ!
それに私は達也にどんな顔をして会えばいいの?
今まで虐待してゴメンねって言うの?」
千尋は達也と会うのを恐れていた。
幼少時に言うことを聞かない日本語の分からない達也に何度も手を上げた。
亮輔はその事を知らない。
「その事に関しては黙ってればいいだろう。それに達也くんだって、そんな小さい時の事を覚えてないだろう。
あの二人が会って、何の心配があるというんだ?」
沢渡の言うとおりだ。
いくらなんでも、そんな昔の事を覚えているはずがない。
それに覚えていたとしても、千尋にその恨みを果たすとは到底思えない。
「だといいんだけど…」
千尋は少し冷静さを取り戻し、冷蔵庫にあるワインを取り出し、口にした。
だが、イヤな予感がする。
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